展覧会「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」が、7月8日(土)から8月23日(水)わたって渋谷ヒカリエで開催。ソール・ライターの稀有な才能や魅力を紹介する。
【J-WAVE『DIG UP!』(オンエア:5月24日(水)、ナビゲーター:山中タイキ)】
そんなソール・ライターが経験を積み、才能を開花させたのが戦後間もないニューヨークだった。近年新たに発見された作品を中心に構成した展覧会が渋谷ヒカリエ9階、ヒカリエホール ホールAでおこなわれる。番組では展覧会を主催するBunkamura ザ・ミュージアム学芸員の吉川貴子さんに話を訊いた。
山中:以前、Bunkamura ザ・ミュージアムで開催された展覧会のときに僕も伺っています。こんな写真家の方がいたんだと。作品にももちろん魅了されて「また何度も見たいな」と思わせてくれた作品を作るソール・ライターですが、彼のキャッチコピーとして「カラー写真の先駆者」と呼ばれています。
吉川:はい。
山中:その色であったり構図というところで、ソール・ライターの作品の特徴的なところはありますか?
吉川:ソール・ライターはなんといっても色彩構成が非常に巧みだとよく言われています。そもそもカラーフィルムというのは1936年に販売が開始されましたが、当時は現像の技術というのが非常に複雑で大変高価だったので、もっぱらファッション写真や宣材写真といった商業分野で使われていたんです。そうした背景もあって、カラー写真というのは当時は軽薄で芸術性が低いといったイメージがとても強くて。アートの世界においても70年代ぐらいまでカラー写真というのは芸術作品としてはなかなか扱われませんでした。そういったなかで、ライターは個人的にずっと早い段階からコツコツとカラー写真を撮りためていました。自分の美学を写し出すような写真というのをずっと追及していった稀有な作家さんなんです。こんなに古い時代から非常に美しい、質の高いカラー写真を撮っていたという意味で、いまでは「カラー写真の先駆者」と呼ばれています。
山中:なるほど。ある意味時代に翻弄されず、自分の美学をそのときから貫いていたところがあった作家ということになるんでしょうか。
吉川:どの時代をとってもソール・ライターらしい写真というのが、時代を超えてずっと続けられているという意味で、非常に首尾一貫とした作家活動を続けていたなという印象があります。
吉川:今回は会場が非常に大空間ということもありまして、10面の大きなスクリーンでカラー写真を大規模なプロジェクションでお見せする予定になっています。ソール・ライターが大量に遺した写真は現在もニューヨークのアパートで整理、アーカイブ化して研究が進められているんですけれども、今回は近年発掘された作品を含む250点のカラー写真を投影する予定です。ニューヨークの街の空気感とか、あとはなんといってもライターの色彩感覚というのを大型のプロジェクションで存分に感じていただけるのではないかなと思います。ぜひその作品世界に浸るような感じで、みなさまに見ていただけたらなと思っています。
山中:フレームのなかに収めて写真を見るのではなくて、空間として体験できるような展示ということですね。
吉川:そうですね。
山中:そして絵画作品も展示されるようですね。
吉川:もともと画家を志して、生涯絵を描き続けていたライターの絵画作品も写真とともに展示されます。当時のアートシーンを席巻した抽象主義の作品なんかも彷彿とさせたりとか、あとはライター自身のカラー写真の表現にもなにか相通じるところもあるかなと思います。なので、そういったところに注目してご覧いただければなと思います。
山中:これは過去に展覧会を見に行った方も、また新しいソール・ライターの視点が見えるようなところがありそうですね。
吉川:新たな発見もあるかなという風に思いますので、ぜひ会場に足を運んでいただけたらありがたいです。
「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」の詳細は、公式サイトまで。
『DIG UP!』ではJ-WAVEがおすすめするイベント情報をピックアップして紹介。イベント関係者や出演アーティストのコメントなどでイベントの魅力を伝える。放送は月曜から木曜の18時50分から。
【J-WAVE『DIG UP!』(オンエア:5月24日(水)、ナビゲーター:山中タイキ)】
ソール・ライター《無題》撮影年不詳 ©Saul Leiter Foundation
カラー写真の先駆者
1950年代から80年代にかけて商業カメラマンとして活動してきた写真家ソール・ライター。その後20数年にわたり表舞台から姿を消していたが、2006年に出版された作品集をきっかけに世界的にその存在が知られるようになった。2013年、89歳で星になってしまったライターだが、83歳で世界デビューを果たした写真家として、またカラー写真の先駆者としていまでも世界中で愛されている。そんなソール・ライターが経験を積み、才能を開花させたのが戦後間もないニューヨークだった。近年新たに発見された作品を中心に構成した展覧会が渋谷ヒカリエ9階、ヒカリエホール ホールAでおこなわれる。番組では展覧会を主催するBunkamura ザ・ミュージアム学芸員の吉川貴子さんに話を訊いた。
山中:以前、Bunkamura ザ・ミュージアムで開催された展覧会のときに僕も伺っています。こんな写真家の方がいたんだと。作品にももちろん魅了されて「また何度も見たいな」と思わせてくれた作品を作るソール・ライターですが、彼のキャッチコピーとして「カラー写真の先駆者」と呼ばれています。
吉川:はい。
山中:その色であったり構図というところで、ソール・ライターの作品の特徴的なところはありますか?
吉川:ソール・ライターはなんといっても色彩構成が非常に巧みだとよく言われています。そもそもカラーフィルムというのは1936年に販売が開始されましたが、当時は現像の技術というのが非常に複雑で大変高価だったので、もっぱらファッション写真や宣材写真といった商業分野で使われていたんです。そうした背景もあって、カラー写真というのは当時は軽薄で芸術性が低いといったイメージがとても強くて。アートの世界においても70年代ぐらいまでカラー写真というのは芸術作品としてはなかなか扱われませんでした。そういったなかで、ライターは個人的にずっと早い段階からコツコツとカラー写真を撮りためていました。自分の美学を写し出すような写真というのをずっと追及していった稀有な作家さんなんです。こんなに古い時代から非常に美しい、質の高いカラー写真を撮っていたという意味で、いまでは「カラー写真の先駆者」と呼ばれています。
山中:なるほど。ある意味時代に翻弄されず、自分の美学をそのときから貫いていたところがあった作家ということになるんでしょうか。
吉川:どの時代をとってもソール・ライターらしい写真というのが、時代を超えてずっと続けられているという意味で、非常に首尾一貫とした作家活動を続けていたなという印象があります。
ソール・ライター《無題》撮影年不詳 ©Saul Leiter Foundation
ソール・ライター《無題》撮影年不詳 ©Saul Leiter Foundation
10面の大スクリーンに写真を投影
吉川さんは「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」の見どころについて解説した。吉川:今回は会場が非常に大空間ということもありまして、10面の大きなスクリーンでカラー写真を大規模なプロジェクションでお見せする予定になっています。ソール・ライターが大量に遺した写真は現在もニューヨークのアパートで整理、アーカイブ化して研究が進められているんですけれども、今回は近年発掘された作品を含む250点のカラー写真を投影する予定です。ニューヨークの街の空気感とか、あとはなんといってもライターの色彩感覚というのを大型のプロジェクションで存分に感じていただけるのではないかなと思います。ぜひその作品世界に浸るような感じで、みなさまに見ていただけたらなと思っています。
山中:フレームのなかに収めて写真を見るのではなくて、空間として体験できるような展示ということですね。
吉川:そうですね。
山中:そして絵画作品も展示されるようですね。
吉川:もともと画家を志して、生涯絵を描き続けていたライターの絵画作品も写真とともに展示されます。当時のアートシーンを席巻した抽象主義の作品なんかも彷彿とさせたりとか、あとはライター自身のカラー写真の表現にもなにか相通じるところもあるかなと思います。なので、そういったところに注目してご覧いただければなと思います。
山中:これは過去に展覧会を見に行った方も、また新しいソール・ライターの視点が見えるようなところがありそうですね。
吉川:新たな発見もあるかなという風に思いますので、ぜひ会場に足を運んでいただけたらありがたいです。
「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」の詳細は、公式サイトまで。
『DIG UP!』ではJ-WAVEがおすすめするイベント情報をピックアップして紹介。イベント関係者や出演アーティストのコメントなどでイベントの魅力を伝える。放送は月曜から木曜の18時50分から。
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