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実は“スイーツ天国”な一面も。アンコール遺跡観光の拠点「シェムリアップ」をラジオで旅する

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実は“スイーツ天国”な一面も。アンコール遺跡観光の拠点「シェムリアップ」をラジオで旅する

2019年にJ-WAVEのアジア専門音楽番組として誕生した『MUSIX ASIA』が、2023年春から、アジアの国々への「イメージトリップ」に誘う新プログラム『RINREI ASIAN SOUNDSCAPE』(毎週金曜 24:00~24:30)へとリニューアル。毎回アジアの様々な国をフィーチャーし、その土地の人々や文化などとの触れ合いをストーリーに仕立て、音楽とともにお届けする。

旅の水先案内人となるナビゲーターは、『MUSIX ASIA』に引き続き、シンガポールに縁を持つ俳優・金沢雅美が務める。5月19日の放送で訪れた旅先は、アンコール遺跡観光の拠点となるカンボジアの街「シェムリアップ」。ここでは、金沢の語りで展開された空想旅行の模様と、イマジネーションの旅に彩(いろどり)を添えた楽曲と併せてテキスト形式にて紹介する。

【これまでのイメージトリップはコチラ】
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<ナビゲーターの金沢雅美>

密林の中にある水中遺跡

シェムリアップ市内のホテルから車でおよそ1時間半。市街地の舗装された道路がいつしかでこぼこ道に変わる頃、高さ400mの山「プノンクーレン」が見えてきた。802年、アンコール王朝の初代王・ジャヤバルマン2世がこの聖なる山で神と一体化する儀式を行い、アンコール王朝が始まったとされる。そのため、山の中には1000年以上前の神事の痕跡が至るところに刻まれている。

特に目を見張るのが、川底の岩に神様や千本のリンガが彫られた水中遺跡「クバール・スピアン」。リンガはヒンドゥー教でシヴァ神の象徴として崇拝の対象とされてきた。この彫刻の上を流れた水は清められて聖水となり、アンコールの大地を潤したという。

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そんな水中遺跡の先には高低差20メートルの滝がある。滝つぼでは水遊びをする地元の人たちの姿も。止めどなく注ぐ滝の轟音の中、耳をすませば確かに聴こえる、クメール語の笑い声。

「今を生きる人と、1200年前のこの地は確かに繋がっているのだ」

そんな実感が心にじんわりと広がるように、SULY PHENGの楽曲「STUBBORN」がオリエンタルで温かい音色を響かせる。

アンコールワットで感じる古(いにしえ)のエネルギー

アンコール遺跡は、9世紀初めから600年以上にわたって栄華を極めたアンコール王朝の歴史的な建造物。戦いに勝った者が王位に就き、その度に寺院が建てられた。

その寺院の一つとして、12世紀前半に即位したスーリヤヴァルマン2世によって建造されたのが、かの有名な「アンコールワット」だ。

ビシュヌ神を祀るヒンドゥー寺院であるこの遺跡において、周りを囲む堀は七つの海を、回廊はヒマラヤ山脈を表している。回廊に彫られた神話や伝説のレリーフは、さながら一続きの歴史絵巻のようだ。何千と刻まれた女神・デバタ―は今にも動き出しそうなほどの迫力。壁面にそっと触れてみれば、古(いにしえ)のエネルギーをダイレクトに感じる。

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3重の回廊を進むほどに、天に、そして神に近づいていくかのように神聖な気持ちが高まり、やがて、神々が住むインド神話のメール山をイメージした中央祠堂へと行きつく。そこから見えるのは、密林とプノンクーレンだ。

「かつては王だけが観たこの風景。繁栄と平和を祈りながら」

遺跡に刻まれた治世者の記憶を辿ると同時に、流れるのは女性歌手JENNA NORODOMの楽曲「DOUNG CHAN」。イントロで奏でる笛の音色が、アンコールワットから眺める悠久の風景を想起させる。

アプサラダンスを見ながらクメール料理に舌鼓

ここは、シボタ通りに面したレストラン。カンボジアのクメール料理に舌鼓を打ちながら、アプサラダンスを鑑賞する。この踊りは9世紀に生まれた宮廷舞踊で、「神への祈り」を意味しているのだとか。また、アプサラとは天女で、アンコール遺跡のレリーフにも彫られている。

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舞台の袖から、伝統楽器の太鼓や木琴、「スラライ」と呼ばれるオーボエの演奏と歌声が聴こえてきた。リズミカルな木琴の音色とは対照的に、ダンスはゆったりとしていて優雅。頭、しなやかな手足、指、腰、すべての動きに意味があり、一つひとつの所作が雄弁だ。雅で煌びやかな衣装や繊細な装飾も見入ってしまう。

カンボジアにいると、ふと頭をよぎる圧政の悲しい過去。癒えない傷を内包しつつ繰り広げられる魂のダンスに、この国の人たちの強さ・逞しさを感じれば、女性シンガー、オーク・ソワンナリのバラード「ユブ・ニ」がセンチメンタルなメロディを響かせる。

数あるカンボジアスイーツの中で「真打」は何?

カンボジアはスイーツの天国でもある。暑い国では塩分だけではなく糖分も大事。身体を冷やす役目があるからだ。

やってきたのは、シェムリアップ川沿いにあるポコンボー通り。最低気温が25度を下回らないこの街でも、夕涼みという感覚があるのか。川沿いのベンチは人で埋まり、そこかしこで賑やかな声が聴こえてくる。

この界隈やオールドマーケットのあたりは、地元でしか味わえないさまざまなローカルスイーツの屋台を楽しめる。

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かぼちゃの種をくり抜いて、ココナッツミルクとアヒルの卵のプリン液を入れて蒸したかぼちゃプリンや、カラフルなゼリーにかき氷を乗せ、練乳とシロップをかけた定番の屋台スイーツ、米粉にココナッツスライスを入れた生地を炭火でサクッと焼いたカンボジア版ワッフルなど……。そんな中で「私にとってのカンボジアスイーツ真打」として金沢がおすすめするスイーツは、ココナッツミルクと緑豆を甘く煮たぜんざいだ。

「素朴で優しい甘みは、この街の人たちの人柄とも重なる」

そんな一言とともに流れる、CAMBOKINGによる楽曲「MISS」の幻想的なサウンドが、イメージトリップの余韻に浸らせてくれる。

(構成=小島浩平)

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番組情報
RINREI ASIAN SOUNDSCAPE
金曜
24:00-24:30