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移住したい人が「最初に見つけるべきもの」 絢香ら手がけた元敏腕プロデューサー・四角大輔が語る

移住したい人が「最初に見つけるべきもの」 絢香ら手がけた元敏腕プロデューサー・四角大輔が語る

レコード会社で絢香やSuperflyなどのプロデューサーを務めたのち、ニュージーランドに移住した執筆家の四角大輔さん。彼の暮らしの様子から、サステナブルな暮らしのヒントや、移住を成功させるコツを探った。

四角さんが登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー「Allbirds MORNING INSIGHT」。ここでは、11月2日(火)のオンエア内容をテキストで紹介する。

「この湖のほとりで暮らすぞ!」ニュージーランド移住の経緯

四角さんは絢香やSuperfly、平井堅、CHEMISTRYなどのプロデュースを手がけ、10度のミリオンヒットを創出した元敏腕プロデューサーだ。そんな彼は現在、ニュージーランドに移住し、執筆家として新たなライフスタイルを構築。『人生やらなくていいリスト』(講談社)など多くの著書をもつほか、人生をデザインするオンラインサロン「LifestyleDesign.Camp」も主宰している。別所とは、久々の再会のようでトークはニュージーランドに移住したきっかけについてからスタートした。

別所:四角さんは、もともとレコード会社にいたわけじゃないですか? 当時からラジオ業界との関わりはもちろんあったでしょ?
四角:特にJ-WAVEさんにはお世話になっていて。僕が担当するアーティストのほとんどがデビュー当時からお世話になっているのと、僕が当時からテレビがあまり好きではなく、ラジオが大好きでというのもあって、本当に週に何度もそちらには顔を出してましたね(笑)。
別所:でも大都会にいて、アーティストと関わりを持ちプロデュースをして、そこから一気にニュージランドじゃないですか。当時から憧れがあったんですか?
四角:そうですね。自然が幼少期から大好きで、学生時代にいつかニュージーランドに移住したい、そしてここで自給自足の暮らしをしたいと決めた上でレコード会社に入っていたんですよね。
別所:そうだったんですか。だからこそ有言実行というか、具現化したわけですよね。
四角:でもレコード会社に入社した時点でそんなことを言っていたので、周りから「こいつはちょっとおかしなやつだ」と思われて(笑)。結局、移住するまで15年かかったんですよね。だから「いつもこいつはニュージランドに行くって言っているけど、本当に行くんだろうか?」みたいな感じでみんなからは笑われていました(笑)。

学生時代からニュージーランドで自給自足の生活をすることを決めていた四角さん。別所は改めて「なぜ、ニュージーランドだったのか」と聞いた。

四角:まず、釣りやキャンプ、登山、アウトドア全般が小さい頃から大好きで自然のもとで暮らしたいなという夢があったんですけど、大学のとき親友がニュージーランドに留学したんです。当時はまだメールがなかったので、その親友から手紙が送られてきたんですけど、その中にすごく綺麗な湖を背景に鱒を持った親友の写真があったんですね。僕、フライフィッシングという釣りが人生をかけちゃうくらい大好きで……(笑)。その一枚を見て行ってもいないのに「僕はこの湖のほとりで暮らすぞ!」って決めちゃったというのがきっかけです(笑)。
別所:すごいな〜! たった1枚の写真から!
四角:そうですね!
別所:そういうことって人生にあるんだな〜。でもそこから行動に移すところがすごいですよね。

ニュージーランドは今が春。桜も咲く

移住のきっかけに感心する別所は、「今日の、ニュージーランドはいかがですか?」と聞いた。

四角:今日は、晴れでいい天気で、ちょうど春が始まったくらいで。季節が逆なんですよ。だから今がいちばん気持ちいいときですね。
別所:ニュージーランドの春ってどこで感じるんですか? 日本だったら桜が咲いたりとか、山菜を食べるとかありますけど(笑)。
四角:本来、ニュージーランドにある木々というのは常緑樹で紅葉しないんですよね。なおかつ僕が暮らしている森は、原生林なんですよ。奇跡的にそんな場所に暮らせているんですが、つまり、木々が紅葉しない、昔からここにある木々なのでここにいると湖とか森の風景からは春を感じ取れないんですが、20kmくらい離れたところに小さな町がありましてそこに行くとですね、驚くくらい桜が咲いているんですよね。
別所:やっぱり、桜は咲いてるんだ。
四角:そうなんですよ。植樹されていて。日本とニュージーランドが仲がいいということもあって、日本からもたくさん桜が来てるみたいなんです。だからその桜の満開を見て、春だなって(笑)。
別所:すごい! 日本との繋がりもそこで感じられるんですね!
四角:そうですね。ニュージーランドの人って日本が大好きなんですよ。だから暮らしやすいですね、日本から来ると。

10年で大きく変わったニュージーランドでの生活

2010年にニュージーランドに移住し、10年の月日が経った現在、四角さんにはどんな変化があったのだろうか。

四角:この暮らしを始めるときはですね、組織や資本主義に依存しない、場所に縛られない働き方と、自給自足の暮らしに挑戦したいということを言ってこっちに来たんですよ。だいたい「頑張ってね」と苦笑されるか、「それ、無理だろ」と言われるかのどっちかだったんですが、気づけば世の中がどんどん僕の無茶苦茶な行動を理解してくれるようになっていて。それが大きな変化だと思うのと。
別所:そうですよね。
四角:それを受けて僕自身、よりこの暮らしを極めたいなと思うようになって。実は、2,3年前まで毎年、世界を10カ国以上旅をしながら仕事をするみたいな移動生活を年の3ヶ月から半分くらい送っていたんですが、あるとき急に違和感と罪悪感を感じてしまって。これは気候危機というのが大きいんですけど、飛行機を使うと温室効果ガスをすごく出しちゃうということがあって、「旅を辞めます」という宣言をしたんですね。そしたらコロナ禍がやってきて、強制的に旅もできなくなった。もともとこちらに移住したのは10年前なんですが、本当にこちらに12ヶ月いるというのがここ2、3年続いていて、畑は3倍になり、果樹は30本増やし、より釣りの技術も磨き、自給自足の暮らしがバージョンアップした頃に、ちょうど4月に子供が産まれまして……!
別所:おー、おめでとうございます!
四角:ありがとうございます! 今は“無期限育休宣言”をして、妻とふたりで育休にフルコミットしてるという状態ですね。大きく変わりました!

四角さんが考える“サステナブルな暮らし”とは?

移住生活の先駆け的存在である四角さん。別所は、そんな彼に“サステナブルな暮らし”について聞いた。

別所:東京でも二拠点主義とかいろいろな形で考えられていることですし、番組でもコロナ前からアドレスホッパーやスローライフについても取り上げたりもしているんですけど、四角さんの考える“サステナブルな暮らし”ってどんなものなんでしょうね?
四角:一言で言うと、「人と他の生き物と自然をなるべく傷つけない暮らし方」というのが“サステナブルな暮らし”なんじゃないかなと思って、ここでそれにチャレンジしています。
別所:東京が恋しくなったりしません?
四角:僕、筋金入りの変わり者で(笑)。ホームシックとかも一度もないんですよね。
別所:でもさまざまなアーティストをプロデュースして東京のど真ん中でエンターテインメントに関わっていたわけじゃないですか! ニュージーランドにいらっしゃって、音楽との関わりとかはどうですか? 
四角:なんか変わりましたね。当時は僕が心から惚れ込んだアーティストの音楽をどうすれば日本中に届けられるかというのを考えて、どっぷり音楽生活を送っていたんですが、こっちに来ると気楽に聴く側で(笑)。でも、音楽の現場に関わっている頃も今も、音楽は本当に素晴らしくて。僕は大自然は地球が作ったアートだと思っているんですけども、音楽って人が作るいちばん美しいアートのひとつなんじゃないかなと改めてここで暮らすと思うようになりましたね。
別所:素敵だな〜。なんかまたね、ニュージーランドにいながらプロデュースとかしてほしいですけどね。
四角:あはは。一度だけ遠隔で挑戦したんですけどね、無理で辞めました(笑)。

移住の第一歩として、見つけるべきもの

“サステナブルな暮らし”とは「人と他の生き物と自然をなるべく傷つけない暮らし方」と話す四角さん。別所は、最後にこれから移住生活を考えるリスナーにアドバイスをとお願いした。

四角:コロナでさらに移住というムードが高まっているのは嬉しいなと思っていますね。よくこの質問を受けるんですけど、これは僕がその経験をしたのでいつも言い切っちゃうんですが、“震えるほど大好きな場所を見つけること”が最初かなっていつも話します。僕にとってそれがニュージーランドだったんですけど、そういう場所を見つけさえすれば自動的に行動を起こせるんですよね、人っていうのは。
別所:やっぱり、自分の中にあるワクワク感と直感的に繋がることですよね。
四角:そうですね、それに尽きるなと。自分の中の大自然と繋がることかなといつも思ってます。
別所:うわ〜、素敵な言葉ですね。そういう場所を見つけられた四角さんが羨ましい!
四角:ぜひ、いつか遊びに来てください!



『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』のワンコーナー「Allbirds MORNING INSIGHT」では、あらゆる世界の本質にインサイトしていく。放送は月曜~木曜の6時30分頃から。

(構成:笹谷淳介)

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