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新型コロナと熱中症は、症状が似ている…すぐできる予防法を医師が解説

画像素材:PIXTA 

新型コロナと熱中症は、症状が似ている…すぐできる予防法を医師が解説

夏のような暑さや日差しの強さを感じる日も増えてきた。外出自粛生活を送っていると、「久しぶりに外に出たら、思ったより気温が高いな」と感じたことはないだろうか。

体が少しずつ暑さに慣れていくことを、「暑熱馴化(しょねつじゅんか)」と呼ぶ。外出自粛によって暑熱馴化が起こらないと、汗をかいて体温を下げるという反応が鈍り、熱中症になりやすくなる――そう解説するのは、医師であり、「教えて!『かくれ脱水』委員会」の副委員長も務める谷口英喜さんだ。谷口さんによると、熱中症と新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)は症状が似ているため、医療体制がひっ迫する危険性もあるのだという。

暑い中でマスクを着用するという、これまでにない夏がやってくる。自分の健康を守るため、そして医療体制に影響を及ぼさないために、熱中症の原因や防ぎ方、そして対処法を知っておこう。

J-WAVEの番組『JAM THE WORLD』のワンコーナー「CASE FILE」では5月18日(月)~5月21日(木)、谷口さんが熱中症について解説した。谷口さんは、済生会横浜市東部病院の周術期支援センター長兼栄養部部長。


■外出自粛生活で熱中症にかかりやすくなる理由は?

熱中症とは、暑さで起こる体調不良のこと。暑さでぐったりする、食欲がない、頭が痛い、足がつった、筋肉が痛いなどの症状がすべて熱中症となる。最も多いのは軽度の熱中症だが、中等度、重度になるのを防ぐために、軽いうちに対処するのが大事だ。

外出自粛で熱中症にかかりやすくなる要因は、冒頭で解説した暑熱馴化が起こらないこと以外にもある。筋肉量の減少だ。

谷口:私たちが摂った水分は最終的に筋肉に蓄えられるので、筋肉量が少ないと水分を蓄える力が弱くなります。筋肉量は、一日じっとしていると、高齢者は1パーセント、若い人も0.5パーセント減っていくことが調査研究でわかっています。家の中でじっとしていると、筋肉量および水を溜めるリザーバーが減り、脱水症状になって熱中症になりやすいリスクがあるのです。

マスク着用でも、熱中症の危険性は高まる。口の中の体温と湿度が上昇してサウナ状態になり、それが全身に伝わって体温が上がることが理由の一つ。もう一つは、あまり喉が渇かなくなることだ。

谷口:マスクをしていると口の中の湿度が高くなり、あまり喉が渇かないので、水分補給が滞ってしまいます。さらに、マスクを外さないと水分補給はできませんが、今は人前でマスクを外すことは非常に気が引ける状況です。つまり、マスクで体温が上昇して口の中が乾かない状態になり、さらに水分補給を怠ってしまう。その結果、脱水症になって熱中症になりやすくなってしまうのです。


■新型コロナと似ている熱中症の症状とは

谷口さんは、これから熱中症患者が増加して医療体制に影響を及ぼすことを危惧している。単に病院にかかる人が増えるから、だけではない。実は新型コロナと熱中症は、発症したときと重症化したときの症状が似ているのだ。

谷口:新型コロナの症状は発熱、頭痛、寒気、倦怠感、筋肉痛や関節痛、味覚異常と言われています。熱中症も発熱、頭痛、気持ち悪くなる、関節痛、意識が遠のく、全身倦怠感、味覚異常といった症状が挙げられ、まったく同じ症状です。これらの症状を持つ患者さんが来たときに、医療従事者は熱中症と新型コロナのどちらかがわからない。つまり、例年なら通常の医療体制でよかったが、今年は「熱中症」ということで搬送されても、重装備でマスクや防護服を着用するなど、新型コロナの対策もしなければならなくなります。そうして受け入れなければ、新型コロナの感染をどんどん広げてしまう可能性があるからです。

新型コロナは、重症化すると肺炎や腎不全を起こして、人工呼吸器やECMO(体外式膜型人工肺)が必要とされている。熱中症も、重症化すると意識も呼吸もなくなり、ひどい場合には肺炎や腎不全を発症する。つまり、治療もまったく同じコースを辿るのだ。

谷口:熱中症の患者さんで病院がいっぱいになると、新型コロナ対策のために準備していた医療資源が、すべて熱中症の患者さんに使用することになり、今度は新型コロナ患者さんを受け入れられなくなるジレンマが予想されます。病院側が「熱中症の患者さんがたくさん来たらどうしよう」と危惧しているのが現状です。


■日常生活で熱中症を防ぐ体作りを

谷口さんによると、熱中症は対策をすればするほど発症する可能性をゼロに近づけることができるそうだ。今すぐ始められる対策は何か。

谷口:水分を体に溜める方法で最も大事なことは、食事をしっかり摂ることです。パンやごはん、カレーライスなどにも水分が入っているように、食事には水分がたくさん含まれています。1食あたり約500ミリリットルが含まれているので、3食で1500ミリリットルの水分補給ができます。人間は1日2.5~3リットルの水分補給が必要なので、食事から1.5リットル、あとの1~1.5リットルは水やお茶、ジュースなど、アルコール以外の飲み物から摂りましょう。

水分を溜める場所となる筋肉の維持も必要だ。

谷口:歩行が一番いいのですが、今は外出も気が引けます。座っている時間を少なくすることを心がけてください。立っているだけでも筋肉量を維持できるので、家の中で立っている時間を長くすることで水分溜める場所を維持できます。

暑いときに汗をかける体にしておくことも大切だ。入浴時に工夫してみよう。

谷口:シャワーを浴びるときにいつもより熱い温度にしたり、半身浴で長く入浴したりしてみてください。1日1回くらい発汗する機会をつくると、汗をかける体ができます。また、汗をかくには自律神経である交感神経と副交感神経の働きが活発である必要があります。このために重要なのが十分な睡眠です。睡眠中は神経の機能が回復するので、寝不足の人は熱中症になりやすいのです。十分な食事、十分な水分補給、立っている時間を作るなどの軽度な運動、そして十分な睡眠。この四つが、汗をかける体にするポイントです。


■熱中症になったら首筋、わきの下、足のつけ根を冷やそう

気をつけていても熱中症になってしまった場合は、どうすればよいか。重症化を防ぐ方法として、三つのポイントがある。

谷口:一つ目は暑いところから逃げること。外にいたら日陰に行く、室内にいたらエアコンを使うなどです。二つ目は体温を下げること。着衣をゆるめたり、扇風機やエアコンを使ったりします。三つ目は適切な水分補給。いちばん効果的なのは、塩分などの電解質と水を急速に補給してくれる「経口補水液」です。経口補水液はドラッグストアでも手に入り、点滴と同じなので、私たちは「飲む点滴」と表現しています。「熱中症になったかな」と思ったときは、暑さを避けて体を冷やし、脱水対策のために経口補水液を飲むことが大切です。

冷やすべき体の部位も覚えておきたい。

谷口:体の中の一番太い血管がある首筋、わきの下、足の付け根の3カ所を冷やります。決してやってはいけないのは、頭やおでこから水をかけることです。気持ちいいですが、体温を下げる効果はなく、根本的治療になりません。氷枕や冷たいものを太い血管に当てると心臓にすぐ到達し、心臓から全身に冷えた血液を運んでくれるので非常に効果的です。


■熱中症が重症かどうかを見極めるポイント

素人判断では、軽い熱中症なのか重症化しているのかはわかりにくい。軽い症状だと思って家で休んでいても、次第に重症化してしまうケースもある。医者にかかるかどうかを見極めるためのポイントは?

谷口:自分の力で水分補給ができるかどうか、意識がはっきりしているかどうかが大事です。ペットボトルやコップを自分の手で持って水分を補給できているか、時間や場所、自分の名前を言えるかどうか。きちんと水分補給ができないと、熱中症はどんどん進んでしまいます。自分の名前が言えなくなったら意識がおかしくなっているので、家にいるべきではありません。逆に、水分補給ができて意識がしっかりしていれば、家で治療していても大丈夫です。

熱中症は、体がまだ暑さに慣れていない5月から7月にかけて患者数が増えてくる。今年は新型コロナの影響もあり、熱中症患者が増えると医療機関のひっ迫が予想される。正しい知識をもって対策することで、熱中症にならないように一人一人が心がけることが重要だ。

『JAM THE WORLD』のワンコーナー「CASE FILE」では、時代を映すニュースなキーワードを、リスナーの記憶にファイリングする。放送は月曜~木曜の19時25分頃から。

【谷口さんによる解説1回目】2020年5月25日28時59分まで


【谷口さんによる解説2回目】2020年5月26日28時59分まで


【谷口さんによる解説3回目】2020年5月27日28時59分まで


【谷口さんによる解説4回目】2020年5月28日28時59分まで
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【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/ 

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