映画ビジネスの舞台裏を、専門家が解説した。
登場したのは、映画ジャーナリストで『映画ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)著者の和田 隆さん。オンエアは、2025年12月23日(火)のJ-WAVE『STEP ONE』(ナビゲーター:サッシャ、村治佳織〈代演〉)内、ニューノーマル時代のエッジにフォーカスするコーナー「ON THE EDGE」。
和田:2025年、国内の映画館は2024年とほぼ同数の3,687スクリーンあります。いちおう、毎年スクリーン数は増えていて、2000年以降では最多を更新するのではないかという動きになっています。
村治:予想では減っているかと思いましたが、増えているんですね。
和田:もちろん、閉館する劇場もあるので増減はしますが、新館のオープンが閉館を上回っているということですね。
サッシャ:3,687スクリーンという言い方をしたということは、シネコンは10個あれば10スクリーンと数えるのですか?
和田:はい。1館に10スクリーン、多いところだと15スクリーン、18スクリーンまであるところも存在します。
サッシャ:なるほど。昔は映画館ひとつにつき1スクリーンでしたが、シネコンになって数も増えてきたということですね。そして、デジタル設備の拡充も行われているんですよね?
和田:そうですね。2000年以降にシネコンが徐々に増えていって、それに合わせてデジタル化も急速に進んでいきました。昔はいわゆるフィルム上映でしたが、シネコンが増えていくのに合わせて、国内の映画館はほぼデジタル設備対応になっています。
サッシャ:さらに、映画を選ぶときにはいろいろな「~対応」、Dolby Atmos(ドルビーアトモス)やIMAX(アイマックス)のようなものも増えていませんか?
和田:増えています。映画館も、ただ単に通常の2D映画を上映するだけではありません。デジタル化を生かして、「お客さんに新しい体験を提供する」というところが大きな魅力にもなりますので、そこに力を入れてIMAXや4DXなど、ただ観るだけではなく体感できるような鑑賞の形態は非常に人気になってきています。
村治:音響はやっぱり大事だと思いますが、そこは進化しましたよね!
和田:進化しましたね。映像はもちろんですが、音も非常に大事で、お客さんもそこに反応していると思います。
村治:360度、後ろからも横からも聞こえて。座席もリクライニングシートのようなゴージャスシートが増えましたね。
和田:シネコンの前の時代は、ひとつの劇場で1,000人くらい入るところも多くありましたが、シネコンになるとそこまでの大きさではありません。大きくても700~800席、500~600席くらいで、(席数を減らして)スクリーン数を増やしています。
村治:そのほうが、どこに座っても観やすいですね。
和田:そうですね。また、前の人の頭が気にならないような「スタジアム形式」にもなっていて、劇場の作りがそもそも変わってきていると言えます。
映画館運営に欠かせないもののひとつが、入場料収入。和田さんは著書『映画ビジネス』で「ポップコーンを例に出すとわかりやすい」と語っている。
和田:映画館に行くと、みなさんいろいろ食べられたりしますよね。そのときに、ポップコーンを選ぶ方が多いと思いますが、「なぜポップコーンなのか?」というところを考えたことはないと思います。私も本を書くにあたってあらためて調べ直してみたのですが、たとえば音が出にくい、匂いはするけれどそんなに気にならないなど、諸説ありました。また、ポップコーンは原価が安いので、興行主さんにとっては非常に魅力的な商品です。もちろん、入場料金が売上の大きなベースにはなりますが、実は入場料金は映画を提供する配給会社と分け合わなければいけません。
サッシャ:(収入は)折半なんですか?
和田:6:4や5:5なので、ほぼ折半です。しかし、映画館で売られているポップコーンやジュースなどは、劇場だけの売上になります。ただ、最近は作品に合わせたコラボ商品も増えていて、もしかしたらそれは(配給会社に売上の)何パーセントか(を支払わなければいけない)というところはあると思います。
村治:それは、コンサートでいうグッズ収入ということになりますね。
和田:そうですね。だから、フードが売れれば売れるほど、劇場からすると非常に大きな売上になります。
村治:(映画館には)スーツケースを持った方たちも多くて、「ほかの街から観にきたのかな」と思いました。
和田:そうでしたか。嵐さんの初ライブ映画は2021年に映画館で公開しましたが、興行収入50億円を超える大ヒットを記録しました。
村治:このときは、「映画のカメラマンさんがコンサートの撮影に回って、映画の撮影がストップしたらしい」と聞きました。それくらい、素晴らしいカメラマンさんが撮影に投入されたということですね。
和田:そうですね。国内アーティストはもちろん、2023年にはテイラー・スウィフトさんのコンサートが映画館で公開されて、こちらも大ヒットを記録しました。ですから、単に映画を上映するだけではなく、映画以外の「非映画コンテンツ」の上映が非常に増えてきているということですね。
サッシャ:僕も先日、Mrs. GREEN APPLEの映画の舞台挨拶のMCを務めましたが、ドキュメンタリーとライブ映像の2作品同時公開で、あれも1位になりましたよね。
和田:Mrs. GREEN APPLEさんはもちろん人気がありますが、映画コンテンツとしても、1位を取るほどの作品だったということですね。
村治:音楽といえば、オペラもあるんですよ。たとえば、ニューヨークのMET(メトロポリタン歌劇場)の作品を1、2カ月後に日本で観られるようなオペラ上映もありますよね。大画面だと、演奏家の表情も観られるからいいですよね。
和田:まさに、嵐さんの作品はライブ会場では観えない細かなところまでカメラが追っていて、それを映画館でアップで観られるというのも、非常に人気でした。
和田さんは、映画館の裏側を知って映画館に行くと「これまでにない楽しみ方ができる」と話す。
和田:いままで、なかなかいろいろなことを意識して映画館に行くことはなかったと思いますが、「ポップコーンはそんな事情があって売られているんだ」「このコラボ容器はそういうことなのか」「最近ライブものが増えているのは、そういう流れがあるんだな」など、少し意識をしてみると、シネコンで「何を観ようかな」というときに、幅広い選択の楽しみ方ができてくるかなと思います。
村治:「ここの映画館を応援したい!」みたいな、推し映画館も作りたいです!
和田:シネコンによって色やサービスが違いますので、自分に合った好きなシネコンを見つけてほしいです。
サッシャ:僕は劇場を選ぶとき、けっこう音響で選ぶことが多いですが、村治さんはどうですか?
村治:私は没入したいので、席数が少ないところをよく選びます。
サッシャ:どの辺に座りますか?
村治:できるだけ中央に座りたいので、真ん中よりちょっと後ろですね。
サッシャ:僕は、いちばん後ろの列が好きですね。最初に映画を観るときには全体像を観たいから、後ろで観ます。スクリーンは大きいので、前のほうに座ると隅っこのほうまで目がいかなかったりして観逃してしまいますが、後ろからだと全体を俯瞰して観られますよ。2回目に観るときは、前のほうの席に行きますけどね。
村治:なるほど。やっぱりあれだけ情熱を持って作られた作品は1回だけでは観きれないので、2回、3回と観たいですよね。
和田:そうですね。特に今年大ヒットしたような作品は、リピーターさんが足を運んだからこその数字、100億を超えるような興行収入になっています。
和田 隆さんの最新情報はX公式アカウント(@ryuseiwada)まで。
J-WAVE『STEP ONE』のコーナー「ON THE EDGE」では、ニューノーマル時代のエッジにフォーカス。放送は月曜~木曜の10時10分ごろから。
登場したのは、映画ジャーナリストで『映画ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)著者の和田 隆さん。オンエアは、2025年12月23日(火)のJ-WAVE『STEP ONE』(ナビゲーター:サッシャ、村治佳織〈代演〉)内、ニューノーマル時代のエッジにフォーカスするコーナー「ON THE EDGE」。
2000年以降急速に変化する映画館事情
文化通信社の元編集長で、長年にわたり映画業界の裏・表を見てきた和田さん。サッシャはまず、「日本の映画館の数」について質問した。和田:2025年、国内の映画館は2024年とほぼ同数の3,687スクリーンあります。いちおう、毎年スクリーン数は増えていて、2000年以降では最多を更新するのではないかという動きになっています。
村治:予想では減っているかと思いましたが、増えているんですね。
和田:もちろん、閉館する劇場もあるので増減はしますが、新館のオープンが閉館を上回っているということですね。
サッシャ:3,687スクリーンという言い方をしたということは、シネコンは10個あれば10スクリーンと数えるのですか?
和田:はい。1館に10スクリーン、多いところだと15スクリーン、18スクリーンまであるところも存在します。
サッシャ:なるほど。昔は映画館ひとつにつき1スクリーンでしたが、シネコンになって数も増えてきたということですね。そして、デジタル設備の拡充も行われているんですよね?
和田:そうですね。2000年以降にシネコンが徐々に増えていって、それに合わせてデジタル化も急速に進んでいきました。昔はいわゆるフィルム上映でしたが、シネコンが増えていくのに合わせて、国内の映画館はほぼデジタル設備対応になっています。
サッシャ:さらに、映画を選ぶときにはいろいろな「~対応」、Dolby Atmos(ドルビーアトモス)やIMAX(アイマックス)のようなものも増えていませんか?
和田:増えています。映画館も、ただ単に通常の2D映画を上映するだけではありません。デジタル化を生かして、「お客さんに新しい体験を提供する」というところが大きな魅力にもなりますので、そこに力を入れてIMAXや4DXなど、ただ観るだけではなく体感できるような鑑賞の形態は非常に人気になってきています。
村治:音響はやっぱり大事だと思いますが、そこは進化しましたよね!
和田:進化しましたね。映像はもちろんですが、音も非常に大事で、お客さんもそこに反応していると思います。
村治:360度、後ろからも横からも聞こえて。座席もリクライニングシートのようなゴージャスシートが増えましたね。
映画館の収入を支えるポップコーンの裏側
村治:いちばん大きいスクリーンだと、お客様は何人くらい入りますか?和田:シネコンの前の時代は、ひとつの劇場で1,000人くらい入るところも多くありましたが、シネコンになるとそこまでの大きさではありません。大きくても700~800席、500~600席くらいで、(席数を減らして)スクリーン数を増やしています。
村治:そのほうが、どこに座っても観やすいですね。
和田:そうですね。また、前の人の頭が気にならないような「スタジアム形式」にもなっていて、劇場の作りがそもそも変わってきていると言えます。
映画館運営に欠かせないもののひとつが、入場料収入。和田さんは著書『映画ビジネス』で「ポップコーンを例に出すとわかりやすい」と語っている。
和田:映画館に行くと、みなさんいろいろ食べられたりしますよね。そのときに、ポップコーンを選ぶ方が多いと思いますが、「なぜポップコーンなのか?」というところを考えたことはないと思います。私も本を書くにあたってあらためて調べ直してみたのですが、たとえば音が出にくい、匂いはするけれどそんなに気にならないなど、諸説ありました。また、ポップコーンは原価が安いので、興行主さんにとっては非常に魅力的な商品です。もちろん、入場料金が売上の大きなベースにはなりますが、実は入場料金は映画を提供する配給会社と分け合わなければいけません。
サッシャ:(収入は)折半なんですか?
和田:6:4や5:5なので、ほぼ折半です。しかし、映画館で売られているポップコーンやジュースなどは、劇場だけの売上になります。ただ、最近は作品に合わせたコラボ商品も増えていて、もしかしたらそれは(配給会社に売上の)何パーセントか(を支払わなければいけない)というところはあると思います。
村治:それは、コンサートでいうグッズ収入ということになりますね。
和田:そうですね。だから、フードが売れれば売れるほど、劇場からすると非常に大きな売上になります。
増える“ライブビューイング”、その理由は…
昨今は映画作品だけでなく、舞台挨拶を全国の劇場に同時中継したり、アーティストのコンサート映像などを映画館で上映したりする「ライブビューイング」も増加している。この日、お休みのナビゲーター・ノイハウス萌菜の代わりにナビゲーターを務める村治も、嵐のコンサート上映に足を運んだことがあると言う。村治:(映画館には)スーツケースを持った方たちも多くて、「ほかの街から観にきたのかな」と思いました。
和田:そうでしたか。嵐さんの初ライブ映画は2021年に映画館で公開しましたが、興行収入50億円を超える大ヒットを記録しました。
村治:このときは、「映画のカメラマンさんがコンサートの撮影に回って、映画の撮影がストップしたらしい」と聞きました。それくらい、素晴らしいカメラマンさんが撮影に投入されたということですね。
和田:そうですね。国内アーティストはもちろん、2023年にはテイラー・スウィフトさんのコンサートが映画館で公開されて、こちらも大ヒットを記録しました。ですから、単に映画を上映するだけではなく、映画以外の「非映画コンテンツ」の上映が非常に増えてきているということですね。
サッシャ:僕も先日、Mrs. GREEN APPLEの映画の舞台挨拶のMCを務めましたが、ドキュメンタリーとライブ映像の2作品同時公開で、あれも1位になりましたよね。
和田:Mrs. GREEN APPLEさんはもちろん人気がありますが、映画コンテンツとしても、1位を取るほどの作品だったということですね。
村治:音楽といえば、オペラもあるんですよ。たとえば、ニューヨークのMET(メトロポリタン歌劇場)の作品を1、2カ月後に日本で観られるようなオペラ上映もありますよね。大画面だと、演奏家の表情も観られるからいいですよね。
和田:まさに、嵐さんの作品はライブ会場では観えない細かなところまでカメラが追っていて、それを映画館でアップで観られるというのも、非常に人気でした。
和田さんは、映画館の裏側を知って映画館に行くと「これまでにない楽しみ方ができる」と話す。
和田:いままで、なかなかいろいろなことを意識して映画館に行くことはなかったと思いますが、「ポップコーンはそんな事情があって売られているんだ」「このコラボ容器はそういうことなのか」「最近ライブものが増えているのは、そういう流れがあるんだな」など、少し意識をしてみると、シネコンで「何を観ようかな」というときに、幅広い選択の楽しみ方ができてくるかなと思います。
村治:「ここの映画館を応援したい!」みたいな、推し映画館も作りたいです!
和田:シネコンによって色やサービスが違いますので、自分に合った好きなシネコンを見つけてほしいです。
サッシャ:僕は劇場を選ぶとき、けっこう音響で選ぶことが多いですが、村治さんはどうですか?
村治:私は没入したいので、席数が少ないところをよく選びます。
サッシャ:どの辺に座りますか?
村治:できるだけ中央に座りたいので、真ん中よりちょっと後ろですね。
サッシャ:僕は、いちばん後ろの列が好きですね。最初に映画を観るときには全体像を観たいから、後ろで観ます。スクリーンは大きいので、前のほうに座ると隅っこのほうまで目がいかなかったりして観逃してしまいますが、後ろからだと全体を俯瞰して観られますよ。2回目に観るときは、前のほうの席に行きますけどね。
村治:なるほど。やっぱりあれだけ情熱を持って作られた作品は1回だけでは観きれないので、2回、3回と観たいですよね。
和田:そうですね。特に今年大ヒットしたような作品は、リピーターさんが足を運んだからこその数字、100億を超えるような興行収入になっています。
和田 隆さんの最新情報はX公式アカウント(@ryuseiwada)まで。
J-WAVE『STEP ONE』のコーナー「ON THE EDGE」では、ニューノーマル時代のエッジにフォーカス。放送は月曜~木曜の10時10分ごろから。
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