新型コロナウイルス流行の影響による緊急事態宣言の解除に伴い、6月から学校が本格的に再開した。約3ヶ月にも及んだ一斉休校によって、「休校明けに学校に行くのがしんどい」といった声が届き始めるなど、子どもたちの心にはさまざまな変化が起こっている。新型コロナウイルスとの因果関係は不明なものの、6月19日現在で中高生の自殺がすでに4件起きている現状もある。超長期休校明けの今、子どもたちに起きている問題とは何なのだろうか。
J-WAVEの番組『JAM THE WORLD』のワンコーナー「CASE FILE」では6月22日(月)と23日(火)、超長期休校明けの子どもたちからのSOSについて、NPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』編集長の石井志昂さんが解説した。
■「今から怖いことが起きる」と思う子どもたち
「学校が苦しい」。再開後に子どもたちから聞かれる声には、これまでも苦しかったという内情がある。今はそこに加えて、親や先生たちの感染症対策に関するピリピリとした雰囲気も子どもたちを悩ませている。そうした背景から、石井さんは長期休校明けの不登校が増えつつあると感じているという。
石井:学校の中の感染指導がすごく厳しく、「喋るな!」「手は洗ったのか?」と怒鳴る先生もいて、とてもピリピリしているようです。親や先生のピリつき方は相当なもの。子どもは親が怒っている内容よりも、怒っているか否か、親の表情のほうが覚えています。ピリピリしている親の顔を見て、心がモヤモヤしている子が増えている気がしますね。
休暇明けには「予期不安」が高まると言われている。「今から怖いことが起きるんだ」と思うことで恐怖を感じる現象だ。例えば、ジェットコースターでも、急降下するときより頂上付近までのぼっていくときの怖さのほうが大きいとされる。今、子どもたちの中にはこの予期不安が非常に高まっていると石井さんは指摘した。
石井:「今から学校が始まるんだ。怖いな。嫌だな」と思っていくうちに、「こんなんだったら終わりにしてしまおう」と考えてしまう子どももいるかもしれません。学校が苦しかった子どもは、長期休校によって安全なところにいたことで、自分が今まで傷ついてきたり苦しんできたりしたことに気づいてしまうことも。勘違いしてはいけないのが、「長期休暇をなくせばいい」と判断することです。問題は予期不安が起こることではなく、予期不安が起きても選択肢がないことです。必ず、また学校に戻らなければいけないわけですから心をすり減らすことには違いはない。ここを取り違えると「じゃあ、夏休みをなくせばいい」となってしまって、子どもたちがもっと追い詰められることになると思います。
■子どもから出される5つのSOS
石井さんによると、子どもから出されるSOSは5点あるという。まずは普段より食べなくなる食欲不振。次に、夜眠れず、朝起きられない不眠だ。「夜にゲームやスマホをやっているから起きられないんじゃないか」と思いがちだが逆で、不眠になっているからゲームやスマホをやっていることも考えられるという。
石井:3番目が情緒不安です。イライラしたり急に甘えだしたりしたらSOSの一つだと思ってください。そして4番目が今一番多いと思われる、宿題が手につかない状態です。休校中からたくさんの宿題が出ていますが、ストレス度が高くなるとやろうと思ってもまったく手につかなくなります。名前すら書けなくなってしまうこともあるので、これはサボりたいのではなく、悩みやストレスで心がいっぱいになっている証拠だと捉えたいですね。最後はコロナを過度に怖がること。感染が怖いために学校に行こうと思うと涙が出てきたり、「どうしても感染が嫌」「トイレが嫌」と泣き出したりする小学生や中学生の話は聞いています。もちろん本当にコロナが怖い場合もありますが、親にも言えない理由で学校に行きたくないと思っている場合もあるでしょう。
■原因を決め付けずに、いったん立ち止まること
本当に子どもからのSOSかどうかを親が見分けるポイントもある。まずは親が自分の勘を信じることだ。
石井:やっぱり我が子の一番の専門家は親です。親がおかしいと思ったらおかしいと判断して、迷わず第三者に相談したいですね。また、言葉よりも結果を見ることも気をつけたいです。「どうせ怠けたいだけだ」「サボりたいだけでしょう」とすぐ思いがちですが、原因を決め付けずにいったん立ち止まってください。「子どもは結果的に学校から遠ざかろうとしていないか」「親の自分から離れたくないと思っている」など、結果だけ見ると真意に気づきやすいと思います。
新型コロナウイルスによって心が疲弊しているのは大人も子どもも同じだ。学校再開に伴う子どもの心の変化や苦しみにすぐ気付いてあげることができれば、最悪の事態を防ぐこともできる。子どもから出されるSOSやその見分け方について、しっかり頭に入れておこう。
『JAM THE WORLD』のワンコーナー「CASE FILE」では、時代を映すニュースなキーワードを、リスナーの記憶にファイリングする。放送は月曜~木曜の19時25分頃から。
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年7月1日28時59分まで)
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年7月2日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/
J-WAVEの番組『JAM THE WORLD』のワンコーナー「CASE FILE」では6月22日(月)と23日(火)、超長期休校明けの子どもたちからのSOSについて、NPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』編集長の石井志昂さんが解説した。
■「今から怖いことが起きる」と思う子どもたち
「学校が苦しい」。再開後に子どもたちから聞かれる声には、これまでも苦しかったという内情がある。今はそこに加えて、親や先生たちの感染症対策に関するピリピリとした雰囲気も子どもたちを悩ませている。そうした背景から、石井さんは長期休校明けの不登校が増えつつあると感じているという。
石井:学校の中の感染指導がすごく厳しく、「喋るな!」「手は洗ったのか?」と怒鳴る先生もいて、とてもピリピリしているようです。親や先生のピリつき方は相当なもの。子どもは親が怒っている内容よりも、怒っているか否か、親の表情のほうが覚えています。ピリピリしている親の顔を見て、心がモヤモヤしている子が増えている気がしますね。
休暇明けには「予期不安」が高まると言われている。「今から怖いことが起きるんだ」と思うことで恐怖を感じる現象だ。例えば、ジェットコースターでも、急降下するときより頂上付近までのぼっていくときの怖さのほうが大きいとされる。今、子どもたちの中にはこの予期不安が非常に高まっていると石井さんは指摘した。
石井:「今から学校が始まるんだ。怖いな。嫌だな」と思っていくうちに、「こんなんだったら終わりにしてしまおう」と考えてしまう子どももいるかもしれません。学校が苦しかった子どもは、長期休校によって安全なところにいたことで、自分が今まで傷ついてきたり苦しんできたりしたことに気づいてしまうことも。勘違いしてはいけないのが、「長期休暇をなくせばいい」と判断することです。問題は予期不安が起こることではなく、予期不安が起きても選択肢がないことです。必ず、また学校に戻らなければいけないわけですから心をすり減らすことには違いはない。ここを取り違えると「じゃあ、夏休みをなくせばいい」となってしまって、子どもたちがもっと追い詰められることになると思います。
■子どもから出される5つのSOS
石井さんによると、子どもから出されるSOSは5点あるという。まずは普段より食べなくなる食欲不振。次に、夜眠れず、朝起きられない不眠だ。「夜にゲームやスマホをやっているから起きられないんじゃないか」と思いがちだが逆で、不眠になっているからゲームやスマホをやっていることも考えられるという。
石井:3番目が情緒不安です。イライラしたり急に甘えだしたりしたらSOSの一つだと思ってください。そして4番目が今一番多いと思われる、宿題が手につかない状態です。休校中からたくさんの宿題が出ていますが、ストレス度が高くなるとやろうと思ってもまったく手につかなくなります。名前すら書けなくなってしまうこともあるので、これはサボりたいのではなく、悩みやストレスで心がいっぱいになっている証拠だと捉えたいですね。最後はコロナを過度に怖がること。感染が怖いために学校に行こうと思うと涙が出てきたり、「どうしても感染が嫌」「トイレが嫌」と泣き出したりする小学生や中学生の話は聞いています。もちろん本当にコロナが怖い場合もありますが、親にも言えない理由で学校に行きたくないと思っている場合もあるでしょう。
■原因を決め付けずに、いったん立ち止まること
本当に子どもからのSOSかどうかを親が見分けるポイントもある。まずは親が自分の勘を信じることだ。
石井:やっぱり我が子の一番の専門家は親です。親がおかしいと思ったらおかしいと判断して、迷わず第三者に相談したいですね。また、言葉よりも結果を見ることも気をつけたいです。「どうせ怠けたいだけだ」「サボりたいだけでしょう」とすぐ思いがちですが、原因を決め付けずにいったん立ち止まってください。「子どもは結果的に学校から遠ざかろうとしていないか」「親の自分から離れたくないと思っている」など、結果だけ見ると真意に気づきやすいと思います。
新型コロナウイルスによって心が疲弊しているのは大人も子どもも同じだ。学校再開に伴う子どもの心の変化や苦しみにすぐ気付いてあげることができれば、最悪の事態を防ぐこともできる。子どもから出されるSOSやその見分け方について、しっかり頭に入れておこう。
『JAM THE WORLD』のワンコーナー「CASE FILE」では、時代を映すニュースなキーワードを、リスナーの記憶にファイリングする。放送は月曜~木曜の19時25分頃から。
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放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
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