俳優の奥野 壮とSHELLYがJ-WAVEで対談。奥野が車椅子生活を通して感じたことや、SDGsで興味関心がある目標などを語った。
トークを繰り広げたのは、“私たちの生活、未来のために、明日からすぐ行動できる身近なアクションのきっかけを作る”というコンセプトでお届けする『J-WAVE SELECTION ITOCHU DEAR LIFE, DEAR FUTURE』。オンエアは毎月第4日曜。ここでは、11月24日(日)の放送回をテキストで紹介する。
同番組は、SDGsに関する活動を後押しする情報発信・体験の場である、青山のITOCHU SDGs STUDIOから発信。オンエアだけでなく、デジタル音声コンテンツとして提供・配信するサービス「SPINEAR」でも配信。SpotifyやApple Podcastsでも楽しめる。エピソードは月曜日に3回にわけて更新。
そんな奥野は2021年放送のパラスポーツと本格特撮が合体したドラマ『特撮ドラマ 超速パラヒーロー ガンディーン』(NHK総合)に出演。これは車いす陸上のトップアスリートを目指す高校生が、仲間が作るサポート・ギアを駆使して侵略者から地球を守るというストーリーで、奥野は主人公の森宮大志を演じた。
SHELLY:当時、撮影に当たって準備をされたんですか?
奥野:車椅子をお借りして自宅では全部車椅子で生活していました。
SHELLY:どういうことが大変でした?
奥野:僕の家のなかには階段があるんです。
SHELLY:車椅子で登るのは不可能ですよね。
奥野:階段があったり、ちょっと段差があるだけでガタンってきたりとか、車椅子のまま料理をしてみようと思ったらキッチンが高すぎて大変でした。
SHELLY:通常は立って料理する設計ですからね。それは発見が多かったんじゃないですか?
奥野:車椅子で散歩していたんですけど、コンクリートって思ったより平らじゃないんですよね。けっこうガタガタするんです。自転車とか車だとあんまりそれを感じないけど、車椅子だと如実に感じましたね。坂道も腕の力だけで上がらなきゃいけなくて大変だったので、車椅子で生活していたとき毎日筋肉痛ではありました。
話を聞き「そうなると街作りに疑問がわいてくる」とSHELLYが言うと、奥野が同調する。
奥野:ちょっとした段差の1つでも「これはちょっと行けないな」と思って回り道をしたり「これが坂だったら頑張れるかな」とか思ったりしたことはありましたね。
SHELLY:車椅子生活をされている方と比べることは一切ないけど、私も自分の子どもが生まれたときにベビーカーで外に出かけるようになって「こんなに生活がしづらいのか」って。ちょっとの段差でもベビーカーを持ち上げたときに「これって車椅子の人はどうやって通るの?」と思ったりしました。それまで気づかなかったことをたくさん気づけたのを覚えていますね。
奥野:ベビーカーでそれを気づくのはおもしろいですね。
SHELLY:私にとってのベビーカーとの生活って数年だし、私自身は歩けるしベビーカーを担ぐこともできるから段差も通れるけれど、車椅子の方はそれができないから、その立場が私だったら、「私ってこの街に受け入れられてるのかな?」と思っちゃうなって。もっといろんな人を想定して街作りをしなきゃダメだよね。
奥野:車椅子で生活していたときにそこまで大きく考えていなかったですけど、よくよく考えたらそういうことですよね。どんな方がいても生活しづらくないように……という街作りがされるべきですよね。
SHELLY:どんどん変わっていけばいいですよね。
奥野:そもそもジェンダー平等とは何かというところから知りたくて、何を理想としていて、僕たち一人ひとりが何をすればそれに近づいていくのかを知りたいですね。
SHELLY:ジェンダーに関して日々生活していて「これ変だな」と思うことってあるんですか?
奥野:ふと思うんですけど、僕は小さい頃にアニメの『プリキュア』が好きだったんです。男の子だとそういうものを観ちゃいけないとか、逆に女の子だと戦隊ものを観ちゃいけないとかって雰囲気がありますよね。シンプルに観たいものを観てもいいよなって思うと、「平等って何だろう」と思いますよね。
ここで、ジェンダー平等を軸に執筆、講演、政策提言などを展開する「#なんでないの プロジェクト」代表の福田和子さんを招き、ジェンダー平等について一緒に考えた。
奥野:ジェンダー平等の「平等」とは何を意味しますか? 男性と女性ってそもそも身体的な違いがあって、子どもを産める・産めないとか、筋力や体力が違いますよね。そもそも違うと思うので、何が平等になるんでしょう?
福田:今おっしゃっていただいたように、男性と女性は身体も含めて全部、やっぱり違うんですよね。だから平等とは「同じになること」ではないんです。よくジェンダー平等と言うと「じゃあトイレがみんな一緒になってしまうのか?」とか思われるけれど、そういう話ではなくて、例えば機会や責任、権利が性別によって変わらない、同じというところが、ジェンダー平等が目指しているところなんです。奥野さんが先ほどお話されていた『プリキュア』が好きなのに男の子だから観る機会を奪われる、それっておかしいことですよね。ジェンダー平等はそんな性別によって機会や権利を阻害されないことなんです。
奥野:なるほど。
SHELLY:全てに線を引いて同じにするということではなくて、同じような機会が与えられる状況を作ったり同じ権利がちゃんとあるようなルール作りをしたりが大事なんですね。
福田:でも社会のなかにはすごく強く埋め込まれた「男の子なら、女の子ならこうしましょう」(という規範)があります。障がい者の権利もそうです。(平等を掲げることによって)「障がい者も健常者みたいにならなきゃいけないのか」と思われるかもしれないですが、そうじゃなくて、先ほどお話しにあった街作りから障がい者の人も生きやすいように変えてみる。障がい者の人が過ごしやすかったらみんなが生きやすい社会ですよね。
福田:実際、みんな男性だったらけっこうしゃべりにくかったりしますよね。だからまずは例えば3割は女性の枠を作って、女性が行きやすくする。その後、自然に(そうした場に参画する女性の割合が)3割とか半分になったら、その特別な措置はいらないですよね。そういうものも、この平等の考えに入ってきます。
奥野:日本のジェンダーギャップが解消されないのはどんな理由とか背景があるんですか?
SHELLY:ちなみに日本はジェンダーギャップ指数で言うと、今年が146カ国中118位ですよね。
福田:このランキングは政治、経済、医療とそれぞれで順位が出されているのですが、政治は113位で、政治分野で女性が非常に少ない。この間の選挙でもやっと15パーセントで、これまでで一番女性の数が多いと言われていますけど、それでも15パーセントです。地方議員は3万人くらいいますけれど、20代の女性は15人くらい。これでみんなの意見が通るとは思いませんよね。そうなってくると、例えば女性が妊娠できる体の時期の提案をしたときに、それが通りやすいかというと、全然そうじゃなかったりします。そうすると、なかなか生きやすい社会にはなりません。生きやすい社会とは、いろいろな視点がないと作れないですよね。街作りで考えても、障がいがある人、日本語があまりうまくない移民の人、ベビーカーを持つ人など、いろいろな視点があってこそみんなが生きやすい社会になると思うけど、今は政治が全然そうなっていないんです。
「だからこそ、女性だけではなくさまざまな人が政治などの意思決定の場にいることが、みんなが生きやすい社会にするために大切」と福田さんは続けた。
奥野:ジェンダー平等を叶えるには、僕たち一人ひとりが何をしたらよいのでしょうか。
福田:選挙に行くことも大事ですけど、日常が一番大事かなと思います。やっぱり日々の小さな発言のなかで、「女子だからこう」とか「男子だからこう」みたいな役割がなんとなく分かれていませんかとか(話し合う)。なんとなく「家事は女性」だとか、男性がちょっと家事をやっただけですごいと言われるみたいな、そういう本当に小さな積み重ねが実はこの社会を形作っているので、そこ(を意識すること)から始まるかなと思います。
奥野:男性だから女性だからで判断するのではなくて、その人が1人の人間としてすごいねとか、それはダメだよとか、一人ひとりと向き合っていくことが大事なんですね。
SHELLY:自分のなかでどういうところがジェンダーの決めつけを持っているのかを気づこうとする努力って大事かもしれない。それで言葉に気をつけたりするのもいいですよね。
奥野:日常のなかでも自分の思考次第でジェンダー平等に近づくことができると知って、行動に起こす・起こさないだけじゃないんだなと、新たな気づきでした。
奥野:メディアで政治のことって話しづらくないですか? 億劫になるというか。
SHELLY:わかる。
奥野:そういう雰囲気があまり好きじゃなくて。
SHELLY:うまく伝わらなかったときは残念だよね。言葉尻が違う意味で捉えられちゃったりとかしたときに。
奥野:もっとラフに僕たちみたいな若い世代のみんなが政治に興味を持ってほしくて。別に僕は政治に詳しいわけではないけど、友だち同士でも「今度の選挙はこういう候補者がいるよね」とか政治の話がもっとカジュアルに話せるようになるって、すごく大事なことなんじゃないかなと勝手に思っています。
SHELLY:私もそう思う。だって私たちの生活に直接関わることだから。いろんな意見を聞いたほうが自分の視野が広がるし、そういう話をしたほうがもっといろんな考えが増えるからね。
奥野:それこそネットとかだと「○○さんを支持しています」と言ったら袋叩きに遭いませんか? それを見て僕は「そうなの」って思っちゃうんですけど。
SHELLY:アメリカの有名人とか見ていると、けっこう当たり前に「私は今回誰々を応援します」とか公に言う文化があるよね。それに比べると日本は言わないというか、言っちゃいけないみたいなことがあるかも。
奥野:それも僕はあまり好きじゃないというか。「この人はこの人がいいんだな」でいいじゃんって(思う)。
SHELLY:こういう話ってメディアだけじゃなくて友だちとか家族とかもっとポップに話せるようになるのはすごく大事かも。
奥野:普通にカジュアルな会話のなかで政治の話が出てきたら、自分が意欲的に知りたいって思わなくても勝手に情報として興味関心が向くようになる気がするんですよね。
最後にSHELLYは「10年後はどんな自分になっていたいか。また10年後はどんな社会になっていてほしいか」と、奥野に質問した。
奥野:あまり想像するのが得意なほうではないのですが、僕は役者なので、お芝居が常に身の回りにある環境に身を置いていて、今と変わらず僕自身が役だったり作品だったりに対して真っすぐ向き合える人でありたいと思いますね。10年後の社会はさっき話していたようなジェンダー平等だったり政治のことだったり、何でもそうですけど今日本にいる僕たちが抱える社会問題の一つひとつが一歩ずつでも前進しているとうれしいなと思っています。
奥野 壮の最新情報は、オスカープロモーションの公式サイトまで。
SHELLYがナビゲートするプログラム『ITOCHU DEAR LIFE, DEAR FUTURE』の放送は毎月第4日曜日の22時から。
トークを繰り広げたのは、“私たちの生活、未来のために、明日からすぐ行動できる身近なアクションのきっかけを作る”というコンセプトでお届けする『J-WAVE SELECTION ITOCHU DEAR LIFE, DEAR FUTURE』。オンエアは毎月第4日曜。ここでは、11月24日(日)の放送回をテキストで紹介する。
同番組は、SDGsに関する活動を後押しする情報発信・体験の場である、青山のITOCHU SDGs STUDIOから発信。オンエアだけでなく、デジタル音声コンテンツとして提供・配信するサービス「SPINEAR」でも配信。SpotifyやApple Podcastsでも楽しめる。エピソードは月曜日に3回にわけて更新。
車椅子に乗って気づいた生活のしづらさ
奥野は2000年8月生まれ。大阪府出身。2017年に第30回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで2部門を受賞し芸能界へ。2018年に『仮面ライダージオウ』(テレビ朝日)の主人公を務めた。これまでさまざまな映画やドラマに出演している。そんな奥野は2021年放送のパラスポーツと本格特撮が合体したドラマ『特撮ドラマ 超速パラヒーロー ガンディーン』(NHK総合)に出演。これは車いす陸上のトップアスリートを目指す高校生が、仲間が作るサポート・ギアを駆使して侵略者から地球を守るというストーリーで、奥野は主人公の森宮大志を演じた。
SHELLY:当時、撮影に当たって準備をされたんですか?
奥野:車椅子をお借りして自宅では全部車椅子で生活していました。
SHELLY:どういうことが大変でした?
奥野:僕の家のなかには階段があるんです。
SHELLY:車椅子で登るのは不可能ですよね。
奥野:階段があったり、ちょっと段差があるだけでガタンってきたりとか、車椅子のまま料理をしてみようと思ったらキッチンが高すぎて大変でした。
SHELLY:通常は立って料理する設計ですからね。それは発見が多かったんじゃないですか?
奥野:車椅子で散歩していたんですけど、コンクリートって思ったより平らじゃないんですよね。けっこうガタガタするんです。自転車とか車だとあんまりそれを感じないけど、車椅子だと如実に感じましたね。坂道も腕の力だけで上がらなきゃいけなくて大変だったので、車椅子で生活していたとき毎日筋肉痛ではありました。
話を聞き「そうなると街作りに疑問がわいてくる」とSHELLYが言うと、奥野が同調する。
奥野:ちょっとした段差の1つでも「これはちょっと行けないな」と思って回り道をしたり「これが坂だったら頑張れるかな」とか思ったりしたことはありましたね。
SHELLY:車椅子生活をされている方と比べることは一切ないけど、私も自分の子どもが生まれたときにベビーカーで外に出かけるようになって「こんなに生活がしづらいのか」って。ちょっとの段差でもベビーカーを持ち上げたときに「これって車椅子の人はどうやって通るの?」と思ったりしました。それまで気づかなかったことをたくさん気づけたのを覚えていますね。
奥野:ベビーカーでそれを気づくのはおもしろいですね。
SHELLY:私にとってのベビーカーとの生活って数年だし、私自身は歩けるしベビーカーを担ぐこともできるから段差も通れるけれど、車椅子の方はそれができないから、その立場が私だったら、「私ってこの街に受け入れられてるのかな?」と思っちゃうなって。もっといろんな人を想定して街作りをしなきゃダメだよね。
奥野:車椅子で生活していたときにそこまで大きく考えていなかったですけど、よくよく考えたらそういうことですよね。どんな方がいても生活しづらくないように……という街作りがされるべきですよね。
SHELLY:どんどん変わっていけばいいですよね。
ジェンダー平等の「平等」とは何を意味するのか?
奥野はSDGsの17の目標のなかで、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」に興味・関心があると語った。奥野:そもそもジェンダー平等とは何かというところから知りたくて、何を理想としていて、僕たち一人ひとりが何をすればそれに近づいていくのかを知りたいですね。
SHELLY:ジェンダーに関して日々生活していて「これ変だな」と思うことってあるんですか?
奥野:ふと思うんですけど、僕は小さい頃にアニメの『プリキュア』が好きだったんです。男の子だとそういうものを観ちゃいけないとか、逆に女の子だと戦隊ものを観ちゃいけないとかって雰囲気がありますよね。シンプルに観たいものを観てもいいよなって思うと、「平等って何だろう」と思いますよね。
ここで、ジェンダー平等を軸に執筆、講演、政策提言などを展開する「#なんでないの プロジェクト」代表の福田和子さんを招き、ジェンダー平等について一緒に考えた。
奥野:ジェンダー平等の「平等」とは何を意味しますか? 男性と女性ってそもそも身体的な違いがあって、子どもを産める・産めないとか、筋力や体力が違いますよね。そもそも違うと思うので、何が平等になるんでしょう?
福田:今おっしゃっていただいたように、男性と女性は身体も含めて全部、やっぱり違うんですよね。だから平等とは「同じになること」ではないんです。よくジェンダー平等と言うと「じゃあトイレがみんな一緒になってしまうのか?」とか思われるけれど、そういう話ではなくて、例えば機会や責任、権利が性別によって変わらない、同じというところが、ジェンダー平等が目指しているところなんです。奥野さんが先ほどお話されていた『プリキュア』が好きなのに男の子だから観る機会を奪われる、それっておかしいことですよね。ジェンダー平等はそんな性別によって機会や権利を阻害されないことなんです。
奥野:なるほど。
SHELLY:全てに線を引いて同じにするということではなくて、同じような機会が与えられる状況を作ったり同じ権利がちゃんとあるようなルール作りをしたりが大事なんですね。
福田:でも社会のなかにはすごく強く埋め込まれた「男の子なら、女の子ならこうしましょう」(という規範)があります。障がい者の権利もそうです。(平等を掲げることによって)「障がい者も健常者みたいにならなきゃいけないのか」と思われるかもしれないですが、そうじゃなくて、先ほどお話しにあった街作りから障がい者の人も生きやすいように変えてみる。障がい者の人が過ごしやすかったらみんなが生きやすい社会ですよね。
いろんな視点があってこそ生きやすい社会になる
話題はジェンダーギャップについて。福田さんは政治の世界など、より多くの女性の社会進出についても言及する。福田:実際、みんな男性だったらけっこうしゃべりにくかったりしますよね。だからまずは例えば3割は女性の枠を作って、女性が行きやすくする。その後、自然に(そうした場に参画する女性の割合が)3割とか半分になったら、その特別な措置はいらないですよね。そういうものも、この平等の考えに入ってきます。
奥野:日本のジェンダーギャップが解消されないのはどんな理由とか背景があるんですか?
SHELLY:ちなみに日本はジェンダーギャップ指数で言うと、今年が146カ国中118位ですよね。
福田:このランキングは政治、経済、医療とそれぞれで順位が出されているのですが、政治は113位で、政治分野で女性が非常に少ない。この間の選挙でもやっと15パーセントで、これまでで一番女性の数が多いと言われていますけど、それでも15パーセントです。地方議員は3万人くらいいますけれど、20代の女性は15人くらい。これでみんなの意見が通るとは思いませんよね。そうなってくると、例えば女性が妊娠できる体の時期の提案をしたときに、それが通りやすいかというと、全然そうじゃなかったりします。そうすると、なかなか生きやすい社会にはなりません。生きやすい社会とは、いろいろな視点がないと作れないですよね。街作りで考えても、障がいがある人、日本語があまりうまくない移民の人、ベビーカーを持つ人など、いろいろな視点があってこそみんなが生きやすい社会になると思うけど、今は政治が全然そうなっていないんです。
「だからこそ、女性だけではなくさまざまな人が政治などの意思決定の場にいることが、みんなが生きやすい社会にするために大切」と福田さんは続けた。
奥野:ジェンダー平等を叶えるには、僕たち一人ひとりが何をしたらよいのでしょうか。
福田:選挙に行くことも大事ですけど、日常が一番大事かなと思います。やっぱり日々の小さな発言のなかで、「女子だからこう」とか「男子だからこう」みたいな役割がなんとなく分かれていませんかとか(話し合う)。なんとなく「家事は女性」だとか、男性がちょっと家事をやっただけですごいと言われるみたいな、そういう本当に小さな積み重ねが実はこの社会を形作っているので、そこ(を意識すること)から始まるかなと思います。
奥野:男性だから女性だからで判断するのではなくて、その人が1人の人間としてすごいねとか、それはダメだよとか、一人ひとりと向き合っていくことが大事なんですね。
SHELLY:自分のなかでどういうところがジェンダーの決めつけを持っているのかを気づこうとする努力って大事かもしれない。それで言葉に気をつけたりするのもいいですよね。
奥野:日常のなかでも自分の思考次第でジェンダー平等に近づくことができると知って、行動に起こす・起こさないだけじゃないんだなと、新たな気づきでした。
社会問題が一歩ずつでも前進しているとうれしい
奥野はファンに向けて「選挙に行こう」と呼びかけているそうで、番組ではその理由を語る場面もあった奥野:メディアで政治のことって話しづらくないですか? 億劫になるというか。
SHELLY:わかる。
奥野:そういう雰囲気があまり好きじゃなくて。
SHELLY:うまく伝わらなかったときは残念だよね。言葉尻が違う意味で捉えられちゃったりとかしたときに。
奥野:もっとラフに僕たちみたいな若い世代のみんなが政治に興味を持ってほしくて。別に僕は政治に詳しいわけではないけど、友だち同士でも「今度の選挙はこういう候補者がいるよね」とか政治の話がもっとカジュアルに話せるようになるって、すごく大事なことなんじゃないかなと勝手に思っています。
SHELLY:私もそう思う。だって私たちの生活に直接関わることだから。いろんな意見を聞いたほうが自分の視野が広がるし、そういう話をしたほうがもっといろんな考えが増えるからね。
奥野:それこそネットとかだと「○○さんを支持しています」と言ったら袋叩きに遭いませんか? それを見て僕は「そうなの」って思っちゃうんですけど。
SHELLY:アメリカの有名人とか見ていると、けっこう当たり前に「私は今回誰々を応援します」とか公に言う文化があるよね。それに比べると日本は言わないというか、言っちゃいけないみたいなことがあるかも。
奥野:それも僕はあまり好きじゃないというか。「この人はこの人がいいんだな」でいいじゃんって(思う)。
SHELLY:こういう話ってメディアだけじゃなくて友だちとか家族とかもっとポップに話せるようになるのはすごく大事かも。
奥野:普通にカジュアルな会話のなかで政治の話が出てきたら、自分が意欲的に知りたいって思わなくても勝手に情報として興味関心が向くようになる気がするんですよね。
最後にSHELLYは「10年後はどんな自分になっていたいか。また10年後はどんな社会になっていてほしいか」と、奥野に質問した。
奥野:あまり想像するのが得意なほうではないのですが、僕は役者なので、お芝居が常に身の回りにある環境に身を置いていて、今と変わらず僕自身が役だったり作品だったりに対して真っすぐ向き合える人でありたいと思いますね。10年後の社会はさっき話していたようなジェンダー平等だったり政治のことだったり、何でもそうですけど今日本にいる僕たちが抱える社会問題の一つひとつが一歩ずつでも前進しているとうれしいなと思っています。
奥野 壮の最新情報は、オスカープロモーションの公式サイトまで。
SHELLYがナビゲートするプログラム『ITOCHU DEAR LIFE, DEAR FUTURE』の放送は毎月第4日曜日の22時から。
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