映画コメンテーターでタレントのLiLiCoが、下積み時代の思い出や、最近スタートさせた故郷スウェーデンでの芸能活動、さらには、ネパールやウガンダで行っている学校建設支援活動などについて語った。
LiLiCoが登場したのは、J-WAVE『BMW FREUDE FOR LIFE』(毎週土曜 11:00-11:30)。同番組では毎回、各界注目の人物にBMWでの車中インタビューを実施しているが、今回はBMWのブランド・ストア『FREUDE by BMW』がある東京・麻布台ヒルズで8月27日に行われた公開収録にて、ナビゲーターを務める俳優の小澤征悦との対談を実施し、これまでの経歴や現在の活動などについて深堀りした。
・ポッドキャストページ
LiLiCo:芸能界入りしたのは19歳のときです。忘れもしない5月2日。静岡県浜松市のデパート屋上にあるビアガーデンで歌手としてデビューしました。当時、外国人が演歌を歌ったら面白いだろうということで、演歌歌手の付き人をしながら歌っていたんですよ。そこからホームレスになって5年間車中生活をし、東京に出て来てまたド貧乏になったり……。色々なことがありましたが、私には芸能しかないと思っていましたし、いつか絶対に何かになれると信じていました。
小澤:そんな過去があったのですね。
LiLiCo:歌手の次はモデルにも挑戦しました。ただ、当時のモデル業はあくまでも洋服がメイン。顔が目立ってはいけない時代だったので、私の顔ではアウトだったんです(笑)。いくつかのショーに出演させていただくことはできましたが、雑誌は完全にダメでしたね。あとはセクシー系もやりました。
小澤:セクシー系?
LiLiCo:ほら、30年くらい前のテレビ番組って、後ろに水着を着た女の子がいっぱいいたでしょ?
小澤:はいはい、ありましたね。キレイどころが並んでるやつ。
LiLiCo:そう。そのオーディションに受かってビキニを着て後ろのほうに座っていたんですけど、ある日、それが突然嫌になって。「自分の才能を活かせることがしたい」と思い立ち、ちょっと声が変わっていることから声優にチャレンジしたんです。そこで洋画やアニメの吹き替えを担当するようになって、映画コメンテーターの仕事に繋がっていったんです。
LiLiCo:「王様のブランチ」(TBS系)に24年も出演しているから、番組での「1分間で話してください」「45秒で話してください」という注文にもぴったりと応えることができたんです。だから出演が終わった後「この人、すごい!」となって、スウェーデンのスタッフがみんな大拍手だったですよ。それで、日本からもしスウェーデンに来ることがあったら、どうぞスタジオに来てくださいとオファーをいただいたんです。
小澤:それはどんな番組だったのですか?
LiLiCo:朝のワイドショーみたいな番組です。その番組で、日本からスウェーデンの直行便ができるということもあって日本の宣伝をしたら、それを見た別のスウェーデン人のスターが日本で番組を作りたいというので案内をしました。その後、スウェーデンのバンド、スマッシュ・イントゥ・ピーセスが『ALL GOOD FRIDAY』に呼んでほしいとのことで実際にゲスト出演してもらい、その縁で「一緒に歌いませんか?」となり、彼らと楽曲を作ることになったんですよ。で、8月にスウェーデンに帰国したタイミングで、その朝の番組で楽曲を披露したんです。
小澤:すごいなぁ。LiLiCoさん、日本とスウェーデンの架け橋どころか、もう直行便じゃないですか(笑)。
LiLiCo:(笑)。さらにスマッシュ・イントゥ・ピーセスがその楽曲を「日本語で歌いたい」と言い出したんです。それで私が日本語バージョンの作詞をすることになり、今はその締め切りに追われています。
小澤:いや、体がいくつあっても足りないですね。
LiLiCo:「3人ぐらいいるんじゃないか?」とよく言われるんですけど、5人ぐらいいると思います(笑)。
小澤:LiLiCoさんは今回、「LiLiCo役」で出演してくれましたよね。
LiLiCo:これがすごく難しくて。本人役でお芝居をするのはこれで2回目なんです。前回は演じたのはものすごく「意地悪なLiLiCo」でした。新人のPRの女性に「なんでそんなこともできないの!?」みたいにきつく当たる役どころで、結構やりやすかったんですよ。でも今回演じた「映画ライターのLiLiCo」では、いつもの明るいLiLiCoを少しだけ崩して演じるのが難しくて。そんな中でも、小澤さんはすごくアドリブを入れてくださって、なんて優しい方なんだと思いました。
小澤:ぜひドラマを見ていただきたいですね。
LiLiCo:それにしても、俳優という職業は楽しいなと思います。一番好きな仕事かもしれません。ただ、残念なことに多分LiLiCoと言ったら「ああ、あの派手な人ね」というイメージをお持ちの方が多いと思うんですよ。
小澤:そうかもしれませんね。
LiLiCo:だから、これまで映画やVシネマなどに派手な役で起用されることがほとんどでした。でも私、メイクを落とすと全然雰囲気が違うんですよ。ここ2年くらいで監督たちがそれに気づき、今までとは全く違うイメージの役柄でキャスティングしてくれていて。たとえば、2024年放送のTBS系日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』に津田寛治さんの奥さん役で出演させていただいたのですが、そのときは誰にも気づかれないくらいの地味さでした。あと、Disney+で配信された2023年のドラマ『季節のない街』では、監督のクドカン(宮藤官九郎)さんに「素顔を見せてもらえますか?」と言われて、その場で「いいですよ」と見せたら、みんな「わー!」となって。あの作品から違う顔でキャスティングしてくださるようになりました。
小澤:殻が割れた瞬間だったのですね。もう一つの可能性が見えたと。
LiLiCo:だから、今まではすごく上手に「LiLiCo」を演じてきたんだなと思ったんです。根暗でシャイなスウェーデン人の女の子が日本に来て、明るい人になりたくて演じているうちに「LiLiCo」になっていったという。
小澤:LiLiCoさんって根暗なんですか?
LiLiCo:そう、ネガティブというか。「今日、うまくいくのかな……」「生放送中に言ってはいけないことを言ったらどうしよう……」とかすごく考えるし、心配性ではありますね。それにスウェーデンの家族の中では、私が一番無口なんですよ。父も弟も、ずっーとしゃべっています。
LiLiCo:スウェーデンって寄付文化が根付いているんですよ。それに私自身は子どもができなかったこともあって、今年の6月にネパール、10月にウガンダで学校を建てたんです。私のポケットマネーで2校を開校したから、そのためにも働かなきゃいけないと思っています。
小澤:すごい!
LiLiCo:開校のときには立ち会わなければいけないのですが、日本から学校を建設したネパールのバジャン地域へ行くには3日もかかるんですよ。仕事との兼ね合いもあって現地訪問は難しかったので、リモートで立ち会うことにしたんです。
小澤:立ち会ってみてどうでした?
LiLiCo:もうすごかったんですよ! 校長先生や、ネパールの教育委員会の一番偉い方がスピーチをし、学校の生徒たちが私のために歌を書いてくれました。諸々合わせて2時間ほどかかったのですが、ずーっと感動しっぱなしでした。
小澤:すごい体験ですね。
LiLiCo:ネパールは地震が多い国なんですよ。その中で今回建てた校舎は耐震設計なので、今後災害時の避難所として活用される可能性もあるみたいです。ただ、その建物が「LiLiCoブロック」という名前なんですけど、建物にめちゃくちゃデカく「LiLiCoブロック」と書かれているんですよ(笑)。
小澤:いいですね(笑)。
LiLiCo:あと10月に開校するウガンダでは、「LiLiCoという人がスポンサー」ということ以外、私のことを認識していないみたいなんです。やはり男性社会だなと思ったのが、「Mr.LiLiCo」となっているんですよ(笑)。偉いおじ様がスピーチするビデオレターが贈られてきたんですけど、「Mr.LiLiCo.Thank you very much」とか言っているんです。要するに女性が学校を建てるということが、ウガンダでは考えられないのでしょうね。
小澤:いい悪いではなく、文化の違いですね。
LiLiCo:ほんとにそう思います。ネパールやウガンダの方々からは「いつ来てくれるんですか?」と聞かれたり、「会いたいです」と言われたりしています。その言葉になんか泣きそうになっちゃって。だから、いつかはネパールとウガンダに行き、私が建てた学校で学んだ生徒のみんなにハグできたらいいなと思っています。
(構成=小島浩平)
LiLiCoが登場したのは、J-WAVE『BMW FREUDE FOR LIFE』(毎週土曜 11:00-11:30)。同番組では毎回、各界注目の人物にBMWでの車中インタビューを実施しているが、今回はBMWのブランド・ストア『FREUDE by BMW』がある東京・麻布台ヒルズで8月27日に行われた公開収録にて、ナビゲーターを務める俳優の小澤征悦との対談を実施し、これまでの経歴や現在の活動などについて深堀りした。
・ポッドキャストページ
デビュー当時は演歌歌手やモデルを経験
J-WAVE『ALL GOOD FRIDAY』のナビゲーターも務めるLiLiCoだが、彼女は昨年、芸能界デビュー35周年を迎えた。小澤が「LiLiCoさんのキャリアについてお聞きしたい」と切り出すと、LiLiCoは「あれ? これ5時間番組だっけ?(笑)」とおどけつつ、芸能界入りを目指してスウェーデンから母親の母国である日本へ来日した10代の頃の思い出を語り始めた。LiLiCo:芸能界入りしたのは19歳のときです。忘れもしない5月2日。静岡県浜松市のデパート屋上にあるビアガーデンで歌手としてデビューしました。当時、外国人が演歌を歌ったら面白いだろうということで、演歌歌手の付き人をしながら歌っていたんですよ。そこからホームレスになって5年間車中生活をし、東京に出て来てまたド貧乏になったり……。色々なことがありましたが、私には芸能しかないと思っていましたし、いつか絶対に何かになれると信じていました。
小澤:そんな過去があったのですね。
LiLiCo:歌手の次はモデルにも挑戦しました。ただ、当時のモデル業はあくまでも洋服がメイン。顔が目立ってはいけない時代だったので、私の顔ではアウトだったんです(笑)。いくつかのショーに出演させていただくことはできましたが、雑誌は完全にダメでしたね。あとはセクシー系もやりました。
小澤:セクシー系?
LiLiCo:ほら、30年くらい前のテレビ番組って、後ろに水着を着た女の子がいっぱいいたでしょ?
小澤:はいはい、ありましたね。キレイどころが並んでるやつ。
LiLiCo:そう。そのオーディションに受かってビキニを着て後ろのほうに座っていたんですけど、ある日、それが突然嫌になって。「自分の才能を活かせることがしたい」と思い立ち、ちょっと声が変わっていることから声優にチャレンジしたんです。そこで洋画やアニメの吹き替えを担当するようになって、映画コメンテーターの仕事に繋がっていったんです。

ひょんなことから日本とスウェーデンの架け橋に
そんなLiLiCoは昨年、スウェーデンでも芸能活動をスタートさせた。きっかけは、2023年9月6日に松崎しげるとのデュエット曲『これを愛と呼ぶのか?『をリリースしたことだった。同楽曲は、スウェーデンの国民的歌手ラッセ・ホルムとモニカ・トーネルが1986年に歌った『E’ de’ det här du kallar kärlek』の日本語カバー。この曲について、ラッセ・ホルム本人から「歌詞のことで聴きたいことがあるから、彼女を探してほしい」との依頼があり、スウェーデンの朝の生放送番組にリモート出演することになったという。その際、日本で磨き上げたタレントとしてのスキルを遺憾なく発揮したようだ。LiLiCo:「王様のブランチ」(TBS系)に24年も出演しているから、番組での「1分間で話してください」「45秒で話してください」という注文にもぴったりと応えることができたんです。だから出演が終わった後「この人、すごい!」となって、スウェーデンのスタッフがみんな大拍手だったですよ。それで、日本からもしスウェーデンに来ることがあったら、どうぞスタジオに来てくださいとオファーをいただいたんです。
小澤:それはどんな番組だったのですか?
LiLiCo:朝のワイドショーみたいな番組です。その番組で、日本からスウェーデンの直行便ができるということもあって日本の宣伝をしたら、それを見た別のスウェーデン人のスターが日本で番組を作りたいというので案内をしました。その後、スウェーデンのバンド、スマッシュ・イントゥ・ピーセスが『ALL GOOD FRIDAY』に呼んでほしいとのことで実際にゲスト出演してもらい、その縁で「一緒に歌いませんか?」となり、彼らと楽曲を作ることになったんですよ。で、8月にスウェーデンに帰国したタイミングで、その朝の番組で楽曲を披露したんです。
小澤:すごいなぁ。LiLiCoさん、日本とスウェーデンの架け橋どころか、もう直行便じゃないですか(笑)。
LiLiCo:(笑)。さらにスマッシュ・イントゥ・ピーセスがその楽曲を「日本語で歌いたい」と言い出したんです。それで私が日本語バージョンの作詞をすることになり、今はその締め切りに追われています。
小澤:いや、体がいくつあっても足りないですね。
LiLiCo:「3人ぐらいいるんじゃないか?」とよく言われるんですけど、5人ぐらいいると思います(笑)。
女優として「ノーメイク」で開眼?
タレントや歌手のほか、LiLiCoには女優としての顔もある。2025年9月7日に放送された小澤主演のテレビ朝日系連続ドラマ『こんばんは、朝山家です。』の最終話には「映画ライター・LiLiCo」役でゲスト出演している。本人役を演じるのには知られざる苦労があったようだ。小澤:LiLiCoさんは今回、「LiLiCo役」で出演してくれましたよね。
LiLiCo:これがすごく難しくて。本人役でお芝居をするのはこれで2回目なんです。前回は演じたのはものすごく「意地悪なLiLiCo」でした。新人のPRの女性に「なんでそんなこともできないの!?」みたいにきつく当たる役どころで、結構やりやすかったんですよ。でも今回演じた「映画ライターのLiLiCo」では、いつもの明るいLiLiCoを少しだけ崩して演じるのが難しくて。そんな中でも、小澤さんはすごくアドリブを入れてくださって、なんて優しい方なんだと思いました。

LiLiCo:それにしても、俳優という職業は楽しいなと思います。一番好きな仕事かもしれません。ただ、残念なことに多分LiLiCoと言ったら「ああ、あの派手な人ね」というイメージをお持ちの方が多いと思うんですよ。
小澤:そうかもしれませんね。
LiLiCo:だから、これまで映画やVシネマなどに派手な役で起用されることがほとんどでした。でも私、メイクを落とすと全然雰囲気が違うんですよ。ここ2年くらいで監督たちがそれに気づき、今までとは全く違うイメージの役柄でキャスティングしてくれていて。たとえば、2024年放送のTBS系日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』に津田寛治さんの奥さん役で出演させていただいたのですが、そのときは誰にも気づかれないくらいの地味さでした。あと、Disney+で配信された2023年のドラマ『季節のない街』では、監督のクドカン(宮藤官九郎)さんに「素顔を見せてもらえますか?」と言われて、その場で「いいですよ」と見せたら、みんな「わー!」となって。あの作品から違う顔でキャスティングしてくださるようになりました。
小澤:殻が割れた瞬間だったのですね。もう一つの可能性が見えたと。
LiLiCo:だから、今まではすごく上手に「LiLiCo」を演じてきたんだなと思ったんです。根暗でシャイなスウェーデン人の女の子が日本に来て、明るい人になりたくて演じているうちに「LiLiCo」になっていったという。
小澤:LiLiCoさんって根暗なんですか?
LiLiCo:そう、ネガティブというか。「今日、うまくいくのかな……」「生放送中に言ってはいけないことを言ったらどうしよう……」とかすごく考えるし、心配性ではありますね。それにスウェーデンの家族の中では、私が一番無口なんですよ。父も弟も、ずっーとしゃべっています。
ポケットマネーで2つの学校を開校
50代半ばになってもなお、旺盛な好奇心をもって仕事に取り組み続けるLiLiCo。そのモチベーションの源には、近年始めた慈善事業も関係しているようだ。
小澤:すごい!
LiLiCo:開校のときには立ち会わなければいけないのですが、日本から学校を建設したネパールのバジャン地域へ行くには3日もかかるんですよ。仕事との兼ね合いもあって現地訪問は難しかったので、リモートで立ち会うことにしたんです。
小澤:立ち会ってみてどうでした?
LiLiCo:もうすごかったんですよ! 校長先生や、ネパールの教育委員会の一番偉い方がスピーチをし、学校の生徒たちが私のために歌を書いてくれました。諸々合わせて2時間ほどかかったのですが、ずーっと感動しっぱなしでした。
小澤:すごい体験ですね。
LiLiCo:ネパールは地震が多い国なんですよ。その中で今回建てた校舎は耐震設計なので、今後災害時の避難所として活用される可能性もあるみたいです。ただ、その建物が「LiLiCoブロック」という名前なんですけど、建物にめちゃくちゃデカく「LiLiCoブロック」と書かれているんですよ(笑)。
小澤:いいですね(笑)。
LiLiCo:あと10月に開校するウガンダでは、「LiLiCoという人がスポンサー」ということ以外、私のことを認識していないみたいなんです。やはり男性社会だなと思ったのが、「Mr.LiLiCo」となっているんですよ(笑)。偉いおじ様がスピーチするビデオレターが贈られてきたんですけど、「Mr.LiLiCo.Thank you very much」とか言っているんです。要するに女性が学校を建てるということが、ウガンダでは考えられないのでしょうね。
小澤:いい悪いではなく、文化の違いですね。
LiLiCo:ほんとにそう思います。ネパールやウガンダの方々からは「いつ来てくれるんですか?」と聞かれたり、「会いたいです」と言われたりしています。その言葉になんか泣きそうになっちゃって。だから、いつかはネパールとウガンダに行き、私が建てた学校で学んだ生徒のみんなにハグできたらいいなと思っています。
(構成=小島浩平)
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