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ボブ・ディラン、今回の来日公演は「相当すごい」 そのワケをワタナベイビーが熱弁

ボブ・ディラン、今回の来日公演は「相当すごい」 そのワケをワタナベイビーが熱弁

来日ツアーが始まるボブ・ディランの魅力について、ホフディランのワタナベイビー(Vo/Gt)が語った。

ワタナベイビーが登場したのは、J-WAVEで4月3日(月)、4月4日(火)に放送された『DIG UP!』(ナビゲーター:藤田琢己)。同番組では2日にわたってボブ・ディランを特集した。
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「ボブ・ディラン優位」で進行するライブ

ボブ・ディランは4月11日(火)から、有明東京ガーデンシアターからはじまる来日ツアー「"ROUGH AND ROWDY WAYS" WORLD WIDE TOUR 2021-2024」を敢行する。ボブ・ディランの音楽、ライブ、そして人間性に魅せられたアーティストとしてワタナベイビーが登場した。

藤田:いよいよ東京公演が近づいてきました。「もちろん」という訊き方になりますが……。

ワタナベイビー:チケットは取り押さえさせていただいています(笑)。

藤田:いままでけっこう観られていますよね?

ワタナベイビー:初めて行ったのは1986年のトム・ペティと一緒に来たツアーです。それ以降は全ツアーに伺っています。

藤田:ボブ・ディランのライブの魅力やすごさについて、どう感じていますか?

ワタナベイビー:完全に“ボブ・ディラン優位”でことが進んでいるというか、こっちが受け身でボブ・ディランに従うみたいな感じなんです。コードの展開があえて少ないような曲が多いんですが、さらにアレンジで少なくして、こっちは我慢の時間(笑)。たとえばGとかCという曲のコードだと、Eマイナーが1回来てくれれば、こっちはそれでもう充分なんだけど「マイナーがこない! こない! きた!」みたいな。コード1個で「ありがとうございます!」みたいになるんですよね(笑)。

藤田:「本来この曲はこういう展開のこのアレンジの……」ではなく「いまの私はこういう表現なんだ、聴きたまえ」と(笑)。

ワタナベイビー:それがもはや謎解きとか、いじわるぐらいに見えるんです。

藤田:これは昔からなんですか?

ワタナベイビー:昔からですね。ただ、僕が初めて行ったトム・ペティバンドのツアーのときは、比較的レコードに忠実に演奏していました。

藤田:「トムが困るから」というのもありますよね(笑)。

ワタナベイビー:トムが困るし、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズが大ファンだったんです。ボブ・ディランのレコードで聴いたエキサイティングなアレンジをお客さんに伝えたいというのがあったみたいで。それまでのボブ・ディランのライブに我慢ならなくなったトム・ペティが「ちょっとちゃんとポップに聴かせようぜ」とやったみたいですね。

ワタナベイビーは今回のツアーについて、あることがおよそ10年ぶりなると解説した。

ワタナベイビー:ボブ・ディランさんの来日ツアーがその前がカバーのツアーだったんです。アメリカンスタンダードを歌うツアーで、ボブ・ディランのいわゆる、ロック、ブルースみたいなものはあまり浴びられなかったライブなので、それすらさかのぼると10年ぶりぐらいのツアーなんです。ボブ・ディランさんが80歳をすぎているとかノーベル賞とか関係なく、相当すごい出来事なんです。

藤田:フランク・シナトラを歌うのはよかったけれども、ボブ・ディランが歌うボブ・ディランを聴きに行けるというのは本当に久しぶりになるんですね。

ボブ・ディランに遭遇…「かっこいい!」と感激の態度

ワタナベイビーは1994年の2月7日、会場となる横浜文化体育館の前でライブをする前の“オフステージ”のボブ・ディランに遭遇したことがあるのだという。

ワタナベイビー:リムジンが3台ぐらい会場に入っていって「すごい、あそこにボブがいたんだなあ」なんて、周りもザワザワしていたんです。そうしたら別の小道から、きれいなシルクハットにトレンチコートの“セレブ”という感じの男性が歩いて来て。「誰だ、あのジェントルマンは」みたいな雰囲気だったんですが、ボブ・ディランだけ徒歩で来たんです。

藤田:ええ!

ワタナベイビー:僕は「行くしかない!」と。そのとき赤ペンと文庫本しか持ってなかったんですけど「とりあえずこれにサインしてくれ! ミスターボブ!」みたいな感じでボブ・ディランさんの前に行ったんです。だけどボブ・ディランは「目の前でジャパニーズボーイがシャウトしている」という出来事がなにもないかのように、一瞥もくれずに僕を無視して歩いていくんです。

藤田:うわあ……。

ワタナベイビー:その無視の仕方が「かっこいい!」と思っちゃって。

藤田:ははは(笑)。

ワタナベイビー:完全に無視されたのにまた惚れちゃって。僕は無視されて、さすがに引き際があるからあきらめるんですけど、ほかの人たちも行くんです。「よせよ、無視されたんだよ!」と思っていたら全員駆逐されて、全員完敗して戻ってくるんです。入口のところに1人ぬいぐるみを持った女の子がいたんです。「もうよせ! ぬいぐるみなんかダメだ!」ってみんな思っていて「なんならディランさん怒るぞ」と思ったら、その女の子にだけ「サンキュー」と言ってぬいぐるみを受け取って行ったんです。それを完全に無視された5、6人の男たちが「やっぱディランってかっこいいっすよねえ」って。そこは本当にジェントルマンでした。だから会ったというより無視された経験があるだけなんですけど(笑)。

藤田:(笑)。

ワタナベイビー:向こうは会ってないというか。

藤田:なるほどね。

ワタナベイビー:リッチマンという格好をしていました。ところがその日のライブを当日券買って観に行ったら、ボロボロのジーンズに破れたTシャツで出てきて「あの人はうそつきだ!」と思いましたけどね(笑)。「僕は騙されていたんだ!」って。だからわざと意地悪で歩いて来て、ああいうことをやっているんじゃないかと僕は。すでに盛り上げ、ファンサービスじゃないけど。

ノーベル文学賞の無視もわざと?

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ボブ・ディランは2016年のノーベル文学賞に選ばれたが、発表からおよそ2週間沈黙し続けたことが話題となった。

藤田:でも実は最終的に「とても光栄だ」とちゃんと事務局には伝えてあるという。

ワタナベイビー:あれもそういう無視された者からしたら「絶対わざとだ!」と思っているんです(笑)。世界をからかっているんだと思っているんですけど。

藤田:世界やファンをもけむに巻き、最後には優しさを見せるところまでがボブ・ディランという、その一挙手一投足が見逃せないというのがステージの美学にも結び付いていると。人柄のお話までも伺うと、ボブ・ディランはどこまでいってもボブ・ディランです。

ワタナベイビー:そうですね。まんまとハマっちゃっているわけですから。やっぱり魅力的なんです。

藤田:ステキだなあ。そんなボブ・ディランの最新の楽曲なんかも含めて「ボブ・ディランが歌うボブ・ディラン」を楽しめると。

ワタナベイビー:やりそうですよね。

藤田:ですよね。ただ、アレンジが「我々が聴いたあの楽曲のアレンジかどうかはわからないよ」というところはありますよね。

ワタナベイビー:新作は比較的近い気がするんですけど、それでもわからないですよね。似たようなアレンジでカバーやったりすることもあるので。でもどれももう、ひとつの曲みたいな感じで。バンドも含めてだいぶ高い境地に達しているから、音を浴びているだけでだいぶ教養になるというか。あのバンドのサウンドを浴びるだけで人生が豊かになると思います。

藤田:これは長年追いかけているファンはもちろん、新しく知ったよという方の入り口も一周回って比較的近いところにあるというか。

ワタナベイビー:過去50年のディスコグラフィとか関係ないですからね。

藤田:「これをきっかけに」という方にもいいハードルかもしれません。ということでその境地をぜひ味わっていただきたいと思います。

「"ROUGH AND ROWDY WAYS" WORLD WIDE TOUR 2021-2024」の詳細はJ-WAVEのイベントサイトまで

『DIG UP!』ではJ-WAVEがおすすめするイベント情報をピックアップして紹介。イベント関係者や出演アーティストのコメントなどでイベントの魅力を伝える。放送は月曜から木曜の18時50分から。

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DIG UP!
月・火・水・木曜
18:50-19:00