俳優の寛一郎が、役と自分の関係や影響を受けた映画、17歳でロサンゼルスを訪れた経験について語った。
寛一郎が登場したのは、クリス智子がお届けする『TALK TO NEIGHBORS』。この番組は毎週ひと組、クリスが今、声を届けたい人を迎える30分のトークプログラム。月曜から木曜はラジオでオンエアし、翌金曜には放送した内容に加えて、限定トークも含むポッドキャストを配信している。
ここでは、8月25日(火)にオンエアしたトーク内容(ポッドキャストのエピソード2)をテキストで紹介する。
・ポッドキャストページ
まず、クリスが「自分に似ている役と似ていない役では、どちらが演じていて楽しいですか」と尋ねると、寛一郎は「難しいですけど、似ている役のほうが楽しいかなと思います」と答えた。
寛一郎:すごく似ている部分というか、自分が理解できる役をやらせてもらうことが多かったんです。逆に、自分から離れすぎている役はあまりやってきていないので。
クリス:自分に近いと思う部分がある役のほうが、演じることに楽しく飛び込めるということですか?
寛一郎:楽しいかと言われると……難しいな(笑)。
クリス:質問が「楽しいですか?」になっていますからね(笑)。仕事ですもんね。
寛一郎:もちろん、楽しい部分や面白い部分もあるんですが、やっぱり自分が知っている近しいものから役を広げていったほうが……。インタビューで「〇〇役と共通する部分はありますか?」と訊かれる際に、共通する部分というか、僕の考え方的には、その役も僕自身ではあるんですよ。だから、ほとんど「僕ではありますね」と言うんです。
クリス:似ていない役のほうが、思い切ってハチャメチャにやれるのかと思っていました。
寛一郎:そうですね。でも、「そこに真実性はあるのか」と訊かれたときに、まったく理解できない役をかたちとしてやってしまうと、僕のなかでは違うのかなという気がして。すごく遠く離れていても、一部に自分と似ているところや、自分がわかる部分がある役。そう考えると「似ていない役なんてないんじゃないか」とも思えてきます。
クリス:俳優ではない人よりも、そういう(違った一面を持つ)自分に気づく場面が多いということですよね。
寛一郎:そうなんですよ。「あ、俺もそうだな」ということとか。ただ、自分が公言してしまっているので、すごく恥ずかしい気持ちもありますし、自分の弱い部分と向き合わなきゃいけない時間も多いなとは思います。
クリス:迅は少し不思議なところがあって、捉えどころのないような空気を持っていて、でも一緒にいるときは確かにそこにいる感じがありました。あの役はどうでしたか?
寛一郎:この作品だけじゃなくて、その近辺に撮影していた作品では、失踪したり、いなくなったりする役がけっこう多くて。その時期は、自分が消えたいとまでは言えないですが、「どこかに行きたいな」と思っていた時期だったんだと思います。迅のつかめなさというか、人との関わりは好きだけど、そこに責任を持ちたくない感じや少しでも負荷がかかると離れていってしまう、というのは自分のなかにもすごくあった気がしますね。
クリス:最近は人とつながる機会もツールも多いから、密になりすぎると、さっと遠ざかりたいと思うときはありませんか?
寛一郎:ありますね。だから、僕はひとりの時間が多いかもしれないです。
クリス:いいと思います。迅という役が来たときに、「こういう気持ち、今わかるな」って感じだったんですかね。
寛一郎:そうでしたね。不思議なもので、そう思っている時期にそういう役が来てくれたり、ご縁で出会ったりする機会が多かった気がします。
寛一郎:今みたいにサブスクはなかったので、TSUTAYAに行ってDVDを借りていましたね。それまでもコンスタントに映画は観ていたんですが、役者を始めようと思って、すごくたくさん映画を観た時期もありました。そこで好きだったのはフランス映画などのヨーロッパ映画で。ヨーロッパ映画の空気感みたいなものが観ていて心地よかった……本当はどこか不気味な感じがあるんですけど、その気持ち悪さが心地よかったみたいな時期がありました。
クリス:とても「なるほど」という気がします、雰囲気が。フランス語は話すんですか?
寛一郎:いや、でも『たしかにあった幻』でフランス語を話しました。
クリス:そうでしたね。フランス映画って、若いころは答えがないまま観客に投げられる感じがあって、その雰囲気にのまれていた気がするんです。憧れはすごく強かったんですけど。
寛一郎:僕も憧れはあったと思います。「なんか、かっこいいな」というのもありますし、父親はアメリカ映画が好きだったので『ゴッドファーザー』を含め、昔のアメリカ映画のかっこよさは小さいころから観させてもらっていました。でも、自分で能動的に映画を観るようになって、ヨーロッパ映画を観たときに「こっちの世界もあるんだ」と、今まで観てきたものとは対極というか。逆のかっこよさ、静かな心地よさにすごく惹かれました。でも、もちろんアメリカ映画も邦画も好きですし、邦画で僕の青春だったのは『桐島、部活やめるってよ』でしたね。
クリス:そこが青春なんですね。
寛一郎:16歳とか17歳で、ぴったりだったんです。僕の世代の人たちは、やっぱりそう思うんじゃないですか。あれはすごく青春で面白かったですね。
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クリス:それは外の世界に興味があって?
寛一郎:そうですね。漠然と英語もしゃべりたいな、とも思っていて。それで親父が「じゃあ、俺の親友に会ってこい」と言ってくれて、それが真田広之さんで。今思うんですが、すごい話だなと(笑)。
クリス:(笑)。真田さんを訪ねて。
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寛一郎:そのときはもう役者をやろうと思っていたので、いろんな話を聞きました。17歳ぐらいだったので「ハリウッドはどうなんですか?」とか、バカなふりをしてなんでも訊けて、それにもすごく真摯に答えてくれて。すごくパワーを感じる人でしたね。
ロサンゼルスは、寛一郎にとって初めての海外での長期滞在でもあったという。
クリス:ひとりで普段とはまったく違う環境に行くことは、大きな経験だったと思います。
寛一郎:行ってよかったです。東京にいたら親も近いですし、そうじゃないところに行って、開放的でしたね。
クリス:真田さんの言葉で、特に印象に残っていることはありますか。
寛一郎:(役者について自分は)普通の人よりは知っていたけど、まったくその現場を知らない。百聞は一見にしかずじゃないですけど、無知な人間だったのでどこか最短距離を求めてしまうところがあって。そういう話を真田さんにしていたら、「そんな最短距離を行けることは、たぶんない」と言われたんです。「君はまだ若いからいいけど、僕みたいな年齢になると、『急がば回れ』と言っても、そんなに回っている時間もない。だから僕は急いで回るんだ。」と仰っていて。そのときは本当の意味まではわかっていなかったですが、「たしかに、急いで回ることもできるのかな」って。真田さんの、ちゃんと一歩一歩踏みしめながら、でもゆっくりではなく早足で結果に向かって進もうとしている。その言葉はすごく印象に残っていますね。
クリス:(今年でデビュー10年目ですが)、10年くらい経つと「やってきた」って感じですか?
寛一郎:どうなんですかね。自分が10年やっている実感もないんですよね。急いで回れているのかすらわからないですし、すごく回り道をしてしまったな、と思うところもありますし。でも、前よりは自分のことをわかっているかな、というのはあります。
クリス:直球で答えがあるといいですけど、そうじゃない道を行くからこそ自分らしくなっていくんですかね。
寛一郎:そうですね。前に、本の目次を見て、読みたい章だけを読む人がいて、それもいいなと思ったんですけど、意外と自分が読みたいと思わない章に本質があったり、大事なキーワードがあったりするので。だから、これからの30代は、そういうものも含めて回り道をしながら、急いで回りたいなと思っています(笑)。
寛一郎の最新情報はユマニテの公式サイトまで。
クリス智子がお届けする『TALK TO NEIGHBORS』は、J-WAVEで月曜~木曜の13時よりオンエア。ポッドキャストでも配信中。
寛一郎が登場したのは、クリス智子がお届けする『TALK TO NEIGHBORS』。この番組は毎週ひと組、クリスが今、声を届けたい人を迎える30分のトークプログラム。月曜から木曜はラジオでオンエアし、翌金曜には放送した内容に加えて、限定トークも含むポッドキャストを配信している。
ここでは、8月25日(火)にオンエアしたトーク内容(ポッドキャストのエピソード2)をテキストで紹介する。
・ポッドキャストページ
演じる役は「ほとんど僕」
2017年に俳優デビューし、近年ではNHK連続テレビ小説『ばけばけ』や映画『爆弾』『箱の中の羊』などの話題作に出演している寛一郎。まず、クリスが「自分に似ている役と似ていない役では、どちらが演じていて楽しいですか」と尋ねると、寛一郎は「難しいですけど、似ている役のほうが楽しいかなと思います」と答えた。
寛一郎:すごく似ている部分というか、自分が理解できる役をやらせてもらうことが多かったんです。逆に、自分から離れすぎている役はあまりやってきていないので。
クリス:自分に近いと思う部分がある役のほうが、演じることに楽しく飛び込めるということですか?
寛一郎:楽しいかと言われると……難しいな(笑)。
クリス:質問が「楽しいですか?」になっていますからね(笑)。仕事ですもんね。
寛一郎:もちろん、楽しい部分や面白い部分もあるんですが、やっぱり自分が知っている近しいものから役を広げていったほうが……。インタビューで「〇〇役と共通する部分はありますか?」と訊かれる際に、共通する部分というか、僕の考え方的には、その役も僕自身ではあるんですよ。だから、ほとんど「僕ではありますね」と言うんです。
クリス:似ていない役のほうが、思い切ってハチャメチャにやれるのかと思っていました。
寛一郎:そうですね。でも、「そこに真実性はあるのか」と訊かれたときに、まったく理解できない役をかたちとしてやってしまうと、僕のなかでは違うのかなという気がして。すごく遠く離れていても、一部に自分と似ているところや、自分がわかる部分がある役。そう考えると「似ていない役なんてないんじゃないか」とも思えてきます。
クリス:俳優ではない人よりも、そういう(違った一面を持つ)自分に気づく場面が多いということですよね。
寛一郎:そうなんですよ。「あ、俺もそうだな」ということとか。ただ、自分が公言してしまっているので、すごく恥ずかしい気持ちもありますし、自分の弱い部分と向き合わなきゃいけない時間も多いなとは思います。
「どこかに行きたい」と思っていた時期だった
今年2月に公開された河瀨直美監督の映画『たしかにあった幻』で、寛一郎は主人公・コリーの恋人で、ある日、突然姿を消す青年・迅を演じた。寛一郎が同作を撮影した時期には、失踪したり、いなくなったりする人物を演じる機会が重なっていたという。映画『たしかにあった幻』予告編
寛一郎:この作品だけじゃなくて、その近辺に撮影していた作品では、失踪したり、いなくなったりする役がけっこう多くて。その時期は、自分が消えたいとまでは言えないですが、「どこかに行きたいな」と思っていた時期だったんだと思います。迅のつかめなさというか、人との関わりは好きだけど、そこに責任を持ちたくない感じや少しでも負荷がかかると離れていってしまう、というのは自分のなかにもすごくあった気がしますね。
クリス:最近は人とつながる機会もツールも多いから、密になりすぎると、さっと遠ざかりたいと思うときはありませんか?
寛一郎:ありますね。だから、僕はひとりの時間が多いかもしれないです。
クリス:いいと思います。迅という役が来たときに、「こういう気持ち、今わかるな」って感じだったんですかね。
寛一郎:そうでしたね。不思議なもので、そう思っている時期にそういう役が来てくれたり、ご縁で出会ったりする機会が多かった気がします。
ヨーロッパ映画の気持ち悪さが心地よかった
これまでに、何度も繰り返し観ている映画があるかとクリスが尋ねると、寛一郎は「ありましたね」と振り返った。寛一郎:今みたいにサブスクはなかったので、TSUTAYAに行ってDVDを借りていましたね。それまでもコンスタントに映画は観ていたんですが、役者を始めようと思って、すごくたくさん映画を観た時期もありました。そこで好きだったのはフランス映画などのヨーロッパ映画で。ヨーロッパ映画の空気感みたいなものが観ていて心地よかった……本当はどこか不気味な感じがあるんですけど、その気持ち悪さが心地よかったみたいな時期がありました。
クリス:とても「なるほど」という気がします、雰囲気が。フランス語は話すんですか?
寛一郎:いや、でも『たしかにあった幻』でフランス語を話しました。
クリス:そうでしたね。フランス映画って、若いころは答えがないまま観客に投げられる感じがあって、その雰囲気にのまれていた気がするんです。憧れはすごく強かったんですけど。
寛一郎:僕も憧れはあったと思います。「なんか、かっこいいな」というのもありますし、父親はアメリカ映画が好きだったので『ゴッドファーザー』を含め、昔のアメリカ映画のかっこよさは小さいころから観させてもらっていました。でも、自分で能動的に映画を観るようになって、ヨーロッパ映画を観たときに「こっちの世界もあるんだ」と、今まで観てきたものとは対極というか。逆のかっこよさ、静かな心地よさにすごく惹かれました。でも、もちろんアメリカ映画も邦画も好きですし、邦画で僕の青春だったのは『桐島、部活やめるってよ』でしたね。
クリス:そこが青春なんですね。
寛一郎:16歳とか17歳で、ぴったりだったんです。僕の世代の人たちは、やっぱりそう思うんじゃないですか。あれはすごく青春で面白かったですね。
【関連記事】朝井リョウが「めちゃくちゃ読んでほしい」と絶賛。“人に慕われる理由”が浮かび上がる一冊
“急がば回れ”を急いで回ること
17歳のころ、寛一郎は数カ月間、ロサンゼルスへ留学していたという。クリス:それは外の世界に興味があって?
寛一郎:そうですね。漠然と英語もしゃべりたいな、とも思っていて。それで親父が「じゃあ、俺の親友に会ってこい」と言ってくれて、それが真田広之さんで。今思うんですが、すごい話だなと(笑)。
クリス:(笑)。真田さんを訪ねて。
【関連記事】『SHOGUN 将軍』の日本人キャストはこうして決まった。キャスティング・ディレクター川村恵が語る舞台裏
寛一郎:そのときはもう役者をやろうと思っていたので、いろんな話を聞きました。17歳ぐらいだったので「ハリウッドはどうなんですか?」とか、バカなふりをしてなんでも訊けて、それにもすごく真摯に答えてくれて。すごくパワーを感じる人でしたね。
ロサンゼルスは、寛一郎にとって初めての海外での長期滞在でもあったという。
クリス:ひとりで普段とはまったく違う環境に行くことは、大きな経験だったと思います。
寛一郎:行ってよかったです。東京にいたら親も近いですし、そうじゃないところに行って、開放的でしたね。
クリス:真田さんの言葉で、特に印象に残っていることはありますか。
寛一郎:(役者について自分は)普通の人よりは知っていたけど、まったくその現場を知らない。百聞は一見にしかずじゃないですけど、無知な人間だったのでどこか最短距離を求めてしまうところがあって。そういう話を真田さんにしていたら、「そんな最短距離を行けることは、たぶんない」と言われたんです。「君はまだ若いからいいけど、僕みたいな年齢になると、『急がば回れ』と言っても、そんなに回っている時間もない。だから僕は急いで回るんだ。」と仰っていて。そのときは本当の意味まではわかっていなかったですが、「たしかに、急いで回ることもできるのかな」って。真田さんの、ちゃんと一歩一歩踏みしめながら、でもゆっくりではなく早足で結果に向かって進もうとしている。その言葉はすごく印象に残っていますね。
クリス:(今年でデビュー10年目ですが)、10年くらい経つと「やってきた」って感じですか?
寛一郎:どうなんですかね。自分が10年やっている実感もないんですよね。急いで回れているのかすらわからないですし、すごく回り道をしてしまったな、と思うところもありますし。でも、前よりは自分のことをわかっているかな、というのはあります。
クリス:直球で答えがあるといいですけど、そうじゃない道を行くからこそ自分らしくなっていくんですかね。
寛一郎:そうですね。前に、本の目次を見て、読みたい章だけを読む人がいて、それもいいなと思ったんですけど、意外と自分が読みたいと思わない章に本質があったり、大事なキーワードがあったりするので。だから、これからの30代は、そういうものも含めて回り道をしながら、急いで回りたいなと思っています(笑)。
寛一郎の最新情報はユマニテの公式サイトまで。
クリス智子がお届けする『TALK TO NEIGHBORS』は、J-WAVEで月曜~木曜の13時よりオンエア。ポッドキャストでも配信中。
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2026年9月1日28時59分まで
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番組情報
- TALK TO NEIGHBORS
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月・火・水・木曜13:00-13:30
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クリス智子
