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BTSは「息切れしない」 圧倒的な練習量が、世界で通用するパフォーマンスを生む

BTSは「息切れしない」 圧倒的な練習量が、世界で通用するパフォーマンスを生む

J-WAVEで放送中の番組『MITSUBISHI JISHO MARUNOUCHI MUSICOLOGY』(ナビゲーター:グローバー)。7月18日(土)のオンエアでは、世界を席巻するBTSを特集。お笑いコンビ・トレンディエンジェルの斎藤 司と、BTSのイベントMCの担当経験もあるラジオDJでK-POP評論家の古家正亨がBTSのライブの魅力や、ターニングポイントになった1曲を語り合っった。

【前編】BTSの世界的な人気を後押しした、日本のK-POPファンの愛情「とにかくこれは育てなきゃ」

BTSは、JIN、SUGA、J-HOPE、RM、JIMIN、V、JUNG KOOKの7人からなるグループで、2013年にデビューした。韓国国内の新人賞を総なめにすると、徐々にファンを増やしていき、2014年には日本でもデビュー曲をリリース。その人気はアジアだけにとどまらず、北米、ヨーロッパ、南米、中東など、世界で旋風を巻き起こす。

海外チャートでは次々と韓国最高記録を塗り替え、2018年5月リリースのアルバム『LOVE YOURSELF 轉 'Tear'』で、アジア圏出身のアーティストとして初めてビルボードチャートで1位を獲得。さらに先月行われた有料オンラインコンサートのアクセスは世界107カ国で75万6000人超えという最高視聴者数を記録。7月15日(水)には2年3カ月ぶりとなる日本4thアルバム『MAP OF THE SOUL : 7 ~ THE JOURNEY ~』をリリースする。

■パフォーマンス中に息切れしない!?

はじめに、斎藤と古家はBTSのライブの魅力について語る。

斎藤:やっぱりライブの規模ですかね。ドームやスタジアムのライブも観させてもらったんですけど、ディズニーランドみたいな、とんでもないセットが出てきたんですよ。「なんだ、これ!?」「他にどこにも使い道がないだろ!」ってくらいのモンスターみたいなセットを使ってしまう規模感に、ただただ驚かされるっていう。めちゃくちゃ覚えてるのが、ステージの上からベッドが斜めに降りてきて、そこにVが寝転がっていて「何が始まるんだ?」みたいなドキドキ感で観たことないパターンでした。

一方、BTSのイベントMCの担当経験もある古家は、裏方目線で彼らのライブの魅力をこう語る。

古家:彼らのファンミーティングってトークで楽しんだりするパートは1時間くらいで、あとはライブなんですよ。その時に僕はステージの下に待機していて。そうすると彼らのステージでの動き、足の音、床が揺れる音、それからイヤーモニターから入ってくる彼らの声、全てライブ中に聴こえるんですよ。みなさんになかなか信じてもらえないんですけど、彼ら生歌なんですよね。K-POPアイドルのようなパフォーマンスをヘッドセットマイクで聴くと、大体の人たちの息切れが聴こえるんですけど、JUNG KOOKくんとかJIMINさんとかは息切れしないんですよ。それが本当に不思議で。
グローバー:息はしてるの?
古家:息はしてますよ(笑)。
斎藤:エラ呼吸じゃないですよね(笑)?

古家は彼らがパフォーマンスで息を切らさない理由について、独自の考えを話し出す。

古家:昔、BTSは1日に平均10時間以上の練習をすると聞いたことがあるし、息の音がマイクに入らない歌い方があるみたいなんです。それを聞いた時「この人たちは一体どんな練習してんだろう?」って。これを知れたのは、やっぱり役得でしたね。
斎藤:本物ですね。
グローバー:ちなみに、おふたりはライブで特にアガる曲ってなんですか?
斎藤:『IDOL』ですね。みんなでジャンプできる感じというか。テンション上がっちゃいますね。



古家:僕は『We Are Bulletproof Pt. 2』です。デビュー初期の曲なんですけど、この曲のパフォーマンスはまさに「防弾少年団」(BTS日本デビュー時の名称)です。パフォーマンスそのものがあらゆる社会の弾を受けていますからね。それを自分たちで跳ね返して、自分たちの価値観で表現する熱を見た時に「カッコいいグループ!」って思いました。



■BTS のターニングポイントとなった1曲

番組では、K-POP を知り尽くし、BTS を見守り続けてきた古家が選ぶ、「これがBTS のターニングポイントだ!ナンバーTOP3」を発表した。

3位:『Danger』



古家:デビュー当時は、ちょっとヒップホップ色の強いとんがった楽曲が多い中で、もちろん『Danger』も圧のある楽曲なんですけども、サビに行く前が特にメロディックというか、一瞬爽やかな感じにさせといて、サビでゴリゴリいくっていう。今のBTSの楽曲の典型的なパターンだと思うんですけど、そのパターンを垣間見ることのできる楽曲が『Danger』じゃないかなって感じがして、いまだに僕のプレイリストでは、この曲がけっこう流れています。
グローバー:ここで作ったスタイルが大きかったんですね。
古家:僕は大きかったんだと思いますけどね。彼らの曲って、サビに行く前に一瞬爽やかにさせてくれる曲が多いんですよ。その爽やかさがすごく好きなんです。もちろん全て好きですけどね。

2位:『I NEED U』



古家:絶対にこの曲でファン層の裾野が広がりました。K-POPを聴いている人だけではなく、洋楽やアイドルの曲を聴く人など、本当に幅広いファン層を開拓した1曲だと思うんです。それぞれ見るポイントによって、この楽曲の魅力が違っていたりするんですよね。すごくキャッチーな曲であると同時にBTSらしさもあるし、ミュージックビデオを観ると、このパフォーマンスのすごさ、特にサビのあとの間奏のパフォーマンスがすごいんですよ。これをやりたいカバーダンサーは多いと思います。
斎藤:僕ももちろんやりますよ。
古家:アルバム『花様年華』シリーズの中でも、突出した楽曲じゃないかなと思いますね。

1位:『IDOL』

古家:これはもうダントツです。おそらく彼らは、ビルボードで1位も獲っているし、夢はグラミー賞の授賞だと思うんです。僕はできればこの『IDOL』で何かの賞を獲ってほしかった。もう過去の曲にはなってしまったけど、それだけこの曲には特徴があると思うんです。今までK-POPの多くのグループやソロアーティストが世界進出を試みたけど、正直よい成果を残してこられなかった。その理由はあえて韓国らしさを出さないところでした。アジア的、韓国的というものを全面に出したところで、なかなか欧米の壁は崩せない。これはもう日本人アーティストの欧米進出でも分かっているところだと思います。

しかし、BTSは『IDOL』であえて韓国らしさをぶつけてきたところに彼らのすごみがある、と古家は語気を強める。

古家:しかも、伝統楽器やパフォーマンス、衣装などでいろいろな韓国らしさをちりばめてはいるけど、あえて「韓国のアーティストです」「韓国の楽曲です」とは主張しない。それをさりげなく取り入れて、「なんだ、この聴き覚えのない音は」と探ると、実は韓国の楽器だったと。これまで他のグループがなかなか欧米の壁を崩せず避けてきた道に彼らが挑んだというところでK-POPの歴史においてもターニングポイントだし、いろんな意味でのターニングポイントじゃないかと思いますね。

■BTSは世界の若者を音楽でひとつにできる力がある

最後に斎藤と古家が、BTSのキャッチコピーを発表した。

斎藤:BTS とは「『サザエさん』の中島である」。もちろん個人的な見方が入っているんですけど、彼らと接しているとスターとは思えないんですよ。本当にもう、テレビアニメ『サザエさん』(フジテレビ)に登場する中島とカツオくらいの関係で話せるんですよ。
グローバー:自分がカツオの気持ちになるくらい気軽に話せるんですか?
斎藤:そうなんです。僕の頭は波平なのでややこしいですけど(笑)。スターだということを忘れさせるくらいの人たちなんだけど、「俺と話しているのは、とんでもないスターなんだ」ってふと気づくという存在です。

古家は「BTS とは」というより、あえて「BTS makes one」(BTSが世界をひとつにする)と言いたいと話す。

古家:欧米では「第2のビートルズじゃないか」と言われて、それに対してビートルズのファンが怒るわけですよね。でも、僕はそうだと思うんですよ。ビートルズが成し得たことは、ある種の音楽革命だったと思います。今、BTSが時代の寵児として注目されているのは、今は聴く音楽から観る音楽へと時代が変わる中で、音楽の価値観も大きく変わっているから、当然ビートルズとは比較なんてできないんです。でも、社会的影響力や、世界の若者を音楽でひとつにできる力を持つアーティストは、今だとBTSが一番だと思うんです。そういう意味で、彼らはすごいことを成し得たと思うし、音楽的にというより社会的に彼らが与えたインパクトが大きいと思います。

BTSを絶賛する古家は「将来、日本から彼らのようなアーティストが出てほしいと思う」と期待を寄せた。

番組では他にも、ARMY(BTSのファン)やBTSのミュージックビデオの魅力について盛り上がる場面もあった。

J-WAVE『MITSUBISHI JISHO MARUNOUCHI MUSICOLOGY』では、ゲストを迎え、1組の「レジェンド・ミュージシャン」をテーマに音楽談義を繰り広げている。放送時間は土曜の17時から。

【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年7月25日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

【番組情報】
番組名:『MITSUBISHI JISHO MARUNOUCHI MUSICOLOGY』
放送日時:毎週土曜 17時-17時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/musicology/

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