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堀込泰行の作詞法とは? 漠然としたイメージや温度感を、言葉に変えていく

堀込泰行の作詞法とは? 漠然としたイメージや温度感を、言葉に変えていく

堀込泰行が、自身の作詞方法や好きな映画などについて語った。

堀込が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『BEFORE DAWN』(ナビゲーター:燃え殻)。2022年12月13日、20日にゲスト出演。ここでは、12月20日(火)のオンエア内容をテキストで紹介する。

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堀込の作詞方法と変化

燃え殻は原作を書いたディズニープラスで配信中の連続ドラマ『すべて忘れてしまうから』について、出演者のCharaから「作詞をやらないか」と打診を受けたことを告白。最終的に話は立ち消えになってしまったものの、作詞に挑戦した燃え殻は堀込の作詞方法が気になっているという。

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燃え殻:『スウィートソウル』とか「どうやってこんなこと思いつくんだろう?」って。それも難解な言葉ではなく、自分たちが使ったことがある言葉を使ってこんなにロマンティックな言葉で作詞ができるんだと思っていたので、そのあたりを訊いてみたかったんです。作詞においてのルールや「この言葉は使わない」というのはあるんですか?

堀込:僕の場合あまりルールはなくて。基本的にメロディーが先なので、そのメロディーを書いている段階で「この曲は夜っぽいな」とか、あとはなんとなく情景が見えるというか。温かみのある風景であったり、すごく楽しかったり、うれしさが爆発していたり、みたいな漠然としたイメージや温度感みたいなものがメロディーを書いている最中にあるんです。それを言葉にしていくときに、メロディーに乗せていきます。最初はスラスラ書けるわけじゃなくて、曲のなかにある部分にパズルみたいにバチッとハマる言葉が見つかって「メロディーとメチャメチャハマるな、ここ」みたいな。『エイリアンズ』という曲では、あれはなんとなく夜のイメージで物悲しいということを合わせて、パズルにピタっとハマった言葉に対して、今度どうやって歌詞のなかの物語のつじつまを合わせていくかみたいなことを考えました。

燃え殻:夜の街のなかの風景だったりとか、心情みたいなことをそこに投影していくみたいな?

堀込:パズルみたいに言葉遊びをはめていく部分と、自分が「この曲はこういう方向に持って行きたいんだ」というものの共同作業みたいなというか。

燃え殻:作詞のルールがわからなくて。本当に不思議な世界だなという。

堀込:いまだに作詞は慣れなかったりもします。若いころは言葉遊びがすごく好きだったけれども、だんだん歳をとるにつれて言葉遊びだけじゃなくて、もうちょっと意味的なものもしっかりさせたい、という気持ちも出て来ました。

燃え殻:「シーンが走っているもの」と「物語があるもの」が堀込さんの曲にはあるなと思っていて。書きながら「このシーンを書くぞ」というときと「この1曲でこの物語」みたいな、漠然とやりたいものを決めていくという感じなんですか?

堀込:若いころは意味なんかどうでもよかったんです。僕の書くメロディーというのは洋楽っぽいところがあるので、それに乗りにくい日本語を乗せるというときに「意味なんかどうでもいいんだ、とにかくグルーヴに乗せることが大事だ」と思って書いていた時期も、デビューしたころとかにはあるんです。そこから「とはいえ、なにかもうちょっと自分の心情とか主張することとか、混ぜていきたいな」という気持ちが生まれてきて。段々とそっちにいっている傾向はあります。

燃え殻:いま堀込さんの曲を聴いていると「段々、ストレートになってきているな」と、詞は特に思うんです。

堀込:昔にくらべると確かにストレートになっています。昔みたいな言葉遊びを「やれ」って言われたら、できるかといったらちょっとわからない。やってみないとわからないけど、昔のほうが容易にできるんじゃないかというような気がします。

燃え殻:言葉遊びだけでは、楽しめなくもなっているのかもしれないですね。

堀込:1曲そういう「ナンセンスですよ」ということを売りにする曲があってもいいとは思ういます。だけどアルバムがあって、大半の曲がそれではよくないなというか。シンプルな言葉でストレートで、だけどなにか『エイリアンズ』じゃないけど、キャッチーで面白味のある言葉がポイントポイントで入っているものができると一番いいなとは思っています。

燃え殻:僕はいま新しい小説を書こうと思ってもがいているんです。もがいているどころか行き詰っているんですけど。堀込さんが行き詰まるだったりとかスランプというのはあるんですか?

堀込:いろいろな曲を平行して進めていると、たとえばある曲がちょっと行き詰ったと思ったら違う曲に移って、みたいなことを平行して進めながらやっていけるので、気分転換を作りながらおこなえるんです。だけど、ある1曲を集中して作らないといけないとなったときには「ほかの曲に気分転換で逃げる」ということができないので、ハマっちゃうときはハマっちゃいます。

燃え殻:基本的にはいろいろな曲を平行しているほうが精神衛生上いいというか。僕もやってみようかな。エッセイやりながらみたいな。

堀込が繰り返し観る『ヒトラーの贋札』

堀込は好きな作品について訊かれると、2007年に公開されてアカデミー賞外国語映画賞を受賞した映画『ヒトラーの贋札』を挙げた。堀込は同作を気に入りDVDを購入し、何度も繰り返し観ているのだという。

堀込:これがすごく面白くて。第二次世界大戦中にドイツのナチスが敵国であるイギリスの経済を混乱させるために偽札を作るという「ベルンハルト作戦」というのが本当にあって。収容してきたユダヤ人のなかから美術や印刷の技術に長けている人を集めて、その人たちみんなで頑張って偽札を作らせるんです。

堀込は『ヒトラーの贋札』の好きなところについて、作品の96分という長さがちょうどいいこと、ストーリー展開がわかりやすいこと、「ベルンハルト作戦」を知らなかったこと、そして「精巧な偽札」を作るという内容に興味があったことを明かした。

堀込:偽札とか絵の贋作とか、僕はけっこうそそられるものがあるんです。「すごい技術を持った人が偽札とか絵の贋作を作る」というのに、ちょっとロマンティックなものを感じて、そこにそそられます。

燃え殻の作品はフェイクドキュメンタリー

最後に堀込から、燃え殻の人物と作品から感じるもののギャップについて質問を投げかけた。

堀込:燃え殻さんの本や映像化された作品とか、いろいろ楽しませてもらっていて。

燃え殻:ありがとうございます。

堀込:いつも毎回不思議に思うのが、燃え殻さんって作品を読んでもお会いしても「内気な人」だと思うんです。

燃え殻:はい(笑)。

堀込:いまは陰キャとか陽キャという言葉があるじゃないですか。どちらかというと陰キャだと……。

燃え殻:大丈夫です、100パーそうです(笑)。

堀込:(笑)。そう思いながら僕も親近感を持ちつつ読んでいたりすると、ビックリするような。女の子とパーティーを抜け出したりとか、スキャンダラスなエピソードというか「なんでこんなにこの人持っているの?」というか。

燃え殻:エッセイとかですかね。エッセイはかき集めてます(笑)。同じ子だったりとかもしますけどね。(プロレスラーの)エル・デスペラード選手にも同じこと言われました。「君ね、モテてるんじゃないか?」「いや、違うんですよ」って。

堀込:燃え殻さんの作品はエッセイと小説の境目というか、小説でも必ず燃え殻さんが主人公に思えてしまうんです。

燃え殻:ちょっと意識しているところがあります。いまはあまりにも「リアルなもの」とかが世の中にいっぱいあるじゃないですか。YouTubeとかでもそうですけど。そうなったときに小説が「作り話ですよ」という形で始まって閉じるというのが。ものすごくうまいテクニックがあっていろいろなことができる人だったらいいと思うんですけど、僕の場合なんとなく「フェイクドキュメンタリー」みたいな形で、本当と嘘の境目をぐらぐら、ゆらゆら揺れるような小説になればいいなと思って。「こいつのことなのか? いやこれは物語なのか?」というようなのが、どっちつかずでいいよなと。昔テレビのドキュメントのスペシャルみたいなので「なんとか探検隊」みたいなのが好きだったんです。いま考えたらいろいろ思うところはありますけど本当だと思って観ていて、それが好きなんです。どこかで「大丈夫だった?」と言われるぐらいの感じのものを考えられないかな? とか。

堀込:なるほど。

燃え殻:その両方を行き来するような。あえてエッセイに書くようなものを小説のなかに少し入れてしまったりとか。あとは固有名詞をバンバン入れて「ここまで入れているからこいつが知っていることなんだろうな」とか。まったく知らない設定にしてしまうとかあるんです。そういうことのほうが、物語自体の真ん中まで人が一緒に来てくれるかなと思って書いているところはあるかもしれません。

堀込:リアリティがある感じというか「読み物」というよりは「人の人生」みたいな感じというか。その感じが僕は燃え殻さんの作品からはいつも感じる気がして、そこが好きだなと思います。

燃え殻:ありがとうございます。

堀込の最新情報は、公式サイトまたは、Twitterまで。

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