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未来を作る活動で、仲間を集めるには…「ビジョニング」という考え方

画像素材:PIXTA

未来を作る活動で、仲間を集めるには…「ビジョニング」という考え方

NEWPEACE Inc.の代表でクリエイターの高木新平さんの経歴から、アイデアや“思い”を実行にうつすヒントを探った。また、未来志向で仲間を集める「ビジョニング」という考え方について訊いた。

高木さんが登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー「Allbirds MORNING INSIGHT」。ここでは、10月26日(火)のオンエア内容をテキストで紹介する。

シェアハウスブームを牽引。そもそも立ち上げたきっかけは?

高木さんは入社1年で博報堂から独立し、シェアハウスブームを牽引した気鋭のクリエイターだ。別所は、そんな高木さんへ1年で独立したキッカケを聞いた。

高木:当時、東日本大震災がありまして、僕も含めて今後の生き方をけっこう考え直したいなという人がたくさんいたんですね。そんな中、僕は思い切って会社を辞めてしまったんですが、そうすると給料もなくなりますし、人との出会いや活動の場所がなくなるということで。じゃあ、みんなでお金を出し合ってシェアハウスをすれば、例えば30万円の家賃の部分を6人で住めば、5万円で都市部に住めるということで、そういう共同の場所で住めないかということでシェアハウスを立ち上げることになりました。
別所:なるほど、そこからなんですね、動き出すのは。それからブームを牽引されていくわけなんですけども、シェアハウスに注目されたというのは、当時そういう空気感があったからなんですか?
高木:そうですね。これは今も近い空気があるかもしれませんが、東日本大震災でこれからの生き方をどうしていくんだという考え方も生まれていって、SNSとかが広がっていく中でそういう社会の変化の空気もあったと思います。

社会の空気を読み取り、独立という方向へ舵を切った高木さん。彼の考えたシェアハウスは、ただ暮らす場所ではない。

高木:シェアハウスでは、ただ暮らすだけでなく会社をやめようとしたりとか、セカンドプロジェクトようななものをやる場所としても機能しているというか。当時はコワーキングスペースみたいなものもあまりなかったですから、どんどん開放して自由来てもいい場所にしたんです。そうすると仲間が集まって、そこの様子をネットで配信したりして、気がつけば、年間で3000,4000人くらい人が来る場所になり、それを見た人がシェアハウスを自分の地域でも立ち上げたいということで、あれよあれよと広がって、最終的に「リバ邸」というシェアハウスは全国で100箇所くらいに広がっていますね。

ネット選挙運動の解禁を目指した「One Voice Campaign」とは何だったのか?

別所はこの話を聞き、「高木さんが思っていたことが広がったということは同じことを考えている方が、日本中にいたんですね」と感心し、シェアハウスで知り合った仲間たちと立ち上げたプロジェクトについてトークを進めていく。2012年に話題を集めたネット選挙運動の解禁を目指すプロジェクト「One Voice Campaign」だ。

別所:このプロジェクトはなぜやろうと思ったんですか?
高木:そのシェアハウスにはいろんな仲間が集まってきてたんですけどその中の一部にそういう選挙に関して関心があったり、政治を変えたいという思いを持っている仲間たちがいたんです。雑談レベルのお話だったんですけど、2012年当時は、どうやら選挙期間の間にインターネットまたは、SNSとかを一切政治家は使ってはいけなかった。情報更新してはいけないし、そこで何かを発信してはいけないという今では信じられない状況だったんです。

現在は総理大臣を始め、多くの議員がSNSのアカウントを持ち国民へ情報を発信しているが、当時は公職選挙法のもとで紙でしか情報発信ができないということになっていた。その現状に高木さんは怒りを覚えたと話す。

高木:僕自身、それまで政治に関心はなかったんですけど、すごく怒りの気持ちが湧いてきまして。というのは関心がなかったのは政治の方が僕たちに向けて情報を届けようとしてないんじゃないかと思ったからなんです。当時は23歳、24歳くらいだったと思うんですが、そういった若い世代と接点をまったく作ろうとしてないんじゃないかという気持ちになって、これは何か変えたいという気持ちに初めてなったんです。
別所:確かにそうですよね。いろんな公職選挙法とかルールがあるからっていうことが言い訳になるんですけど、結果、国民、投票をする私たちに届いていないと意味がないですもんね。
高木:そうなんですよ。
別所:届け方みたいなものを政治家はルールメーカーなんだから変えていかなくちゃというところ。その怒りの部分はすごく共感します。

「One Voice Campaign」はメディア・政治家を動かし、解禁を見事、実現した。

「ビジョニング」とは何か

そしてその3年後、高木さんはVISIONING COMPANY「NEWPEACE Inc.」を創業する。

別所:「ビジョニング」という言葉なんですが、これは造語なんですか?
高木:これは僕の考えた造語でして、ビジョンに現在進行形の「ing」を足してビジョニングという風に言っています。多くの人はいい感じのイメージをすることを「ブランディング」と言いますよね。僕は、ブランドの本質って歴史だと思っていて。「100年の歴史」とか、「誰々が愛した」とか、そういう歴史がブランドを作ると思うんです。一方で僕の周りにいたのはスタートアップ、ベンチャー企業のメンバーばかりで、それではブランドはないよねという話をしていました。

高木さんは街を例にあげ、説明を続ける。

高木:例えば街で言いますと、京都は歴史的な資産や建造物がたくさんあるブランディングの街だと思うんですよ。一方で、福岡市は歴史もありますけども、アジアのリーダー都市だったりとか移住を促進したりとか、健康都市になるんだというビジョンで引っ張って、人を集めていると思うんです。だからそういう、未来志向でどんどん仲間を集めていく方法論を「ビジョニング」と呼んで、もっとスタートアップが仲間を集めていったりとか、世の中から指示を集める世の中にしていきたいなと思って、そういうことを掲げて方法論化してると言うのが今の仕事です。

都市の豊かさとは違った豊かさを生み出したい

番組は終盤、高木さんへ昨今の政治への向き合い方、そしてアフターコロナでのビジョニングについて話を聞いた。

別所:衆議院選挙を前に。最近では有名人が選挙に行こうと呼びかける動画も注目を集めていますけど、政治への近年の向き合い方の変化をどうお考えですか?
高木:とってもいいことだと思います。SNSが普及したことによって、芸能人の方であれ企業であれ世の中に対するスタンスをその場で表現しなきゃいけなくなる、または、SNSで「これ、どう考えているんですか?」と言われたりとかするようになっていて。これまで日本では政治を語るってタブーとされていたと思うんです。ただそれが結果的には低い投票率や無関心に繋がっている部分もあるのかなと思っていて。話題となった動画のように、芸能人の方や企業が積極的に社会に対して問題提起をしていったり、世の中を語っていくことによって、それに影響を受けた若い人たちがまた変化をしていったりとか、何か新たなムーブメントが起きていくのではないかなと思っていますね。
別所:政治に関心を持つということがまさにコミュニティ、地球あるいは地域と繋がっていくというそれぞれのライフスタイルと繋がっていくわけですけど、アフターコロナの高木さんの考えるビジョニングとは?
高木:やはり皆さん、コロナを経験して豊かさの正解が1つじゃないということに気づいたと思うんです。僕自身、富山県で生まれて18年間育ったんですけど、富山って「裏日本」とか言われていたりして、あんまりイメージがある方もいないと思いますし、少なくとも日本において主役ではなかったと思うんですよ。ただ僕自身、コロナの寄付などをキッカケにもう一度富山県と関わるようになって、実は今、県の成長戦略会議のメンバーとして「幸せ人口1000万」というビジョンを作って、富山にある豊かさや幸せというものをもっと多くの人に経験していただけないかということで、いろいろなプログラムを作っているんです。東京や都市の豊かさとは違った豊かさを作っていけないかなとチャレンジしています。

『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』のワンコーナー「Allbirds MORNING INSIGHT」では、あらゆる世界の本質にインサイトしていく。放送は月曜~木曜の6時30分頃から。

(構成:笹谷淳介)

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