音楽、映画、エンタメ「ここだけの話」
兵頭功海が「鶏をしめる」経験から感じたことは? SDGsをSHELLYと語る

兵頭功海が「鶏をしめる」経験から感じたことは? SDGsをSHELLYと語る

俳優の兵頭功海とSHELLYがJ-WAVEで対談。兵頭が今でも忘れられないSDGsを意識するようになった経験や、SDGsで興味関心がある目標、日々意識しているSDGsな行動について語った。

トークを繰り広げたのは、“私たちの生活、未来のために、明日からすぐ行動できる身近なアクションのきっかけを作る”というコンセプトでお届けする『J-WAVE SELECTION ITOCHU DEAR LIFE, DEAR FUTURE』。オンエアは毎月第4日曜。ここでは、7月28日(日)の放送回をテキストで紹介する。

同番組は、SDGsに関する活動を後押しする情報発信・体験の場である、青山のITOCHU SDGs STUDIOから発信。オンエアだけでなく、デジタル音声コンテンツとして提供・配信するサービス「SPINEAR」でも配信。SpotifyやApple Podcastsでも楽しめる。エピソードは月曜日に3回にわけて更新。

「鶏をしめる」経験に学んだこと

兵頭は以前、所属する芸能プロダクション・アミューズの若手俳優たちによるユニット「チーム・ハンサム!」のメンバーとして、SDGsを取り上げたバラエティ番組に出演した際に、特に印象に残ったエピソードを紹介した。

兵頭:忘れられないのが、山の奥に行って、キャンプ場みたいなところで実際に食材を獲って、火をおこして……という、全部自分たちでやろうという企画です。「食べるのはこんなに大変なんだよ」ということを経験したんです。そのときに実際に生きている鶏をしめて、その鶏をみんなでさばいていただいたんです。自分の手で鶏をしめたのは忘れられなくて。

SHELLY:普段、いただいている身だけど、それはショッキングなことでしょうね。

兵頭:焼き鳥屋さんとか行くと、砂肝とか1つの串に4個とか刺さっているけど、実際の鶏からはこれだけしか獲れないんだって思うと、食べている側なんですけど、それを思ってしまって。実際に経験したことによって、「絶対に無駄に残したりはできないな」と、あらためて強く思わされました。

SHELLY:実際にしめる瞬間を思い出すこととかありますか。

兵頭:手から体温がなくなっていく感覚があって、鶏も反射で動くんですよ。その感覚が忘れられないですね。

SHELLY:そこから食べ物の見方とか変わりましたか。

兵頭:変わりましたね。スーパーで売っている肉とか、前まではただの肉って思っていたんですけど、ここに来るまでにどれだけ大変かっていう(ことを思い知らされました)。

SHELLY:その話を聞いただけで、私たちも気持ちが変わりそうというか、そうだった、そうだよなって。1枚の胸肉になるまでにすごくいろんな段階を経ているってことをちゃんと考えていただくってことができる気がします。あらためてそういうことを考えなきゃなって思いました。

関心があるのは「安全な水とトイレを世界中に」

「SDGsの17の目標の中で興味関心があるものは?」との質問に、兵頭は目標6の「安全な水とトイレを世界中に」を挙げた。

兵頭:ちょうど今年の5月から6月くらいの1カ月間、タイに撮影で滞在していたんです。タイの中心のバンコクも行きましたし、そこからちょっと離れたペッチャブリーっていうところも行ったりして。普段、日本では気にしないようなこともタイではありました。タイだとトイレットペーパーを流せないとか。

SHELLY:下水の問題でね。

兵頭:あともちろん水道の水も気を付けたほうがいいって、日本にいるときから言われていたので。タイに限らずだと思うんですけど、それで日本ってすごく設備が整っているんだなと思いました。

SHELLY:蛇口をひねれば飲み水が出てくるからね。

兵頭はSDGsの目標6「安全な水とトイレを世界中に」を調べていると、この動画に辿り着いたと話す。
兵頭:水道がない地域に生まれた女の子を密着している動画があって。トイレがどうとか、飲める水がどう、とか言っている状態じゃないっていうか。

SHELLY:この動画を私も観たんですけど、エチオピアの女の子なんですよね。片道4時間、往復8時間かけて水を運ぶ1日を密着しているんですけど、水を汲んだら1日が終わってしまうんですよね。

兵頭:まだ若い女の子がこんな状況で生活しているのかと。自分のやりたいこととか夢とか、僕は今こういうお仕事をさせていただいていますけど、それどころじゃないよなって思って。この子がどうやったら自分が好きなことをやれるようになるんだろうっていろいろ考えちゃって、勉強をしたいなと思って、この目標を選びました。

7億人以上がいまだに清潔な水を使えていない

では、どうすれば「安全な水とトイレを世界中に」を達成できるのか。スタジオには、全ての人が清潔な水とトイレを利用できる世界を目指して活動する、特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパンの田川みこさんを招き、その問題と解決の糸口を訊いた。

SHELLY:安全な水とか清潔な水にアクセスできていない人って、世界中にどれくらいいるんですか?

田川:7億300万人がいまだに清潔な水を使えないと言われています。莫大な数字なので想像しづらいと思うんですけど、今世界の人口が80億人くらいなので、おおよそ10人に1人が水にアクセスできていない状況です。

兵頭:アクセスできないっていうのは、このエチオピアの少女もそうですか。

田川:(清潔な水にアクセスできないというのは)自宅から30分以内に水が得られるかどうかというところが数字の基準になっています。

SHELLY:逆を言うと(水にアクセスできるとカウントされている人の中にも)30分以内でも水を汲みに行っている人もたくさんいるということですよね。安全な水を使えていないのはどんな理由からですか?

田川:理由は地域や国、人によってさまざまありまして、一番分かりやすいところだと、そもそも水資源がない。雨が降らないとか水源がないところもありますし、水があったとしてもそれを人に供給していくためのインフラ設備がない。水道とか手洗い場とか水汲み場とか、そういう設備がないところが原因になっている場合もあります。

一方、世界で安全なトイレが使えていない人は15億人にも上るという。

兵頭:トイレが安全に使える、使えないって基準は何ですか?

田川:私たちの場合は「適切なトイレ」と聞くと、水洗でトイレットペーパーを流せて、便座が温かくて……というものを思い浮かべると思いますが、そうではありません。「適切なトイレ」とは、きちんとした壁・屋根・鍵のかかるドアがあって、男女別で、プライバシーを確保して安全にトイレを使うことができる状態かつ、排泄物が安全に処理されるかどうかというのが大きなポイントです。なので、そこがそろっていれば適切なトイレとなります。これが使えない人が15億人います。

兵頭:僕が思っているよりむちゃくちゃ多かったですね。エチオピアの子が8時間かけて水を取りに行くじゃないですか。ということは、その8時間を使ってしまっているから、例えばその子は学業ができないとか、そういうことに結局全部繋がってしまいますよね。

田川:水を汲みに行くことで学校にも行けないし、学校に水がないこともあるので、学校で使う水を生徒が水を汲みに行くことで、学校に行っていたとしても授業を欠席せざるを得ないという問題もあります。トイレの問題も学校にトイレがないことで、一度休み時間に家に帰ってまた戻ってくる子がいたりとか、トイレがあるとしても生徒何百人もいる学校にトイレが1つしかなかったりすると休み時間に長蛇の列ができてしまうので、やっぱりトイレが安心して使える状況で授業ができないから集中もできないし、トイレに行きたくても休み時間中に並んでもトイレが使えない子たちがいたりするので、学校における水とかトイレも現地の人にとってはすごく重要なところです。

「バーチャルウォーター」という考え方

田川さんから世界における水やトイレの問題を聞いた兵頭は、「僕も問題だとは思うけれど、日本に住んでいるとどこか他人事になってしまう部分もある」と正直な気持ちを口にする。

SHELLY:水に関してはちょっと鈍感になってしまうよね。

兵頭:それじゃあ何ができるんだろうって。水とは関係ないけど例えば分別をしようとか。それはもちろんなんですけど、それが問題解決に繋がっているのかっていう。僕らは何ができるんだろうって。

田川:まさにこのお話を聞いてくださる方とか、そういう考える機会があったときに、その情報を自分からまた広げていくというか、自分から調べて現地でどんなことが起こっているのかをまずは知っていただくだけでも解決に繋がっていくと思っています。具体的な行動として節水をすることが、どういう風に現地に繋がっているのかってなかなかピンとこないところだと思うんですけど、考え方の1つとしてバーチャルウォーターがあります。

バーチャルウォーターとは、食料を輸入している国(消費国)において、もしその輸入食料を生産するとしたら、どの程度の水が必要かを推定したものだ(環境省HPより)。

田川:日本は衣料品なども含め、いろんなものを輸入しているじゃないですか。もとをたどると、日常生活での飲み水や生活水がないと言っているような国で生産されたものだったりするんですよね。その生産の過程で多くの水が使われていたりします。例えば牛肉でも牛が育つまでに牛が飲んできた水とか体を洗った水とか、牛がエサとして食べていた作物を育てるにも水が使われていて、そういう風にもとをたどっていくと大量に水が使われている。そのものを私たちが毎日摂取しているわけです。自分がどういうものを消費していくのかを考えることでも、それは途上国の水とも無関係ではないと思いますし、そこに意識を向けるっていうことも一歩なのかなと思っています。

SHELLY:それは考えたことなかった。そういう意味でも自給自足とか地産地消ってすごく大事になってくるんですね。

田川:自分の日常がどういう風に関わっているかって、その考え方でも意識が向く部分でもありますし、そこからさらに自分が直接的に現地のために何ができるのかって考えたときに、方法はたくさんあります。

田川さんはその1つとして、ウォーターエイドジャパンのようにこの問題を解決しようと活動する団体に支援することも1つの方法だと続ける。

田川:その団体に寄付をするっていうのが一番分かりやすいかもしれないけど、それだけではなくてボランティアに参加してみるとか、団体が現地のことを話すイベントやオンラインセミナーで情報を得てみることでも、次に自分がどういうアクションを取ろうかってヒントにもなり得るので、そういう機会を持っていただくのも大きな一歩になると思います。

兵頭:例えば、寄付をするにも自分が何に対して寄付をしているのか、自分が何のプロジェクトに対して協力をしているかって自分事で分からないといけないので、まずはそのために勉強してから「この団体はこういうことをしているんだ」「こういう会社はこういうことをしているんだ」、じゃあ寄付しようってそれが自分事になる気がするので、今日学んだこと以外のことも勉強して、これに寄付しようってなったら自分事になるのかなって思いました。

細かくゴミを分別…日常で実践できること

番組後半では、兵頭が普段の生活でSDGsに取り組んでいることを話す場面もあった。

兵頭:分別とかはめちゃくちゃ細かくするようになりました。あと自分で料理をするんですけど、なるべく捨てないようにしています。前までは、例えば大根とかも頭を捨てていたけど、その部分でもできる料理があったりして、それを調べるようになりました。今は調べたら出てくるじゃないですか。それを見て、ご飯のちょっとした副菜にするようにはなってきました。

SHELLY:素晴らしい。日頃の生活のちょっとしたところから常にSDGsを意識しているんですね。

兵頭:なるべく捨てないようにはしていますね。

最後にSHELLYは「10年後はどんな自分になっていたいか。また10年後はどんな社会になってほしいか」と、兵頭に質問した。

兵頭:僕は20歳でこのお仕事を始めたんですけど、30歳までに叶えたい目標があります。35歳になったときにも、「こういう風になっていたい」という目標があるので、1人の人間としてもですけど、そういう自分が立てた目標をちゃんと叶えていたいなって。10年後には叶えていて、あのときのたくさんの目標を叶えられている自分でいたいなと思います。社会については僕なんかが言うのはおこがましいんですけど、今日知った問題とか少しでも1人でも多く、人間だけじゃなくて自然とかとどうやったら人間が共存していけるのか。僕らが生きていく地球なので、10年後が今よりはいい環境になっていたらいいなと思いますね。

兵頭功海の最新情報は、アミューズの公式サイトまで。

SHELLYがナビゲートするプログラム『ITOCHU DEAR LIFE, DEAR FUTURE』の放送は毎月第4日曜日の22時から。

この記事の続きを読むには、
以下から登録/ログインをしてください。

  • 新規登録簡単30
  • J-meアカウントでログイン
  • メールアドレスでログイン
radikoで聴く
2024年8月4日28時59分まで

PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

番組情報
ITOCHU DEAR LIFE, DEAR FUTURE
毎月第4日曜
22:00-22:54