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cero・髙城晶平が作詞を語る。曲が先か後かで、仕上がりはどう変わる?

cero・髙城晶平が作詞を語る。曲が先か後かで、仕上がりはどう変わる?

ceroの髙城晶平(Vo/Gt)が、注目するアーティストや音楽制作と執筆の共通点などを語った。

前回に引き続き髙城が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談議を繰り広げる番組だ。オンエアは6月9日(金)。ceroは5月に5年ぶりとなるニューアルバム『e o』をリリースした。

【前回の記事】 cero・髙城晶平、細野晴臣やくるりからの影響を語る。“キュン”とするポイントは

注目する「和製プリンスみたいなアーティスト」

髙城は、最近注目しているアーティストに藤井洋平をあげた。 髙城:ceroが所属しているカクバリズムで新しくアルバムが出るんですよ。その前に出したのが10年前くらいで。ceroのキーボードをやっている荒内(佑)くんが参加してて、なんとかかんとかできてきて、この間、聴かせてもらったんですけど、それが素晴らしくて。和製プリンスみたいな人なんだけど、それだと言い表せないくらい、ものすごいエモーションを持った人で。僕、昔から知り合いなので、とうとうこういうものを作ってくれたかって。本当に期待しているので、ぜひみなさんに聴いてほしいですね。

クリス:藤井さんは10年前から知っていたわけですね。

髙城:それより前から、それこそ中央線界隈でライブをしているあたりから知り合って、エレキ1本持って、ウッドベースと2人でやってて、むちゃくちゃなルックスで、なんだこの人って思ってたんですけど、ソウル垂れ流しな人で、好きにならずにはいられない男なんですよね。

作詞と文筆の共通点は?

髙城はceroやソロでの音楽活動のほか、文筆もおこなっている。

クリス:小さい頃から書くことが好きだったんですか。

髙城:もともと音楽をやろうと思う前は、いろんな子どもが思うことですけど、漫画家になりたいとか夢があって。物語が作りたいとか、そういうものに携わりたいとか、そっちが先にあったんですよね。そういう絵を描いたりして。けど、「なかなかこれは自分の手には負えないな」って思ったときに楽器があって、それを音楽っていうふうにしたら1つまとまったものが自分の中で作れたので、たまたまそっちのほうに振れていきましたけど、もともとそういうのが好きなのがあるので、今たまに文章を書かせてもらったりとかってすごくありがたいことだと思っています。

クリス:書くのは好きなんですよね?

髙城:好きですね。できればそういうセカンドキャリアがあってもいいのかなとか思ってるんですけど、いずれ何か頑張って書いてみたいですね。

クリスは「文筆業と音楽って別物?」と質問すると「作詞に関しては結構近い」と髙城は答える。

髙城:僕は基本的に作詞は常々メモみたいな1行の断片みたいなものを携帯とかに残していて、作詞をするぞってときにパズルみたいにそれをより合わせて1つの歌詞にするんですけど、結構文筆もそれに近いようなことをしていて。そういうフラグメントをいっぱい用意しておいて、何かコラムを書いてくださいっていうときに、それをより合わせて1つにする。結構作詞の活動に近い脳みそでやってるかもしれないですね。

クリス:曲を作っているときって、メロディーが先ですか。それとも詞が先ですか。

髙城:これまでは詞が先というか、メロディーと言葉を同時に考えていく方法が常にあったんですけど、新しいアルバム『e o』の歌詞は完全にあとになりましたね。曲が先。いろんなものが完全に仕上がってから最後に言葉を入れるっていう風に順番が変わりましたね。

クリス:先にメロディーと先に歌詞ではどう違いますか。

髙城:先に曲があるとメロディーが必要としている言葉があるので、そっちにイニシアチブが移るから、メロディーのほうに合わせて、より言葉が研磨されるというか。言葉が先だと逆に言葉ありきでメロディーが形成されていくんですよね。それが結構大きい違いで、できてくるものが全然違うんですよね。さらに言うと、言葉が先だとストーリーテリングになりがちで物語的な叙事的なものになっていく。それに対してメロディーが先にあるとより散文的というかリリカルになっていく。そういう違いがあるなって今回作ってて感じましたね。

「ワイワイやってるけど、どこか根底は静か」なものを作りたかった

ベン・フォールズ・ファイヴが好きだと言う髙城。それが髙城にとって初めて触れた洋楽だったと振り返る。

髙城:世代的に結構流行ってたっていうのもあったりして。『ラインホルト・メスナーの肖像』ってアルバムがあるんですけど、ベン・フォールズ・ファイヴの1枚目、2枚目って結構明るくて、ピアノロックみたいな。『ラインホルト・メスナーの肖像』ってすごく暗いんですよ。すごく荘厳でなんか敗退的なムードがあって、ここ最近、コロナ以降でこのアルバムを聴き返したくなって。

クリス:なんでだろう。

髙城:この静けさがほしかったと思いますね。今回作ったアルバム『e o』も、ワイワイやってるんだけどどこか根底が静かだなって、こういう印象のものが作りたいなって思ったりしたんですよね。

ceroが5月に5年ぶりにリリースしたニューアルバム『e o』には、コロナ禍以前の楽曲も収録されている。

クリス:『Fdf』は緊急事態宣言以前の2020年2月にリリースされていますよね。

髙城:それだけが唯一パンデミック前というか。それからずっとコロナ禍というタームの中でずっと作ってきたものなので、そういう影響は少なからずあるかなと思います。

クリス:ジャケットのアートワークはデザイナーの坂脇 慶さんですね。

髙城:このアルバムの前に出したシングルとかも結構デザインをやってもらっていて、その他のデザインまわりもやってもらってて、歳もわりかし近いので頼りにしてますね。といってもコロナ前後くらいからなので、ここ3、4年とかですね。素晴らしいデザイナーなのですごく信頼しています。

子どもはタイムマシン

ceroは6月2日から『e o』の発売を記念した全国ツアー「『e o』 Release Tour 2023」がスタートしている。

クリス:パンデミックも落ち着いたような感じですけど、パンデミック間でずっとやりたかったこととかあります?

髙城:基本的に僕は近所でやりたいことが全部やれてて。本を読んだりとか全然できてるから、あんまり大きな変化はないかもしれないですね。引き続き、本を読んだり映画館行ったりをひたすらやりたいなって思っています。

クリス:僕の子どもがだんだん人間化してきて。今まで赤ちゃんだったので。だから家族でいろいろ旅したいなって。子どもは未体験が多いので、子どもを通して再発見できることがものすごく多いですよね。

髙城:わかります。ちょっとタイムスリップしますよね。俺もこんなことあったって思うんですよね。

クリス:子どもが生まれて、幼少期の記憶がよみがえりますからね。

髙城:急にフラッシュバックするんですよね。子どもはタイムマシンですよね、本当に。

ceroの最新情報は、公式サイトまで。

番組の公式サイトに過去ゲストのトーク内容をアーカイブ。オンエアで扱った音楽の情報も掲載している。

・過去ゲストのアーカイブページ
https://www.j-wave.co.jp/original/otoajito/archives.html

『SAPPORO BEER OTOAJITO』では、毎週さまざまなゲストを迎えてお酒を飲みながら音楽トークを繰り広げる。放送は毎週金曜23時から。

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番組情報
SAPPORO BEER OTOAJITO
毎週金曜
23:00-23:30