元フリーアナウンサーでナレーターの米田真由美さんが、ヘルプマークをヒントに考案した「逆ヘルプマーク」誕生のエピソードなどを語った。
米田さんが登場したのは『STEP ONE』のワンコーナー「SAISON CARD ON THE EDGE」(ナビゲーター:サッシャ、ノイハウス萌菜)。ここでは12月13日(月)のオンエア内容をテキストで紹介する。
【関連記事】「ヘルプマーク」はどんな意味? 見かけたらどうすればいい?
このヘルプマークをヒントに考案されたのが「逆ヘルプマーク」。デザインは同じくして、カラーを緑に変えたものだが、逆ヘルプマークはどういったことを示すためのマークなのだろうか。
米田:(逆ヘルプマークは)ヘルプマークとは逆に、「サポートしたいと思っていますよ」という意思表示をするマークです。はたからみて困っているように見えても、実際に声をかけていいのかわからないというシチュエーションってけっこうあると思います。そんなときに緑のマークが見えれば、困っている人も声をかけやすいんじゃないかと思って発案しました。
サッシャ:「助けたいですマーク」で、誰かが困ったときに緑のを付けている人がいたら、声をかけやすいということですね。
こうした事情もあり、米田さんは「逆ヘルプマーク」について考えるようになったと話す。
米田:2019年に東京都が発案してくれたヘルプマークが静岡県でも導入されることになって、講習会が行われて私もそこに参加したんです。その講習会の帰り道に、かつての仕事仲間に会いまして、その仕事仲間にヘルプマークのことを説明したら「私はこの逆マークが欲しい」って言われてすごい発想だなと思ったんですね。今まで障がいがある、困っていることがある人からのアプローチっていうのはあったけれど、今は何も困っていることがないという体が丈夫な人からのアプローチっていうのはあまりなかったのですごく感動して、家に帰って娘に話しました。そうしたら今度は娘が、学校の総合の授業で友だちと一緒に逆ヘルプマークを実際に描いて作ってくれたんです。
サッシャ:緑色で?
米田:はい。でも緑色のマークが広まるにはまだまだ時間がかかるだろうからということで、緑のリボンでマークを作っていました。で、それを「今から駅に行って配ってくるから」といって、そこはちょっと止めたんですけど、そういった活動をしてくれたことにすごく感動しました。
米田:子どもたちの発案にすごく感動したので、友だちをはじめ、出会う人にけっこうお話をしていたんです。そうしたら人から人に伝わっていって、あるとき静岡の議員さんの耳にも入りまして、このことが2019年の静岡県議会で発言されました。それを聞いて、県も「前向きに検討します」って答えてくださったんですね。それがそのあと新聞に載って、SNSで拡散されて、静岡のテレビやラジオでも取り上げていただいて、と一気に広がってすごくびっくりしました。
ノイハウス:そのあとには、思わぬコラボレーションもあったというお話も伺いました。
米田:今年に入ってからなんですけど、ゲームクリエイターでドットの神様っていわれている小野浩さんが、この逆ヘルプマークにとても共感してくださったんです。ところが小野さんも難病にかかられて、今年の10月にお亡くなりになられました。ただ、お亡くなりになる前に、ドットでヘルプマークと逆ヘルプマークを描いてくださっていて、それが遺作になったそうです。先月、お別れの会が行われたのですが、弔問しに来られた方たちが小さなタイルを1つひとつ枠にはめていくことで、ヘルプマークと逆ヘルプマークができあがるというものを、ご焼香の代わりに行いました。
そこで番組スタッフも東京都の担当部署に問い合わせをしたが、回答は「考え方としてはとても共感するものの、緑色の逆ヘルプマークを作る考えがない」というものだった。その理由は「(ヘルプマークの)本来の目的は、誰もがマークを掲げている方をサポートしてあげる、そんな社会の実現をイメージして作ったもの。もし逆ヘルプマークがあると、持っていない人には声をかけづらい、逆ヘルプマークをつけていないからサポートしなくていいんだという意思表示になってしまう可能性がある」からだそうだ。
これについて米田さんは、次のように意見する。
米田:私もここまでいろんな意見を聞いてきているので、作るのが難しいのかなと思ってはいます。ただ、もったいないなとも思うんです。私はヘルプマークの認知も広まってほしいと思っているのですが、ヘルプマークの対象者は障がいがあったり病気があったり、何らかの困ったことがある人なので、そういった対象にならない人はヘルプマークに目が向きづらくなります。でも逆ヘルプマークは全員がアプローチできるものだから、逆ヘルプマークを取り入れることで、より多くの人がヘルプマークを知ることにもなるような気がします。
サッシャ:みんなが(逆ヘルプマークを)つけるようになって、「もういらないよね」ってなってなくなれば理想的なんじゃないかなと思いますけどね。それまでの段階としてあってはいいのかなと個人的には思います。
米田:あとは今、ネットを見てみると、手作りで逆ヘルプマークを作っていらっしゃる方もいて、毛糸で編んだりアイロンビーズで作ったり、手書きのものをラミネートしたり。全部温かいもので、だから公共のものとして作れなくても、私たちが手作りして身に着けることを許してくれたらいいなと思います。
サッシャ:ただ公式にならないと「緑をつけていたら助けてくれる」というのが社会周知されないので、できれば行政の力を借りた方が広がりは早いのかなと思いますね。
ノイハウス:これがどんどん広まるといいですね。
J-WAVE『STEP ONE』のワンコーナー「SAISON CARD ON THE EDGE」では、毎回ニューノーマル時代のさまざまなエッジにフォーカスする。放送は月曜~木曜の10時10分ごろから。
米田さんが登場したのは『STEP ONE』のワンコーナー「SAISON CARD ON THE EDGE」(ナビゲーター:サッシャ、ノイハウス萌菜)。ここでは12月13日(月)のオンエア内容をテキストで紹介する。
仕事仲間の一言がきっかけで生まれた「逆ヘルプマーク」
スマホサイズの真っ赤な樹脂製のタグに、白抜きの十字マークとハートマークがデザインされた「ヘルプマーク」。これは外見からは一見わからないものの、持病や障がいなどで援助や配慮が必要な人がサポートを受けやすくすることを目的に、2012年、東京都が作成したものだ。【関連記事】「ヘルプマーク」はどんな意味? 見かけたらどうすればいい?
このヘルプマークをヒントに考案されたのが「逆ヘルプマーク」。デザインは同じくして、カラーを緑に変えたものだが、逆ヘルプマークはどういったことを示すためのマークなのだろうか。
米田:(逆ヘルプマークは)ヘルプマークとは逆に、「サポートしたいと思っていますよ」という意思表示をするマークです。はたからみて困っているように見えても、実際に声をかけていいのかわからないというシチュエーションってけっこうあると思います。そんなときに緑のマークが見えれば、困っている人も声をかけやすいんじゃないかと思って発案しました。
サッシャ:「助けたいですマーク」で、誰かが困ったときに緑のを付けている人がいたら、声をかけやすいということですね。
当事者と助ける側、双方にメリットが
米田さんの息子は難病の「ムコ多糖症」を抱えている。体内に「ムコ多糖」という物質が存在するが、これを分解する酵素を生まれつき持っていないことから体に症状として現れる病気だ。「ムコ多糖症」患者は日本全国で300人ほどおり、米田さんの息子の場合は脳にムコ多糖が溜まることから知的障がいが症状として現れているという。こうした事情もあり、米田さんは「逆ヘルプマーク」について考えるようになったと話す。
米田:2019年に東京都が発案してくれたヘルプマークが静岡県でも導入されることになって、講習会が行われて私もそこに参加したんです。その講習会の帰り道に、かつての仕事仲間に会いまして、その仕事仲間にヘルプマークのことを説明したら「私はこの逆マークが欲しい」って言われてすごい発想だなと思ったんですね。今まで障がいがある、困っていることがある人からのアプローチっていうのはあったけれど、今は何も困っていることがないという体が丈夫な人からのアプローチっていうのはあまりなかったのですごく感動して、家に帰って娘に話しました。そうしたら今度は娘が、学校の総合の授業で友だちと一緒に逆ヘルプマークを実際に描いて作ってくれたんです。
サッシャ:緑色で?
米田:はい。でも緑色のマークが広まるにはまだまだ時間がかかるだろうからということで、緑のリボンでマークを作っていました。で、それを「今から駅に行って配ってくるから」といって、そこはちょっと止めたんですけど、そういった活動をしてくれたことにすごく感動しました。
考案当初からこれまで、急速に広まりも
米田さんの娘さんが「デザインは同じで緑色にしたらいいのでは」と小学校の仲間と考案した逆ヘルプマーク。その後、意外な展開を見せたのだとか。米田:子どもたちの発案にすごく感動したので、友だちをはじめ、出会う人にけっこうお話をしていたんです。そうしたら人から人に伝わっていって、あるとき静岡の議員さんの耳にも入りまして、このことが2019年の静岡県議会で発言されました。それを聞いて、県も「前向きに検討します」って答えてくださったんですね。それがそのあと新聞に載って、SNSで拡散されて、静岡のテレビやラジオでも取り上げていただいて、と一気に広がってすごくびっくりしました。
ノイハウス:そのあとには、思わぬコラボレーションもあったというお話も伺いました。
米田:今年に入ってからなんですけど、ゲームクリエイターでドットの神様っていわれている小野浩さんが、この逆ヘルプマークにとても共感してくださったんです。ところが小野さんも難病にかかられて、今年の10月にお亡くなりになられました。ただ、お亡くなりになる前に、ドットでヘルプマークと逆ヘルプマークを描いてくださっていて、それが遺作になったそうです。先月、お別れの会が行われたのですが、弔問しに来られた方たちが小さなタイルを1つひとつ枠にはめていくことで、ヘルプマークと逆ヘルプマークができあがるというものを、ご焼香の代わりに行いました。
「逆ヘルプマーク」はヘルプマークの周知にも貢献する
さまざまな活動で広がりを見せている逆ヘルプマークだが、実物として世の中に存在していないのが事実だ。理由はヘルプマークの著作権が東京都にあるからで、東京都の許可がなければ制作ができない。そこで番組スタッフも東京都の担当部署に問い合わせをしたが、回答は「考え方としてはとても共感するものの、緑色の逆ヘルプマークを作る考えがない」というものだった。その理由は「(ヘルプマークの)本来の目的は、誰もがマークを掲げている方をサポートしてあげる、そんな社会の実現をイメージして作ったもの。もし逆ヘルプマークがあると、持っていない人には声をかけづらい、逆ヘルプマークをつけていないからサポートしなくていいんだという意思表示になってしまう可能性がある」からだそうだ。
これについて米田さんは、次のように意見する。
米田:私もここまでいろんな意見を聞いてきているので、作るのが難しいのかなと思ってはいます。ただ、もったいないなとも思うんです。私はヘルプマークの認知も広まってほしいと思っているのですが、ヘルプマークの対象者は障がいがあったり病気があったり、何らかの困ったことがある人なので、そういった対象にならない人はヘルプマークに目が向きづらくなります。でも逆ヘルプマークは全員がアプローチできるものだから、逆ヘルプマークを取り入れることで、より多くの人がヘルプマークを知ることにもなるような気がします。
サッシャ:みんなが(逆ヘルプマークを)つけるようになって、「もういらないよね」ってなってなくなれば理想的なんじゃないかなと思いますけどね。それまでの段階としてあってはいいのかなと個人的には思います。
米田:あとは今、ネットを見てみると、手作りで逆ヘルプマークを作っていらっしゃる方もいて、毛糸で編んだりアイロンビーズで作ったり、手書きのものをラミネートしたり。全部温かいもので、だから公共のものとして作れなくても、私たちが手作りして身に着けることを許してくれたらいいなと思います。
サッシャ:ただ公式にならないと「緑をつけていたら助けてくれる」というのが社会周知されないので、できれば行政の力を借りた方が広がりは早いのかなと思いますね。
ノイハウス:これがどんどん広まるといいですね。
J-WAVE『STEP ONE』のワンコーナー「SAISON CARD ON THE EDGE」では、毎回ニューノーマル時代のさまざまなエッジにフォーカスする。放送は月曜~木曜の10時10分ごろから。
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