2021年の干支は丑。そもそも牛は牛肉や牛乳など口にする食べ物としては身近だが、動物としての生態はあまり知られていない。ここでは、牛の豆知識をお届けしよう。
J-WAVEの番組『JAM THE WORLD』のワンコーナー「CASE FILE」では2020年12月21日から24日まで、大人気シリーズ『ざんねんないきもの事典』(高橋書店)の監修を務める日本動物科学研究所の所長、今泉忠明さんが牛の豆知識ついて詳しく解説した。ここでは21日(月)と22日(火)のオンエア内容を紹介する。
今泉:この反芻の際に、草など食べたものとよだれをよく混ぜ合わせるためにどんどんよだれを出しています。牛は1つの胃袋が4つに分かれていて、食べた草が入るのが1番目の胃袋。その1番目の胃に入った食べ物が植物を分解するバクテリアが住む2番目の胃袋に行き、小分けにされて口に戻されます。そこで唾液と混ぜながらよく噛んで飲み込むと、次に3番目の胃袋に入り、4番目の胃袋で超過吸収を行って腸に行くという流れです。口の中でもぐもぐと噛みながら、細胞膜を溶かし、それを飲み込むと消化吸収されます。そのため、よだれがたくさん出るんです。
2番目の胃袋にバクテリアが住んでいるのは、植物の細胞膜を溶かすためだとか。それにより、牛は消化することができるのだという。
今泉:細胞膜はものすごく硬いもので、人間は紙に利用しています。紙はパリパリしていることからも、硬いことがわかりますよね。草は柔らかそうに見えますが一番硬いんです。人間はよく生野菜としてサラダを食べますが、実はほとんど消化できていません。生野菜を食べることはつまり、ただ胃袋や腸を掃除している。細胞膜を壊さないと、野菜の中の栄養が出てきません。野菜は茹でたり炒めたりしたほうがちゃんと消化するのは、そういう仕組みがあります。
今泉:そもそも草食動物は森の中で暮らしていたんですが、今から2000万年ほど前に非常に乾燥したアフリカのサバンナという草原ができました。このサバンナの草は乾燥と踏まれることに非常に強いイネ科植物。そのため、アフリカの草原に草食動物がたくさんいるんです。たくさん歩いて踏み潰しても緑豊かな草を食べるのに適応したのが牛の仲間です。
牛はアフリカの草原にある草を食べる際、反芻がないと消化ができないことがわかったために身体がそのように進化したという。そんな牛の生態が実は地球温暖化と大きく関係している。その要因がゲップだ。
今泉:胃袋に4兆個ほどいるバクテリアは草を消化しながら、自分も生き物なので炭酸ガスを出します。すると、出てくるのがゲップです。ゲップには炭酸ガスとともにメタンガスも入っています。メタンガスは地球温暖化に非常に作用している成分なので、牛のゲップのせいで地球温暖化が促進されているとも言えます。世界に15億頭もいる牛1頭が、1日にだいたい150Lから300Lのメタンガスを出している。このメタンガスの量は、電気冷蔵庫が1日動くためのエネルギー量だそうです。このメタンガスは、二酸化炭素よりも温室効果ガスの効率が高いと言われています。人間のゲップもメタンガスを含んでいるんですが、世界的に見ると78億人の人間と15億頭の牛のゲップを比較すると、牛のほうが強力なんです。
メタンガスは炭酸ガスのだいたい25倍から30倍の温室効果ガスの働きがあると言われている。牛のゲップで地球温暖化が進むという研究結果から、近年ではその解決策を研究する動きも活発化しているそうだ。
『JAM THE WORLD』のワンコーナー「CASE FILE」では、時代を映すニュースなキーワードを、リスナーの記憶にファイリングする。放送は月曜~木曜の19時25分頃から。
J-WAVEの番組『JAM THE WORLD』のワンコーナー「CASE FILE」では2020年12月21日から24日まで、大人気シリーズ『ざんねんないきもの事典』(高橋書店)の監修を務める日本動物科学研究所の所長、今泉忠明さんが牛の豆知識ついて詳しく解説した。ここでは21日(月)と22日(火)のオンエア内容を紹介する。
牛が毎日、大量によだれを出しているのはなぜ?
牛は飲み込んだ食べたものを口の中に戻して噛み直す「反芻」という行動をする。このとき大量のよだれを出しており、その量はなんと1日平均180リットルにも及ぶ。今泉:この反芻の際に、草など食べたものとよだれをよく混ぜ合わせるためにどんどんよだれを出しています。牛は1つの胃袋が4つに分かれていて、食べた草が入るのが1番目の胃袋。その1番目の胃に入った食べ物が植物を分解するバクテリアが住む2番目の胃袋に行き、小分けにされて口に戻されます。そこで唾液と混ぜながらよく噛んで飲み込むと、次に3番目の胃袋に入り、4番目の胃袋で超過吸収を行って腸に行くという流れです。口の中でもぐもぐと噛みながら、細胞膜を溶かし、それを飲み込むと消化吸収されます。そのため、よだれがたくさん出るんです。
2番目の胃袋にバクテリアが住んでいるのは、植物の細胞膜を溶かすためだとか。それにより、牛は消化することができるのだという。
今泉:細胞膜はものすごく硬いもので、人間は紙に利用しています。紙はパリパリしていることからも、硬いことがわかりますよね。草は柔らかそうに見えますが一番硬いんです。人間はよく生野菜としてサラダを食べますが、実はほとんど消化できていません。生野菜を食べることはつまり、ただ胃袋や腸を掃除している。細胞膜を壊さないと、野菜の中の栄養が出てきません。野菜は茹でたり炒めたりしたほうがちゃんと消化するのは、そういう仕組みがあります。
牛のゲップで地球温暖化に!?
今泉さんによると、動物の世界で一番進化しているのが牛の仲間だという。その理由は、草を食べるだけで肉にすることができるという非常に効率のいい身体組織機能だ。今泉:そもそも草食動物は森の中で暮らしていたんですが、今から2000万年ほど前に非常に乾燥したアフリカのサバンナという草原ができました。このサバンナの草は乾燥と踏まれることに非常に強いイネ科植物。そのため、アフリカの草原に草食動物がたくさんいるんです。たくさん歩いて踏み潰しても緑豊かな草を食べるのに適応したのが牛の仲間です。
牛はアフリカの草原にある草を食べる際、反芻がないと消化ができないことがわかったために身体がそのように進化したという。そんな牛の生態が実は地球温暖化と大きく関係している。その要因がゲップだ。
今泉:胃袋に4兆個ほどいるバクテリアは草を消化しながら、自分も生き物なので炭酸ガスを出します。すると、出てくるのがゲップです。ゲップには炭酸ガスとともにメタンガスも入っています。メタンガスは地球温暖化に非常に作用している成分なので、牛のゲップのせいで地球温暖化が促進されているとも言えます。世界に15億頭もいる牛1頭が、1日にだいたい150Lから300Lのメタンガスを出している。このメタンガスの量は、電気冷蔵庫が1日動くためのエネルギー量だそうです。このメタンガスは、二酸化炭素よりも温室効果ガスの効率が高いと言われています。人間のゲップもメタンガスを含んでいるんですが、世界的に見ると78億人の人間と15億頭の牛のゲップを比較すると、牛のほうが強力なんです。
メタンガスは炭酸ガスのだいたい25倍から30倍の温室効果ガスの働きがあると言われている。牛のゲップで地球温暖化が進むという研究結果から、近年ではその解決策を研究する動きも活発化しているそうだ。
『JAM THE WORLD』のワンコーナー「CASE FILE」では、時代を映すニュースなキーワードを、リスナーの記憶にファイリングする。放送は月曜~木曜の19時25分頃から。
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