
漫画家ユニット・ゆでたまごの嶋田隆司が、小説家・燃え殻とJ-WAVEで対談。嶋田が『キン肉マン』の人気キャラクターや必殺技など、創作の裏側を語った。
嶋田が登場したのは、8月29日(金)放送のJ-WAVE『BEFORE DAWN』(ナビゲーター:燃え殻)。作家・エッセイストの燃え殻による深夜のトークラジオプログラムだ。
トークの模様は9月5日(金)まで、radikoのタイムフリー機能で楽しめる。
また、同日、燃え殻がナレーションを務めた、『キン肉マン』コミックスPR動画「ウォーズマンの軌跡」がYouTubeの週プレChannelで公開された。
燃え殻:先生(嶋田)、どうだったでしょうか?
嶋田:すごくよかったです。「ウォーズマンの軌跡」なので、無機質な感じと温かみが少しあって、ナレーションの仕事いっぱい来るんじゃないですか?
燃え殻:いやいや(笑)。そうすると背中に汗をかく仕事が増えるな。
燃え殻は『週刊プレイボーイ』(集英社)で毎月『キン肉マン』の連載を振り返る企画「肉トーク」を作家の爪切男と月末1回更新で担当している。
燃え殻:こちらのご感想はありますか?
嶋田:いつも読んでるんですけど、すごく核心を突いてるところがあったり、あるいは「ちょっと違うな」というところもあったり。
燃え殻:そりゃそうですよ(笑)。編集の方と爪さんと毎月『キン肉マン』を読んで感想を言えるっていう、こんなにうれしい仕事があるのかって。小学校のころの僕が聞いたら感動するような仕事で、ありがとうございます。
嶋田:僕も毎月楽しみにしてますので、好き勝手に言ってください。
燃え殻:頑張ります。
嶋田:いちばんは読者が応援してくれること。80年代のジャンプってものすごくて、毎週アンケートがあって1位を獲るのが最高の栄誉だったんです。だから、みんな1位を獲りに行くので。『キン肉マン』『キャプテン翼』『北斗の拳』『ドラゴンボール』……。
燃え殻:すごいラインナップでしたよね。
嶋田:他も読み飛ばす漫画がないくらいで。だから、自分の中では負けん気が強いんですよね。「誰にも負けるか」っていう気持ちで、気づいたらここまで来ました。
燃え殻:1週間、1週間を続けて来たらいままで。
嶋田:そうです。
燃え殻:僕も小学生のころとか読んでいて、『キン肉マン』って「次どうなるんだろう?」って次週のコマを読みたくなるんですよね。
嶋田:“引き”って言うんですけど、あれは大事で。他の漫画は「げっ!」「これは!?」とか、「あぁー!!」とかで終わるんですけど、僕たちの引きはその正体をその回で出しちゃうんですよ。
燃え殻:たしかに。それでも、その先を読みたくなる。「技をくらうか!?」ではなくて、くらってから終わる。
嶋田:これが、ゆでたまごが発明した引きなんですよね。
燃え殻:なるほど。
燃え殻:ああいう、必殺技ってどこから思い付くんですか? 「パロスペシャル」とか。
嶋田:あれは『キン肉マン』の2代目編集担当の松井(栄元)さんがプロレス大好きで、「たしか、こういう技があった」ってかけてくれて。
燃え殻:もともとあった技なんですね。
嶋田:ジャッキー・パロっていう選手がかけてた技なんです。
燃え殻:だから「パロスペシャル」なんですね。
嶋田:そこから『キン肉マンII世』(『キン肉マン』の続編)になって知ったんですけど、「パロスペシャル」の写真が出てきたんです。そうしたら、全然、技の形が違って(笑)。体勢が逆だったんです。前に倒すんじゃなくて後にそらせるみたいな。
燃え殻:じゃあ、担当編集の松井さんは勘違いされていたと。
嶋田:でも、それがよかったと思います。
燃え殻:並みのプロレスファンじゃないですよね。そういう人が担当についている、引きが強い(笑)。
数え切れないほどの必殺技を生み出してきた嶋田は、そのなかでも「キン肉バスター」がいちばん好きだと話した。
燃え殻:「キン肉バスター」はもともとない技ですよね?
嶋田:ないです。あれは、中井義則(ゆでたまごの作画担当)くんと技をかけあったと思います。「こういうのどう?」って中井くんがササッとラフを描いてくれて、すごくよくて。
燃え殻:のちに、「キン肉バスター」をプロレスラーがかけたりして、漫画から現実に出てきましたからね。それくらい完成度が高くて、説得力がある技だったんですね。
嶋田:WWE(ワールド・レスリング・エンターテインメント)でも、「マッスル・バスター」で通ってますから。
燃え殻:プロレスを志す人なら『キン肉マン』を読んでる可能性が絶対高いですからね。
嶋田:キン肉マンは主人公なので、みんな「負けないだろう」と思ってるじゃないですか。だから、「もしかしたら負けるかもしれない」っていうふうに持っていくことがすごく難しい。
燃え殻:往年の(アントニオ)猪木が負けないと思いながらも、みんなハラハラしているみたいな。
嶋田:そうです。
燃え殻:いま、連載されている『キン肉マン』も、「キン肉マンは勝つよな」って思いながらも、「先生は負けることもやりかねないしな」って(笑)。ゆでたまごっていう漫画家は予定調和を壊すこともしてるじゃないですか。それを含めても、お互いが相思相愛であり、やるんじゃないかなって。
嶋田:昔、『キン肉マンII世』で、ケビンマスクがキン肉万太郎に勝っちゃうんですよね。ああいうことがあるので、みんなハラハラドキドキしているみたいですね。
燃え殻:それはあると思います。
嶋田は、「『キン肉マン』は自分か、作画の中井が死ぬまで続ける」と宣言した。
燃え殻:連載を読み続けていると「ここのスピンオフができるじゃん」「こっちだっていける」「ここの描かなかったところもやってよ」とか、いくらでもできちゃいますよね。
嶋田:僕たち、スピンオフもよく描くんですよね。
燃え殻:普通、みんなスピンオフは嫌がるのに、嶋田先生は「『はい!』って手を挙げやる」ってインタビューで読みました(笑)。
最後は、『キン肉マン』に登場する人気キャラクター・ラーメンマンの話題に。
燃え殻:ラーメンマンのキャラクターって、どう生み出したんですか?
嶋田:読者の応募超人でした。最初は捨てキャラだったんですけど、子どもたちの評判がすごくよくて。
燃え殻:すぐ描けるんですよ。
嶋田:キン肉マンと同じで。
燃え殻:やっぱり、すぐ描けるってすごいと思うんです。ロビンマスクってちょっと複雑ですよね。でも、キン肉マンよりロビンマスクのほうが、パーツがしっかりしてるので描けるんですけど、キン肉マンが似ないんですよね。やっぱりゆでたまご先生ってうまいんだなって。失礼ですけど。その点、ラーメンマンはみんなが描けるから人気が出たのかなって。
嶋田:それを意識してましたね。出す超人はドラえもんとかアンパンマンみたいに、みんなが描きやすいものにしたいって。
燃え殻:あのころのジャンプで読者が描けるキャラクターって、なかなかいなかったというか。けっこう描き込んでいる漫画が多かったから。『キン肉マン』のキャラクターは線が少なかったりして、とっても描きやすくて大好きでした。『キン肉マン』はみんなが描きやすくて、みんながわかりやすい物語で、それでも来週が楽しみになっちゃう漫画でしたよね。
嶋田:ありがとうございます。
嶋田隆司の最新情報は、 Xの公式アカウント(@yude_shimada)まで。
嶋田は次回、9月5日(金)の『BEFORE DAWN』にも引き続き登場する。
小説家・燃え殻による、東京の真夜中に綴るトークラジオ『BEFORE DAWN』の放送は毎週金曜の26時30分から。Spotifyなどのポッドキャストでも配信中。
・ポッドキャストページ
嶋田が登場したのは、8月29日(金)放送のJ-WAVE『BEFORE DAWN』(ナビゲーター:燃え殻)。作家・エッセイストの燃え殻による深夜のトークラジオプログラムだ。
トークの模様は9月5日(金)まで、radikoのタイムフリー機能で楽しめる。
燃え殻の視点はすごく核心を突いている!?
ゆでたまごは、人気漫画『キン肉マン』などで知られる嶋田隆司(原作)と中井義則(作画)による漫画家ユニット。オンエア日の8月29日(金)は「29日」と「金曜日」が重なることから、日本記念日協会に認定された「キン肉マンの日」。これに合わせ、嶋田がゲストとして登場した。また、同日、燃え殻がナレーションを務めた、『キン肉マン』コミックスPR動画「ウォーズマンの軌跡」がYouTubeの週プレChannelで公開された。
【先行公開】『キン肉マン』89巻&90巻2ヵ月連続発売記念「ウォーズマンの軌跡」
嶋田:すごくよかったです。「ウォーズマンの軌跡」なので、無機質な感じと温かみが少しあって、ナレーションの仕事いっぱい来るんじゃないですか?
燃え殻:いやいや(笑)。そうすると背中に汗をかく仕事が増えるな。
燃え殻は『週刊プレイボーイ』(集英社)で毎月『キン肉マン』の連載を振り返る企画「肉トーク」を作家の爪切男と月末1回更新で担当している。
燃え殻:こちらのご感想はありますか?
嶋田:いつも読んでるんですけど、すごく核心を突いてるところがあったり、あるいは「ちょっと違うな」というところもあったり。
燃え殻:そりゃそうですよ(笑)。編集の方と爪さんと毎月『キン肉マン』を読んで感想を言えるっていう、こんなにうれしい仕事があるのかって。小学校のころの僕が聞いたら感動するような仕事で、ありがとうございます。
嶋田:僕も毎月楽しみにしてますので、好き勝手に言ってください。
燃え殻:頑張ります。
ゆでたまご式「先を読ませたくなる」方法
『キン肉マン』の連載は1979年5月に『週刊少年ジャンプ』(集英社)で始まった。そこから45年以上も続いているのは、どのような原動力があるのだろうか。嶋田:いちばんは読者が応援してくれること。80年代のジャンプってものすごくて、毎週アンケートがあって1位を獲るのが最高の栄誉だったんです。だから、みんな1位を獲りに行くので。『キン肉マン』『キャプテン翼』『北斗の拳』『ドラゴンボール』……。
燃え殻:すごいラインナップでしたよね。
嶋田:他も読み飛ばす漫画がないくらいで。だから、自分の中では負けん気が強いんですよね。「誰にも負けるか」っていう気持ちで、気づいたらここまで来ました。
燃え殻:1週間、1週間を続けて来たらいままで。
嶋田:そうです。
燃え殻:僕も小学生のころとか読んでいて、『キン肉マン』って「次どうなるんだろう?」って次週のコマを読みたくなるんですよね。
嶋田:“引き”って言うんですけど、あれは大事で。他の漫画は「げっ!」「これは!?」とか、「あぁー!!」とかで終わるんですけど、僕たちの引きはその正体をその回で出しちゃうんですよ。
燃え殻:たしかに。それでも、その先を読みたくなる。「技をくらうか!?」ではなくて、くらってから終わる。
嶋田:これが、ゆでたまごが発明した引きなんですよね。
燃え殻:なるほど。
漫画の必殺技がプロレス技に
燃え殻は幼少期の頃は、誰もが『キン肉マン』に登場する必殺技のまねをしたり、「キンケシ(キン肉マン消しゴム)」を集めていたと当時を振り返る。燃え殻:ああいう、必殺技ってどこから思い付くんですか? 「パロスペシャル」とか。
嶋田:あれは『キン肉マン』の2代目編集担当の松井(栄元)さんがプロレス大好きで、「たしか、こういう技があった」ってかけてくれて。
燃え殻:もともとあった技なんですね。
嶋田:ジャッキー・パロっていう選手がかけてた技なんです。
燃え殻:だから「パロスペシャル」なんですね。
嶋田:そこから『キン肉マンII世』(『キン肉マン』の続編)になって知ったんですけど、「パロスペシャル」の写真が出てきたんです。そうしたら、全然、技の形が違って(笑)。体勢が逆だったんです。前に倒すんじゃなくて後にそらせるみたいな。
燃え殻:じゃあ、担当編集の松井さんは勘違いされていたと。
嶋田:でも、それがよかったと思います。
燃え殻:並みのプロレスファンじゃないですよね。そういう人が担当についている、引きが強い(笑)。
数え切れないほどの必殺技を生み出してきた嶋田は、そのなかでも「キン肉バスター」がいちばん好きだと話した。
燃え殻:「キン肉バスター」はもともとない技ですよね?
嶋田:ないです。あれは、中井義則(ゆでたまごの作画担当)くんと技をかけあったと思います。「こういうのどう?」って中井くんがササッとラフを描いてくれて、すごくよくて。
燃え殻:のちに、「キン肉バスター」をプロレスラーがかけたりして、漫画から現実に出てきましたからね。それくらい完成度が高くて、説得力がある技だったんですね。
嶋田:WWE(ワールド・レスリング・エンターテインメント)でも、「マッスル・バスター」で通ってますから。
燃え殻:プロレスを志す人なら『キン肉マン』を読んでる可能性が絶対高いですからね。
『キン肉マン』は死ぬまで続ける
話題は「負け方と勝ち方の描き方」について。嶋田は、超人の名勝負をどんな想いで描いているのか。嶋田:キン肉マンは主人公なので、みんな「負けないだろう」と思ってるじゃないですか。だから、「もしかしたら負けるかもしれない」っていうふうに持っていくことがすごく難しい。
燃え殻:往年の(アントニオ)猪木が負けないと思いながらも、みんなハラハラしているみたいな。
嶋田:そうです。
燃え殻:いま、連載されている『キン肉マン』も、「キン肉マンは勝つよな」って思いながらも、「先生は負けることもやりかねないしな」って(笑)。ゆでたまごっていう漫画家は予定調和を壊すこともしてるじゃないですか。それを含めても、お互いが相思相愛であり、やるんじゃないかなって。
嶋田:昔、『キン肉マンII世』で、ケビンマスクがキン肉万太郎に勝っちゃうんですよね。ああいうことがあるので、みんなハラハラドキドキしているみたいですね。
燃え殻:それはあると思います。
嶋田は、「『キン肉マン』は自分か、作画の中井が死ぬまで続ける」と宣言した。
燃え殻:連載を読み続けていると「ここのスピンオフができるじゃん」「こっちだっていける」「ここの描かなかったところもやってよ」とか、いくらでもできちゃいますよね。
嶋田:僕たち、スピンオフもよく描くんですよね。
燃え殻:普通、みんなスピンオフは嫌がるのに、嶋田先生は「『はい!』って手を挙げやる」ってインタビューで読みました(笑)。
最後は、『キン肉マン』に登場する人気キャラクター・ラーメンマンの話題に。
燃え殻:ラーメンマンのキャラクターって、どう生み出したんですか?
嶋田:読者の応募超人でした。最初は捨てキャラだったんですけど、子どもたちの評判がすごくよくて。
燃え殻:すぐ描けるんですよ。
嶋田:キン肉マンと同じで。
燃え殻:やっぱり、すぐ描けるってすごいと思うんです。ロビンマスクってちょっと複雑ですよね。でも、キン肉マンよりロビンマスクのほうが、パーツがしっかりしてるので描けるんですけど、キン肉マンが似ないんですよね。やっぱりゆでたまご先生ってうまいんだなって。失礼ですけど。その点、ラーメンマンはみんなが描けるから人気が出たのかなって。
嶋田:それを意識してましたね。出す超人はドラえもんとかアンパンマンみたいに、みんなが描きやすいものにしたいって。
燃え殻:あのころのジャンプで読者が描けるキャラクターって、なかなかいなかったというか。けっこう描き込んでいる漫画が多かったから。『キン肉マン』のキャラクターは線が少なかったりして、とっても描きやすくて大好きでした。『キン肉マン』はみんなが描きやすくて、みんながわかりやすい物語で、それでも来週が楽しみになっちゃう漫画でしたよね。
嶋田:ありがとうございます。
嶋田隆司の最新情報は、 Xの公式アカウント(@yude_shimada)まで。
嶋田は次回、9月5日(金)の『BEFORE DAWN』にも引き続き登場する。
小説家・燃え殻による、東京の真夜中に綴るトークラジオ『BEFORE DAWN』の放送は毎週金曜の26時30分から。Spotifyなどのポッドキャストでも配信中。
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