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「M-1グランプリ」は、なぜアマチュアも参加できるのか? 狙いを創設者が語る

「M-1グランプリ」は、なぜアマチュアも参加できるのか? 狙いを創設者が語る

漫才賞レース「M-1グランプリ」の成り立ちを、元・吉本興業ホールディングス取締役・谷 良一さんが語った。

この内容をお届けしたのは、J-WAVEで放送中の番組『STEP ONE』(ナビゲーター:サッシャ・ノイハウス萌菜)のワンコーナー「SAISON CARD ON THE EDGE」。12月18日(月)のオンエア内容をテキストで紹介する。  

島田紳助との話し合いで「M-1グランプリ」の着想を得る

今回は、年末の恒例人気企画「M-1グランプリ」の成り立ちに注目。漫才賞レースの最高峰である「M-1グランプリ」は、当時お笑いタレントで人気を博した島田紳助と吉本興業の社員だった谷 良一さんがテレビ局の楽屋で発案したところからスタートしたイベント。第19第王者を決める決勝戦は、12月24日(日)にテレビ放送(テレビ朝日系)される。

まずは、谷さんから「M-1グランプリ」から立上げのきっかけを聞いた。

谷:当時、僕は制作営業総務室という部署にいたんですけども、それまではずっと制作をやっていまして、現場から離れてデスクワークをやっていたんです。それがつまらなかったんですけども、そこで木村政雄常務という方から「漫才プロジェクトを作って低迷している漫才を盛り上げろ」というようなことを言われたんです。最初はひとりでプロジェクトをやりました。

ノイハウス:その流れで、島田紳助さんも登場されるのでしょうか?

谷:漫才を復興するためにいろいろイベントをテレビ局に働きかけてたんですけど、このままでは大きなムーブメントは起こせないなと思ったんです。以前、マネージャーもしていたので、テレビ局に間 寛平さんに会いに行って、慰められたりしたんですよ(笑)。

会話を終えた谷さんは、隣の楽屋にいる島田にもプロジェクトの相談をしたという。

谷:紳助さんは「それはすごくいいことや」と言ってくれて、いろいろ漫才のことを喋っていたんです。そのなかで紳助さんが「若手の漫才師のコンクールをやったらどうや」「賞金を1,000万円にするんや」と案を出してくれたんです。

お笑い界での賞金1,000万円は破格であり、これまでの賞レースとは異なる内容になると谷さんは予感した。

サッシャ:点数制の大会にしたのも面白いですよね。

谷:そうですね。それまでのコンクールは審査員は密室で話し合いをして決まる感じだったんですけど、紳助さんをはじめとした漫才師は、どういった話し合いがおこなわれ、誰がどういった評価がわからないことに対して不満を感じていたそうなんです。お笑いに関係する人だけじゃなく、歌手や俳優、タレント、文化人が審査員に加わっていて、「なぜそんな人に審査されなければいけないんだ」という思いがあったようです。

サッシャ:ちゃんとお笑いをわかっている人に審査してもらいたい思いがあった。

谷:少なくともお笑いに関係する人に審査をしてもらおうということで審査員を決めました。

続いて、「M-1グランプリ」の「M-1」の由来について谷さんに伺った。

谷:当時、すごくブームだったK-1からきています。

ノイハウス:それの漫才版だからMなんですね。

谷:K-1もF1の流れから来ていますからね。

漫才ブームを起こすために意識したポイント

「M-1グランプリ」の参加資格はプロアマ問わずコンビ結成10年以内(現在は15年)。漫才ブームを起こすためには、事務所の壁を取り払う必要があったと谷さんは語る。

谷:アマチュアも含めた理由はカラオケと一緒で、(漫才の)裾を広げる目的がありました。歌手の歌を聴くだけだったのが、カラオケの登場によって自分も歌えるようになりました。歌がうまい人はもちろん、歌の下手な人にとっても歌うことが広まりましたよね。漫才も一緒ちゃうかなっていうのがそもそもの発想です。

サッシャ:関西では東京よりも漫才の番組がやっているイメージがありますけども、全国にしたっていうのはすごいことですよね。だからこそブームになったとも思います。

谷:当時、関西でも漫才を見せる番組がほとんどなくって、かなり低迷していたんです。ブームを起こすなら関西だけじゃなく、東京から全国に向けてやらないとダメやと思いました。

「M-1グランプリ」の裏側を描いた書籍を出版

11月15日、谷さんは書籍『M-1はじめました。』(東洋経済新報社)を発売。書籍には第1回「M-1グランプリ」の出場コンビ10組それぞれの舞台裏の様子が綴られている。

ノイハウス:ガチンコ勝負の末、中川家がグランプリを獲得。ここまで、大会が19回続くのはなぜだと思われますか?

谷:やはり、ガチンコ勝負だということですね。公正な審査をしているとわかってもらえたんだと思います。なにより、漫才というものが“面白い”とわかってもらえたのかなと感じています。

ノイハウス:ここまでの大会にするまで、チャレンジはあったのでしょうか?

谷:敗者復活戦な2年目から始めたんですけども、僕らは厳正な審査でその日一番面白い人が勝ちだと思っていたんですが、見落としがあったのではないかという思いがあったんです。人気も実力のうちという言葉もあるように、そういうコンビを落としていたんじゃないかなという反省がありました。そこで、一般の方に審査をしてもらって、人気者を掬い上げるという目的で敗者復活戦を始めました。

サッシャは2023年の「M-1グランプリ」のアマチュア枠で参加。2回戦敗退という結果だったが、参加者たちの熱意を肌で感じたという。

サッシャ:「M-1グランプリ」は“戦い”だということを感じられたので、谷さんはすごい場を作ったのだと思いました。人生をこれで変えてやるんだという思いが、どの組からも伝わってきます。

谷:テレビで漫才を見ているだけではわからない、すごい努力を裏で漫才師が重ねていることをわかってもらえたんじゃないかなと思います。

サッシャ:1回戦からたくさん方が劇場に見に来てくださいました。谷さんは漫才ブームというよりは、漫才の文化を想像したんじゃないかなと思いますが、いかがですか?

谷:前の漫才ブームは1980年、81年にあったんですけど2、3年で終わってしまったんですね。「M-1グランプリ」を作って、もし漫才ブームが起こせたとしても、3年ぐらいで終わると思っていたんですよ。それが3年経ち、5年経ってもまだまだ続いている。今に至るまで、漫才というものが世の中に認知されたのかなと感じています。

J-WAVE『STEP ONE』のワンコーナー「SAISON CARD ON THE EDGE」では、毎回ニューノーマル時代のさまざまなエッジにフォーカスする。放送は月曜~木曜の10時10分ごろから。

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