日本国内での新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、経済対策以外にも問題は山積している。一方で世界を見るとアメリカやイタリア、スペインなど感染者や死亡者数が多い国と、台湾や韓国などピークダウンに成功した国とで明暗が分かれている。新型コロナウイルスにおける日本の現状は世界から見るとどのように映っているのか。そして、今自分たちができることは何なのだろうか。
4月20日(月)にオンエアされたJ-WAVE『JAM THE WORLD』のワンコーナー「UP CLOSE」では、海外事情や日本のことにも詳しい “パックン”ことパトリック・ハーランが電話出演。話を訊いたのは、月曜日のニューススーパーバイザーであるジャーナリストの津田大介。
■現金給付は金額と同じくらい「スピード感」が大事だ
ハーバード大卒のお笑い芸人であり、ニュース番組のコメンテーターとしても活躍するパックン。話はまず、国民一人当たりに一律給付することが決まった10万円について。紆余曲折を経て決定した一律給付金だが、決定に至るまでの過程やスピード感には今なお批判がある。パックンも「スピード感で言えば明日にでも振り込めるはず」と語る。
パックン:年金や児童手当をもらっている方、確定申告している方は口座番号がわかるので、すぐ振り込んでいただきたい。口座番号がわからなくても区役所に行って免許証などの身分確認をすればすぐもらえるとか、オンライン上でクレジットカード情報を入力するとか、不正なく国民1人に1回だけ振り込めるようにするやり方はいっぱいあります。やる気があれば、明日明後日にでもみんなの手元に届くはずだと思います。
津田:しかし、それができているようには見えないですよね。
パックン:議論だけにも3週間くらいかけている。もう30万円でも10万円でも、すぐ決定してすぐ実施すればよかったのにと思います。
津田:お金が必要なタイミングで行きわたらないので、困窮している人も出てきていますからね。
パックン:初期症状が出た瞬間に治療をすれば悪化せず、軽い程度で終わる可能性が高いのは、病気だけでなく経済にも言えることです。10万円があれば破産しない人、引っ越さなくて済む人、子どもの学費が払える人もいるでしょう。1日や2日の違いで、その後が大きく変わるわけです。だからスピード感は金額と同じくらい大事。毎月10万円給付する制度を作るのは時間がかかるけど、「生活を支えます。ご安心ください」と言ってすぐ給付すれば経済も回るし、早く立ち直れる人が増え、結果的に国の補償も安く済むと思うんですよね。
■台湾やシンガポール…真似できたはずの他国の成功例
日本政府の経済支援策には多くの人が疑問を持っているが、安倍首相は先日「我が国の支援は世界で最も手厚い」と発言。パックンは世界各国の状況から「日本は世界最低でも最高でもなく、半ばくらい」と前置きした上で、「感染拡大スピードが遅かったので他国の成功例を真似できたのに、日本はコロナ対策全般で“第3の道”を歩んでいるように見える」と語る。
パックン:選択肢としてはハードとソフトの二つがあります。ハードは武漢のように完全ロックダウンで外出禁止にするやり方。ソフトは、シンガポールや台湾です。入国制限は厳しくしつつも、帰国国民には隔離期間中に携帯電話のGPS機能で自宅待機を監視。そして幅広く検査を行い、感染者が出たら接触可能性のある人も症状が出た瞬間に検査を行うやり方です。
シンガポールに住むパックンの友人の場合、自分の職場やスーパーで感染者が出た場合には「〇〇で感染者が出たので、疑いがあるなら今すぐ検査を」とピンポイントでアラートがくるそうだ。
パックン:ソフトな対策のおかげで台湾やシンガポールは経済を止めずに日常生活に大きな影響を及ぼさずに済んでいます。台湾は2000万人以上の人口がいながら、いまだに感染者数が500人を上回っていません。すごく成功していると思いませんか?
津田:世界でも台湾とニュージーランドあたりが最も成功していますよね。日本とも距離が近い台湾は、参考にできる事例たくさんありました。
パックン:人口500万人くらいで羊がその5倍くらいいるニュージーランドは難しいとしても、台湾や隣の韓国、ドイツは真似できる。日本はそういう成功例を真似せずに、独自の成功例を築こうとしているように見えます。
アメリカ出身のパックン。感染者と死亡者数ともに世界一となってしまったアメリカのやり方には「大失敗です」と怒りを露にする。
パックン:1月3日に中国からアメリカの疾病予防管理センター(CDC)に「謎のウイルスが感染拡大の兆し。今のうちに対策を」と連絡がありました。しかし、その情報が届いた大統領府はそれを無視して、ずっと無根拠なメッセージを国民に発信してきました。そして方針が二転三転して対策が大きく遅延。日本はアメリカを反面教師にしてほしいですが、独自のやり方にはそんなにこだわらなくていい。もっと他国の成功例を真似してもいいと思いますね。
ニューヨーク州では死亡者数が1万人を超え、特に感染拡大が悲惨な状況だ。しかし失敗を認め、積極的に情報発信を行うアンドリュー・クオモ知事は逆に支持率が上がる事態に。この件についてパックンは「僕はもう少し彼が責任を取ったり市民が責任を問う動きがあったりしてもいいと思う」と語った。
■外出自粛要請に応じる人が多い日本、一方で判断ミスをしている人も
日本では今でも公園や観光地が混雑していたり大人数でスーパーに出かけたりする人の存在が問題視されている。ロックダウンや厳しい罰則のある外出禁止がグローバルスタンダードのなか、日本の外出自粛要請は世界的に見ても珍しいそうだ。
パックン:ドイツや台湾では外出禁止を破ると300万円くらいの罰金が科されます。しかし先日の緊急事態宣言で安倍首相は「ご不便をおかけしますが、外出自粛のご協力をお願いします」とおっしゃいました。これは世界から見てもコントのように矛盾しています。でも、それが日本のいいところでもあるし、実際に電車の通勤客も減少して結果が出ていますよね。外出自粛に協力している人が多いことは間違いない。警察のパトロールで外出者に罰金を科しているイギリスでも、人々の接触の割合は70%くらいしか減っていません。厳しい罰則があっても100%の接触を防ぐことはできない。日本では頑張っている方は多くいますが、自己判断で判断ミスをしている方も多いのが事実ですね。
長期間のロックダウンが続くアメリカでは、ロックダウン解除を求めるデモも始まった。驚くことに、トランプ大統領もそのデモを支持している。
津田:働き口もなくてストレスも溜まり、非人間的な環境に置かれているなかで、新型コロナの致死率もすごく高いわけでもない。デモをしている人を責められない部分もあるのかなと思いますが。
パックン:まず、デモを煽っているトランプ大統領はけしからんと思います。皆さんの気持ちを理解するのは大事ですが、ロックダウンは自分の命だけでなく他人の命を守る行動。今、一部の方がみんなのために経済的リスクを背負い、また一部の方がスーパーのレジやゴミ収集といった経済活動で命をリスクにさらしています。みんなが一丸となって頑張っているときにロックダウンだけを反対して政府に歯向かう姿勢ではなく、協力する姿勢を見せてほしいです。でもその一方で、政府も協力してもらえるだけの支援策も打ち出さなきゃいけない。お互いに責任があるんです。
津田:そうですよね。
パックン:アメリカの友だちはテイクアウトも取らずに全部自粛しています。食材はスーパーからデリバリーして玄関先に置いてもらうなど、全く人と接していないそう。日本の危機意識が低いのは間違いないと思いますね。
■「今こそ思考力を身に着けるチャンス」と捉えて
講演会やロケ番組、公開収録等はすべてなくなったパックンだが、「むしろ今がチャンス」と現状を前向きに捉えているとのこと。そのヒントが、パックンが2020年3月に上梓した『ハーバード流「聞く」技術』(KADOKAWA)だ。
パックン:コロナが以前のパンデミックと同じなら、これから社会は揺らいだあとに、いい方向に変わる可能性も悪い方向に変わる可能性もある。いい方向に変えるために重要なのが、思考力とコミュニケーション能力。そしてこの二つを支えるのが聞く技術です。日本の場合は今の経済危機によってベーシックインカムのような社会的弱者を普段から支える制度にシフトできるかもしれない。そのためには、情報を聞き取って批判的思考で精査してから、政策を打ち出さなければいけません。
日本では国内で新型コロナウイルスの感染者が出始めた2ヶ月ほど前から、多くの人が検査数の増加を訴えていた。しかし政府はその訴えに聞く耳を持ってこなかった。
パックン:「検査をしたら感染者が増えると医療崩壊になる」と政府がよく弁解していますが、この裏には「陽性反応が出てもどうせ対応できない」という「どうせ」があるんです。この自分の「どうせ」や「だって」に気づくことが大事。諦めているんです。「諦めを捨てなさい」というのが僕の主張です。
津田:批判的に物事を捉え、自分自身で考える力を身につける重要性ですよね。一方で、同調圧力の強い日本社会では集団の考えについていくほうが生きるのが楽です。だからこそ自粛要請でも効果が出ているのかなと思いますが。
パックン:僕の2人の子どもも今は家で勉強しているので、学校という集団生活ではなくなっています。自由研究の時間が増えオンラインでデータを自分で精査して自分で出力する。少なくとも「右ならえ、前ならえ」的な生活ができない今は、個人の思考力を鍛えるチャンスです。また、今はメディアに通じるリーダーが増えています。だからこそ今は発信するメディア側の我々が正しい方向に導く行動をしなければいけません。
日本政府は現状、緊急事態宣言期間を5月6日(水)までとしているが、この新型コロナウイルスとの戦いは長期化する可能性もある。パックンが考える、今大事にすべきこととは何なのだろうか。
パックン:ハーバード大学は「2022年まで社会的距離が必要となる可能性がある」という論文を発表しました。僕も今後2年間くらいの覚悟を持とうと頑張っています。1日のスケジュールを決めて人生の構造を自ら立て、運動や読書、執筆、友だちとの連絡など必ず行う約束事を課せばソーシャルスキルと思考力を鈍らせないことができると思います。思考力もコミュニケーション能力も持って生まれたものではなく鍛えられるもの。「どうせ」や「だって」に気づき、自分の主張に反論してみる。メディアの情報のツッコミどころを探す。変な話ですが、今が思考力を高める大チャンスだと思っていただきたいです。
J-WAVE『JAM THE WORLD』のコーナー「UP CLOSE」では、社会の問題に切り込む。放送時間は月曜~木曜の20時20分頃から。お聴き逃しなく。
【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/
4月20日(月)にオンエアされたJ-WAVE『JAM THE WORLD』のワンコーナー「UP CLOSE」では、海外事情や日本のことにも詳しい “パックン”ことパトリック・ハーランが電話出演。話を訊いたのは、月曜日のニューススーパーバイザーであるジャーナリストの津田大介。
■現金給付は金額と同じくらい「スピード感」が大事だ
ハーバード大卒のお笑い芸人であり、ニュース番組のコメンテーターとしても活躍するパックン。話はまず、国民一人当たりに一律給付することが決まった10万円について。紆余曲折を経て決定した一律給付金だが、決定に至るまでの過程やスピード感には今なお批判がある。パックンも「スピード感で言えば明日にでも振り込めるはず」と語る。
パックン:年金や児童手当をもらっている方、確定申告している方は口座番号がわかるので、すぐ振り込んでいただきたい。口座番号がわからなくても区役所に行って免許証などの身分確認をすればすぐもらえるとか、オンライン上でクレジットカード情報を入力するとか、不正なく国民1人に1回だけ振り込めるようにするやり方はいっぱいあります。やる気があれば、明日明後日にでもみんなの手元に届くはずだと思います。
津田:しかし、それができているようには見えないですよね。
パックン:議論だけにも3週間くらいかけている。もう30万円でも10万円でも、すぐ決定してすぐ実施すればよかったのにと思います。
津田:お金が必要なタイミングで行きわたらないので、困窮している人も出てきていますからね。
パックン:初期症状が出た瞬間に治療をすれば悪化せず、軽い程度で終わる可能性が高いのは、病気だけでなく経済にも言えることです。10万円があれば破産しない人、引っ越さなくて済む人、子どもの学費が払える人もいるでしょう。1日や2日の違いで、その後が大きく変わるわけです。だからスピード感は金額と同じくらい大事。毎月10万円給付する制度を作るのは時間がかかるけど、「生活を支えます。ご安心ください」と言ってすぐ給付すれば経済も回るし、早く立ち直れる人が増え、結果的に国の補償も安く済むと思うんですよね。
■台湾やシンガポール…真似できたはずの他国の成功例
日本政府の経済支援策には多くの人が疑問を持っているが、安倍首相は先日「我が国の支援は世界で最も手厚い」と発言。パックンは世界各国の状況から「日本は世界最低でも最高でもなく、半ばくらい」と前置きした上で、「感染拡大スピードが遅かったので他国の成功例を真似できたのに、日本はコロナ対策全般で“第3の道”を歩んでいるように見える」と語る。
パックン:選択肢としてはハードとソフトの二つがあります。ハードは武漢のように完全ロックダウンで外出禁止にするやり方。ソフトは、シンガポールや台湾です。入国制限は厳しくしつつも、帰国国民には隔離期間中に携帯電話のGPS機能で自宅待機を監視。そして幅広く検査を行い、感染者が出たら接触可能性のある人も症状が出た瞬間に検査を行うやり方です。
シンガポールに住むパックンの友人の場合、自分の職場やスーパーで感染者が出た場合には「〇〇で感染者が出たので、疑いがあるなら今すぐ検査を」とピンポイントでアラートがくるそうだ。
パックン:ソフトな対策のおかげで台湾やシンガポールは経済を止めずに日常生活に大きな影響を及ぼさずに済んでいます。台湾は2000万人以上の人口がいながら、いまだに感染者数が500人を上回っていません。すごく成功していると思いませんか?
津田:世界でも台湾とニュージーランドあたりが最も成功していますよね。日本とも距離が近い台湾は、参考にできる事例たくさんありました。
パックン:人口500万人くらいで羊がその5倍くらいいるニュージーランドは難しいとしても、台湾や隣の韓国、ドイツは真似できる。日本はそういう成功例を真似せずに、独自の成功例を築こうとしているように見えます。
アメリカ出身のパックン。感染者と死亡者数ともに世界一となってしまったアメリカのやり方には「大失敗です」と怒りを露にする。
パックン:1月3日に中国からアメリカの疾病予防管理センター(CDC)に「謎のウイルスが感染拡大の兆し。今のうちに対策を」と連絡がありました。しかし、その情報が届いた大統領府はそれを無視して、ずっと無根拠なメッセージを国民に発信してきました。そして方針が二転三転して対策が大きく遅延。日本はアメリカを反面教師にしてほしいですが、独自のやり方にはそんなにこだわらなくていい。もっと他国の成功例を真似してもいいと思いますね。
ニューヨーク州では死亡者数が1万人を超え、特に感染拡大が悲惨な状況だ。しかし失敗を認め、積極的に情報発信を行うアンドリュー・クオモ知事は逆に支持率が上がる事態に。この件についてパックンは「僕はもう少し彼が責任を取ったり市民が責任を問う動きがあったりしてもいいと思う」と語った。
■外出自粛要請に応じる人が多い日本、一方で判断ミスをしている人も
日本では今でも公園や観光地が混雑していたり大人数でスーパーに出かけたりする人の存在が問題視されている。ロックダウンや厳しい罰則のある外出禁止がグローバルスタンダードのなか、日本の外出自粛要請は世界的に見ても珍しいそうだ。
パックン:ドイツや台湾では外出禁止を破ると300万円くらいの罰金が科されます。しかし先日の緊急事態宣言で安倍首相は「ご不便をおかけしますが、外出自粛のご協力をお願いします」とおっしゃいました。これは世界から見てもコントのように矛盾しています。でも、それが日本のいいところでもあるし、実際に電車の通勤客も減少して結果が出ていますよね。外出自粛に協力している人が多いことは間違いない。警察のパトロールで外出者に罰金を科しているイギリスでも、人々の接触の割合は70%くらいしか減っていません。厳しい罰則があっても100%の接触を防ぐことはできない。日本では頑張っている方は多くいますが、自己判断で判断ミスをしている方も多いのが事実ですね。
長期間のロックダウンが続くアメリカでは、ロックダウン解除を求めるデモも始まった。驚くことに、トランプ大統領もそのデモを支持している。
津田:働き口もなくてストレスも溜まり、非人間的な環境に置かれているなかで、新型コロナの致死率もすごく高いわけでもない。デモをしている人を責められない部分もあるのかなと思いますが。
パックン:まず、デモを煽っているトランプ大統領はけしからんと思います。皆さんの気持ちを理解するのは大事ですが、ロックダウンは自分の命だけでなく他人の命を守る行動。今、一部の方がみんなのために経済的リスクを背負い、また一部の方がスーパーのレジやゴミ収集といった経済活動で命をリスクにさらしています。みんなが一丸となって頑張っているときにロックダウンだけを反対して政府に歯向かう姿勢ではなく、協力する姿勢を見せてほしいです。でもその一方で、政府も協力してもらえるだけの支援策も打ち出さなきゃいけない。お互いに責任があるんです。
津田:そうですよね。
パックン:アメリカの友だちはテイクアウトも取らずに全部自粛しています。食材はスーパーからデリバリーして玄関先に置いてもらうなど、全く人と接していないそう。日本の危機意識が低いのは間違いないと思いますね。
■「今こそ思考力を身に着けるチャンス」と捉えて
講演会やロケ番組、公開収録等はすべてなくなったパックンだが、「むしろ今がチャンス」と現状を前向きに捉えているとのこと。そのヒントが、パックンが2020年3月に上梓した『ハーバード流「聞く」技術』(KADOKAWA)だ。
パックン:コロナが以前のパンデミックと同じなら、これから社会は揺らいだあとに、いい方向に変わる可能性も悪い方向に変わる可能性もある。いい方向に変えるために重要なのが、思考力とコミュニケーション能力。そしてこの二つを支えるのが聞く技術です。日本の場合は今の経済危機によってベーシックインカムのような社会的弱者を普段から支える制度にシフトできるかもしれない。そのためには、情報を聞き取って批判的思考で精査してから、政策を打ち出さなければいけません。
日本では国内で新型コロナウイルスの感染者が出始めた2ヶ月ほど前から、多くの人が検査数の増加を訴えていた。しかし政府はその訴えに聞く耳を持ってこなかった。
パックン:「検査をしたら感染者が増えると医療崩壊になる」と政府がよく弁解していますが、この裏には「陽性反応が出てもどうせ対応できない」という「どうせ」があるんです。この自分の「どうせ」や「だって」に気づくことが大事。諦めているんです。「諦めを捨てなさい」というのが僕の主張です。
津田:批判的に物事を捉え、自分自身で考える力を身につける重要性ですよね。一方で、同調圧力の強い日本社会では集団の考えについていくほうが生きるのが楽です。だからこそ自粛要請でも効果が出ているのかなと思いますが。
パックン:僕の2人の子どもも今は家で勉強しているので、学校という集団生活ではなくなっています。自由研究の時間が増えオンラインでデータを自分で精査して自分で出力する。少なくとも「右ならえ、前ならえ」的な生活ができない今は、個人の思考力を鍛えるチャンスです。また、今はメディアに通じるリーダーが増えています。だからこそ今は発信するメディア側の我々が正しい方向に導く行動をしなければいけません。
日本政府は現状、緊急事態宣言期間を5月6日(水)までとしているが、この新型コロナウイルスとの戦いは長期化する可能性もある。パックンが考える、今大事にすべきこととは何なのだろうか。
パックン:ハーバード大学は「2022年まで社会的距離が必要となる可能性がある」という論文を発表しました。僕も今後2年間くらいの覚悟を持とうと頑張っています。1日のスケジュールを決めて人生の構造を自ら立て、運動や読書、執筆、友だちとの連絡など必ず行う約束事を課せばソーシャルスキルと思考力を鈍らせないことができると思います。思考力もコミュニケーション能力も持って生まれたものではなく鍛えられるもの。「どうせ」や「だって」に気づき、自分の主張に反論してみる。メディアの情報のツッコミどころを探す。変な話ですが、今が思考力を高める大チャンスだと思っていただきたいです。
J-WAVE『JAM THE WORLD』のコーナー「UP CLOSE」では、社会の問題に切り込む。放送時間は月曜~木曜の20時20分頃から。お聴き逃しなく。
【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/
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