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キャッシュレス決済、一つに絞るのはまだ様子見を!経済評論家が選ぶ、2019年の注目ニュース

キャッシュレス決済、一つに絞るのはまだ様子見を!経済評論家が選ぶ、2019年の注目ニュース

J-WAVEで放送中の番組『JAM THE WORLD』(ナビゲーター:グローバー)のワンコーナー「UP CLOSE」。1月16日(水)のオンエアでは、水曜日のニュース・スーパーバイザーを務める安田菜津紀がお休みのため、経済評論家・加谷珪一さんを迎え「2019年注目の経済ニュース」について訊きました。


■5位:相次ぐ値上げとインフレ

今年の春から続々と、値上げが続きます。明治、ロッテ、森永製菓、グリコなど各社のアイスクリームをはじめ、コカ・コーラの飲料や「マルちゃん」の焼そば、味の素のコンソメなど、日常生活に密接に関わる商品が相次いで値上げになります。

加谷:この流れに各社が追随する可能性があると考えています。
グローバー:これらの値上げはどのような背景があるからなのでしょうか?
加谷:原材料価格と国内の人件費が原因です。原材料価格は、東南アジアとか経済成長する国が非常に多いため、基本的に世界中はインフレで、輸入すると値段が上がります。また、物流に関わる若手の労働者を確保しようと思うと、パートなどの賃金がうなぎ上りなので、コストを圧迫しています。今まではステルス値上げと言って、商品の容量を少しずつ減らしてきましたが、「さすがに気づくぞ」というレベルにまで達しているので、メーカーは商品の価格を上げはじめました。
グローバー:でも、賃金は上がってほしいですよね?
加谷:春闘は政府主導ではなく労使交渉になり、ある程度は賃上げしそうですけど、中小企業も含めて全てに賃上げが浸透しているかと言うと、そうじゃないです。


■4位:不動産が正念場

加谷:今、マンションの値段が上昇しています。首都圏では過去8年間で25パーセントくらい上がり、平均価格が少し前まで4,700万円だったのに、現在は5,900万円にまで上昇しています。これがオリンピック特需でマンション価格がガクッと下がってくれるのかと言うと、そうでもないかもしれません。

昨年に発表された地価を調査する統計では、全てをプラスに転換してようやく日本は不動産の価格が底を打ったそうです。

加谷:この統計を見ると2極化がハッキリしていています。首都圏や地方中核都市、商業地の地価が上がる一方で、住宅地は下がったりしています。さらに、地方でも中核都市ではない場所の地価はまだ下がっています。
グローバー:新しい住居を考えている人たちはどのようなポイントで不動産を選べばよいのでしょうか?
加谷:首都圏在住の人は当然、首都圏にマンションを買いたいわけですよね。地価の調査からすると首都圏は全然下がらないことになるので、もう買ってしまった方がいい人もいると思います。今年は消費税の増税もあるので、マイホームを考えている人にとっては本当に人生のなかで極めて大きな決断の年になると思います。


■3位:キャッシュレス元年

政府は「キャッシュレスをすればサービスがある」「2025年までにはキャッシュレス決済の比率を40パーセントまで高めたい」と言っていますが、セキュリティなどの問題もあり、「現金の方がいい」という人も少なくない状況です。

加谷:これまでは「現金とキャッシュレスのどちらが便利か」という話でしたが、今は現金を取り扱うコストがあまりにも多額なので、企業が耐えられなくなっています。銀行はATMの維持に年間で約2兆円ものコストがかかり、これが負担だと音を上げ始めている。これをちゃんと維持しようとなるとATMの手数料をどんどん上げていかないと厳しい状況になっていて、銀行としては全て電子マネーにしてもらった方が楽なんです。

また、加谷さんは飲食店を例に出し、こう話します。

加谷:飲食店に現金があると店員の緊張度や仕事のレベルが上がります。ちゃんとお金を管理しなくてはいけないし、釣り銭のために銀行に行き来しなくてはいけない。このための人件費がけっこうな金額になっています。今、人手不足のなか現金があるおかげで、人のやりくりが大変だというお店が多いんです。このような状況を受けて、政府は半ば強制的にキャッシュレスを進めようと考えています。
グローバー:しかし、インフラを投資する必要やセキュリティの心配が出てきますよね?
加谷:インフラの投資で言うと、昨年出てきたPayPay(ペイペイ)や新しいQRコード決済は店舗側にほとんど負担がありません。セキュリティの問題は被害をゼロにすることはできないけど、現金も盗まれるリスクがあります。最初はキャッシュレス化によっていくつかのトラブルがあるかもしれませんが、テクノロジーで乗り越えることができると思います。

キャッシュレス決済の種類が増えるなか、加谷さんは「いろんな会社がキャッシュレス決済に参入しているが、この状態がずっと続くとは思えない」と話し、「一つに選ぶのは、少し様子を見た方がいい」とアドバイスしました。


■2位:働き方改革関連法の施行

加谷:この法律自体は非常にいい法律だと思っています。ただ、4月から施行されるにも関わらず準備が整っていない会社が多いんです。この法案は業務のムダを洗い出し、それを削っていくことで結果として残業が減るという内容です。しかし、この法案が施行されると罰則規定があるので企業はそればかり考えてしまい、「何でもいいから残業を減らしてしまえ」ということをしている会社が多いんです。
グローバー:そうなると、ムダな業務はなくならず、会社は残業代も払えないため、社員は家でサービス残業をすることになりますよね?
加谷:その通りです。家に仕事を持ち帰る場合に加え、下請け会社や取引先に仕事を押しつけてしまう企業もけっこうあると思います。他にも、外注先を増やすことでかえってコストが増えてしまい利益が減ってしまうなど、いろいろな問題が出てきています。業務のムダを見直すという、法律のいちばん重要な部分に立ち返る必要があると考えています。


■1位:消費税の増税

政府は今年10月から消費税を10パーセントに引き上げる方針です。

加谷:本来、消費税は政府が徴収したら政府支出として出ていくものなので、経済学的には国民の所得が減るわけではなく、景気に大きな影響を与えるものではありません。しかし、景気の基礎体力が弱いときに増税をすると、消費者はものが高くなるという印象が強くなり守りに入ってしまいます。
グローバー:買い控えをしてしまいますよね。
加谷:日本の基礎体力が弱いっていうことなんですよね。
グローバー:景気がいい、と言われても誰もそうは思っていないのが本音ですからね。

政府はキャッシュレス決済でポイントを還元するなど対策を進めるなか、私たちはどのように増税を迎えればよいのでしょうか?

加谷:政府として緊急で対策を打ちたい気持ちも分からなくはないですが、せっかく増税してそれをただ還元するだけだとあまり意味がなく、短期的な対策に終わってしまいます。消費者としては、徹底的に消費をすることが重要だと考えています。中小の店でキャッシュレス決済をするとポイント還元がたくさんあるということなので、これをきっかけにキャッシュレスを考えてみることもいいですし、それをうまく利用してさらに消費するということをどんどんした方がいいと思います。ただ、「還元があるから何かを買う」となると本末転倒なので、ムダな消費は控えるようにコントロールすることも必要です。

ぜひ加谷さんのアドバイスを参考にしてみてください。今年の経済動向にも注目です。

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【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/

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