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核廃絶に向けて私たちがすべきこととは? ノーベル平和賞授賞式で被爆者として演説したサーロー節子さんの思い

核廃絶に向けて私たちがすべきこととは? ノーベル平和賞授賞式で被爆者として演説したサーロー節子さんの思い

J-WAVEで放送中の番組『JAM THE WORLD』(ナビゲーター:グローバー)のワンコーナー「UP CLOSE」。12月19日(水)のオンエアでは、水曜日のニュース・スーパーバイザーを務めるフォトジャーナリストの安田菜津紀が登場。2017年のノーベル平和賞授賞式で被爆者として演説をしたサーロー節子さんをお迎えし、核兵器廃絶に向けた動きや、現状についてを伺いました。

現在86歳のサーローさんは、13歳の時に広島の爆心地から1.8キロメートル離れた場所で被爆。2007年からはICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)の顔として、英語で被爆体験を語り続け、被害の悲惨さを世界に訴えてきました。そして、2017年にICANはノーベル平和賞を受賞しました。


■ICANのノーベル平和賞受賞は私たちにとっての第一歩

ノーベル平和賞授賞式でのサーローさんの講演を聴いて圧倒されたと話す安田。「ノーベル平和賞受賞をどのように捉えたか」と質問を投げかけると「素晴らしい励ましだった」とサーローさんは答えます。

サーロー:70年ばかりこの運動に努力してきたので、感激、感動でした。世界から認められ「ありがとう」と言われたと思いました。ただ、核兵器国が国連で「武器をなくすために努力します」と法的な約束をしているにも関わらず、50年経っても未だに成果をあげられていません。ノーベル賞はそういう実情に対する非難でもあったと思います。核兵器国にとってはうれしくない出来事だったと思いますが、私たちにとっては第一歩となりました。ただ、核を廃絶するまでの長いプロセスが待っています。

被爆被害の悲惨さを訴え、核兵器禁止条約に向けて運動を続けてきたサーローさん。2017年時点で3カ国だったこの条約の批准国が、現時点で19カ国まで増えています。

サーロー:この運動をコーディネートしたICANは素晴らしい団体です。世界各地からさまざまな年齢の人たちが集まっています。20代から50代と私の年からすると若い世代と一緒に働くことは、今まで何十年も北米で反核平和運動に携わってきましたが、かつてなかったことです。

この傾向は「今から10年ほど前から人道的イニシアチブという新しい思想が広まったからだ」とサーローさんは続けます。

サーロー:それまでは核の問題というと、いつも軍事的、戦略的な面から核兵器の話がされてきました。
安田:安全保障の問題として論じられがちですよね。
サーロー:そうなんです。人間はそっちのけで軍事的なことが主になっていました。最初はそうではなく、人間的な問題として論じられていました。それが朝鮮半島の問題やベトナム問題などが介入すると、軍事的なものが牛耳ってしまい、人間的な想いはそっちのけになった。そういう立場で私ひとりが被爆者として証言するのは非常に難しい状況でした。しかし、10年くらい前から「あくまで人間が私たちの議論の中心であり先頭になるべきだ」とものの見方が変わってきました。その変化は非常にうれしかったですね。それが多くの世界の人たち、特に若い人たちに向けて素晴らしい影響力を持ったと思います。ものすごいスピードで多くの若者が運動に入ってきました。

ICANで出会った若者は非常に情熱的であり、核についても勉強熱心で独創的でもあるといいます。

サーロー:彼らは今までおじいさんやおばあさんが細々とやっていたこととは違った方法で政府に問題意識を提供しています。
安田:昨今のインターネットやSNSの活用も効果的だったのではないでしょうか。
サーロー:それが運動にとってすごい技術だったと思います。何か決断すると瞬間的に世界各地に情報が届き反応が起こる。そういうふうに若い人たちが世界の人たちを巻き込んできましたね。それがひとつの大きな成功の理由だと思います。おいじさんやおばあさんから聞く昔話じゃなくて、これが自分たちの今日の生活にどういう関係をもっているのかと、自分の問題として捉える意識があるんです。

同時にNGOに属する一般の市民と政府が共に取り組んだことも、核廃絶に向けての運動が進んだ要因だと話します。

サーロー:国連にはお金持ちで軍事的に強力なアメリカやロシアなどの国がありますよね。その核兵器を持っている国は、特別に法的な責任がありました。NPT(核兵器不拡散条約)に入り、核兵器廃絶に向かって努力すると約束したはずなのに、全く無視している。自分勝手に人様に命令して自分たちは何もしない。たとえば、アメリカは北朝鮮が核兵器を持つと大騒ぎするのに、イスラエルが同じことをやるとサポートします。新しくて弱くてお金もない国は、強力な核兵器国が核の縮小や廃絶に向けてアクションを起こすだろうと辛抱強く待っていたけど、50年以上も何も起こらないから「俺たちが立ち上がりアクションを起こそう」という機運ができていました。そういう時に、世界の若者や新しいものの見方が全て合致したことで、ひとつの大きな力になったと思います。


■核兵器禁止条約不参加の日本に強い怒りを感じる

このような状況の中、日本は核兵器禁止条約には不参加。非核三原則を掲げているにもかかわらず、核の傘に頼ってしまっている状況です。

サーロー:非常に悲しいという以上に強い怒りを長い間感じています。被爆者として我々は日本政府に裏切られ見捨てられた。そういう想いをますます強めました。私たちは核兵器が人間にどういう被害をもたらすか、ちゃんと政府や国民に報告しているじゃないですか。国民の多くが核廃絶に向かってはたらきかけていることを政府はわかっています。そうしながらも「それは聞いてないよ」とばかりに、目線はペンタゴンやホワイトハウスを向いている。そういう態度に非常に怒りを感じています。


■市民1人ひとりが責任を持った発言をすべき

国としての姿勢が問われる日本において、核兵器のない世界を目指すために私たち1人ひとりが今するべきことは何なのでしょうか。

サーロー:とにかく日本の核政策を変えてもらわなきゃいけない。変えさせなきゃいけない。そのためには市民1人ひとりが責任を持った発言をすべきだと思います。みなさんが選ぶ国会議員は市民の代表者ですよね。市民の核についての思いをこの代表者に告げて、国会で大きな問題として議論をしてもらう。日本ではそういうことがあまりされていません。もっと市民と政府の人たちがこのような大切なことを議論する必要があり、みんなが納得するかたちで決断されなければならないと思います。日本では総理大臣の意向で強引に決議されているようですが、それは全く民主的なプロセスではありません。市民1人ひとりの声の重大さをみなさんが理解し、アクションを起こしなさい、手紙を書きなさい、電話で話しなさい、直接話しなさい、そういうことを全ての人に言ってきました。みなさんがそうすることを期待しています。
安田:先日の講演でサーローさんが「祈りはもういらない。行動がほしい」と言われていましたよね。核兵器の問題は人間の問題として捉えられるのならば、「誰しもが当事者である」と言えると思います。

安田は「いま灯った光を絶やさずに受けとめて、受け継げるかは私たちにかかっている」と話し、「サーローさんの言葉をバトンとしてそれぞれが受け取ってアクションにつなげてほしい」とリスナーに語りかけました。

【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld

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