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“若者は根性がない”ではなく…「退職代行サービス」Z世代の利用者が増加するワケは?

“若者は根性がない”ではなく…「退職代行サービス」Z世代の利用者が増加するワケは?

5月に相談者が急増するという「退職代行サービス」に注目した。

この内容をお届けしたのは、J-WAVEで放送中の番組『STEP ONE』(ナビゲーター:サッシャ・大島真帆)のワンコーナー「SAISON CARD ON THE EDGE」。5月24日(水)のオンエア内容をテキストで紹介する。  

退職代行サービスの内容は?

依頼を受け、本人の代わりに退職手続きを進めてくれる退職代行サービス。5月はサービスの利用者が急増するという。番組では、ゲストに退職代行サービス「EXIT」の代表・新野俊幸さんを招き、サービスの詳細や利用者の傾向について聞いた。

サッシャ:そもそも、退職代行とはどんなサービスなんでしょうか?

新野:まず、退職したいんだけどなかなか自分では言い出せない方から、LINE等でご依頼をいただきます。退職届などはご本人に送っていただくんですけども、実際の退職のやりとりは我々がおこないます。

サッシャ:やりとりはどんなものがありますか?

新野:ご本人が会社から借りているものをいつ返せばいいのか、退職後の書類、離職票をどうするのかなどを我々が全部巻き取ります。実際、辞めるのは退職届を出しちゃえば終わりではあるんですけど、それだけだとみなさん不安なんですよね。なので、そこの不安を全部解消するサービスです。

サッシャ:「EXIT」を利用すれば、それ以降会社の人と接点を持たなくても済むということですか?

新野:一切持たなくて済みます。

大島:すごいですね。

新野:辞めるときに不安なことって、怖い上司とか、辞めると言ったあとの会話の気まずさなんですよね。そういったものを一切なしで辞められます。

サッシャ:嫌味とか言われたら嫌だもんね。

新野:「想像するだけで胃袋が痛い」と相談者さんも言うんですよね。なので、「明日から行かなくていいですよ」をコンセプトにやっています。

サービス利用者の約8割が20代

5月に退職代行サービス利用者が増加するのは、どんな背景があるのだろう?

大島:やっぱり、ゴールデンウィーク挟んで5月病になられる方が多いからですか?

新野:そうだと思いますね。ゴールデンウィーク問わずなんですけども、長期的な休み明けってみなさん会社を辞めたくなる時期なんですよ。私自身、最後の会社を辞めようと決意したのはゴールデンウィーク明けです。長期的な休みになると、友人と会話したり自分と向き合う時間が強制的にできるんですよね。

サッシャ:たしかに。日頃は仕事で走り続けているから、振り返る時間がないですよね。

「EXIT」の最新の利用者調査によると、30代以下の利用者が約8割を占めるという。

新野:20代の利用者がだいたい7割ぐらいなので、利用者のメインですね。いわゆるZ世代と呼ばれる方々の利用者が増加しています。あとは、勤続年数1年未満や3カ月未満の期間で辞められる方が増えています。

大島:3カ月で何かしら合わないと感じたと。そうなると、長期で働いているより辞めづらいですよね。

新野:そうですね。「採用してもらったのにすぐ辞めるのは申し訳ない」と感じると思います。なので、そういう方の利用が増えているのかなと思います。

「すぐに辞めるのは根性がない」などと言われがちだが、新野さんは短期での離職についてネガティブな感覚はないと語る。

新野:今の時代、企業の口コミサイトってすごく普及しているので、ほかの会社の年収とか労働時間は調べたらすぐにわかっちゃうんですよ。比較して、自分の会社の「ヤバさ」に気付いちゃうんです。若者からしたら、ここでこのまま頑張るよりさっさと次に行ったほうがいいと考える。切り替えが早くなったと私は捉えています。

サッシャ:口コミサイトでいろんな情報が出ていると、そこと違いがあったときに「話が違う」と辞めちゃうパターンもありそうですね。

新野:あります。

サッシャ:昔は入ってみないとわからないことが多かったけど、今はある程度わかりますもんね。

新野:そこにみんなが敏感になっているというのはあると思いますね。昔だったら誤魔化してどうにかなっていたけども、今は労働者側の知識が上がってきているのもあります。

サッシャ:そういう意味では、企業と労働者の関係がフラットになってきたとも言えますね。あと、子どもがいたりローンがある人って辞めづらいですよね。比較論で言うと、20代の人のほうが動きやすい人は多いってのはあると思います。

大島:転職活動がしやすくなったっていうのも理由としてはありますよね。

新野:間違いなくありますね。

20代の利用者が多いのはなぜ?

20代の退職代行サービスの利用者が増えている背景は、「若者の対人コミュニケーション能力の低下によるものではない」と新野さんは話す。

新野:いろんなお客さんの声を聞くんですけども、そもそも上司に退職のことを相談できる環境がないんですよね。たとえば退職届を破られたり、いくら退職の話をしてもはぐらかされたりなどです。上司の評価に響くので、その気持ちはわからなくもないんですけども。

サッシャ:会社としても、人をとるのにお金がかかっていますしね。

大島:なので、1カ月2カ月ほど考えてごらん、が常套句になっていたりしますよね。

サッシャ:ほとぼりが冷めれば何とかなるだろうと思っているだろうしね。

新野:正直、何とかなることもけっこう多いんですよ。やっぱり、日本人って真面目で勤勉だから「申し訳ない」と思ってしまうんです。

サッシャ:デジタルネイティブのほうが退職代行サービスをうまく活用できるということですね。

企業側は退職代行をどう捉えるべき?

退職代行サービスを利用しての離職者が出た企業は、今後どのような対策を取ればいいのだろうか?

新野:やっぱり、職場環境が悪かったと捉えてほしいんですよね。もちろん「自分で言えよ」という文句はあると思うんですけど、一旦それは置いておいて、「なぜ言えなかったんだろう?」と深く考えていただきたいですね。職場の空気が悪い場合、大切なのはやはり地道な作業です。たとえば、上司がどんな話し方をしているのかは逐一チェックする必要があります。みなさんSlackやチャットワークなどを使って仕事をされていると思うので、細かい文章のチェックは簡単にできると思います。まずは、そこからやったほうがいいと思いますね。

大島:日々のコミュニケーションの言い方がきつくなかったか、フィードバックはどうなっていたのかをモニタリングする必要があるということですね。

新野:会社でやっている事業は好きだけど、意見を言えない空気が好きじゃないから辞めちゃうってこともあるんですよね。それはすごくもったいないです。

この日の『STEP ONE』ナビゲーターの大島真帆は、Penthouseのメンバーでありながら、転職エージェントとしても働くという異色のキャリアの持ち主。自身の経験から「転職エージェントのサービスを受けにきてくださる方の話を聞いても、社風とか上司との関係がよくない人ほど辞めてしまう傾向がありますね」と述べた。

サッシャ:辞める大半の理由は人間関係だと思いますね。

新野:極論、仕事が合わなくても人間関係がよければ続くんですよね。お金をかけて採用した社員を手放さないためには、職場環境をよくする努力は必要なんじゃないかなと思います。

サッシャ:「甘ったれているんじゃないの?」の意見については?

新野:一理あるとは思います。だけど、経営している方々にはそこだけが原因とは思ってほしくないですね。これは自戒をこめて言うんですけども。何事も、どちらかが100パーセント悪いということはないと思うので。

サッシャ:そうですね。

J-WAVE『STEP ONE』のワンコーナー「SAISON CARD ON THE EDGE」では、毎回ニューノーマル時代のさまざまなエッジにフォーカスする。放送は月曜~木曜の10時10分ごろから。

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STEP ONE
月・火・水・木曜
9:00-13:00