シンガーソングライターの堀込泰行が、小説家の燃え殻とJ-WAVEで対談。デビュー20周年を迎えた堀込のソロプロジェクト・馬の骨の活動や、最近の楽曲制作の意識について語った。
堀込が登場したのは、11月28日(金)放送のJ-WAVE『BEFORE DAWN』(ナビゲーター:燃え殻)。作家・エッセイストの燃え殻による深夜のトークラジオプログラムだ。
堀込:忙しかったというか、いろいろやったなって。堀込泰行として新曲を出したりとか、あとは(ソロプロジェクトの)馬の骨で動いたりとか。2025年は、忙しくなってくる前の2月、3月、4月ぐらいの記憶があんまりない。で、年末にまたライブがあるので、ギリギリまでのんびりできないというか、仕事納めが遅いなというか。
2005年に始動した堀込のソロプロジェクト・馬の骨は、2025年でデビュー20周年を迎えた。9月には、それを記念したベストアルバム『BEST OF UMA NO HONE 2005-2025』をリリース。同作はおよそ16年ぶりとなる新曲『Let's get crazy』を含む、堀込自身がセレクトした楽曲をリマスタリングして収録した初のベストアルバムとなる。
燃え殻: 前にこの番組『BEFORE DAWN』に出演していただいたときに、「本当はもっと時間をかけて作りたかった曲とか詞がある」って話もちょっとされていたんですけど、これまでの馬の骨のアルバムに関しても、そういう部分ってあったりしたんですか。
堀込:それはありますね。もっとちゃんと音作りをしたかったな、アレンジをもっと詰めたかったなって曲とか。歌い直したいな、歌詞もここ直したいなっていうところがあったりとか。
燃え殻:ミュージシャンの方から「歌詞をもう一度変えたい」って話をたまに聞くんですけど、そういうものですかね。
堀込:やっぱり、あとからもっといいのが思いついちゃったり。
燃え殻:その歌詞でライブとかをやってたりしても?
堀込:うん。だから、ライブのときは変えちゃったりする。自分で「もっといいだろう」っていうほうに。そういうときもあるし。
燃え殻:いまの気分とかを考えて変えたりとかも?
堀込:ありますね。録り直す機会がやってくるのかはわからないけど、何かの機会に録り直すってなったら、直したバージョンを出しちゃうんじゃないかって。昔のCDとかレコードでよくあったけど、実際に印刷されている歌詞と本人が歌っている歌唱は違うところがありますってエクスキューズがライナーノーツに書いてたりしたじゃないですか。
燃え殻:ありました。
堀込:あれをやってみたいなっていう。世に出したときから、それは聴いた人のものだって思える人もいるとは思うんです。ファンのものだから、みたいな。でも、自分のなかでずっと引っかかっちゃう部分っていうのはあって。同業者のシンガーソングライターとかに「歌詞が気に入ってないやつって、だんだんレパートリーから外れていかないですか?」って言うと「あるある」っていう(笑)。
燃え殻:それは聞いたことがあります。だから、あんまりライブで聴いたことがないっていうのは、そのミュージシャンの方が「本当はもっとこうしたい」っていうのがあったりするから、だんだん演奏もしなくなるみたいな。
堀込:そう。
燃え殻:それはもったいないので変えてください。
堀込:変えて、『(曲名)2026ver.』とかにしたり。
燃え殻:そういうのもありますよね。
燃え殻:お客さんに会うと、僕の本から「燃え殻っていうのは、実は泰行さんのソロプロジェクトの曲の名前らしいぞ」ってことを知って、それで『燃え殻』を聴いて、馬の骨を聴いて、いま堀込泰行に夢中っていう人がすごくたくさん来られていて。
燃え殻:そのときにやっと、「ちょっと泰行さんに恩を返せたかな」ってホッとするんですけど。
堀込:でも、燃え殻さんの読者の方が来てくれるってうれしいですよね。ありがとうございます。
馬の骨は11月26日(水)に新曲『Let's get crazy』と『燃え殻』を収録した7インチアナログ盤をリリースした。
燃え殻:新曲『Let's get crazy』はどんなテーマやイメージから生まれた楽曲なんでしょうか?
堀込:メロディーが先で、最初の部分がメロディーにバチっとはまったので、そこから歌詞を考えていって。日本語が極端に少ないんです。いわゆるJ-POPとか昔の歌謡曲だと、サビの最初が英語で他が日本語みたいな文量だったと思うんですけど、その反対みたいなことをやってみようみたいな。
燃え殻:なるほど。そういう遊び心も馬の骨バージョンという感じですね。
堀込:だから、ほぼ繰り返しているだけなんだけど、言いたいことは少ない日本語のなかで言えちゃってるなと思ったので、あえて日本語の分量を増やさずに「この曲は軽快な気持ちで楽しんでもらえればな」みたいに思って作りました。
燃え殻:小説とは違って文字数に限りがある作詞ですけど、物語性があるようなことだったり言葉のチョイスだったり、何か意識されていることってありますか?
堀込:あまり意識してるっていうのは……たとえば「この言葉は使わない」とかっていうのは僕にはなくて。
燃え殻:英語と日本語が今回の曲にはありましたけど、それほど意識せず?
堀込:もちろん、オール日本語でいけたら日本人として、音楽をやってる身としてはいいっていうか。だから、『燃え殻』って曲なら英語をあえてカタカナで書いて、とか、そういう気持ちはちょっとあったりはします。たとえば、K-POPって欧米プラス日本も市場に置いてるじゃないですか。だから、韓国語と日本語と英語が入り混じっていて。そういうものの影響も受けてか、僕は特に詳しいわけじゃないんだけど、J-POPとかも日本語がけっこう解体されてなんでもあり状態になっているなと。一方で僕は全部、日本語でいけたら美しいよなって思いつつも、まあポップミュージックだし、いろんな言語が混ざっちゃったりしてるっていうのもありなんだよねって最近思っていて。
燃え殻:最近、自分以外の楽曲とかで「この歌詞、素敵だな」と思ったものはありますか?
堀込:いまの朝ドラ(連続テレビ小説『ばけばけ』)の曲が好きで。僕はハンバート ハンバートさんの曲は、それで初めて知ったんですけども。
堀込:「帰る場所などとうに忘れた」というような歌詞があって、そこがかっこいいなと思って。ちょっと牧歌的な音楽性というか、メロディーだったりアレンジだったりするなかに、ドキッとする表現がところどころに入ってくる感じがグッとくるというか。
燃え殻:泰行さんの詞も、バラードのなかにちょっとドキッとするような1フレーズが入ってたりとか、単語が入ったりしますもんね。
堀込:そうですね。そういうのをやっぱり入れたいですよね。単に聴き流されちゃうっていうものよりは。
堀込泰行の最新情報は公式サイトまで。
小説家・燃え殻による、東京の真夜中に綴るトークラジオ『BEFORE DAWN』の放送は毎週金曜の26時30分から。 Spotifyなどのポッドキャストでも配信中。
堀込が登場したのは、11月28日(金)放送のJ-WAVE『BEFORE DAWN』(ナビゲーター:燃え殻)。作家・エッセイストの燃え殻による深夜のトークラジオプログラムだ。
「ここを直したい」と思うことはよくある
2025年も残りわずかとなり、燃え殻は「2025年はどんな1年でしたか?」と堀込に質問した。堀込:忙しかったというか、いろいろやったなって。堀込泰行として新曲を出したりとか、あとは(ソロプロジェクトの)馬の骨で動いたりとか。2025年は、忙しくなってくる前の2月、3月、4月ぐらいの記憶があんまりない。で、年末にまたライブがあるので、ギリギリまでのんびりできないというか、仕事納めが遅いなというか。
2005年に始動した堀込のソロプロジェクト・馬の骨は、2025年でデビュー20周年を迎えた。9月には、それを記念したベストアルバム『BEST OF UMA NO HONE 2005-2025』をリリース。同作はおよそ16年ぶりとなる新曲『Let's get crazy』を含む、堀込自身がセレクトした楽曲をリマスタリングして収録した初のベストアルバムとなる。
燃え殻: 前にこの番組『BEFORE DAWN』に出演していただいたときに、「本当はもっと時間をかけて作りたかった曲とか詞がある」って話もちょっとされていたんですけど、これまでの馬の骨のアルバムに関しても、そういう部分ってあったりしたんですか。
堀込:それはありますね。もっとちゃんと音作りをしたかったな、アレンジをもっと詰めたかったなって曲とか。歌い直したいな、歌詞もここ直したいなっていうところがあったりとか。
燃え殻:ミュージシャンの方から「歌詞をもう一度変えたい」って話をたまに聞くんですけど、そういうものですかね。
堀込:やっぱり、あとからもっといいのが思いついちゃったり。
燃え殻:その歌詞でライブとかをやってたりしても?
堀込:うん。だから、ライブのときは変えちゃったりする。自分で「もっといいだろう」っていうほうに。そういうときもあるし。
燃え殻:いまの気分とかを考えて変えたりとかも?
堀込:ありますね。録り直す機会がやってくるのかはわからないけど、何かの機会に録り直すってなったら、直したバージョンを出しちゃうんじゃないかって。昔のCDとかレコードでよくあったけど、実際に印刷されている歌詞と本人が歌っている歌唱は違うところがありますってエクスキューズがライナーノーツに書いてたりしたじゃないですか。
燃え殻:ありました。
堀込:あれをやってみたいなっていう。世に出したときから、それは聴いた人のものだって思える人もいるとは思うんです。ファンのものだから、みたいな。でも、自分のなかでずっと引っかかっちゃう部分っていうのはあって。同業者のシンガーソングライターとかに「歌詞が気に入ってないやつって、だんだんレパートリーから外れていかないですか?」って言うと「あるある」っていう(笑)。
燃え殻:それは聞いたことがあります。だから、あんまりライブで聴いたことがないっていうのは、そのミュージシャンの方が「本当はもっとこうしたい」っていうのがあったりするから、だんだん演奏もしなくなるみたいな。
堀込:そう。
燃え殻:それはもったいないので変えてください。
堀込:変えて、『(曲名)2026ver.』とかにしたり。
燃え殻:そういうのもありますよね。
軽快な気持ちで楽しんでもらえれば
2025年、燃え殻が各地のイベントに出演した際、客からある言葉をもらうことが多かったという。燃え殻:お客さんに会うと、僕の本から「燃え殻っていうのは、実は泰行さんのソロプロジェクトの曲の名前らしいぞ」ってことを知って、それで『燃え殻』を聴いて、馬の骨を聴いて、いま堀込泰行に夢中っていう人がすごくたくさん来られていて。
馬の骨「燃え殻」Music Video
堀込:でも、燃え殻さんの読者の方が来てくれるってうれしいですよね。ありがとうございます。
馬の骨は11月26日(水)に新曲『Let's get crazy』と『燃え殻』を収録した7インチアナログ盤をリリースした。
Let's get crazy
堀込:メロディーが先で、最初の部分がメロディーにバチっとはまったので、そこから歌詞を考えていって。日本語が極端に少ないんです。いわゆるJ-POPとか昔の歌謡曲だと、サビの最初が英語で他が日本語みたいな文量だったと思うんですけど、その反対みたいなことをやってみようみたいな。
燃え殻:なるほど。そういう遊び心も馬の骨バージョンという感じですね。
堀込:だから、ほぼ繰り返しているだけなんだけど、言いたいことは少ない日本語のなかで言えちゃってるなと思ったので、あえて日本語の分量を増やさずに「この曲は軽快な気持ちで楽しんでもらえればな」みたいに思って作りました。
ドキッとする表現にグッとくる
燃え殻は、「キリンジのときはメロディーに乗った変幻自在の言葉がとても楽しくて美しいと感じたが、ソロになって歌詞がより詩的で短編の小説みたいになってきている」と話す。燃え殻:小説とは違って文字数に限りがある作詞ですけど、物語性があるようなことだったり言葉のチョイスだったり、何か意識されていることってありますか?
堀込:あまり意識してるっていうのは……たとえば「この言葉は使わない」とかっていうのは僕にはなくて。
燃え殻:英語と日本語が今回の曲にはありましたけど、それほど意識せず?
堀込:もちろん、オール日本語でいけたら日本人として、音楽をやってる身としてはいいっていうか。だから、『燃え殻』って曲なら英語をあえてカタカナで書いて、とか、そういう気持ちはちょっとあったりはします。たとえば、K-POPって欧米プラス日本も市場に置いてるじゃないですか。だから、韓国語と日本語と英語が入り混じっていて。そういうものの影響も受けてか、僕は特に詳しいわけじゃないんだけど、J-POPとかも日本語がけっこう解体されてなんでもあり状態になっているなと。一方で僕は全部、日本語でいけたら美しいよなって思いつつも、まあポップミュージックだし、いろんな言語が混ざっちゃったりしてるっていうのもありなんだよねって最近思っていて。
燃え殻:最近、自分以外の楽曲とかで「この歌詞、素敵だな」と思ったものはありますか?
堀込:いまの朝ドラ(連続テレビ小説『ばけばけ』)の曲が好きで。僕はハンバート ハンバートさんの曲は、それで初めて知ったんですけども。
ハンバート ハンバート "笑ったり転んだり" (Official Music Video)
燃え殻:泰行さんの詞も、バラードのなかにちょっとドキッとするような1フレーズが入ってたりとか、単語が入ったりしますもんね。
堀込:そうですね。そういうのをやっぱり入れたいですよね。単に聴き流されちゃうっていうものよりは。
堀込泰行の最新情報は公式サイトまで。
小説家・燃え殻による、東京の真夜中に綴るトークラジオ『BEFORE DAWN』の放送は毎週金曜の26時30分から。 Spotifyなどのポッドキャストでも配信中。
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