J-WAVEで放送中の番組『JAM THE WORLD』（ナビゲーター：グローバー）のワンコーナー「UP CLOSE」。10月15日（火）のオンエアでは、月曜日のニュース・スーパーバイザーを務める津田大介が登場。作家・思想家の東 浩紀さんをお迎えし、「安倍政権の最後の3年」をテーマにお届けしました。
■リベラル派は現実逃避をしているだけ
9月に行われた自民党総裁選挙に勝利し、連続3選を果たした安倍首相。自民党のルールでは総裁任期が連続3期9年までとなるため、2021年9月までの任期が、これからの安倍政権にとっての最後の3年になります。
まずは9月の自民党総裁選挙の結果に注目しました。
津田：石破 茂さんが思ったよりも善戦したという話もありましたよね。
東：大前提として、政権交代は大事なことだと思いますが、自民党の中で反安部が強くなることで、日本がよくなるとは思いません。これほど自民党総裁選挙に一喜一憂しなくてはいけないという、今の政治を巡る日本の論壇の状況が大問題だと思います。今回の石破さんが善戦して、リベラル派は「よくやった」と言っているけど、結果は負けているわけです。
津田：あと、かつて石破さんは、自民党でも相当な保守派と言われていましたよね。
東：そうです。なのに、安倍政権を批判しているだけで、なぜかリベラル派は石破さんを自分たちの味方だと思っている。リベラル派の悪いクセが出ているわけです。たとえポスト安倍政権が石破さんになったからといって、リベラル派が望むような政策が実現するのかは疑問なので、「石破さんが善戦したから、もう安倍政権は役立たずだ」と言うリベラル派の方々は、現実逃避をしているだけだと思います。
■ポスト安部首相に変わる人材を提案できていない
安倍政権の最後の3年で野党が建て直らなければ、極端な話、自民党の総裁任期である「連続3期9年」というルールが改定され、3年後も安倍政権が続く恐れがあると東さんは指摘します。
東：多くの人が安倍政権の批判はするけど、ポスト安部に変わる人材を提案できていない。安倍政権が「選挙やれば俺たちが勝つよね」と思っている限り、彼らは何でもできてしまいます。
津田：自民党以外の選択肢として、野党が実際の投票先として影響力を行使するためには、野党共闘をするしかないと思いますが。
東：野党共闘も確かですが、その前に政権交代の筋道がほしいですよね。良識ある声に耳を傾けるより、とりあえず目の前の知名度で人を選んで選挙に挑もうと、野党もしている現状があります。そういう精神で野党共闘をしたとしても崩壊すると思います。
津田：そう考えると、野党が立て直していくためには、かなりの時間が必要になりますよね。
東：でもこれから3年あるわけですよ。この期間に野党は安倍政権に変わる政策を柱として持ち、それに納得する人たちを糾合するような政治勢力を地道に作ることが必要だと考えます。自民党内のルールで安倍政権が終わる時に、自民党がそのルールを改正してまで安倍政権を続けることができないようにどうするかを、野党は考えるべきだと思います。
■憲法改正は日本国民の問題
続いて、安倍政権が進める憲法改正についての話題になりました。
津田：憲法改正は来年夏の参院選がポイントになると思います。参院選で改憲勢力が3分の2を割るようなことがあると、憲法改正は難しくなる。だからこそ、自民党の麻生派が来年の参院選までに憲法改正の発議と国民投票までいこうという話をしていますよね。
東：来年の参院選までに国民投票が行われないのであれば、おそらく参院選で憲法改正を論点にはしないでしょうね。護憲か改憲かの枠組みに持ち込まれた瞬間に、自民党は苦戦を強いられるので。でも、これは安倍政権の問題ではなく、日本国民の問題であると思います。日本人は「自分たちが変わりたくない」という思いが強く、保守的で、変えることは悪いことだと思うふしがある。その感情に訴えかければ議論ではなくとも改憲反対が勝てるわけです。そのことが野党の憲法に関する議論を怠惰なものにしてきたと感じています。そのため、残念なことではありますが、現実的に日本で憲法を論点とした選挙は行えないと思います。
この日は他にも、沖縄県知事選についても議論が交わされました。radikoでチェックしてみてください。
次回、10月16日（火）の「UP CLOSE」は作家・平野啓一郎さんをお迎えし、「今の日本、これからの日本」について、ジャーナリストの青木 理と徹底議論します。お聴きのがしなく！
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【番組情報】
番組名：『JAM THE WORLD』
放送日時：月・火・水・木曜 19時－21時
オフィシャルサイト：https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld
■リベラル派は現実逃避をしているだけ
9月に行われた自民党総裁選挙に勝利し、連続3選を果たした安倍首相。自民党のルールでは総裁任期が連続3期9年までとなるため、2021年9月までの任期が、これからの安倍政権にとっての最後の3年になります。
まずは9月の自民党総裁選挙の結果に注目しました。
津田：石破 茂さんが思ったよりも善戦したという話もありましたよね。
東：大前提として、政権交代は大事なことだと思いますが、自民党の中で反安部が強くなることで、日本がよくなるとは思いません。これほど自民党総裁選挙に一喜一憂しなくてはいけないという、今の政治を巡る日本の論壇の状況が大問題だと思います。今回の石破さんが善戦して、リベラル派は「よくやった」と言っているけど、結果は負けているわけです。
津田：あと、かつて石破さんは、自民党でも相当な保守派と言われていましたよね。
東：そうです。なのに、安倍政権を批判しているだけで、なぜかリベラル派は石破さんを自分たちの味方だと思っている。リベラル派の悪いクセが出ているわけです。たとえポスト安倍政権が石破さんになったからといって、リベラル派が望むような政策が実現するのかは疑問なので、「石破さんが善戦したから、もう安倍政権は役立たずだ」と言うリベラル派の方々は、現実逃避をしているだけだと思います。
■ポスト安部首相に変わる人材を提案できていない
安倍政権の最後の3年で野党が建て直らなければ、極端な話、自民党の総裁任期である「連続3期9年」というルールが改定され、3年後も安倍政権が続く恐れがあると東さんは指摘します。
東：多くの人が安倍政権の批判はするけど、ポスト安部に変わる人材を提案できていない。安倍政権が「選挙やれば俺たちが勝つよね」と思っている限り、彼らは何でもできてしまいます。
津田：自民党以外の選択肢として、野党が実際の投票先として影響力を行使するためには、野党共闘をするしかないと思いますが。
東：野党共闘も確かですが、その前に政権交代の筋道がほしいですよね。良識ある声に耳を傾けるより、とりあえず目の前の知名度で人を選んで選挙に挑もうと、野党もしている現状があります。そういう精神で野党共闘をしたとしても崩壊すると思います。
津田：そう考えると、野党が立て直していくためには、かなりの時間が必要になりますよね。
東：でもこれから3年あるわけですよ。この期間に野党は安倍政権に変わる政策を柱として持ち、それに納得する人たちを糾合するような政治勢力を地道に作ることが必要だと考えます。自民党内のルールで安倍政権が終わる時に、自民党がそのルールを改正してまで安倍政権を続けることができないようにどうするかを、野党は考えるべきだと思います。
■憲法改正は日本国民の問題
続いて、安倍政権が進める憲法改正についての話題になりました。
津田：憲法改正は来年夏の参院選がポイントになると思います。参院選で改憲勢力が3分の2を割るようなことがあると、憲法改正は難しくなる。だからこそ、自民党の麻生派が来年の参院選までに憲法改正の発議と国民投票までいこうという話をしていますよね。
東：来年の参院選までに国民投票が行われないのであれば、おそらく参院選で憲法改正を論点にはしないでしょうね。護憲か改憲かの枠組みに持ち込まれた瞬間に、自民党は苦戦を強いられるので。でも、これは安倍政権の問題ではなく、日本国民の問題であると思います。日本人は「自分たちが変わりたくない」という思いが強く、保守的で、変えることは悪いことだと思うふしがある。その感情に訴えかければ議論ではなくとも改憲反対が勝てるわけです。そのことが野党の憲法に関する議論を怠惰なものにしてきたと感じています。そのため、残念なことではありますが、現実的に日本で憲法を論点とした選挙は行えないと思います。
この日は他にも、沖縄県知事選についても議論が交わされました。radikoでチェックしてみてください。
次回、10月16日（火）の「UP CLOSE」は作家・平野啓一郎さんをお迎えし、「今の日本、これからの日本」について、ジャーナリストの青木 理と徹底議論します。お聴きのがしなく！
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