音楽、映画、エンタメ「ここだけの話」
白洲 迅、吉田鋼太郎から言われて「泣きそうになっちゃって」と語るほど嬉しかった言葉は?

白洲 迅、吉田鋼太郎から言われて「泣きそうになっちゃって」と語るほど嬉しかった言葉は?

俳優の白洲迅が、デビューのきっかけや衝撃を受けた俳優、理想とする今後の生き方について語った。

白洲が登場したのは、J-WAVE『BMW FREUDE FOR LIFE』(毎週土曜 11:00-11:30)。同番組では毎回、各界注目の人物にBMWでの車中インタビューを実施しているが、今回はナビゲーターを務める俳優・小澤征悦とスタジオでの対談形式でその人物像に迫った。

・ポッドキャストページはこちら

「ジュノンボーイ」が芸能界入りのきっかけに

『どうする家康』(NHK)や『大病院占拠』(日本テレビ系)、『刑事7人』(テレビ朝日系)といったドラマをはじめ、映画、舞台など幅広く活躍する白洲。名バイプレイヤーとして数多くの作品で存在感を放ってきた小澤との共演歴もありそうなものだが。

小澤:僕たち俳優をやっていますけど、これまで作品で一緒になったことはないよね?

白洲:おそらく初めましてです。スタジオや現場ですれ違ったことすらないと思います。

と、意外にも「はじめまして」のやり取りとともに対談はスタートした。

まずは、芸能界入りをしたきっかけの話から。小澤が尋ねると、「始まりはよくある話ですよ」とし、若手俳優の登竜門「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」を受けるに至った経緯について語り始めた。

白洲:僕の母の親友で、昔からよくしてくれるおばちゃんみたいな人がいるんですね。その人に中学に進学した頃から毎年のように「ジュノンボーイを受けてみろ!」と勧められていたんです。僕はもともと人前に出るのが苦手なタイプでした。なので、断り続けていたのですが、高校2年生のときにとうとう折れて「わかったよ! もう受けるから!」と仕方なく受けることにしたんです。

小澤:根負けしたわけだ。

白洲:それで母親と近所の公園に応募用の写真を撮りに行きました。「笑って、笑って!」とかぁちゃんに言われて、「何で笑わなきゃいけないんだよ……」みたいな。

小澤:まぁ、ちょっと恥ずかしいよね(笑)。

白洲:そんな状態から始まったジュノンボーイの選考が1次審査、2次審査と進んでいき、ベスト30まで残ることができました。次はいよいよグランプリを決める最終選考会だったのですが、落選してしまったんです。

小澤:でも、そもそもが仕方なく受けたんでしょ? だったら落ちてよかったじゃない。

白洲:いや、それがめっちゃ悔しかったんですよ。

小澤:あっ、そこで気持ちが変わったんだ。

白洲:そうなんです。僕、すごく負けず嫌いな性格なので。ただ、ベスト30でもいくつかの芸能事務所からお声がけいただき、「悔しい思いをしたからちょっとやってみるか」という気持ちで、そのうちの一つの事務所へ入所することにしました。

小澤:僕の勝手なイメージだけど、白洲さんはジュノンボーイのようなコンテストでグランプリを獲得して芸能界入りして、順調にステップアップしてきた人だと思っていました。

白洲:全然そんなことありません。たしかに、事務所に入ってすぐに2011年の舞台『ミュージカル・テニスの王子様2ndシーズン』でデビューすることができましたが、その後、オーディションで落ちたことも全然ありますし。

小澤:そうだったんだ。

白洲:そういった経験がいちいち悔しくて。今振り返れば、負けず嫌いな性格だったからこそ、俳優業に興味がなかったスタート地点から、ここまで続けてこられたのかなとも思います。

最近はBMW presentsのドラマにも出演

白洲が最近出演した作品の一つに、ABEMAのオリジナルショートドラマ『BMW presents「しなやかに私を貫く人たちへ」』がある。演じるのは、SEから雑誌社に転職してきたばかりの新米編集者・実(ミノル)。入社早々BMWオーナーの取材を担当することとなり、そのしなやかな生き方に触れて人間的に成長していという役どころだ。オファーを受けたとき、どのように思ったのか。

白洲:僕にとって、車は人生に欠かせないものなんですよね。子どもの頃は家族で海へ行ったり、自分で運転するようになってからは友だちとのドライブや恋人とのデートに出掛けたり……。そういう思いのなかに常に車があるんです。

小澤:車があるだけで、自分の世界が広がりますよね。

白洲:だから、BMWを題材にストーリーを作るって面白そうだなと思い、すぐに「ぜひやらせてください」とお返事させてもらいました。

小澤:実際に実という役を演じてみての感想も聞かせてください。

白洲:実は人付き合いが得意ではなく、人生に悩みを抱えた男です。僕も20代後半の頃は色々悩んでいたので、すごく共感しながら演じることができました。

小澤:役作りはどのようにしましたか?

白洲:同業・異業種問わず様々な知人や友人に話を聞きました。そうすると、僕と同じようにみんな30代手前の時期に悩んでいたとわかり、そこで得た気付きを役作りに活かしました。

小澤:今回の撮影現場にはBMW「2シリーズ グラン クーペ」があったそうですね。実際に目にした印象はどうでした?

白洲:あのスポーティーな見た目やカッコよさは、純粋にワクワクしますよね。編集者としてBMWの車両を所有している人たちにお話をうかがいにいくストーリーだったのですが、それぞれの役の方がキャラクターによって異なる外装色やインテリアでまとめられた「2シリーズ グラン クーペ」の横に立ち、実際に乗られている姿を見て、いい意味で「人を選ばない車」という印象を受けました。誰でも似合うというか。不思議な魅力がある車だと感じました。

共演した吉田鋼太郎にオーラに衝撃「覇王色の覇気のよう」

白洲は2025年でデビュー15年目を迎える。長きにわたるキャリア中で特に印象を受けた役者には、あの個性派俳優の名前を挙げた。

小澤:俳優としてこれまでに影響を受けた方はいますか?

白洲:吉田鋼太郎さんですね。最初の出会いは2018年の舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』で、同じ年に放送されたテレビ朝日系の刑事ドラマ『刑事7人』4シーズンでも共演し、以降、2023年放送の第9シーズンまで毎年ご一緒させていただきました。

小澤:じゃあ、付き合いはだいぶ長いんだね。

白洲:はい。最初に衝撃を受けたのは、鋼太郎さんと初共演した舞台『ラノ・ド・ベルジュラック』のときです。あの熱量とエネルギー。漫画『ONE PIECE』の覇王色の覇気を初めて浴びたかのようでした。

小澤:覇王色の覇気?

白洲:簡単に言えば、当てられただけで気絶しちゃうぐらいのオーラみたいなものです。

小澤:それが鋼太郎さんから出ていたと。

白洲:これが一人の人間から発せられるエネルギー量なのかと驚いたことを覚えています。それで昨年、久しぶりに舞台でご一緒することができたんです。作品はシェイクスピアの『ハムレット』。出演者の一人であるとともに演出も担当していた鋼太郎さんからは、本当に様々なことを教えていただきました。

小澤:舞台に立ってる鋼太郎さんはすごいでしょ?

白洲:いや、ほんとに。はじめて鋼太郎さんの演出を受けたんですけど、シェイクスピア作品だからセリフが難解なんですね。それでいて芝居のテンポを絶対に落とさず声量も大きく、かつ、心情を一番大事にしようとおっしゃるわけです。すごくハイレベルなことを求めるなと最初は思っていたんですけど、鋼太郎さんに言われた通りに何度も演じているうちに、気持ちがちゃんと追いついてくるというか。僕は主人公・ハムレットの親友・ホレーシオ役だったのですが、本番直前に楽屋へ挨拶に行ったとき、「今までの歴代のホレーシオのなかで、白洲が一番いいよ」とおっしゃっていただいたんです。その言葉に恐縮するとともに、泣きそうになっちゃって……。「幕が上がる直前にそんなこと言わないでくださいよ」と言って、逃げるように楽屋を出て行きました。

小澤:それは嬉しいね。

白洲:鋼太郎さんと初めて出会った舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』では、僕が何もできないような状態で、演出家の方にもこってりと絞られました。そういった姿を見てくれていた鋼太郎さんがそんな言葉をかけてくださったということが、僕のなかではすごく大きかったですね。

仲のいいWEST.の小瀧望は「急に見せる“年下感”がうまい」

一方で仲のいい俳優は、7人組男性アイドルグループ・WEST.の小瀧望だという。白洲は現在32歳で、小瀧は28歳。アイドル活動と並行して芝居に打ち込む年下俳優に、白洲は尊敬の念を隠さない。

白洲:小瀧望くんは僕の4つぐらい下なんですけど、年下とは思えないくらいしっかりしてて。彼はすごく舞台が好きで。アイドルとして多忙を極めるなか、精力的にお芝居に取り組んでいて、一人の俳優としてとても刺激を受ける存在です。

小澤:仲よくなるきっかけは何だったんですか?

白洲:作品での共演がきっかけです。ただ不思議なもので、その作品で望と一緒になるシーンはさほど多くなかったんですよ。なのに打ち上げて話したり、たまに現場ですれ違ったりしているうちに、気づいたら仲よくなってましたね。

小澤:本当に馬が合ったんだね。

白洲:また、可愛いんですよ。しっかりしてるんだけど、急に見せてくる“年下感”がうまくて。

小澤:わかる。僕も山田涼介とドラマ『もみ消して冬〜わが家の問題なかったことに〜』(日本テレビ系)で共演したとき、お兄ちゃん役だったから怒るシーンが多くてね。山田涼介の顔10cmぐらいのところまで近付けて、「お前、何やってるんだ!」と叱る芝居をしたんだけど、顔が綺麗だからもうチューしてやろうかなと思いましたよ(笑)。

俳優として「走り続けていないとダメ」と考える理由

さらに「理想の俳優像」について、白洲は『BMW presents「しなやかに私を貫く人たちへ」』のテーマである「しなやかさ」を普段から意識しているようで、「それこそ、小澤さんもそういうタイプなのかなと思うんですよ」と切り出した。「えっ、何?」と全く心当たりがないといった様子の小澤に対し、そのように考える理由を説明した。

白洲:小澤さんは「柔らかく現場にいられる人」というイメージがあります。カメラが回っていないときはリラックスして談笑しているかと思ったら、「よーい、はい!」の合図とともにキリッとスイッチが入る。余計な力が入ってなくて、かっこいいなと思いますね。

小澤:そんなふうに思ってくれていたとは。なんかうれしいなぁ。

白洲:小澤さんは絶対、現場を盛り上げるタイプですよね?

小澤:僕はピエロでいたいと思ってるんですよ。

白洲:ピエロ?

小澤:うん。若い頃なんかは現場にいるのは先輩ばかりだからあまり意識していなかったけど、だんだんと年を重ねて現場に年下の役者・スタッフが増えてきてからは、僕みたいな年長者がバカなことをやってるほうが皆さん居やすいのかなと思うようになってね。それで、空気をちょっとでも柔らかくするために、ピエロでいたいなと考えてるんだよね。

白洲:カッコいいですね。僕もピエロになろうかな。

最後に、「白洲迅さんにとっての挑戦、そしてその先にある『FREUDE=喜び』とは?」と聞いたところ、こんな答えが返ってきた。

白洲:僕は10代~20代前半くらいまで、老後にスローライフを送ることが理想で、「仕事命」というタイプでは全くありませんでした。でも、ここ数年で「走り続けていないとダメなんだな」と気付き始めて。たしかにゆっくりとしたい自分もいます。けれど、立ち止まっていると自分を保てないというか。自分を好きになったり、肯定したりするためには、苦しいかもしれないけど走り続けていたほうが、結果的にはいい気がするんです。だから、ちょっと大げさかもしれませんが、生涯現役でおじいちゃんになっても芝居に打ち込んでいきたいです。そういった挑戦を続ける先に、喜び続ける自分でいられるように思っています。

小澤:素敵な考え方ですね。そんなことを思いながら仕事をされている白洲さんだからこそ、見てくださるファンの皆さんに勇気を与えることができるのではないかと思います。

この記事の続きを読むには、
以下から登録/ログインをしてください。

  • 新規登録簡単30
  • J-meアカウントでログイン
  • メールアドレスでログイン

関連リンク