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アジア最強のフリースタイルフットボーラーYu-ri、靭帯損傷の挫折を救った

アジア最強のフリースタイルフットボーラーYu-ri、靭帯損傷の挫折を救った"ドライブ"と世界チャンピオンへの夢

フリースタイルフットボール選手のYu-riさんが、サッカーのリフティングをベースとする同スポーツに熱中した経緯や、靭帯損傷の怪我によって味わった挫折とそこからの復活、そして次なる目標達成に向けた意気込みなどについて語った。

Yu-riさんは1998年5月1日生まれの27歳。現在ワールドランキング13位に位置する、アジア最強のプレイヤーだ。

Yu-riさんが登場したのは、俳優の小澤征悦がナビゲーターを務めるJ-WAVEの番組『BMW FREUDE FOR LIFE』(毎週土曜 11:00-11:30)。同番組は、新しい時代を切り開き駆け抜けていく人物を毎回ゲストに招き、BMWでの車中インタビューを通して、これまでの軌跡や今後の展望に迫るプログラムだ。

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街の広場で見かけたプレイヤーに一目惚れ

フリースタイルフットボールは、サッカーのリフティングを基本とし、音楽に合わせて足や頭でボールを操るスポーツ。もともとは大道芸やショーとして発展してきたが、近年では世界各地で大会が開かれるなど競技としての側面が強くなっている。

そんなフリースタイルフットボールの世界で名を馳せるYu-riさんを乗せた「BMW X3 20d xDrive M Sport」は六本木ヒルズを出発。Yu-riさんは子どもの頃からボール遊びが好きで、小学生時代にはサッカーに夢中だったという。では、どのタイミングでフリースタイルフットボールの存在を知ったのだろうか?

Yu-ri:中学2年生の頃ですね。僕の家は転勤族で。長野県から移り住んだ徳島県内を親が運転する車でドライブ中、街の広場に差し掛かりました。そのとき、たまたま見かけたすごい足技でボールを操っているプレイヤーに一目惚れしまして。車を降り、いきなり声をかけたことがフリースタイルフットボールとの出会いでした。サッカーも楽しかったのですが、隙間時間を見つけてはリフティングなどの足技を練習するようになっていて。自分が本当にやりたいことはサッカーではなく、リフティングなのだと途中で気が付いたんです。それからは、最初の師匠にあたる方と親交を深め、フリースタイルフットボールについて、いろいろと教えてもらううちにどんどん魅力に惹かれていき、高校に進学したらフリースタイルフットボール一本に絞って「プロになってやろう」と決めました。

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初の世界大会でいきなりベスト32入賞

プロになると決意したからには、練習あるのみ。高校進学後、サッカー経験はあれど、フリースタイルフットボーラーとしてはビギナーだったYu-riさんが最初に始めたこととは?

Yu-ri:フリースタイルフットボールの練習方法は、ビギナーとベテランで全く異なります。ビギナーの多くは、自分のアイドルとなるフリースタイルフットボーラーを何人か見つけてその人の技を真似して練習し、足元のコントロール技術やスキルを磨いていきます。リフティング上達のためには、経験が何よりも大切です。すぐにパッとできるものではなく、何回も失敗を繰り返すことにより、少しずつ体で覚えていくほかありません。特にフリースタイルフットボールといえば「回し技」のイメージが強いと思いますが、この足でボールを回す技が実は一番難しいとされています。最初は1回転くらいしかできないんですけど、たくさん練習を重ねていくとあるとき、一気に連続でできるようになるんです。僕も日に日に回数が5回増えたり、急に1日で10回最高記録が伸びたり。そういう瞬間にすごく興奮したことをよく覚えています。

初心者が上達するうえで欠かせないアイドルの存在。Yu-riさんの場合、それは南アフリカの「カマリオ」という選手だったそう。憧れの名手を参考に日々鍛錬を重ねた結果、高校生日本一を決める大会「HIGH SCHOOL NO.1」で見事優勝し、国内のシーンにその名を轟かせた。大学進学を機に上京した後も国内の大会で好成績を維持し、いよいよ世界の舞台に挑戦することとなった。

Yu-ri:2018年にチェコで開催された「Super Ball」が僕にとって初の世界大会でした。当時の僕は20歳になる年。既にスタイルも確立していたので、出場するにはいいタイミングだと考えました。出場選手数は総勢600人。スケジュールは1週間かけて何度も予選を行うという過密日程でした。個人的には予選を2回勝ち抜ければ上出来と思っていたのですが、意外と調子がよく、いきなりベスト32に入賞することができたんです。そこから世界のプレイヤーからも注目してもらえるようになりました。

24年に憧れのレッドブルと契約

「BMW X3 20d xDrive M Sport」は、Yu-riさんが上京した頃に心のリセットのためによく訪れたという井の頭公園に到着。現在世界ランキング13位でアジア最強の選手となったYu-riさんだが、彼をプロアスリートとしてステップアップさせたのが2024年、憧れのチーム・レッドブルとの契約だった。

Yu-ri:以前レッドブルアスリートとして活躍されていた徳田耕太郎選手が競技から引退されるタイミングで、次に世界に向けて日本をけん引できるレッドブルアスリートとして、僕のことをプッシュしてくれたことがきっかけとなり、レッドブルとの契約に至りました。それによって変わったのは、マインドです。僕にとってレッドブルアスリートとしてフリースタイルフットボールの魅力を世界に発信することは幼少期からの夢でした。そのため、レッドブルのウエアを着用しキャップを被ると、毎回ものすごいプレッシャーを感じます。ですが、その重圧が自分を駆り立てて、今まで優勝できなかったようなレベルの大会で勝てるようになったり、「絶対勝てないだろう」と周りが思うような試合をひっくり返せたり。僕にとって大きなターニングポイントとなる契約でした。

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10代の頃から憧れだった看板を背負ったYu-riさんはプロ意識が高まり、これまで以上に高いステージで戦える選手へと成長していった。もちろん大会での好成績を支えているのは、日々のトレーニングに他ならない。普段はどんなペースで練習しているのだろうか?

Yu-ri:普段の練習は大体週5日から6日、スタジオで3~4時間ほど行っています。また、僕はスタイルの中でブレイクダンスのムーブをはじめとしたダンスの要素を取り入れているのですが、ボールを使わない体術の練習にも時間を割いています。スタジオで練習する理由は、格好よさを追求することも大切な競技なので、決めポーズをとる技術「フリーズ」がうまくできているか、ファッションはどうかなどをしっかりと確認するために鏡が必要なんです。食事管理は、チートデイと大会前の「オン」になっている状態をしっかりと切り分けていて。普段は基本的にごはん・とり肉・魚・野菜を中心とし、小麦粉は一切摂りません。小麦粉を使った食事はすごく好きなのですが、眠くなりやすかったり、自分の体に少し合わなかったりして。少しでも体にマイナスに働いてしまうとメンタルに響いてくるので、普段から完璧な食生活を心がけています。

ふくらはぎの靭帯を損傷し「すごく落ち込んだ」

どんなに自己管理を徹底していても、避けられないアクシデントもある。昨年秋。自身の身に降りかかったつらい経験について口を開いた。

Yu-ri:挫折続きだった僕の競技人生の中で、一番堪えたのが3か月前。「Super Ball」に向けて準備をしていた際にふくらはぎの靭帯を損傷してしまって。「Super Ball」は当然ながらシーズンまるまる欠場せざるを得なくなり、すごく落ち込みました。フリースタイルフットボールはメンタルが重要な競技です。気持ちが落ちてそのままドロップアウトする選手も多いので、ボールを扱えなくなったときに「どうしよう……」となり、人間としてありのままに何をしたら幸せなんだろうと模索しました。そのときに助けられたのが、大好きな車の存在です。車を運転しさまざまな場所を旅していろいろなものを見ることでインスピレーションが得られました。復帰したらどういうスタイルにしていこう、どういう技をやろうと、アイデアをひたすら溜め込んで3か月を過ごしていたら、意外と気持ちも晴れていきました。

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Yu-riさんの愛車は旧型のBMW。気分転換のドライブがもたらす「駆けぬける歓び」が、実戦復帰を後押ししてくれたようだ。そんなYu-riさんにとっての挑戦、そしてその先にあるFreude=喜びとは何か。尋ねると、こんな答えが返ってきた。

Yu-ri:「世界チャンピオン」が一番大きな夢です。日本と比べ、海外のフリースタイルフットボールはまるでサーカスのように観衆に驚かせる技を披露します。そんな海外勢と戦うのは難しいと多くの人に言われていますが、自分のスタイルで優勝し、下馬評をひっくり返してやりたいと思っています。海外のフリースタイルもすごく好きなんですけど、海外の人たちにも日本独自のカルチャーから生まれたフリースタイルフットボールの魅力を伝えたくて。世界を変えるという意味で、フリースタイルフットボール人生で絶対成し遂げたい目標です。

一方、2026年の目標は、今かなりコンディションが整っている状態なので、「Super Ball」とパルスワールドファイナルの優勝です。海外の選手でさえ両方制覇した人がいないと言われていて、両方獲ったら伝説に残るようなプレイヤーになれるので、ダブルタイトルを目指しています。

(構成=小島浩平)

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