新進気鋭の若手フランス料理人・糸井章太さんが、「人生で1度は経験してほしい」と考える東京都内でおすすめの高級フレンチレストランなどについて語った。
糸井さんは1992年6月、京都府生まれの33歳。26歳で日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35」にて史上最年少でのグランプリを獲得し、現在は石川県小松市のフランス料理レストラン「オーベルジュ・オーフ」のシェフとして活躍する、新世代シェフの中で最も注目を集める存在の一人とされる人物だ。
糸井さんが登場したのは、俳優の小澤征悦がナビゲーターを務めるJ-WAVEの番組『BMW FREUDE FOR LIFE』(毎週土曜 11:00-11:30)。同番組は、新しい時代を切り開き駆け抜けていく人物を毎回ゲストに招き、BMWでの車中インタビューを通して、これまでの軌跡や今後の展望に迫るプログラムだ。
・ポッドキャストページ
糸井:「オーベルジュ・オーフ」は、小松市内から車で20~30分ほどの山間部に位置します。廃校となった小学校の校舎をリノベーションし、宿泊機能を備えたレストランに作り変えました。メニューはどの季節にお越しいただいてもこの土地でしか食べられない旬の食材を使用した料理を提供しています。たとえば冬であれば、カニやブリといった魚介類や、鹿・イノシシ・クマなどのジビエ、葉野菜・根菜類が食べ頃です。
京都府出身の糸井シェフが、石川県小松市のフレンチレストランで腕を振るうことになったのは、修業を積んだ兵庫県芦屋市のレストラン、「メゾン・ド・ジル芦屋」(現:メゾン・ド・タカ芦屋)時代に紡いだ縁がきっかけだった。それまで小松市を訪れたこともなく、どんな場所なのかもわからなかったそうだが、実際に足を運んでその土地の自然や人に触れ「この場所で料理を作りたい」と思い至ったという。
こうして、過疎化で廃校となった旧西尾小学校の建物を改装した「オーベルジュ・オーフ」がオープンしたのは2022年7月のこと。開業から3年あまりが経過した今、糸井シェフは確かな手ごたえを感じているようだ。
糸井:オープンから3年を経て、提供するべき料理がより鮮明に見えてきた気がします。どの時期にどんな食材がこの地域にはあるのかがわかってきましたし、実際に山に入って山菜やキノコを採ったりもしているので。この土地における自然のサイクルが、3年経ってようやく自分の中に馴染んできた感覚があります。
糸井:「RED U-35」は料理を審査するのはもちろん、料理人として何を目指し、どんなビジョンを持っているのかなど「人」にフォーカスし、その人のオリジンがどこにあるのかを問うコンペティションでした。当時は一つひとつのお題に対し、自分ができる100%で応えること、審査員の方々の核心を付く質問に対し、格好つけて綺麗ごとを言おうとせず、正直にわからないことにはわからないと答えるように努めた記憶があります。結果的に史上最年少でグランプリを獲得しましたが、「自分が今どこまで通用するのかを試したい」という気持ちで出場したため、「史上最年少受賞」については、失礼ながら当時も今もあまり意識はしていません。
糸井:今、恵比寿の「ジュエル・ロブション」の前を走っています。外観がもはやお城ですよね。このレストランは15年前、僕が学生時代に研修をさせていただいたお店です。当時、渡辺シェフという方が総料理長で、スタッフは料理人だけでおそらく20名ほど。全員が白衣姿で帽子をかぶり「こんな世界があるんだ…」と驚いたのを覚えています。技術面はもちろんですが、モチベーションの高い人たちがチームとして働いている現場の空気感に触れて「これが三ツ星のキッチンなんだな」と体感しました。
料理人になってからお客さんとしても何度か来店し、最近も利用させていただいたのですが、改めて素晴らしいレストランだと感じました。一言で言えば「究極の贅沢」。料理ももちろん素晴らしいのですが、いい緊張感の中でサービスマンが上質なサービスを提供してくれるあの体験を、皆さんに人生で1度は経験してほしいです。
糸井:「ラ・ブランシュ」で提供されるフランス料理は、味わいが天才的なんです。東京に来たら何とか隙間時間を見つけて行きたいと思えるくらい大好きなお店ですね。一番好きなメニューが、スペシャリテの「いわしとジャガイモのテリーヌ」。あとは夏に提供される「ガスパチョ」は、夏に来店したのであれば絶対に食べますね。
田代シェフがおっしゃっていたことで特に印象に残っているのが「僕は不器用だから普通の人ができるようなことを長い時間をかけて習得した。それがかえってよくて、長くお店を続けることができた」ということです。その話に料理人として感じるところがありましたね。
糸井:食育に取り組む理由は、子どもたちに食の楽しさを知ってもらうことで、今後の人生を豊かにしてほしいというのが第一です。また、今まで知らなかったことを知ることで選択肢を増やしたいとも考えていて。食事は大人になればなるほど忙しさからおろそかになり、バランスよく摂ることが難しくなると思うんですよね。だから、頭の片隅に置きながら生活していくだけで違うと思いますし、それを子どものうちから少しでも学んでおくことが今後のプラスになると考えています。
授業の内容としては、最初は味覚をテーマにした話をし、2回目は子どもたちから事前に寄せられた要望をもとに料理を作っています。最近では「小松市のご当地バーガーを作ろう」となり、僕がレシピを作成し、子どもたちと一緒に作りました。ちなみに、僕は一切ノートにメモを取らせたりはしません。食べてどう感じたか、作ってどう感じたかを自分の言葉で表現してもらうことを授業では大切にしています。
糸井:「シェ・イノ」は、僕が芦屋で修業をしていた頃にお世話になった高山シェフの師匠にあたる井上(旭)シェフが開業したお店です。「ラ・ブランシュ」とは別角度のクラシックなフランス料理を提供していて、特にソースがおいしく、世界一だと思っています。伝説のレストランです。代表作が「仔羊のパイ包み焼き“マリアカラス”風」です。仔羊とフォアグラ、トリュフ、マッシュルームのデュクセルをパイ包みして焼き上げ、フランス料理で使われる代表的なソース「ペリグー」をたっぷりとかけていただきます。
東京のレストランから刺激を受けつつ、小松の地で自分の道を突き進む糸井シェフ。最後に自身にとっての挑戦、そしてその先にあるFreude=喜びとは何かと尋ねると、こんな答えが返ってきた。
糸井:「オーベルジュ・オーフ」を、世界中から多くのお客様に来ていただけるような素晴らしいレストランにしていきたいです。また、その地域だけでなく、日本が世界に誇る都市である東京に繋げるような動きを料理人目線から今後考案し、実行していければと思っています。
(構成=小島浩平)
糸井さんは1992年6月、京都府生まれの33歳。26歳で日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35」にて史上最年少でのグランプリを獲得し、現在は石川県小松市のフランス料理レストラン「オーベルジュ・オーフ」のシェフとして活躍する、新世代シェフの中で最も注目を集める存在の一人とされる人物だ。
糸井さんが登場したのは、俳優の小澤征悦がナビゲーターを務めるJ-WAVEの番組『BMW FREUDE FOR LIFE』(毎週土曜 11:00-11:30)。同番組は、新しい時代を切り開き駆け抜けていく人物を毎回ゲストに招き、BMWでの車中インタビューを通して、これまでの軌跡や今後の展望に迫るプログラムだ。
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廃校を改修して宿泊機能付きレストランに
石川県小松市在住の糸井シェフは、小松空港から飛行機で羽田空港到着後、「BMW i5 M60 xDrive」に乗車。都心へ向かう車中にて、まずはシェフを務めるフランス料理レストラン「オーベルジュ・オーフ」について語り始めた。
京都府出身の糸井シェフが、石川県小松市のフレンチレストランで腕を振るうことになったのは、修業を積んだ兵庫県芦屋市のレストラン、「メゾン・ド・ジル芦屋」(現:メゾン・ド・タカ芦屋)時代に紡いだ縁がきっかけだった。それまで小松市を訪れたこともなく、どんな場所なのかもわからなかったそうだが、実際に足を運んでその土地の自然や人に触れ「この場所で料理を作りたい」と思い至ったという。
こうして、過疎化で廃校となった旧西尾小学校の建物を改装した「オーベルジュ・オーフ」がオープンしたのは2022年7月のこと。開業から3年あまりが経過した今、糸井シェフは確かな手ごたえを感じているようだ。
糸井:オープンから3年を経て、提供するべき料理がより鮮明に見えてきた気がします。どの時期にどんな食材がこの地域にはあるのかがわかってきましたし、実際に山に入って山菜やキノコを採ったりもしているので。この土地における自然のサイクルが、3年経ってようやく自分の中に馴染んできた感覚があります。
「RED U-35」最年少グランプリは「意識していなかった」
現在、新進気鋭の若手フランス料理人として注目される糸井シェフだが、脚光を浴びる契機となったのが2018年に開催された日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35」 (RYORININ’s EMERGING DREAM U-35)だった。35歳以下を対象とする同コンペティションにおいて、史上最年少となる26歳でのグランプリ獲得。この結果について、どのように受け止めているのか。糸井:「RED U-35」は料理を審査するのはもちろん、料理人として何を目指し、どんなビジョンを持っているのかなど「人」にフォーカスし、その人のオリジンがどこにあるのかを問うコンペティションでした。当時は一つひとつのお題に対し、自分ができる100%で応えること、審査員の方々の核心を付く質問に対し、格好つけて綺麗ごとを言おうとせず、正直にわからないことにはわからないと答えるように努めた記憶があります。結果的に史上最年少でグランプリを獲得しましたが、「自分が今どこまで通用するのかを試したい」という気持ちで出場したため、「史上最年少受賞」については、失礼ながら当時も今もあまり意識はしていません。
研修で感じた「ジュエル・ロブション」が特別な理由
今回、糸井シェフが指定した「BMW i5 M60 xDrive」でのドライブコースは、番組を聴いているリスナーに一度は体験してほしいと思う、都内でおすすめのフレンチレストラン巡り。一軒目にやってきたのは、歴代最多のミシュラン星獲得を誇る「フレンチの皇帝」の名を冠した有名店だ。
料理人になってからお客さんとしても何度か来店し、最近も利用させていただいたのですが、改めて素晴らしいレストランだと感じました。一言で言えば「究極の贅沢」。料理ももちろん素晴らしいのですが、いい緊張感の中でサービスマンが上質なサービスを提供してくれるあの体験を、皆さんに人生で1度は経験してほしいです。
「味わいが天才的」と評価するレストランとは?
続いてやってきたのは、渋谷二丁目・青学西門通り沿いに佇む1986年創業の名店「ラ・ブランシュ」。糸井シェフは、「ラ・ブランシュ」のオーナーシェフ・田代和久さんと、かつての勤務先「メゾン・ド・ジル芦屋」(現:メゾン・ド・タカ芦屋)のオーナーシェフ・ジル・トゥルナードルさんが親友という縁で、田代さんと知り合ったという。知己のある先輩シェフが作り出すその味わいに、称賛の言葉を惜しまない。
田代シェフがおっしゃっていたことで特に印象に残っているのが「僕は不器用だから普通の人ができるようなことを長い時間をかけて習得した。それがかえってよくて、長くお店を続けることができた」ということです。その話に料理人として感じるところがありましたね。
近年は食育事業にも注力
このように偉大な巨匠から多くを学び取ってきた糸井シェフもまた、次の世代に「食」を通した学びの場を提供している。その一つが小松市の小学校と連携して行っている食育事業だ。糸井:食育に取り組む理由は、子どもたちに食の楽しさを知ってもらうことで、今後の人生を豊かにしてほしいというのが第一です。また、今まで知らなかったことを知ることで選択肢を増やしたいとも考えていて。食事は大人になればなるほど忙しさからおろそかになり、バランスよく摂ることが難しくなると思うんですよね。だから、頭の片隅に置きながら生活していくだけで違うと思いますし、それを子どものうちから少しでも学んでおくことが今後のプラスになると考えています。
授業の内容としては、最初は味覚をテーマにした話をし、2回目は子どもたちから事前に寄せられた要望をもとに料理を作っています。最近では「小松市のご当地バーガーを作ろう」となり、僕がレシピを作成し、子どもたちと一緒に作りました。ちなみに、僕は一切ノートにメモを取らせたりはしません。食べてどう感じたか、作ってどう感じたかを自分の言葉で表現してもらうことを授業では大切にしています。
中央区京橋にある「ソースが世界一」の名店
そんな話をしているうちに「BMW i5 M60 xDrive」はレストラン巡り最後の目的地となる中央区京橋の「シェ・イノ」に辿り着いた。
東京のレストランから刺激を受けつつ、小松の地で自分の道を突き進む糸井シェフ。最後に自身にとっての挑戦、そしてその先にあるFreude=喜びとは何かと尋ねると、こんな答えが返ってきた。
糸井:「オーベルジュ・オーフ」を、世界中から多くのお客様に来ていただけるような素晴らしいレストランにしていきたいです。また、その地域だけでなく、日本が世界に誇る都市である東京に繋げるような動きを料理人目線から今後考案し、実行していければと思っています。

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