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取り調べは「密室だから罪を認めるんだ」という精神論がある…弁護士が立ち会えない異常な状態

画像素材:PIXTA

取り調べは「密室だから罪を認めるんだ」という精神論がある…弁護士が立ち会えない異常な状態

日本では刑事事件の取り調べにおいて、弁護士が立ち会えないといった問題がある。世界的に見ると「非常に珍しく、遅れている」と言える。11月19日(火)放送の『JAM THE WORLD』のワンコーナー「UP CLOSE」では、取り調べに弁護士を立ち会わせるよう求める動きについて、大阪弁護士会の川﨑拓也さんと考えた。

【11月19日(火)『JAM THE WORLD』の「UP CLOSE」(ナビゲーター:グローバー/火曜担当ニュースアドバイザー:青木理)】


■日本の取り調べは「異常な状態」

日本の取り調べは密室の中で行われており、被疑者や被告人の人権が守られていないといった問題が以前から挙げられている。

青木:取り調べに弁護士が立ち会うというのは、世界的に言うと普通なんですか?
川崎:世界的に言うと、もう極めて普通だっていう風に言えると思います。簡単な例でいうと、G7(先進7カ国)でやっていないのは、カナダと日本だけ。カナダも最高裁までいって、1票差で残念ながら負けちゃったみたいなんですけど。東アジアでいうと韓国、台湾などは結構歴史があって長いことやっています。日本はある意味、島国で特殊なんですけど、立ち会いという分野では非常に遅れているといえます。

日本では、容疑をかけられて逮捕された場合、最長で20数日もの間、身柄を拘束されて取り調べを受ける。弁護士がいない状態で取り調べを受ける環境は、先進国の中でも極めて珍しいという。

取り調べの長さについて、川﨑さんは「裁判員裁判の事件で平均30時間、容疑を否認した場合は100時間を超えることも未だにある」と明かし、「法律のプロがいないという状況も、先進国でなくとも異常な状態」と述べた。


■取り調べの可視化は「捜査を監視する」

2019年6月、裁判員裁判事件と検察独自の捜査事件で取り調べの可視化を義務付ける、改正刑事訴訟法が施行された。取り調べの可視化を弁護士側はどのように評価しているのか、川﨑さんに訊いた。

川﨑:(取り調べの)録音・録画というのは、まず我々にとっては非常に大きな武器になったと思っています。録音・録画がされていることで、取り調べというのは大きく変わりました。当然ながら殴ったり蹴ったりはできませんし、露骨な利益誘導、暴言といった類は全くできなくなりました。適正化、取り調べ捜査を監視するという意味では、非常に大きな意味があったと思います。

取り調べの可視化は、事後的に検証ができる一方で、録音・録画の内容を意図的に操作される問題もあるという。川﨑さんは、冤罪の原因となる虚偽自白を防ぐには「可視化の範囲拡大」と「取り調べに弁護人がつくこと」が必要だと述べた。


■法律上、弁護士の立ち会いは禁じられていない

日本でも、取り調べにおける弁護士の立ち会いについて、1970年代からすでに議論されていた。しかし、1990年代のオウム真理教事件など、黙秘に対する社会全体の風潮や弁護士側にかかる負担の問題から、立ち会いに至らないことが多かったという。

川﨑:取り調べっていうのは、密室で秘密にやるから罪を認めるんだっていう、精神論というか根性論みたいなものが、今でもこの国には長くあるわけです。その中で立ち会いってものが付け入る隙が全然なかったっていうのも、かなり大きいところかなと思います。
青木:基本的なことなんですけど、弁護士さんの立ち会いっていうのは、法律上やっちゃいけないなんていう法律がないわけでしょ?
川﨑:ないですね。
青木:たとえば、僕が今日帰る途中に立ち小便や痴漢の疑いで捕まって、警察に連れていかれたと。「弁護士を呼んでくれないと、俺は取り調べには応じない」と言った場合はどうなるんですか?
川﨑:「弁護士に連絡はしてあげるけど、この部屋には弁護士さんは入れない」という説明になるんでしょうね。

被疑者は逮捕された段階でも弁護士をつけることは可能だが、取り調べに弁護士が立ち会うことはできないという。

青木:(弁護士が取り調べに立ち会えないことについて)それは法律があるわけではないんですか?
川﨑:我々も(被疑者が警察へ)呼び出されたら一緒に行って「立ち会いますんで」と言うんですけど。そうすると「先生、ダメですよ。どこに書いてるんですか?」という話になって。「いや、でも逆にダメとも書いてないですよね?」という話になるんですが、「いや、いいとも書いてないですよね?」という話になって、水掛け論になるんですね。

川﨑さんは、過去に弁護士の立ち会いが非公式に認められた事例がいくつかある、と明かす。しかし最近は、それらの情報が共有されている影響からか、警察側から立ち会い禁止を事前に告げられることが多く、取り調べに立ち会うのが難しいと語った。

J-WAVE『JAM THE WORLD』のコーナー「UP CLOSE」では、社会の問題に切り込む。放送時間は月曜~木曜の20時20分頃から。お聴き逃しなく。

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【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/

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