音楽、映画、エンタメ「ここだけの話」
つらいときは、まず“放電”しよう。ジェーン・スーが「心の健康」を語る

つらいときは、まず“放電”しよう。ジェーン・スーが「心の健康」を語る

藤原しおりが「チーフ」としてナビゲートする、ラジオを「ラボ」に見立てたJ-WAVEの番組『HITACHI BUTSURYU TOMOLAB. ~TOMORROW LABORATORY』。「SDGs」「環境問題」などの社会問題を「私たちそれぞれの身近にある困りごと」にかみ砕き、未来を明るくするヒントを研究。知識やアイデア、行動力を持って人生を切り拓いてきた有識者をラボの仲間「フェロー」として迎えて、解決へのアクションへと結ぶ“ハブ”を目指す。

5月8日(土)の「ラボ」にフェローとして登場したのは、コラムニスト、ラジオパーソナリティーとして活躍するジェーン・スー。2人は「こころの健康」をテーマにトークを展開した。

健康と聞いて思い浮かぶ状態は?

ジェーン・スーはコラムニスト、ラジオパーソナリティーとしてTBSラジオ『ジェーン・スー生活は踊る』を担当。『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』(ポプラ社)や『女のお悩み動物園』(小学館)など、女性の心理面を掘り下げた著書を多数出版。自伝的エッセイ『生きるとか死ぬとか父親とか』(新潮文庫)は吉田 羊主演のドラマとしてテレビ東京で放送中だ。

藤原:今回は心強いフェローです。
スー:よろしくお願いします。
藤原:ちなみに呼び方はスーさんでいいんですか?
スー:ラジオの方は大体スーさんと呼んでくれていると思います。
藤原:じゃあスーさんと呼ばせていただきます。早速なんですが、今夜のイシューは「こころの健康」です。こころの健康、からだの健康とありますが、まず健康と聞いてなにを思い浮かべますか?
スー:「健康ってなんですか?」と言われたら、「日常生活を送るのにさしたる困難がない状態」ということかな? 朝起きられないとか、どこかに行くのがしんどいとか、なにか人に意見を言ったりするときに体が震えちゃうとか、そういうことがない状態かな。
藤原:なるほど。
スー:特に考えずに日常生活が送れるということ。でも、誰にとってもそういう社会であったほうが、本当はいいと思うんですけれどね。

ジェーン・スー、悩み相談にはどう向き合う?

悩める人々から多種多様な相談が寄せられているジェーンは、答える際には相手に寄り添うことを心がけているという。

藤原:なかには自分の経験論としてはお答えできないものがあったりするじゃないですか。そういうときはどう答えて、どういうことを心がけたりしているんですか?
スー:相談といっても悩みには何種類かあるんです。「それは悩みじゃなくて『問題』だから、さしたる機関に相談して解決すべきことだよ」というのは、労働環境のことだったりとか、家族関係、あとは病気なんかもそうですよね。相談してくれたのは第一歩としてすごくありがたいけど、「ここから先は専門機関につながないと、自分の頑張りでどうにかなることではないと思うよ」というような話。あとは「こういう風にならないんです」という悩み事の体で、単にワガママという人もいます。自分の思い通りにならないことを悩みという体で話しているだけの人もいるんです。だから「悩み」と一言で言っても、いろいろと向き合い方が変わるんですよね。

また、ジェーンは子育てといった自身が経験していないことについては、自分の子ども時代の体験や、周囲の友だちの話などから接点を見つけて「正解ではないけど、私はこう思うよ」と回答するという。そこには「第一歩としてせっかく相談してくれたんだから」といった想いがあるのだとか。

スー:私に相談をしてくれたという時点で、周りに話す人がいなかったり、話しても解決してなかったり(すると思う)。顔の見えない相手にでも「聞いてほしい」と思った時点で、少し弱っているときだと思うので、できる限り寄り添うということをテーマにしています。
藤原:私も普段、SNSとかで相談や悩み事がきたりしますけど、答えられるものと答えられないもの(がある)。これが参考になるのかわからないけれども、まず自分がしんどかったときに「しんどかったね」とか「大変だね」と言ってもらえることはありがたいなと思うから、それは寄り添うように心がけています。悩みに対してのカテゴライズがスーさんはできているのかな? と思いました。
スー:できてきた……でしょうけれど、まだわからないですよ。「こういう相談でしょ?」と思って、全然本人が意図していることと違う読みとりをしてしまうこともあるし。目の前に座っている人と1対1で話しているわけではないので、なるべく読み違えをしないように意識しています。

誰かの幸福を喜べたら、こころが健康と言える

藤原は脳科学者の茂木健一郎さんの「人間という生き物は『難しそう』『本当にできるのか』という不安や不確実な状況に身が置かれたときに脳が活性化する。『これはできそうだ』と感じた瞬間、一気にドーパミンというやる気などを引き起こす神経伝達物質が出る」という研究を紹介し、ジェーンに「悩みが脳を活性化させる」という点をどう思うかたずねた。

スー:こころが健康な状態って、どういう状態だろう?と考えたら、「誰の幸せも手放しで喜べる状態」だなと思ったんです。友だちが結婚した、子どもを産んだ、昇進した、引っ越した……お友だち、家族、芸能人といった周りの人のいいニュースに「よかったね!」と、こころの底からその人の気持ちになって喜べる。悩みに寄り添うのは、練習すればできるんです。でも、人の幸せにこころから寄り添うのは自分のこころが健康じゃないとできないと思って。
藤原:なるほど、確かにそうかもしれないですね。
スー:アラサーの女性とかから「周りが結婚し始めて」という相談がすごくたくさんくるんです。そういうときに「よかったね!」って、大好きな友だちのすごくいいことなんだから、一緒になって喜びたいけど、思わずふと「自分はそうじゃない」っていうことから、粗探しをしてしまったり、うらやんだりしてしまう。そういうことがない状態が(こころが)まん丸な健康な状態。でもそれって、たぶん無理なわけじゃないですか。必ずどこかがへこんだり傷ついたりはしている。だけど丸を目指していて、目指せるのはへこんだり傷がついたりしているからで、それがたぶん、成長とか変化など“伸びしろ”と言えるのかな?と思ってます。茂木さんが言うところの不確実性だったりとか、不安だったりとかっていうのは「直すところがある」ということじゃないですか?

ジェーンは茂木さんの研究結果に「おっしゃっていることもその通りだと思います」と語りつつも、「不安ならば必ず成長するとも限らないと思う」ともコメントした。

スー:不確実な状況に身が置かれたときに脳は活性化するけど、そこから「これはできそうだ」という風に思えるところまでの距離は人それぞれです。まん丸なこころの健康な状態を目指していれば、へこんだときにもどこを戻せばいいかというのが大体わかるけど、ずっとへこんでいたり傷ついていたりすると、そこから「できる」となるまでにはけっこうかかりますよね。
藤原:そのまん丸な状態を保ち続けるというのもけっこう難しい。
スー:無理難題だと思う。
藤原:一瞬「あ、今日はなんか丸だ、いい感じ! 誰の幸せも喜べるわ」みたいな日もあれば「ダメだ、今日」っていうね。
スー:「全員が憎い」「外を飛んでいるツバメすら憎い」っていう日がありますよね。
藤原:(笑)。「昨日はよかったのに今日はまたへこんでしまった」という波もあるし、丸を保ち続けられるぐらいの満たされた状態、満たされるための軸、居場所みたいなものを得るのは難しいなとは思いますね。

こころに「放電期間」を

ジェーンは「不安だ、できない」と、ネガティブな思考に固定化している人が1歩を踏み出すために充電期間ではなく、イライラや不安などの感情を放電する期間が必要だとして、その理由を解説した。

スー:放電するために私がよくやるのは、とにかくニヤニヤできるものを周りに置くっていう。
藤原:ニヤニヤ?
スー:それこそ、SNSとかでも「単純に笑える」とか、ひたすらかわいい動物の動画のアカウントとかたくさんあるじゃないですか。動物の動画でも「推しの写真」でも、なんでもいいんです。まずそこで「なんか知らないけど1日ニヤニヤしているな」という状態までなんとか回復します。次の段階としては自分を甘やかす。たとえば私だったらちょっとおいしい高いチョコレートを食べるとか、マッサージに行って人の手で体を癒してもらうとか。まずは放電して、そこから甘やかしがあって、そこからようやく下地が整って、自分自身を変えていく、ポジティブな発想で前に向けるんじゃないかと思います。
藤原:メチャクチャ……なんか、いい単語をいただきました! 放電期間。ちょっと私、偉そうに外で「いま、私は放電期間」と言ってもいいですか?
スー:もちろんです。「放電中なんですよ」って。
藤原:「なんですか?」と言われたら、その説明を丸々させていただこうと思います。そうだな、私はいまたぶん放電期間なんだ。

最後にジェーンはこころの健康を考えるなら「自分自身を大切に思えないような環境からは全力で逃げたほうがいい」と訴えた。

スー:人の価値って相対的だから、絶対的には決まってないんです。こっちの場所に行けばすばらしい人だし、こっちの場所に行けば「使えない」って言われるっていう。場所によって変わるので、自分に安い値段をつける人しかいない環境からはとにかく全力ダッシュで逃げるっていうのも、もしかしたら健康に必要な力かもしれないですね。ただ、そのためにもやっぱり蓄える時間が必要だから、さっき言ったニヤニヤから、とかね。
藤原:リスナーの方に言葉を届けているはずなんですけど、まず最初に私が全身で浴びちゃってます。スッキリしたー!
スー:(笑)。

J-WAVE『HITACHI BUTSURYU TOMOLAB. ~TOMORROW LABORATORY』は毎週土曜20時から20時54分にオンエア。

この記事の続きを読むには、
以下から登録/ログインをしてください。

  • 新規登録簡単30
  • J-meアカウントでログイン
  • メールアドレスでログイン
radikoで聴く
2021年5月15日28時59分まで

PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

番組情報
HITACHI BUTSURYU TOMOLAB. TOMORROW LABORATORY
毎週土曜
20:00-20:54
  • 誹謗中傷や名誉毀損、他人に不快感を与える投稿をしないように十分に注意してください。
  • コメントの削除を希望する場合は右上の「通報」ボタンから要望をお伝えください。
  • 必ずニックネーム(3文字以上)を指定してください。