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BTSの世界的な人気を後押しした、日本のK-POPファンの愛情「とにかくこれは育てなきゃ」

BTSの世界的な人気を後押しした、日本のK-POPファンの愛情「とにかくこれは育てなきゃ」

J-WAVEで放送中の番組『MITSUBISHI JISHO MARUNOUCHI MUSICOLOGY』(ナビゲーター:グローバー)。7月11日(土)のオンエアでは、世界を席巻するBTSを特集。お笑いコンビ・トレンディエンジェルの斎藤 司と、BTSのイベントMCの経験もあるラジオDJでK-POP評論家の古家正亨がBTSの魅力に迫った。


■斎藤が「一気に虜になった」MVとは?

2013年にデビューしたBTSは、JIN、SUGA、J-HOPE、RM、JIMIN、V、JUNG KOOKの7人からなるグループ。韓国国内の新人賞を総なめにすると、徐々にファンを増やしていき、2014年には日本でもデビュー曲をリリース。その人気はアジアだけにとどまらず、北米、ヨーロッパ、南米、中東など、世界で旋風を巻き起こしている。

海外チャートでは次々と韓国最高記録を塗り替え、2018年5月リリースのアルバム『LOVE YOURSELF 轉 'Tear'』で、アジア圏出身のアーティストとして初めてビルボードチャートで1位を獲得した。さらに先月行われた有料オンラインコンサート「BANG BANG CON The Live」のアクセスが世界107カ国で75万6000人超えという最高視聴者数を記録。7月15日(水)には2年3ヶ月ぶりとなる日本4thアルバム『MAP OF THE SOUL : 7 ~ THE JOURNEY ~』をリリースした。

芸能界でも一番のBTSファンとして知られる斎藤。BTSと出会ったきっかけは何だったのか。

斎藤:もともとBIGBANGが大好きで、ライブとかによく行っていたんです。僕は流行に乗るのが遅い人なんで、BTSの存在をあまり知らなかったんですよ。でも、あるとき「BTSっていうすごい人たちがいるらしいよ」っていう話をマネージャーから聞きまして、その後、ひょんなことからBTSのファンミーティングにお仕事で呼んでもらうことになったんです。「BTSってこのあいだ聞いたとんでもないグループだよな」って思いながら、ファンの方々には「中途半端な知識のやつは許さない」っていうイメージがどうしてもあるので、ドキドキしながら行きました。

そのファンミーティングでは、古家がMCを担当していたという。

斎藤:当時、僕らがやっていた「斎藤さんゲーム」をBTSとなぜかやることになったんです。彼らはとても気さくに答えてくれて、すごく盛り上がりました。SUGAがすごく独特のリズムを作り出して、それがちょっとバズったこともあり、それがBTSをハッキリと認識した出会いでしたね。
グローバー:そこからどんどんハマっていったわけですね。
斎藤:僕はアイドルとかもそうなんですけど、パフォーマンスに惚れるタイプなんですよ。その人たちの人間性とか顔うんぬんよりも、パフォーマンスを観たいタイプの人間なんです。YouTubeか何かでBTSの『DNA』を見たときに「なんだ、このオシャレな口笛の入り方と、クールなダンスからの激しいダンスへの展開は!」と震え上がりまして。すごくキャッチーで本物感があって、この曲で僕は一気に虜になりましたね。




■BTSが持つ「若者の代弁者でありたい」という熱意

一方、古家のBTSとの出会いは2013年にまでさかのぼる。

古家:2013年12月に東京であった、BTSの1st JAPAN SHOWCASEで初めて彼らと出会いました。当時は「防弾少年団」って名前で日本に上陸をしたんですけど、「え、防弾少年団?」「誰からの弾を受けるんだ?」って誰もが思っちゃうような名前なわけですよ。ただ、実際に彼らの音楽を聴いたときに「これは今までにありそうでなかったパターンだな」と思ったと同時に、そのSHOWCASEでのパフォーマンスのクオリティの高さに本当にビックリしました。“カルグンム”という、みんなそろった切れ味抜群のダンスパフォーマンスが素晴らしかった。加えて、一人ひとりのパッションがハンパないというか。もちろん、どのK-POPアーティストたちもみんな情熱を持っているけど、一人ひとりの中にある、何かを成し遂げたいパッションみたいなものを彼らを見ていて感じたんです。現場にいるスタッフと「これは売れるだろうな」と話していました。

古家は彼らのパフォーマンスを見た瞬間に、胸騒ぎが起こるような、他アーティストとの違いを感じたという。

グローバー:そのときに古家さんが伝えたかったBTSの魅力ってどんな部分でした?
古家:韓国語が分かる人であれば、BTSがデビューした頃の楽曲を聴いたときに、いろんなことを考えさせられるというか……彼らは、とにかく若者の代弁者でありたいっていう気持ちを常に言っていますよね。デビューした頃の彼らの楽曲っていうのは、まさにそこに集中していたわけです。

古家はBTSの楽曲について「社会から打たれる弾を音楽というスポンジで吸収して、若者たちの代弁者になってあげたいという思いが込められていた」と表現する。

古家:1990年代に韓国で文化大統領と言われた「ソテジ ワ アイドゥル」という伝説の3人組のアーティストがいたんです。そのうちの一人は、BIGBANGが所属する YGエンターテイメントの元代表のヤン・ヒョンソクさんです。その「ソテジ ワ アイドゥル」がデビューした頃の彼らの音楽は、10代の若者たちにとって、普段心の中にしまっておいて爆発できなかった気持ちを、当時韓国では珍しかったラップに込めて表現したってところが極めて斬新だったんです。ところが、10代にとって大文化統領だった彼らも、それ以外の世代にとっては「なんだ、この音楽?」っていう評価が一方ではあったんですよね。だから、デビュー当時のBTSの楽曲は、そういう意味で正直とんがっていた部分があると思うんです。

BTSがデビューした2000年代は、インターネットやSNSが普及して自分で発信する環境が整いつつあり、音楽が若者の代弁者になり、「こうしたほうがいい」「ああしたほうがいい」と発信するのは逆にカッコ悪いイメージがあったという。

古家:でも彼らは「そうじゃないんだよ。自分たちをもう少し気楽に表現していこうよ」っていうアプローチをしていた。その仕方が「ソテジ ワ アイドゥル」とはちょっと違ったわけですよね。何も言えなかったことを言ってあげる代弁者ではなくて、みんなの意見を聞いてあげて、それを自分たちBTSというフィルターを通して社会に広げてあげようよっていう思いが楽曲にあったような気がするんです。だから、その思いがデビュー当時の韓国ではストレートに伝わらずに、そこまで売れなかったと思うんですよね。でも、そこを日本のファンはキャッチして、しっかりその魅力を日本のK-POPファンの中で共有していたから、僕は日本人として誇りに思いますね。

MARUNOUCHI MUSICOLOGY

■ファンとのコミュニケーションをすごく大事にしてきた

BTSが日本のみならず世界中で新しいファンを獲得し続けられることには、一体どんな理由があるのだろうか?

古家:この理由は本当に難しいと思います。いろんなメディアが「BTSはなぜ全世界的にブレイクしたのか」と評論しているんですけど、その全ての評論を見て読んで分析しても、僕自身はその答えを正直見つけられないです。なぜなら、やっぱりいろんな要素が絡み合って、その理由はひとつだけじゃないからだと思うんですよ。だけど、ファンとのコミュニケーションをすごく大事にしてきたことが、その理由として絶対的にあると思うんです。

BTSが個人のアカウントを取らずに、BTSとして情報を発信することも画期的だったと古家は続ける。

古家:やっぱりBTSなんだ、という求心力がグループの中にあるし、誰一人として人気のないメンバーっていないわけなんですよね。これってすごく大事なことだったと思うんです。
グローバー:確かに。それをずっと続けていることがすごいですよね。
古家:あとは、やっぱり日本のファンがすごく頑張ったと思います。日本のK-POPファンって、すごく情報をキャッチするのが速いんですよ。デビュー当時から爆発的に売れたわけではなかった彼らを、「とにかくこれは育てなきゃ」と思う愛情がハンパないと思うんです。その思いは絶対にBTSのメンバーに届いていると思うし、それがやっぱり日本のファンに向けた日本語オリジナル楽曲の制作につながっていると思うんですよね。だから、日本のARMY(BTSファンの名称)は誇りを持ってほしいですよね。


■ダンスが魅力的なBTSナンバーTOP3!

オンエアでは、芸能界トップクラスのARMY・斎藤が選ぶ、「ダンスが魅力的なBTSナンバーTOP3」を発表。斎藤は実際にダンスを踊り、このTOP3を決定した。

3位:『Boy With Luv』



斎藤:このダンスはけっこう難しいんですけども、素人でも頑張ればできるという、ちょうどいいレベルなんですよ。この曲のダンスで見てほしいのは、JIMINの足首の細さですね(笑)。JIMINがブーツを履いて踊っているんですけど、「ブーツでそんな踊りするか」みたいな動きをするんです。あと、このダンスはほんと痙攣するんですよ。つま先とかかとをつけるみたいなダンスなんですけど、そこが超難しくて。僕は自粛期間中にこれを家でずっと踊っていたら絨毯がハゲちゃって(笑)。そのとき初めて「JIMINのブーツが意外といいかもしれない」と思ったの。滑るから。意外とスニーカーよりブーツで踊ったほうが踊りやすいんです。

2位:『ON』



斎藤:「どこにあんだ、その場所?」っていう、とんでもなく広い場所でPVを撮っているんです。ラインダンスのダンサーの中からメンバーが出てくる感じだから「踊れるかな?」と思ったら、これがめちゃくちゃ難しいんですよね。僕に「この曲を踊ってくれ」みたいなリクエストがくるから、「よし踊ってやろうじゃねえか」って思うんですけど、めちゃくちゃ難しくて。これは今、覚えてる最中ですね。

1位:『DNA』



斎藤:最初、私がダンスも含めて衝撃を受けた曲です。このダンスもつま先から始まるわけですよ。そして口笛。これも頑張ればできるんですよ。やればできるし、簡単なわりにめちゃくちゃかっこいいんですよ。かかとかつま先かこんがらがって、どっちかわかんなくなるんですけど、こんなに簡単でかっこいいダンスはないと思います。

ふたりによるBTS語りは、7月18日(土)のオンエアにも続いた。オンエアはradikoで聴くことができる。

【radikoで聴く】BTS対談[後編](2020年7月25日28時59分まで)

J-WAVE NEWSでも21日(火)に、記事として配信する。

J-WAVE『MITSUBISHI JISHO MARUNOUCHI MUSICOLOGY』では、ゲストを迎え、1組の「レジェンド・ミュージシャン」をテーマに音楽談義を繰り広げている。放送時間は土曜の17時から。

【番組情報】
番組名:『MITSUBISHI JISHO MARUNOUCHI MUSICOLOGY』
放送日時:毎週土曜 17時-17時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/musicology/

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