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「自己肯定感」は、傷だらけになって得ていく感覚。あっこゴリラ×藤原しおりが“真面目”のあり方を語る

「自己肯定感」は、傷だらけになって得ていく感覚。あっこゴリラ×藤原しおりが“真面目”のあり方を語る

あっこゴリラと藤原しおりが「真面目」をテーマに話し合い、相談者からの悩みにアドバイスした。

ふたりがトークしたのは、J-WAVEの番組『HITACHI BUTSURYU TOMOLAB. ~TOMORROW LABORATORY』。オンエアは5月29日(土)。

同番組はラジオを「ラボ」に見立て、藤原しおりがチーフとしてお届けする番組。「SDGs」「環境問題」などの社会問題を「私たちそれぞれの身近にある困りごと」にかみ砕き、未来を明るくするヒントを研究。知識やアイデア、行動力を持って人生を切り拓いてきた有識者をラボの仲間「フェロー」として迎えて、解決へのアクションへと結ぶ“ハブ”を目指す。

「真面目な人」ってどんな人?

あっこゴリラは1988年生まれ、東京都練馬区出身のラッパー。2010年にバンドのドラマーとしてデビューしたのち、ソロのラッパーに転身。J-WAVEの平日22時からオンエアの番組『SONAR MUSIC』のナビゲーターとしても活躍中。

そんなあっこゴリラと藤原のもとに、悩めるリスナーからの声が寄せられた。

「私は大学4年生です。小さいころから真面目な優等生で、学校の成績はよく、ルールは絶対に守り、目の前のことをコツコツ一生懸命取り組むことが取り柄です。しかし大人になるにつれ、その『真面目』が欠点になることが多くなりました。『真面目』は私のひとつの長所ですが、生きていく上で損をすることが多いのでは、という不安もあります。『真面目』について研究してください」

藤原:相談者さんは「態度が人に媚びているように思われたり、大人から『きみはかたいから』と言われて冷ややかに笑われたり、不真面目な人がサボった分を真面目な人が補わなければいけなかったりする」ということで、「損している」と感じたようですね。そもそも「真面目」ってなんなんでしょうね? 相談者は「優等生」「ルールは絶対に守る」「目の前のことをコツコツ一生懸命取り組む」ということが「真面目」になると。実際に『広辞苑』(岩波書店)で「真面目」の意味を調べてみると「真剣な態度、本気、真心がこもっている、誠実なこと」と書いてあります。
あっこゴリラ:私は超真面目だけど、変な話、全然真面目じゃない。「ルールを守る」の「ルールとは?」と疑うし、そういう意味では不良かもしれない。
藤原:相談者はハテナが出ているかもしれないけど、私はわかる。私自身すごく「真面目ですね」って言われるんです。あまりにも言われすぎて「真面目ってなに? どういうつもりで言ってます?」って。
あっこゴリラ:私もけっこう言われるんですよ、よく知りもしない人に。
藤原:そうでしょ? 初対面の人ほど言うでしょ? インタビューとかで答えてると「真面目ですね~」って。
あっこゴリラ:そうそう(笑)。

藤原は「それはきっと“意外と”という意味が含まれているんだと思う」と見解を述べる。そして、あっこゴリラが考える「真面目」と「不真面目」を訊いた。

あっこゴリラ:私の中の「真面目」は「自分の頭で考えているかどうか」。自分の頭で考えて、自分の中の正解と不正解があって、でもそれは世の中の正解には当てはまらないかもしれない、ということもわかっていて選択している。それが自分にとっての「真面目」で、世界にとっては「不真面目」だよね。そういう総合的な見方、全体的に見ることができている状態は「真面目」なのかなって私は思っちゃうんです。でもそういうつもりで社会で生きていると、なんか不真面目みたいに思われちゃうんですよね(笑)。逆に、こういう話をすると「あ、意外と真面目なんですね」って言われて「ん?」みたいな。「どれだけわかってその言葉を言っているのかな?」みたいな(笑)。

藤原がホームルーム中に帰宅したワケ

藤原は、あっこゴリラの言葉に共感し、学生時代のエピソードを披露した。

藤原:高校生のとき勉強にハマっていたんです。それってべつに「言われたから勉強していた」じゃなくて「勉強たのしい!」と思ってやってたんです。
あっこゴリラ:へえ!
藤原:帰りの電車で、ちょっと遅れると駅で待たなきゃいけない空白の20分があって。だから帰りのホームルームで先生がすごく長く話していると「あ、電車に乗れない。20分の空白の時間がもったいない。私は家に帰って勉強したいのに」と思って、ホームルーム中に帰ったんです。
あっこゴリラ:あはは(笑)。例としてわかりやすい。
藤原:でも私は勉強しに帰ってるんです。これって真面目ですか?不真面目ですか?っていう話。
あっこゴリラ:すばらしい例ですね。すごく真面目だし、でも学校の中のルールでは不真面目ですよね。
藤原:私はただ勉強したい、その気持ちに従っただけ。
あっこゴリラ:チーフ(藤原)は自身に忠実に生きているわけですから真面目ですよね。

藤原は「世の中にあるルールに従うことが真面目だと私は思っていない。だからそういう意味では私は真面目じゃない」と話す。

あっこゴリラ:一般的に「真面目ですよね」と言われるのって、けっこうルールを守っている人、「社会のルールをちゃんと守ってるよね」という意味で使われることが多いから違和感があるんだと思う。
藤原:相談者さんの話に戻ると、きっと「ルールを守ること」が「真面目」だと思っているんですよね。でも相談者さん自身がどうしたいのか、ですよね。本当にルールを守りたかったら守ればいいと思う。でも「嫌だけど守ってる」だとしたら、守らなくていいと言ったらあれだけど……。
あっこゴリラ:たぶんだけど、相談者さんは「ルールを絶対に守る自分」を「真面目」だと思っていると思うんです。だけど、実は自分の人生って自分だけのものなんですよね。だからそのルールも自分で作れるんですよ。だから、ルールを守っていない子も実は「彼/彼女らのなかですごく真面目に生きているのかもしれない」とか、ちょっと考えてみたら、もしかしたら「真面目」の概念の視野が広がって考えられるかもしれないぞと思いました。

「最高のパフォーマンスができる」状態は人それぞれ

藤原は「全員が真面目に働く組織は長続きしない」という研究結果「働きアリの法則」を紹介する。「アリは2割がよく働き、6割は普通に働き、2割はなまける」という法則があり、これは人間が集団で行動するときにも見られる現象だ。組織の中に「働かない存在」がいると効率が悪いと思われがちだが、実は必要な存在なのだとか。

あっこゴリラ:これはすごくわかりますね。私の友だちでバスケのインターハイに出ていたレギュラー5人中3人は不良でしたからね。ほか2人は真面目だった。
藤原:その不良は、どういう点で不良なんですか?
あっこゴリラ:練習をサボったり遅刻してきたり、ちょっとハズしてるというか。あとの2人は絶対に遅刻しないし、一生懸命毎日練習してる。もちろん真面目に頑張っている人は、その人にしかできない、真面目に頑張っているからこそできることがある。でも逆に言うと、ちょっと不真面目で自分のペースで抜いたり絞めたりしている人は、その人にしかできない力の発揮の仕方があると思う。だから一概に「よく働きゃ最高」とも言えないよね。
藤原:本当にそう思います。だからたぶん「こうしておけば正解」みたいな誰にでも当てはまるルールはきっとなくて、各々で「これが自分にとってベスト」「このやり方が最高のパフォーマンスができるんだ」をやればいい。

あっこゴリラは「そうやって生きたほうが本当の意味で自分を好きになれる」と相談者にアドバイスを送る。

あっこゴリラ:我慢してやりたくないことをやって結果を出して、みんなが喜ぶことに価値を見出してしまうと、自分を好きになることと、人の評価が密接になっちゃう。そうなるとちょっと大変で、人格がややこしくなっちゃうんです。だから、みんなから反対されたとしても「こういうやり方でやると自分の好きな自分でいられるんだ」と。相談者さんは大学生だから、その法則を見つけるのは超大変だと思うんです。難しいじゃないですか? 若いときは何も知らないしさ。だから毎日が実験で、毎日失敗したり反省したりして大変だと思うけど、うちらみんなその道を通っているからね。
藤原:もうまさに!
あっこゴリラ:いまは「自己肯定感」という言葉がはやっているけど、自分が本当に好きな自分、本当は何が好きで嫌いなのか、何がイエスでノーなのかって、けっこう傷だらけになって取得していく感覚だと思うんですよ。得るためには無傷ではいられなかったじゃないですか(笑)。いろいろと失敗したり、泣いたり怒ったり「恥ずかしい」みたいなことをいっぱいして得てきた感覚だから、相談者さんもそれがわからなくても全然いいと思う。毎日迷うって超怖いと思うけど、みんなそうだから。マジでみんなそう。
藤原:本当にそう。「真面目は損するか?」に関しては、損したりもするけれど、してもいいんですよね?
あっこゴリラ:(損しても)大したことない!

J-WAVE『HITACHI BUTSURYU TOMOLAB. ~TOMORROW LABORATORY』は毎週土曜20時から20時54分にオンエア。

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2021年6月5日28時59分まで

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番組情報
HITACHI BUTSURYU TOMOLAB.〜TOMORROW LABORATORY
毎週土曜
20:00-20:54