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政府が打ち出した「女性版骨太の方針2022」とは? 専門家が解説

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政府が打ち出した「女性版骨太の方針2022」とは? 専門家が解説

国際協力・ジェンダー専門家の大崎麻子さんが、2022年版のジェンダーギャップ指数や、人工妊娠中絶にまつわる日本の問題について語った。

大崎さんが登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『START LINE』(ナビゲーター:長谷川ミラ)のワンコーナー「AWESOME COLORS」。ここでは、7月22日(金)のオンエアをテキストで紹介する。

低迷を続けるジェンダーギャップ指数

大崎麻子さんはコロンビア大学で国際関係修士号取得後、国際連合や国際NGOを通じて、世界各地でジェンダー平等の推進に従事。現在はフリーの専門家として、行政機関や民間企業と協働し、日本国内の問題にも取り組んでいる。
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世界経済フォーラム(WEF)より発表された、2022年の「ジェンダーギャップ指数」によると、日本は146カ国中116位。主要7カ国(G7)で最下位となっている。

長谷川:今回の結果についてどう思われましたか?

大崎:2021年は120位ですから、順位だけ見るとちょっと上がったと思われるのですが、調査対象国が減ったんですよね。なので、実質的にはそんなに変わっていないと思います。このレベルだと、順位で一喜一憂している状況ではないんですよね。最初にWEFがジェンダーギャップ指数を発表したのが2006年で、そのときに日本は80位でスタートしているんですね。

長谷川:へええ!

大崎:ジェンダーギャップ指数は経済、教育、健康、政治という4つの領域でいろんな指標を使って男女間の格差がどれぐらいあるかを見ています。日本も2006年から見ますと、点数自体は上がっているんですね。ところが、順位はどんどん下がっている状況なんですよ。そこの経年変化を「どういうことなのか」と考えていかないといけないですね。

長谷川:分野で見ますと、政治は139位、経済は121位なんですね。

大崎:健康と教育は順位が低くないように感じると思うのですが、WEFでは「経済でどういう風に女性が活躍できるのか」を指標が組まれているところがあるんですね。日本は労働参加率はけっこう高いんですけども、賃金格差があるとか年収にギャップがあったりします。あとは、管理職比率で見るとギャップが大きいので、女性が働き続けてキャリアアップしていく環境が整備されていないんじゃないか、ということを示唆すると考えられています。

「骨太の方針」を解説

2022年6月、日本政府は「女性版骨太の方針2022」を打ち出した。どういった政策なのだろう?

大崎:こちらは2015年から毎年出ているものなんですけども、骨太の方針というのは政府全体でその年にどういう予算編成をしていくかのガイドラインなんですね。その年に政府が何を重要だと思っているのかが盛り込まれている方針です。

長谷川:面白い。

大崎:それの女性版ということなので、政府全体で2022年から2023年にかけて、ジェンダー平等の推進や女性活躍推進など、どういったことを重点的におこなっていくのか、なおかつ、そこにちゃんと予算をつけていくのかを表した政策文書です。

長谷川:具体的にはどういったことが書かれているのでしょうか?

大崎:女性の人生や家族の姿は多様化しているので、これまでのように男性が稼ぎ手で女性が家事・育児をやってパートをするといった労働市場や経済のありようでは立ち行かないんだと、かなり明確に打ち出しています。あとは、「結婚すれば経済的安定を得られるという価値観で女の子を育ててはいけない」ってことを全面的に打ち出している。つまり、女性の経済的自立や経済的エンパワーメントに必要な、かなり抜本的な政策を出していますね。

男女間の賃金格差をなくすには?

男女間の賃金格差を是正するため、大手企業から順次、賃金差公表を義務付けるという。

大崎:賃金・報酬の高いポジションにものすごく女性が少ないので、企業のなかで賃金格差が生まれています。また、日本の企業の場合は非正規雇用に女性が集中しているんですよね。そこが賃金を抑えているので、今回の情報開示義務化では全従業員の賃金情報を出さないといけないので、非常に大きいポイントだと思いますね。

長谷川:就活や転職活動をしている人にとっても、かなり大きな影響がありそうな気がします。

女性が“自分の体のことを自分で決める”という権利

2022年5月、経口中絶薬について承認審査を行っている厚生労働省が「(服薬には)配偶者同意が必要」とする見解を示した。世間では、「自分の体のことなのに、なぜ配偶者の許可が必要なのか」といった議論を呼んでいる。

長谷川:どんなところに問題点があると思われますか?

大崎:歴史的にも非常に大きな問題です。そもそも人工妊娠中絶は1907年に定められた刑法で禁じられています。堕胎罪というものがあるんですね。堕胎罪というのは中絶した女性と、それをおこなった手術者が罪に問われるというものなんですが、実際に人工妊娠中絶をして刑務所に入る方っていないですよね?

長谷川:そうですね。

大崎:なぜかというと、戦後にできた母体保護法で「こういう場合は罪に問われない」という、特別な条件を設けたんですね。母体保護指定医師による手術であればよいとか、健康的・経済的な理由で育てていけないといった条件があれば、人工妊娠中絶をしてもよいということになっています。

一方で、人工妊娠中絶を実行するためには配偶者の同意が必要とされていると大崎さんは語る。

大崎:結婚、法律婚、事実婚をしている人の場合には配偶者の同意が必要で、その条件がまだ残っている状態です。ただし未婚の場合、パートナーの同意は必要ありません。

長谷川:人工妊娠中絶に配偶者の同意が必要なのは、世界203カ国中、日本を含めて11カ国のみです。他にも「諸外国にはあるが日本にはないもの」の一例として挙げられているのは、「選択的夫婦別姓」「性的同意」「性交同意年齢」「処方箋なしの緊急避妊薬の購入」「経口中絶薬」「子宮頸がんワクチン」などです。主に女性の体にまつわることが多いと思うんですけども、これって政治に関わる人に男性が多いとそうなりがちってことなんでしょうか? もちろん、男性政治家のなかでも女性の活躍を応援する方はいますが、まだまだスピードとしては遅いんですかね。

大崎:そうですね。世界的な潮流としてはSDGsの5番目のゴール「ジェンダー平等と女性のエンパワーメント」にも入っているように、リプロダクティブ・ヘルス・ライツ、つまり自分のセクシュアリティや妊娠・出産に関することを自分で決めるのが女性の権利であるという考え方が世界で共有されています。ポイントとしては、自分の体のことを自分で決める、それは女性の自己決定権であると、そういったスタートラインに立つ法律が日本にはまだありません。まだ堕胎罪が残っていたり、法律も女性の人権という観点からではないんですよ。国会にもっと女性が増えていくと変わっていく可能性はあると思います。骨太の方針のなかにも経口中絶薬や緊急避妊薬といった、女性の健康や貧困のことが非常に盛り込まれているんですよね。女性の国会議員の割合はだいたい10パーセント弱なんですけども、女性団体、NPO、NGOとかが政策提言をして、SNSでキャンペーンをして、それに賛同する女性たちの声をたくさん集めて政治家に届けるといった動きを熱心にやっているんですよ。

長谷川:すごいですよね。

大崎:それが今、政策に反映されてきたという風に言えると思います。

『START LINE』のワンコーナー「AWESOME COLORS」では、自分らしく輝くあの人のストーリーをお届け。放送は毎週金曜日の18時10分から。

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