篠原ともえが、創作活動やSDGsとの向き合い方を語った。
篠原が登場したのは毎週週替わりでJ-WAVEが厳選した企画をお届けする特別な時間『J-WAVE SELECTION ITOCHU DEAR LIFE, DEAR FUTURE』。オンエアは7月24日(日)。ナビゲーターはSHELLYが務め、篠原とトークを繰り広げた。
同番組は、SDGsに関する活動を後押しする情報発信・体験の場である、青山のITOCHU SDGs STUDIOから発信。オンエアだけでなく、デジタル音声コンテンツとして提供・配信するサービス「SPINEAR」でも配信。SpotifyやApple Podcastsでも楽しめる。エピソードは月曜日に、3回にわけて更新。
■ITOCHU SDGs STUDIO公式サイト
https://www.itochu.co.jp/ja/corporatebranding/sdgs/about.html
SHELLY:「ニューヨークADC賞」で2部門を受賞、おめでとうございます。これは世界で最も歴史のある広告デザインの国際賞なんですよね。実際、受賞の報せをもらったときはどんな気持ちでしたか?
篠原:デザイン界の中でも憧れの賞と聞いていましたし、広告賞なんですけど、かつてアンディ・ウォーホルが受賞しているすごく大きな賞なんです。でもきっとひとりで挑戦しては絶対に届かない賞なので、自分たちで立ち上げたデザイン会社・STUDEOで挑んだんですけど、まずそのチームへの感謝ですね。またこれは皮の着物の作品なので、これまで日本の皮革産業を支え続けてきた職人さんの技術のたまものだなって。だからまず感謝がいちばんでしたね。
SHELLY:受賞作品はエゾ鹿の皮を使って作られた着物で、帯と帯締めも革で作られているんですよね。
篠原:全部、革です。
SHELLY:すごく繊細で。最近は動物愛護の観点からフェイクレザーをよく見るようになりましたけど、今回はあえてエゾ鹿の皮を使おうと思ったんですか。
篠原:もともと埼玉県草加市にある革の工場と協業して作ろうっていう作品だったんですね。それで着物を作るコンセプトを決めたときに「どういった革がありますか?」と質問したら、「草加市は100年続く皮なめしの事業をしているので、絹のような革を私たちは届ける自信がある」って言われて、その中で紹介されたのがエゾ鹿の皮でした。
SHELLY:へえ!
篠原:革って繊細な背景も持っているので、そのあたりの話も聞きましたら、エゾ鹿の皮は森林被害防止のために捕獲された動物たちの皮を使っていると。そして、肉はジビエとなって私たちの食用となり、その副産物の皮を使っているんですっていう背景を聞いたときに、そのプロセス全部を届けたいって思ったんですよね。私は工場に出向いたときに、人生をかけて皮をなめして、三代も続く工場の背景にすごく心が動いたんですね。なので、そういった歴史みたいなものを全て作品に集めて届けたらいいんじゃないかっていうことをコンセプト作りからしていきました。
SHELLY:革って聞いてたので、2、3ミリくらいの厚さのものかと思うんですけど、この皮は紙一枚くらいとにかく薄くて。
篠原:0.45ミリですね。
SHELLY:だからその分、皮自体がすごくやわらかく動くし、でも触ったときのやわらかくて肌なじみのいい感じはそのままなんですね。
篠原:そうなんです。本当に絹のようだなと思って。
SHELLY:確かに。ちなみにこの作品は完成までにどれくらい時間がかかったんですか?
篠原:1年くらいかかりました。柄を決めていくうえで私たちはこの作品を作ることで課題を解決していくことをしたいということを言って。皮の背景を聞いたときに、もともと皮って独特な形をしているんです。ちょっと地図のような。
SHELLY:(動物の)体の形のまま開いているわけですからね。
篠原:その皮の端を廃棄している背景があるということを聞いたときに、じゃあこの作品でその問題を解決しようってところまで向き合いたいと思ったんですね。この皮の端が何かに見えないかって思ったときに、山の稜線に見えるなって思ったんです。その稜線のように皮を組み合わせて水墨画のような1枚絵にすればきっと見たことのない景色が見えるはずだって思って。私が図書館に行って水墨画を検証したり、それをコンピュータで組み合わせたりして、実際にそれができるかを、うちのデザイナーが皮を1枚1枚スキャンしてシミュレーションをして……それに半年くらいかけましたね。
篠原:ホテルのユニフォームは初めてだったんですよね。
SHELLY:オシャレなセレクトショップに置いてありそうな、カジュアル服というか。あえてこういうカジュアルなテイストにしたんですか。
篠原:はい。やっぱり長く来ていただくためには不偏なデザインとシンプルな着心地が大事だなと思って。テキスタイルからデザインしたんですけど、「OMO7大阪 by 星野リゾート」は街を楽しもうねっていうガイドサービスがあるので、街のお気に入りをみんなに見つけてほしいという意味で、よく携帯電話で地図を開くとピンが出てきますよね。そのピンをモチーフにテキスタイルにしました。あと、地図とかたくさんもの入るみたいなので、かばんも一から作ったんです。
SHELLY:丈夫そう。これは何の素材ですか?
篠原:ポリエステルなんですけど、生地ってもともと四角いので、なるべく余りがでないようにっていう(ことも考えて)。
SHELLY:四角く作るっていうことが結果的に無駄を減らすって面白いですね。この発想ってあまりないというか、消費者側は気付かないですね。
篠原:これはマーキングっていう作業になるんですけど、生地って四角いのに洋服とかってカーブがでるじゃないですか。だからそこで余りがどうしてもできてしまう。それをいかにパズルのように組み合わせて余りを出さないかっていうのは縫製さんや工場の技術になるので、できるだけ余りを出したくないっていうのは事前にお話していくんですよね。
SHELLY:サステナブルな素材を使ったりとかも注目されてますけど、もともとの生地に無駄を出さないってこともすごく大事そうですね。
篠原:それも作っていく上で学んでいったことなですけど、工場としっかり連携をしていけばそれはできることなんじゃないかなって思ったんですよね。
篠原はデザイナーと工場がやりとりをしていけば、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」と目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」を立ち上げられると思ったという。
篠原:このバッグは大阪の工場だったり、ユニフォームは栃木の工場に行って、どういう取り組みができるかなってことを直接話したりしたんですね。海外に頼むのではなくて、なるべく日本の産業と一緒に温度を合わせて作るっていうことはこれからやっていきたいなって思います。そのほうが楽しかったりするので。
篠原:私はファッション専門誌『WWD』(INFASパブリケーションズ)を定期購読しているんですけど、「今こんな問題があるよ」「こんな課題があるよ」っていうのを細かく見たときに、やらなきゃなって思うんですけど、できることって限られてると思うので、心が動いたところに私は飛び込めばいいなって思うんですよね。
SHELLY:なるほど。
篠原:例えば、海を愛している人はプラスチックを少しでも減らそうとか、そういう活動をすると思うし、私は洋服を作る世界にいるから、そこで余りを出さないっていう問題に何かしたいと心が動くので、そこに走って行こうと思うんですよね。そこで新しい知識を得るのも大事なんだけど、じゃあ自分のルーツにどういったものがあるのかなって思ったときに、私のおばあちゃんは着物のお針子さんだったな、着物って1枚の反物から余りを出さずにパズルのように組み合わせて持続可能な伝統衣装を作っているな、そこに私も飛び込みたいなと思って今の自分の取り組みがある。だから心が動いたところに真っすぐに走って行けばいいんじゃないかなって。
SHELLY:自分が「これを何とかしたい」と思ったことをひとつ選んでそれを向き合うっていいかもしれないですね。そうやって自分で決めてやるのはいいかもしれないですね。
SDGsは2030年までに達成する17の目標を掲げている。それにちなみ、SHELLYは「2030年までにどんな社会になっていてほしいか?」と篠原に訊いた。
篠原:私は自分で「自由に自分らしく自信を持って」という大切な言葉を持っていて、それを緊張したときとか不安なときとかに唱えるようにしてるんです。これを唱えて自分自身を強くしてる。だから未来に向かって歩んでる私たちが一人ひとり自分らしいアイデアのSDGsで、それを自信を持って続けていくことが大事だと思っているので、そういうメッセージをこれからも伝えられたらなと思っています。
篠原ともえの最新情報は、公式サイトまたは、オフィシャルInstagramまで。
SHELLYがナビゲートするプログラム『ITOCHU DEAR LIFE, DEAR FUTURE』の放送は毎月第4日曜日の22時から。
篠原が登場したのは毎週週替わりでJ-WAVEが厳選した企画をお届けする特別な時間『J-WAVE SELECTION ITOCHU DEAR LIFE, DEAR FUTURE』。オンエアは7月24日(日)。ナビゲーターはSHELLYが務め、篠原とトークを繰り広げた。
同番組は、SDGsに関する活動を後押しする情報発信・体験の場である、青山のITOCHU SDGs STUDIOから発信。オンエアだけでなく、デジタル音声コンテンツとして提供・配信するサービス「SPINEAR」でも配信。SpotifyやApple Podcastsでも楽しめる。エピソードは月曜日に、3回にわけて更新。
■ITOCHU SDGs STUDIO公式サイト
https://www.itochu.co.jp/ja/corporatebranding/sdgs/about.html
エゾ鹿の皮を使った作品が世界的な広告賞を受賞
デザイナーでアーティストとしても活躍する篠原は、5月にデザインとディレクションを手掛けた、エゾ鹿の革を使って作られた着物「THE LEATHER SCRAP KIMONO」が国際的な広告賞「ニューヨークADC賞」で2部門を受賞し話題となった。他にも松任谷由実のコンサートツアーや嵐のドームコンサートなどのアーティストのステージ・ジャケット・番組衣装も手掛ける。SHELLY:「ニューヨークADC賞」で2部門を受賞、おめでとうございます。これは世界で最も歴史のある広告デザインの国際賞なんですよね。実際、受賞の報せをもらったときはどんな気持ちでしたか?
篠原:デザイン界の中でも憧れの賞と聞いていましたし、広告賞なんですけど、かつてアンディ・ウォーホルが受賞しているすごく大きな賞なんです。でもきっとひとりで挑戦しては絶対に届かない賞なので、自分たちで立ち上げたデザイン会社・STUDEOで挑んだんですけど、まずそのチームへの感謝ですね。またこれは皮の着物の作品なので、これまで日本の皮革産業を支え続けてきた職人さんの技術のたまものだなって。だからまず感謝がいちばんでしたね。
SHELLY:受賞作品はエゾ鹿の皮を使って作られた着物で、帯と帯締めも革で作られているんですよね。
篠原:全部、革です。
SHELLY:すごく繊細で。最近は動物愛護の観点からフェイクレザーをよく見るようになりましたけど、今回はあえてエゾ鹿の皮を使おうと思ったんですか。
篠原:もともと埼玉県草加市にある革の工場と協業して作ろうっていう作品だったんですね。それで着物を作るコンセプトを決めたときに「どういった革がありますか?」と質問したら、「草加市は100年続く皮なめしの事業をしているので、絹のような革を私たちは届ける自信がある」って言われて、その中で紹介されたのがエゾ鹿の皮でした。
SHELLY:へえ!
篠原:革って繊細な背景も持っているので、そのあたりの話も聞きましたら、エゾ鹿の皮は森林被害防止のために捕獲された動物たちの皮を使っていると。そして、肉はジビエとなって私たちの食用となり、その副産物の皮を使っているんですっていう背景を聞いたときに、そのプロセス全部を届けたいって思ったんですよね。私は工場に出向いたときに、人生をかけて皮をなめして、三代も続く工場の背景にすごく心が動いたんですね。なので、そういった歴史みたいなものを全て作品に集めて届けたらいいんじゃないかっていうことをコンセプト作りからしていきました。
皮の端を廃棄している背景を知って…
篠原はスタジオに「THE LEATHER SCRAP KIMONO」で使われたものと同じエゾ鹿の皮のパーツを持参。SHELLYが手に取ると、「何これ!?」とその薄さに驚いた。SHELLY:革って聞いてたので、2、3ミリくらいの厚さのものかと思うんですけど、この皮は紙一枚くらいとにかく薄くて。
篠原:0.45ミリですね。
SHELLY:だからその分、皮自体がすごくやわらかく動くし、でも触ったときのやわらかくて肌なじみのいい感じはそのままなんですね。
篠原:そうなんです。本当に絹のようだなと思って。
SHELLY:確かに。ちなみにこの作品は完成までにどれくらい時間がかかったんですか?
篠原:1年くらいかかりました。柄を決めていくうえで私たちはこの作品を作ることで課題を解決していくことをしたいということを言って。皮の背景を聞いたときに、もともと皮って独特な形をしているんです。ちょっと地図のような。
SHELLY:(動物の)体の形のまま開いているわけですからね。
篠原:その皮の端を廃棄している背景があるということを聞いたときに、じゃあこの作品でその問題を解決しようってところまで向き合いたいと思ったんですね。この皮の端が何かに見えないかって思ったときに、山の稜線に見えるなって思ったんです。その稜線のように皮を組み合わせて水墨画のような1枚絵にすればきっと見たことのない景色が見えるはずだって思って。私が図書館に行って水墨画を検証したり、それをコンピュータで組み合わせたりして、実際にそれができるかを、うちのデザイナーが皮を1枚1枚スキャンしてシミュレーションをして……それに半年くらいかけましたね。
生地に無駄を出さないってことも大切
篠原は4月に開業したホテル「OMO7大阪 by 星野リゾート」のスタッフユニフォームをデザインした。篠原:ホテルのユニフォームは初めてだったんですよね。
SHELLY:オシャレなセレクトショップに置いてありそうな、カジュアル服というか。あえてこういうカジュアルなテイストにしたんですか。
篠原:はい。やっぱり長く来ていただくためには不偏なデザインとシンプルな着心地が大事だなと思って。テキスタイルからデザインしたんですけど、「OMO7大阪 by 星野リゾート」は街を楽しもうねっていうガイドサービスがあるので、街のお気に入りをみんなに見つけてほしいという意味で、よく携帯電話で地図を開くとピンが出てきますよね。そのピンをモチーフにテキスタイルにしました。あと、地図とかたくさんもの入るみたいなので、かばんも一から作ったんです。
SHELLY:丈夫そう。これは何の素材ですか?
篠原:ポリエステルなんですけど、生地ってもともと四角いので、なるべく余りがでないようにっていう(ことも考えて)。
SHELLY:四角く作るっていうことが結果的に無駄を減らすって面白いですね。この発想ってあまりないというか、消費者側は気付かないですね。
篠原:これはマーキングっていう作業になるんですけど、生地って四角いのに洋服とかってカーブがでるじゃないですか。だからそこで余りがどうしてもできてしまう。それをいかにパズルのように組み合わせて余りを出さないかっていうのは縫製さんや工場の技術になるので、できるだけ余りを出したくないっていうのは事前にお話していくんですよね。
SHELLY:サステナブルな素材を使ったりとかも注目されてますけど、もともとの生地に無駄を出さないってこともすごく大事そうですね。
篠原:それも作っていく上で学んでいったことなですけど、工場としっかり連携をしていけばそれはできることなんじゃないかなって思ったんですよね。
篠原はデザイナーと工場がやりとりをしていけば、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」と目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」を立ち上げられると思ったという。
篠原:このバッグは大阪の工場だったり、ユニフォームは栃木の工場に行って、どういう取り組みができるかなってことを直接話したりしたんですね。海外に頼むのではなくて、なるべく日本の産業と一緒に温度を合わせて作るっていうことはこれからやっていきたいなって思います。そのほうが楽しかったりするので。
自由に自分らしく自信を持って
SHELLYは生活していると、どんどん社会や環境への問題意識が見つかり、それを知る喜びもあるが、一方で「じゃあ、どうしよう」と、どこから手を付けていいのかわからなくないような感情も生まれると言うと、篠原もうなずく。篠原:私はファッション専門誌『WWD』(INFASパブリケーションズ)を定期購読しているんですけど、「今こんな問題があるよ」「こんな課題があるよ」っていうのを細かく見たときに、やらなきゃなって思うんですけど、できることって限られてると思うので、心が動いたところに私は飛び込めばいいなって思うんですよね。
SHELLY:なるほど。
篠原:例えば、海を愛している人はプラスチックを少しでも減らそうとか、そういう活動をすると思うし、私は洋服を作る世界にいるから、そこで余りを出さないっていう問題に何かしたいと心が動くので、そこに走って行こうと思うんですよね。そこで新しい知識を得るのも大事なんだけど、じゃあ自分のルーツにどういったものがあるのかなって思ったときに、私のおばあちゃんは着物のお針子さんだったな、着物って1枚の反物から余りを出さずにパズルのように組み合わせて持続可能な伝統衣装を作っているな、そこに私も飛び込みたいなと思って今の自分の取り組みがある。だから心が動いたところに真っすぐに走って行けばいいんじゃないかなって。
SHELLY:自分が「これを何とかしたい」と思ったことをひとつ選んでそれを向き合うっていいかもしれないですね。そうやって自分で決めてやるのはいいかもしれないですね。
SDGsは2030年までに達成する17の目標を掲げている。それにちなみ、SHELLYは「2030年までにどんな社会になっていてほしいか?」と篠原に訊いた。
篠原:私は自分で「自由に自分らしく自信を持って」という大切な言葉を持っていて、それを緊張したときとか不安なときとかに唱えるようにしてるんです。これを唱えて自分自身を強くしてる。だから未来に向かって歩んでる私たちが一人ひとり自分らしいアイデアのSDGsで、それを自信を持って続けていくことが大事だと思っているので、そういうメッセージをこれからも伝えられたらなと思っています。
篠原ともえの最新情報は、公式サイトまたは、オフィシャルInstagramまで。
オンエアをお届けした、青山のITOCHU SDGs STUDIO。
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2022年7月31日28時59分まで
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