音楽、映画、エンタメ「ここだけの話」
王宮のような寺院や、452mの高層ビル…「歴史と新しさ」が融合するマレーシアの首都へ

画像素材:PIXTA

王宮のような寺院や、452mの高層ビル…「歴史と新しさ」が融合するマレーシアの首都へ

2019年にJ-WAVEのアジア専門音楽番組として誕生した『MUSIX ASIA』が、2023年春から、アジアの国々への「イメージトリップ」に誘う新プログラム『RINREI ASIAN SOUNDSCAPE』(毎週金曜 24:00~24:30)へとリニューアル。毎回アジアの様々な国をフィーチャーし、その土地の人々や文化などとの触れ合いをストーリーに仕立て、音楽とともにお届けする。

旅の水先案内人となるナビゲーターは、『MUSIX ASIA』に引き続き、シンガポールに縁を持つ俳優・金沢雅美が務める。5月12日の放送で訪れた旅先は、マレーシアの首都「クアラルンプール」。ここでは、金沢の語りで展開された空想旅行の模様と、イマジネーションの旅に彩(いろどり)を添えた楽曲と併せてテキスト形式にて紹介する。

【これまでのイメージトリップはコチラ】
rinrei20230523-kana.jpg

<ナビゲーターの金沢雅美>

朝は礼拝への呼びかけ「アザーン」に起こされる

成田空港からおよそ7時間半。イマジネーションの旅は、クアラルンプール国際空港に降り立つところから始まる。街の中心・セントラル駅までは、ノンストップの特急列車で30分。車内は比較的空いており、席も確保できた。ふと斜め前の席に目をやると、ピンクのヒジャブを頭に巻いた女性。手にはバウムクーヘンのように生地が何層にも重なるマレーの焼き菓子「クエラピス」を持ち、頬張っている。

「小さい頃、よく祖母が買ってくれた」

懐かしい思い出に浸っているうちに駅へと到着。既に日が暮れていたため、この日は、ゆっくりホテルで休むことに。

翌朝。礼拝への呼びかけ「アザーン」の声に起こされる。布団のぬくもりは日本にいる時と変わらないが、聞こえてくる音はいつもと違う。「そうだ、クアラルンプールに来ているのだった」。フライトの疲れはあるが、旅の時間を無駄にはしたくないので、さっそく街に繰り出した。

はじめに訪れたのは、1909年に建てられたクアラルンプール最古のイスラム寺院「マスジッドジャメ」。インドのムガール様式の影響を受けた白いタマネギ形のドーム屋根や赤煉瓦の壁、花びら型のアーチのある柱廊が美しい。流れるような曲線は、さながら王宮のようだ。

rinrei_sub2_0512_027_main2.jpg
見学の際、イスラム教の戒律に則り、体をすっぽり覆うローブを借りる。靴を脱いで白い大理石の床に足を踏み入れると、どこからともなく聴こえてくるのはブルネイ出身の男性歌手Aziz Harunの楽曲「Jauh」。オリエンタルなギターの音色と幻想的な歌声が、祈りの場を包み込む静謐な空気を思わせる。

開放的なムードが魅力の「コロシアム映画館」

マスジッドジャメを出て、トゥンク・アブドゥル・ラーマン通りを北に300mほど歩く。この通りには、周辺にインド人街が広がっていることもあって、インド映画を専門に上映する「コロシアム映画館」がある。ここは1920年に建てられたマレーシアで最も古い映画館の一つであり、クラシカルな建物がひと際目を引く。

訪れたのはちょうど映画が終わったタイミング。「おっと、Excuce me……」。扉が開くと同時に、映画を観終わったお客さんがどっとエントランスに押し寄せ、中には、大きな声で歌っている人もいる。

「歌っているのは映画のサントラだろうか? なんて開放的で楽しそうなんだろう」

コロシアム映画館の人混みを抜け、マスジッド・インディア通りへ。ここは、インドシルクやサリーなどの店が軒を連ねている。

「インドシルクは色や柄はもちろんだが、質感や光沢にバリエーションがあり、見ているだけで楽しい」

rinrei_sub4_0512_027_main4.jpg
ここで流れるのは、男性シンガーソングライター・Pete Teoによる楽曲「Blue」。喧騒を離れ、まったりとウィンドウショッピングを楽しむ午後のひと時にピッタリな、温かみのあるサウンドが心地よい。

市場で売られるスパイスから伝わる食文化

次にやってきたのは、クアラルンプールで一番モノが豊富で安いとされる、地元の人のための生鮮食品市場「チョウキットマーケット」。活気のある売り込みの声がそこかしこで響く中、野菜市場から、肉売り場、魚売り場へと歩を進めると、市場の匂いが変わってくる。

煮込み料理に使う生姜の仲間・ガランガル、カレー料理に欠かせないフレッシュターメリック、ナシレマ(=ココナッツごはん)などに使うパンダンリーフ、料理に爽やかな香りを添えてくれるコブミカンの葉など……。その国の食文化は、肉や野菜、果物はもちろん、こうしたハーブやスパイスからも伝わるものだ。

市場に来ると、売り物をたくさん買って帰りたいと思ってしまう。むろん、そんなことはできないので、いつも我慢しているのだが……。

「両手にたくさんの荷物を持っているそこのあなた。羨ましい!」

そんな心の声とともに、女性歌手Nabila Razaliのダンサブルなナンバー「PEMATAH HATI」がかかり、スパイスのようにあとに残る重低音を響かせる。

rinrei_sub6_0512_pixta_49098686_M.jpg

画像素材:PIXTA

地上370mの展望デッキから見る絶景

チョウキットマーケットからタクシーを拾っておよそ2km。そこに今回の旅の終着点である、高層ビルが建ち並ぶビジネス街「クアラルンプール・シティセンター」がある。

ここへ来た目的は、マーケットからも見えた高さ452mのオフィスビル「ペトロナス・ツインタワー」へ登るためだ。この建物は、2003年まで世界で最も高いビルとして知られ、急激に近代化を果たしたクアラルンプールの誇りでもある。

rinrei_sub5_0512_027_main5.jpg
上昇するガラス張りのエレベーター。遠ざかっていく地上に、自然と胸の鼓動が高鳴る。

「おお~、これは思った以上に興奮する……! ガラスで覆われているのはわかっているが、宙にいるような錯覚を起こしてしまう」

そして86階の展望デッキへ到着。地上370m、全面ガラス張りで360度見渡すことができ、眼下にはクアラルンプール公園、近未来都市のようなビル群とその奥の街並みが広がる。それらはジオラマのように小さい。旅をする前であれば無機質に見えていたかもしれないが、一日街を歩いた今は、伝わってくるものがある。

「この街に生きる人々の息吹やエネルギー感じた」

そんな締めくくりの一言とともにyuji & putri dahliaのバラード曲「Old Love」が流れ、空想旅行のエンディングテーマとして優しい音を奏でる。

(構成=小島浩平)

この記事の続きを読むには、
以下から登録/ログインをしてください。

  • 新規登録簡単30
  • J-meアカウントでログイン
  • メールアドレスでログイン
番組情報
RINREI ASIAN SOUNDSCAPE
金曜
24:00-24:30