若い世代の政治参加をもっと身近なものにすることを目標に立ち上げられた団体である、NO YOUTH NO JAPAN。代表を務める能條桃子さんのお話から、若い世代の政治への関わり方、そしてよりよい未来になるためのヒントを探る。
能條さんが登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー「Allbirds MORNING INSIGHT」。
【オンエア:2021年12月2日(木)】
別所は、早速能條さんへ、団体設立のきっかけを聞いた。
能條:大学3年生の頃、休学をしてデンマークに留学していたんですけど、デンマークでは20代の投票率が80%を超えているという状況に驚いたんです。一方、日本では20代の投票率は3割程度。まわりの友達とも政治の話を全然したことがないなという感じで。留学をきっかけに日本が今抱えている、格差やジェンダーなどさまざまな問題を考えたときに私たちがちゃんと政治に参加していないから解決のスピードが遅いんじゃないかなと思うようになったんです。もっとみんなが選挙や政治に関心を持って投票に参加したり選挙について話したりするような文化を作りたいなと思って、Instagramで分かりやすく選挙や政治の情報を発信し始めました。
別所:お話にあったInstagramですけど、フォロワーが立ち上げのときから急増されたようですけど、どんな声が届きましたか?
能條:2019年7月にアカウントを作って、選挙までの2週間くらいの期間でフォロワーが1万5000人とかになりました。「このアカウントを見て初めて選挙に行った」「こんなに考えた選挙は初めてだった」「今まで投票に行っていなかった兄弟を連れて投票に行ったよ」など多くの声をいただいて、何か自分がやることによってほかの人が政治について話すきっかけや考えるきっかけを作れたのではないかなという手応えはありましたね。
NO YOUTH NO JAPANは、U30をキーワードに情報を発信していることが特徴のひとつだ。 別所は、世代論について聞いた。
別所:ミレニアル世代やZ世代というように現在は世代でいろんな括られ方があると思うんですけど、こうした世代論や世代の捉え方についてはどう考えていますか?
能條:NO YOUTH NO JAPANはU30世代のための“政治と社会の教科書”のような形でInstagramをやっているんですけど、有権者の中で10代20代が占める割合って13%くらいしかないんですよね。でも50年前は有権者のだいたい3割以上を20代が占めてたんです。今は特に若い世代の人口が減っているからなかなか若い世代の声が社会に届きづらいんじゃないかなという問題意識があって、この活動をしています。ただ、私が世代を代表できるわけではもちろんないし、そういう意味でいうとあんまり世代を区切りすぎるのもよくないのかなと思うところもあり、日々試行錯誤しながらやっていますね。
別所も声を届けることはこれからのキーワードだと話し、能條さんへ世界的な課題となっている「気候変動」について訊いた。
能條:気候変動は本当に時間のない問題と言われていますけど、日本やほかの国の政策を見ているとまだまだ十分な対策がないという印象です。今変えていかなといけないとはみんなも理解していると思うんですけど、現実とのせめぎ合いというか。意思決定をする立場にいる人たちの後押しをするためにも消費者が声を届けるということが重要なのかなと思います。
別所:僕もいつも思うんですけど、政治と国民の声が噛み合わない感じが何ともね……。若い人たちが考える環境に対する意識もいますぐ全部やめて0にしたいのか、段階を踏んでいくポリシーメイキングに参画したいのかとか、お互いの歩み寄りってどうやったらできるのかなって思ったりもするんですけど、どうですか?
能條:そうですよね。でも役割分担なのかなって思うところもあって。確かに、ポリシーメイキングの中に若い世代を含めて当事者となるこれからの将来世代の方が被害を受けるからこそ、きちんと考え、ちゃんと気候変動のことを理解している人や専門家が入っていくということは、すごく重要だと思うんです。
能條さんは役割分担が重要だと話す一方で、すぐには行動に移せない現状があることにも触れた。
能條:ただ、現実問題、私たちは生活をしていますし、そこで働いている人たちもいる中で明日、石炭火力発電を全て止めますみたいなことはできないわけで。1年の単位、3年の単位でどう変えていくのかというスピード感が重要なんだと思います。それはポリシーメイキングする側に責任があると思うんですけど、私たちが考えを示していくことが大事。「段階的に」という表現ではダメなんだろうなって思います。
別所:そこをしっかりウォッチして、ポリシーメイキングする側も汲み取って変えていく速度を上げていかないといけないですよね。
能條:「これだけ声が上がっているんだから、やるしかないよね」というふうに持っていくためにも世論がもう少し盛り上がっていくことは大事なのかなって思います。
別所:僕もそうだったのですが、学校や家庭で政治や選挙の話をあまりできない空気がある気がします。能條さんは家庭や学校でそういう話を積極的にできる空気ってありましたか?
能條:全然なかったですね。それこそやっぱり活動を始めたり留学したりして、こういうふうに政治について楽しく話せるんだって自分も学んだ感じで。小さい頃からそういう環境にいるか、いないかではすごく違うと思いますね。
別所:そうですよね。これは日本だけなのかな。能條さんはデンマークにいかれて全然違うなって感じたわけで、日本でもできないわけではないはずなのに、家族のあいだから政治を遠ざける空気感や雰囲気ってどこから生まれてしまったんですかね?
能條:ひとつ思うのは、政治とかって専門家や政治家がよく知っていて、分かっている人じゃないと話してはいけないという空気があるなと。語るなら間違ってはいけないというか。それだと話しづらいよなって思います。日本では、専門家や政治家に任せておけばいいっていう考え方が根付いちゃってるのかなって思いますね。
能條:タイトルのYOUTHQUAKEには若い世代がこの社会を動かすみたいな意味が込めれているんですけど、じゃあ、今の私たちがいちばん政治に求めたいことって何なんだろう、それを知ったらもう少し政治に関心を持てるのかなと思っていろいろな項目を選びました。あとは政治って、普通に私たちの社会をよくするためのツール、手段なので政治をどういうふうに使えるのか、政治への参加の仕方をまとめましたね。いろいろと言いたいことがバーッとあったんですけど、できるだけ簡単に、ちょっと詳しい友達が教えてくれているみたいに伝わるといいなと思って制作しました。
別所:ひとつひとつ課題についての現状を整理してくれているんですけども、同時に私たちにできる政治参加というところに投票以外にも色々な行動を紹介してますね。
能條:そうなんです! それを意識しました。日本だと政治に参加するっていうと選挙に行って投票することと思われていると思うんですけど、実は署名活動をすることや署名に自分が参加すること、デモに参加する、陳情する、パブリックコメントをする、立候補するなどそういうものも含めて政治参加なんじゃないかと思うんです。なので、実際にそういった経験のある方にインタビューをして、事例も併せて載せました。
別所:この言い方が正しいか分からないけど、政治に参加することがカッコ悪いことではなくて、ある意味当たり前でカッコいいことでみんなが普通にできること。なんか優等生がやっていることだろうとならないような空気にしていきたいですね。
能條:本当にそうですね! 意識が高い人じゃないと話しちゃいけないんじゃなくて、どんな人でも政治について話してもいいという流れにならないといけないと思います。
NO YOUTH NO JAPANの詳細は公式サイトまで。
『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』のワンコーナー「Allbirds MORNING INSIGHT」では、あらゆる世界の本質にインサイトしていく。放送は月曜~木曜の6時30分頃から。
(構成:笹谷淳介)
能條さんが登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー「Allbirds MORNING INSIGHT」。
【オンエア:2021年12月2日(木)】
若い世代が政治に関心を持つきっかけを作りたい
2019年7月の参議院議員選挙をきっかけにNO YOUTH NO JAPANを立ち上げた能條さん。現在は、Instagramメディアの運営や、イベント、キャンペーンのプロデュースを通し、U30世代へこれからの社会を考えるきっかけを提供している。別所は、早速能條さんへ、団体設立のきっかけを聞いた。
能條:大学3年生の頃、休学をしてデンマークに留学していたんですけど、デンマークでは20代の投票率が80%を超えているという状況に驚いたんです。一方、日本では20代の投票率は3割程度。まわりの友達とも政治の話を全然したことがないなという感じで。留学をきっかけに日本が今抱えている、格差やジェンダーなどさまざまな問題を考えたときに私たちがちゃんと政治に参加していないから解決のスピードが遅いんじゃないかなと思うようになったんです。もっとみんなが選挙や政治に関心を持って投票に参加したり選挙について話したりするような文化を作りたいなと思って、Instagramで分かりやすく選挙や政治の情報を発信し始めました。
別所:お話にあったInstagramですけど、フォロワーが立ち上げのときから急増されたようですけど、どんな声が届きましたか?
能條:2019年7月にアカウントを作って、選挙までの2週間くらいの期間でフォロワーが1万5000人とかになりました。「このアカウントを見て初めて選挙に行った」「こんなに考えた選挙は初めてだった」「今まで投票に行っていなかった兄弟を連れて投票に行ったよ」など多くの声をいただいて、何か自分がやることによってほかの人が政治について話すきっかけや考えるきっかけを作れたのではないかなという手応えはありましたね。
NO YOUTH NO JAPANは、U30をキーワードに情報を発信していることが特徴のひとつだ。 別所は、世代論について聞いた。
別所:ミレニアル世代やZ世代というように現在は世代でいろんな括られ方があると思うんですけど、こうした世代論や世代の捉え方についてはどう考えていますか?
能條:NO YOUTH NO JAPANはU30世代のための“政治と社会の教科書”のような形でInstagramをやっているんですけど、有権者の中で10代20代が占める割合って13%くらいしかないんですよね。でも50年前は有権者のだいたい3割以上を20代が占めてたんです。今は特に若い世代の人口が減っているからなかなか若い世代の声が社会に届きづらいんじゃないかなという問題意識があって、この活動をしています。ただ、私が世代を代表できるわけではもちろんないし、そういう意味でいうとあんまり世代を区切りすぎるのもよくないのかなと思うところもあり、日々試行錯誤しながらやっていますね。
考えを示し、世論を盛り上げていくことが重要
能條さんは、「政治って自分には関係ない気もするし、誰かがやってくれるものだとどこかで思い込まされてきたかもしれない」と話した上で、「政治は実は自分たちのことで、参加したらもっと自分たちにとっても生きやすい社会になるのかもしれない、そう思う人を増やし声を届けていきたい」と問題提起をする。別所も声を届けることはこれからのキーワードだと話し、能條さんへ世界的な課題となっている「気候変動」について訊いた。
能條:気候変動は本当に時間のない問題と言われていますけど、日本やほかの国の政策を見ているとまだまだ十分な対策がないという印象です。今変えていかなといけないとはみんなも理解していると思うんですけど、現実とのせめぎ合いというか。意思決定をする立場にいる人たちの後押しをするためにも消費者が声を届けるということが重要なのかなと思います。
別所:僕もいつも思うんですけど、政治と国民の声が噛み合わない感じが何ともね……。若い人たちが考える環境に対する意識もいますぐ全部やめて0にしたいのか、段階を踏んでいくポリシーメイキングに参画したいのかとか、お互いの歩み寄りってどうやったらできるのかなって思ったりもするんですけど、どうですか?
能條:そうですよね。でも役割分担なのかなって思うところもあって。確かに、ポリシーメイキングの中に若い世代を含めて当事者となるこれからの将来世代の方が被害を受けるからこそ、きちんと考え、ちゃんと気候変動のことを理解している人や専門家が入っていくということは、すごく重要だと思うんです。
能條さんは役割分担が重要だと話す一方で、すぐには行動に移せない現状があることにも触れた。
能條:ただ、現実問題、私たちは生活をしていますし、そこで働いている人たちもいる中で明日、石炭火力発電を全て止めますみたいなことはできないわけで。1年の単位、3年の単位でどう変えていくのかというスピード感が重要なんだと思います。それはポリシーメイキングする側に責任があると思うんですけど、私たちが考えを示していくことが大事。「段階的に」という表現ではダメなんだろうなって思います。
別所:そこをしっかりウォッチして、ポリシーメイキングする側も汲み取って変えていく速度を上げていかないといけないですよね。
能條:「これだけ声が上がっているんだから、やるしかないよね」というふうに持っていくためにも世論がもう少し盛り上がっていくことは大事なのかなって思います。
政治を語れない、日本の現状
コーナーは終盤、リスナーから届いた「政治の語り方が分からなくなって、思考停止に陥っている人も多いように思います」という声から政治の語り方をトークした。別所:僕もそうだったのですが、学校や家庭で政治や選挙の話をあまりできない空気がある気がします。能條さんは家庭や学校でそういう話を積極的にできる空気ってありましたか?
能條:全然なかったですね。それこそやっぱり活動を始めたり留学したりして、こういうふうに政治について楽しく話せるんだって自分も学んだ感じで。小さい頃からそういう環境にいるか、いないかではすごく違うと思いますね。
別所:そうですよね。これは日本だけなのかな。能條さんはデンマークにいかれて全然違うなって感じたわけで、日本でもできないわけではないはずなのに、家族のあいだから政治を遠ざける空気感や雰囲気ってどこから生まれてしまったんですかね?
能條:ひとつ思うのは、政治とかって専門家や政治家がよく知っていて、分かっている人じゃないと話してはいけないという空気があるなと。語るなら間違ってはいけないというか。それだと話しづらいよなって思います。日本では、専門家や政治家に任せておけばいいっていう考え方が根付いちゃってるのかなって思いますね。
誰もが政治について話せる、世の中を!
NO YOUTH NO JAPANは先日、『YOUTHQUAKE: U30世代がつくる政治と社会の教科書』を出版。別所は、「項目をひとつひとつ選ぶのにも苦労されたんじゃないですか?」と能條さんに訊いた。能條:タイトルのYOUTHQUAKEには若い世代がこの社会を動かすみたいな意味が込めれているんですけど、じゃあ、今の私たちがいちばん政治に求めたいことって何なんだろう、それを知ったらもう少し政治に関心を持てるのかなと思っていろいろな項目を選びました。あとは政治って、普通に私たちの社会をよくするためのツール、手段なので政治をどういうふうに使えるのか、政治への参加の仕方をまとめましたね。いろいろと言いたいことがバーッとあったんですけど、できるだけ簡単に、ちょっと詳しい友達が教えてくれているみたいに伝わるといいなと思って制作しました。
別所:ひとつひとつ課題についての現状を整理してくれているんですけども、同時に私たちにできる政治参加というところに投票以外にも色々な行動を紹介してますね。
能條:そうなんです! それを意識しました。日本だと政治に参加するっていうと選挙に行って投票することと思われていると思うんですけど、実は署名活動をすることや署名に自分が参加すること、デモに参加する、陳情する、パブリックコメントをする、立候補するなどそういうものも含めて政治参加なんじゃないかと思うんです。なので、実際にそういった経験のある方にインタビューをして、事例も併せて載せました。
別所:この言い方が正しいか分からないけど、政治に参加することがカッコ悪いことではなくて、ある意味当たり前でカッコいいことでみんなが普通にできること。なんか優等生がやっていることだろうとならないような空気にしていきたいですね。
能條:本当にそうですね! 意識が高い人じゃないと話しちゃいけないんじゃなくて、どんな人でも政治について話してもいいという流れにならないといけないと思います。
NO YOUTH NO JAPANの詳細は公式サイトまで。
『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』のワンコーナー「Allbirds MORNING INSIGHT」では、あらゆる世界の本質にインサイトしていく。放送は月曜~木曜の6時30分頃から。
(構成:笹谷淳介)
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