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松重豊が学生たちに“東京”への思いを語る。「もっと地域ごとに文化を細分化できたら…」

松重豊が学生たちに“東京”への思いを語る。「もっと地域ごとに文化を細分化できたら…」

俳優の松重豊さんが、東京への思いやラジオで新しい音楽を知るおもしろさを学生たちに語った。

松重さんは、J-WAVEで10月10日(日)22:00~22:54に放送された特別番組『J-WAVE SELECTION TOKYO MIMI TAXI』に出演。音楽好きとして知られる松重さんがタクシー運転手に扮し、新型コロナウイルスの感染拡大により学校にすら気軽に行けない学生を、音楽とラジオの世界へいざなうトークプログラムだ。

この番組は、J-WAVEの大学生・専門学生コミュニティ「J-WAVE WACODES」のメンバーであるけいとま、いたみー、ひっち、ちっくん、もにか、なかしょー、Kakkaが一から企画した。ここでは、「けいとま」がオンエア内容をテキストで紹介する。(J-WAVE NEWS編集部)

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狭い島国だけど、いろんなところに“開き”がある

番組前半では「東京」をテーマにトークを展開。松重さんが学生時代を過ごした東京とWACODESが学生生活を送る現在の東京の違いを語り合った。

松重:渋谷とか新宿とかはキラキラしたイメージはありますけど、今の若い人にとって東京ってどんな街なの?
けいとま:僕は東京生まれ東京育ちなのですが、大学生になって上京してきた友だちと仲良くなるにつれて、その友人たちから「東京は人が多くて怖い」「どこを歩いていいのかわからない」という話を聞いたりするんです。けれど、ずっとここで生まれ育った僕にとってはそういった怖い印象は全然なくて、逆に人がいない環境のほうが「何もなくて大丈夫かな」という感覚になります。だから都会の雰囲気は僕にとっては心地のいい環境なのかなと思います。
もにか:私は東京の郊外出身なんですけど、高校の3年間だけ島根県の隠岐島に“島留学”をしていて。コンビニも映画館も何もなくて商店も日曜日には閉まっちゃうような場所に住んでいたので、大学に入ってまた東京に戻ってきたときには、東京出身なのに「東京でやり遂げなきゃ!」という気持ちになりました。
松重:狭い島国なんだけれど、東京と地方っていろんなところにものすごい開きがあるよね。でも若い人たちのなかでも、物心ついてから今に至るまでのあいだに東京の街って変わってきた感じはある?
けいとま:生まれたときからビルはあったけどもっと増えているし、特に渋谷はここ最近で開発も進んでより「都会」になった気がします。

「文化の細分化」が東京をおもしろくする

近年、都内の至る所で開発が行われている。どう変わると、よりおもしろい街になるだろうか。

けいとま:同じ東京でも渋谷みたいに都会らしい場所もあれば、下北沢みたいに穏やかな街もあると思うので、どこにいても居心地がいいと感じられる街になったらいいなと思います。
松重:僕が学生時代のころは、渋谷と新宿でやっている演劇がちょっと違ったり、下北沢の音楽と新橋あたりの音楽とは違ったりみたいな、場所によって文化の出発点が違った。そんな感じで、例えば“西東京”とか“南東京”みたいに分けて、「その地域はネオソウル系なんだよね」みたいに東京のなかで文化を細分化することができたらもっとおもしろいと思うんだよね。今みたいにどの場所に行っても同じようなものが見れるというよりも、「それを聴きたいんだったら池袋行きなよ」ぐらいの街の方がワクワクすると思うんだけどな。
もにか:その感覚はなかったです! 東京って街を歩くといろんな服装や人種の人がいて自分の世界が広がる場所だと思っているので、地域ごとに文化が異なっているのはさらにおもしろさが深まる気がします。
松重:みんなが同じ方向を向いていなきゃいけない必要もないし、人もたくさんいて街の移動も時間もかからないわけだから、だったらそのなかで文化の拠点が違った方がおもしろいかなって思うんだよね。

松重が振り返る、情熱と愛にあふれた音楽の入手方法

番組後半では、ラジオが好きな「いたみー」と、ラジオを聴かない「てぃん」がタクシーに乗車し、ラジオをテーマにトークを繰り広げた。

松重:今の学生さんってテレビを見る機会も減っているけど、どうしてラジオを聴いているの?
いたみー:小さいときから家のなかや、送り迎えをしてくれる車のなかでラジオが流れてたことが多くて、そのまま習慣で聴いていますね。
松重:なるほど。(てぃんに向けて)ラジオは聴く?
てぃん:聴かないですね。聴いていると飽きてくるんですよね。
いたみー:もったいない! ラジオは知らない曲に出会えるのがすごくおもしろいですよね。
松重:そうだね。聴いたことない曲がパッと流れてきて、「今の曲なんだろう?」と思っても調べられるし。あと、今は「radiko」を使ってインターネットで聴くこともできるしね。じゃあ、新しい情報はどうやって手に入れているの? てぃん:友だちから教えてもらったり、スマホのニュースから手に入れてますね。
松重:なるほど。僕らの頃は『エアチェック』という言葉があって、空気を盗むんですよ。ラジオからかかった曲をカセットテープに入れて、それをずっと聴くの。
いたみー:聞いたことあります! (ボタンを)押してタイミングを合わせて……。
松重:そうそう! だからタイミングによってはイントロがバッサリ切れちゃうこともあったり、途中でテープが終わっちゃったりすることもある。それでも音楽が聴きたいから、ラジオでエアチェックをするためにFMラジオの専門雑誌を買って、「この時間はローリング・ストーンズ特集だ」となったら、それをめがけてカセットテープを用意してガチャっと録音していたんです。
いたみー:すごい! それは“情熱”と“愛”ですね……。
松重:そうだね(笑)。情熱と愛と、ただひたすら“労力”!
一同:(笑)。
松重:そういった音楽に対する“渇望”が今は溢れているじゃないですか。それが羨ましい時代だと思うんだよね。

本当に少数派でもいいコミュニティがラジオにはある

番組では、いたみーが選曲したFAITH『Irony』をオンエアした。



松重:これは何語の曲?
いたみー:英語ですね。私もはじめて聴いたとき、洋楽のバンドかと思ったんですけど、調べたら実は日本のバンドで。
松重:へえ~、FAITH。いいこと知った。ほら、ラジオっていいことあるじゃない。ラジオを聴かないとこういうところに辿り着かないからね。
てぃん:本当ですね。私もみんなが知らないで自分だけ知ってる曲と出会ってみたいなあ。
松重:でしょ? そういうことをナビゲートしてくれるのも実はラジオだったりするのかもしれないんだなあ。いわゆるテレビとか大勢の人に向けるものじゃなくて、ラジオって本当に少数派でもいいんだよっていうコミュニティがいくつもあるじゃないですか。そこで自分と趣味が合うと、さらに自分の趣味の連鎖ができてくる。
いたみー:わかります! 「この曲好き!」となったら次から好きなものが続いていく感じがします。
松重:そこからなんとなくその人と“趣味の共有”をしているような錯覚になるじゃない?
いたみー:友だちになったような感覚ですよね。

さらに、松重さんはラジオから得た情報を頭のなかで映像化することのおもしろさを語る。

松重:音楽だけじゃなくて社会的なことも字で読むのは面倒だけど、耳から入ってくる情報を自分の脳内で映像にするのは結構楽しい作業だったりするよね。
いたみー:想像力を使って、自分の頭のなかで変換させていく作業がすごくおもしろいなと思います。
てぃん:確かに、いいですね! 私も課題をやっていて耳が寂しいときに動画とか流すんですけど結局集中できなくて。でもラジオは音楽に出会える以外にもたくさんの魅力があることがわかったので、今すぐにでも聴きたいです!
松重:でしょ? 今はスマホでも簡単に聴けるから、ぜひラジオを聴いて新しい世界を覗いていってほしいな。

(構成=けいとま)

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2021年10月17日28時59分まで

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