地球の未来を守るために今できることを考える、J-WAVEで放送中の番組『ENEOS FOR OUR EARTH -ONE BY ONE-』(ナビゲーター:堀田 茜)。2月5日(金)のオンエアでは、持続可能な開発目標「SDGs」(Sustainable Development Goals)の目標2「飢餓をゼロに」をテーマに、雑草料理研究家の前田 純さんに話を聞いた。
堀田:和萵苣は聞き慣れない言葉ですが、どういうものなのでしょうか?
前田:私が作った言葉なのですが、意味は雑草性の高い植物(雑草)を無農薬・無化学肥料でできるだけ人の手を掛けずに栽培したものという意味を持ちます。
堀田:雑草学とはどんなことを学ばれるのでしょうか?
前田:雑草は農業に邪魔なものです。そのため、雑草を生やさないようにする方法、例えば農薬を使うとか草刈りの回数を増やすとか、効率的にコントロールができるように、いろいろと研究している学問です。その中で、私は雑草の利用の研究を行っています。
堀田:雑草の利用ですか?
前田:そうです。雑草は邪魔なものなので、なかなか研究されないから珍しい研究なんですけど、雑草をあぜに植えて農地などの地場が崩れないように管理するようなことをやっていました。
前田さんは雑草に興味を持った理由をこう語る。
前田:父が自然が好きで、私が小さい頃に山など自然の多い場所に連れて行ってくれました。父は植物に詳しく、山菜とか野草とかを採りによく出かけていたんですけど、私がだんだん山に行くのが面倒になり、たまたま畑を持っていたので、効率的に山菜などを作っていたことがきっかけだったと思います。
堀田:そもそも雑草は育てるものなんですか?
前田:品質のよい雑草を作ろうと思う場合は育てたほうが効率がよいので、そのために雑草農家として雑草を畑で栽培しています。
前田:雑草はほぼ無限に生えてきて、人間がいくら抜いてもどんどん生えてくるので、これまで人類が完全に駆逐することができませんでした。その中で雑草を利用する内容もさまざまで、世界では雑草を食べている国がとても多くて、生で食べられるものもあれば、薬草として広く使われているものもあり、また食べて健康になるものもあるので、食糧難を解決するためにはすごくいい材料かなと思います。
合同会社つむぎてでは、実際に農地を借りて雑草を栽培するほか、雑草の魅力を知ってもらうためのイベントも開催している。
前田:雑草は邪魔者ではないよ、雑草はこんなふうに活用できるよ、そういう提案をプロジェクト化して活動を行ったりもしています。
堀田:イベントでは実際にどんなことをするんですか?
前田:どんな雑草があるかを知らない人が多いので、雑草の摘み取り体験を行いながら、実際に触れてもらい知ってもらい、さらにその雑草を使った料理を作って食べてもらったり、畑に料理家を呼び料理を作ってもらったりしています。例えばフランス料理のシェフに雑草を使った1万円のコースを作ってもらったこともあります。
堀田:すごい! 雑草が宝の山に見えてきました(笑)。
前田:そう言っていただける方は多いですね。
堀田:そういった栄養価が高い雑草はどこに生えているんですか?
前田:キャベツとかハクサイなどを育てている畑に普通に生えています。
堀田:へえ! その雑草をいい値段で売ることができれば、農家さんもいい商売になりますよね。
前田:実際に農家さんがそういった知識を得てくれて、雑草を売ってくれているんです。
堀田:それがSDGsの目標2「飢餓をゼロに」につながっていくわけですね。ちなみに雑草のイベントにはどのくらいの人が参加してくれているんですか?
前田:だいたい1回のイベントに10人くらいが参加してくれています。興味本位の人や、子育て中の人、農家さんや料理家など幅広く来ていただいていますね。
堀田:みなさんどんな感想を話されますか?
前田:多くの方が、日常の見方が変わったと言ってくださり、庭に生えている雑草が食糧だと思うようになり、抜くのがもったいなくなったという感想もあります(笑)。見つけた雑草の写真を私に送って「これは食べられますか?」と質問する人もいます。
食料以外に、繊維を用いて着物や織物を作るなどの活用法もある。
前田:私が育てている「シロザ」は軽くて丈夫ということが昔から分かっているので、ボールペンとして加工して販売もしていますし、よく育つので将来的にはバイオエタノールという原料にしたいとも考えています。
堀田:道に生えている雑草がボールペンや原料になると思うと、よいサイクルですよね。
前田:無限に生えてくるので、おもしろい材料だと思っています。
堀田:最後に、これからの前田さんの目標を教えてください。
前田:雑草を耕作して栽培することをどんどん拡大していきたいと思っています。そのためには自社で雑草を1トン栽培して、雑草の消費を拡大していきたいと思っています。
堀田:思わぬところで雑草がSDGsにつながってくることに驚きました。それを通してSDGsの視野が広がると思いましたし、これからは雑草に注目していきたいと思います。
『ENEOS FOR OUR EARTH -ONE BY ONE-』は、わたしたちの未来を守るために、いまできることを一緒に考える。放送は毎週金曜日の22時から。
雑草は邪魔者ではなく利用できる
前田さんは、京都大学農学研究科農学専攻雑草学研究室にて雑草学を学び、在学中からNPOや野外調査にて雑草や野草などの身近な植物を使った料理を提案。現在では、和萵苣(わちさ)としての雑草を耕作放棄地などで栽培するほか、2015年2月に5人のメンバーで合同会社つむぎてを設立し、雑草の世界を広めている。堀田:和萵苣は聞き慣れない言葉ですが、どういうものなのでしょうか?
前田:私が作った言葉なのですが、意味は雑草性の高い植物(雑草)を無農薬・無化学肥料でできるだけ人の手を掛けずに栽培したものという意味を持ちます。
堀田:雑草学とはどんなことを学ばれるのでしょうか?
前田:雑草は農業に邪魔なものです。そのため、雑草を生やさないようにする方法、例えば農薬を使うとか草刈りの回数を増やすとか、効率的にコントロールができるように、いろいろと研究している学問です。その中で、私は雑草の利用の研究を行っています。
堀田:雑草の利用ですか?
前田:そうです。雑草は邪魔なものなので、なかなか研究されないから珍しい研究なんですけど、雑草をあぜに植えて農地などの地場が崩れないように管理するようなことをやっていました。
前田さんは雑草に興味を持った理由をこう語る。
前田:父が自然が好きで、私が小さい頃に山など自然の多い場所に連れて行ってくれました。父は植物に詳しく、山菜とか野草とかを採りによく出かけていたんですけど、私がだんだん山に行くのが面倒になり、たまたま畑を持っていたので、効率的に山菜などを作っていたことがきっかけだったと思います。
堀田:そもそも雑草は育てるものなんですか?
前田:品質のよい雑草を作ろうと思う場合は育てたほうが効率がよいので、そのために雑草農家として雑草を畑で栽培しています。
生で食べたり、薬草として使われたり
雑草がSDGsの目標2「飢餓をゼロに」にも役立つ。世界では、雑草を食べる国も多いのだそう。前田:雑草はほぼ無限に生えてきて、人間がいくら抜いてもどんどん生えてくるので、これまで人類が完全に駆逐することができませんでした。その中で雑草を利用する内容もさまざまで、世界では雑草を食べている国がとても多くて、生で食べられるものもあれば、薬草として広く使われているものもあり、また食べて健康になるものもあるので、食糧難を解決するためにはすごくいい材料かなと思います。
合同会社つむぎてでは、実際に農地を借りて雑草を栽培するほか、雑草の魅力を知ってもらうためのイベントも開催している。
前田:雑草は邪魔者ではないよ、雑草はこんなふうに活用できるよ、そういう提案をプロジェクト化して活動を行ったりもしています。
堀田:イベントでは実際にどんなことをするんですか?
前田:どんな雑草があるかを知らない人が多いので、雑草の摘み取り体験を行いながら、実際に触れてもらい知ってもらい、さらにその雑草を使った料理を作って食べてもらったり、畑に料理家を呼び料理を作ってもらったりしています。例えばフランス料理のシェフに雑草を使った1万円のコースを作ってもらったこともあります。
堀田:すごい! 雑草が宝の山に見えてきました(笑)。
前田:そう言っていただける方は多いですね。
織物やボールペンになる雑草も
栄養面で優れた雑草もある。例えば、「スベリヒユ」は植物の中でもオメガ3脂肪酸の含有量が最も高いと言われており、「イヌビユ」はスーパーフードの仲間でとても栄養価が高いと研究でわかっているそうだ。堀田:そういった栄養価が高い雑草はどこに生えているんですか?
前田:キャベツとかハクサイなどを育てている畑に普通に生えています。
堀田:へえ! その雑草をいい値段で売ることができれば、農家さんもいい商売になりますよね。
前田:実際に農家さんがそういった知識を得てくれて、雑草を売ってくれているんです。
堀田:それがSDGsの目標2「飢餓をゼロに」につながっていくわけですね。ちなみに雑草のイベントにはどのくらいの人が参加してくれているんですか?
前田:だいたい1回のイベントに10人くらいが参加してくれています。興味本位の人や、子育て中の人、農家さんや料理家など幅広く来ていただいていますね。
堀田:みなさんどんな感想を話されますか?
前田:多くの方が、日常の見方が変わったと言ってくださり、庭に生えている雑草が食糧だと思うようになり、抜くのがもったいなくなったという感想もあります(笑)。見つけた雑草の写真を私に送って「これは食べられますか?」と質問する人もいます。
食料以外に、繊維を用いて着物や織物を作るなどの活用法もある。
前田:私が育てている「シロザ」は軽くて丈夫ということが昔から分かっているので、ボールペンとして加工して販売もしていますし、よく育つので将来的にはバイオエタノールという原料にしたいとも考えています。
堀田:道に生えている雑草がボールペンや原料になると思うと、よいサイクルですよね。
前田:無限に生えてくるので、おもしろい材料だと思っています。
堀田:最後に、これからの前田さんの目標を教えてください。
前田:雑草を耕作して栽培することをどんどん拡大していきたいと思っています。そのためには自社で雑草を1トン栽培して、雑草の消費を拡大していきたいと思っています。
堀田:思わぬところで雑草がSDGsにつながってくることに驚きました。それを通してSDGsの視野が広がると思いましたし、これからは雑草に注目していきたいと思います。
『ENEOS FOR OUR EARTH -ONE BY ONE-』は、わたしたちの未来を守るために、いまできることを一緒に考える。放送は毎週金曜日の22時から。
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番組情報
- ENEOS FOR OUR EARTH -ONE BY ONE-
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毎週金曜22:00-22:30
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堀田 茜