J-WAVEで放送中の番組『JAM THE WORLD』(ナビゲーター:グローバー)のワンコーナー「UP CLOSE」。11月19日(月)のオンエアでは、月曜日のニュース・スーパーバイザーを務める津田大介が登場。政策研究大学院大学の田中和哉さんをお迎えし、「GAFA」をめぐる問題についてお話を伺いました。
■GAFAをめぐる議論
11月5日、政府がGoogle、Amazon、Facebook、Appleの頭文字を取った「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業への規制を強化する方針を明らかにしました。私たちの生活の一部と化したサービスを提供する企業ばかりですが、なぜ今、GAFAへの規制が必要になるのでしょうか。
津田:GAFAをはじめとするプラットフォーム企業のあり方をめぐる議論は、いつごろ始まったんですか?
田中:議論自体は古くからあります。GAFAがビジネスとして大きく成長したのはここ5年から10年くらいです。(規制の)いちばん大きな理由は、どの国もGAFAのサービスを使うようになってきたことですね。今までは「プラットフォームだから私たちには責任がないよね」という形で国が取り扱っていましたが、「本当に責任がないんだっけ?」と直感的に皆が考えはじめたことが一番大きいと思います。
津田:たとえば、日本でのプラットフォームでは携帯電話のキャリアとして、ドコモやauなどを使っていますけど、そのようなインターネットに接続する企業の社会的責任と、GAFAの責任では、内容が異なるように感じます。
田中:携帯電話は日本国で決めている規制があります。しかし、GAFAは国をまたいでいるので、国によって規制することは難しい。それがいちばん大きな差だと思います。
Amazonでよく議論されている内容として、本社があるアメリカから各国に進出し、支社で莫大な利益をあげても、その法人税が支社の国に落ちづらいなど、税制上の問題もあると津田は話します。
田中:たとえば、アイルランドに企業があり、そこからフランスに製品を売る場合、いくらフランスが「税金を落とせ」と言っても、「アイルランドで売っていますよ」と逃げ道を作っている。そういった国との戦いに企業が入ってきている状況です。
■GAFAは国に近いような存在
GAFAのような巨大IT企業を、私たちはどのように理解するべきなのでしょうか。
田中:GAFAは国に近いような存在ですよね。日本の科学技術予算より、Googleの研究開発予算の方が大きいという話があります。たとえば研究者がAI系で研究をしたいと考えた時に、Googleに入ればお金もデータもあるから、Googleに行きたいと考えることは普通です。
津田:3、4年くらい前にAmazonがAIを研究する技術者を2000人雇用しているというニュースがありましたが、現在はその数は5000人を超えているそうです。
田中:AIの研究をする東京大学の敵は、その分野の研究がはるかに進んでいるスタンフォード大学ではなく、巨大IT企業の研究だと実感している人も多いと思います。
津田:また、マサチューセッツ工科大学やスタンフォード大学などの研究者が、GAFAにどんどん引き抜かれることもありますよね。
田中:そうですね。日本の大学においても、超トップ層はそういうところに引き抜かれています。コンピューター系のエリート層の就職活動は昔と大きく変わってきていて、日本企業よりは自身でスタートアップするとか、スタートアップに入る方が多いのではないでしょうか。
■クイックな対応を
津田:GAFAをめぐる問題を解決しようとする動きはありますが、それらの問題がおさまる感じがしないんですが……。
田中:中身の議論だけではなく、スピード感が重要になります。以前あった事件で、ヨーロッパでGoogleが損害賠償を受けたときに、(判決が決まるまで)2年くらいかかったにも関わらず、損害賠償の金額はGoogleにとって2日程度の売上額にしかなりませんでした。そのため、もっとクイックにルールを作っていく必要があると思います。
津田:でも日本はクイックにルールを作ることが最も苦手ですよね。
田中:日本はガラパゴスのようなプラットフォームになりがちな部分や、クイックに動けない部分について、そろそろ本気で向き合わないと、今後先進国としては戦えないのではと思います。
最後に田中さんは「日本にも多様な考えを持つ人たちが多くいる」として、「そういう多様な人たちと、この問題についてとしっかり議論をしていくことが重要」とコメントしました。
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【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld
■GAFAをめぐる議論
11月5日、政府がGoogle、Amazon、Facebook、Appleの頭文字を取った「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業への規制を強化する方針を明らかにしました。私たちの生活の一部と化したサービスを提供する企業ばかりですが、なぜ今、GAFAへの規制が必要になるのでしょうか。
津田:GAFAをはじめとするプラットフォーム企業のあり方をめぐる議論は、いつごろ始まったんですか?
田中:議論自体は古くからあります。GAFAがビジネスとして大きく成長したのはここ5年から10年くらいです。(規制の)いちばん大きな理由は、どの国もGAFAのサービスを使うようになってきたことですね。今までは「プラットフォームだから私たちには責任がないよね」という形で国が取り扱っていましたが、「本当に責任がないんだっけ?」と直感的に皆が考えはじめたことが一番大きいと思います。
津田:たとえば、日本でのプラットフォームでは携帯電話のキャリアとして、ドコモやauなどを使っていますけど、そのようなインターネットに接続する企業の社会的責任と、GAFAの責任では、内容が異なるように感じます。
田中:携帯電話は日本国で決めている規制があります。しかし、GAFAは国をまたいでいるので、国によって規制することは難しい。それがいちばん大きな差だと思います。
Amazonでよく議論されている内容として、本社があるアメリカから各国に進出し、支社で莫大な利益をあげても、その法人税が支社の国に落ちづらいなど、税制上の問題もあると津田は話します。
田中:たとえば、アイルランドに企業があり、そこからフランスに製品を売る場合、いくらフランスが「税金を落とせ」と言っても、「アイルランドで売っていますよ」と逃げ道を作っている。そういった国との戦いに企業が入ってきている状況です。
■GAFAは国に近いような存在
GAFAのような巨大IT企業を、私たちはどのように理解するべきなのでしょうか。
田中:GAFAは国に近いような存在ですよね。日本の科学技術予算より、Googleの研究開発予算の方が大きいという話があります。たとえば研究者がAI系で研究をしたいと考えた時に、Googleに入ればお金もデータもあるから、Googleに行きたいと考えることは普通です。
津田:3、4年くらい前にAmazonがAIを研究する技術者を2000人雇用しているというニュースがありましたが、現在はその数は5000人を超えているそうです。
田中:AIの研究をする東京大学の敵は、その分野の研究がはるかに進んでいるスタンフォード大学ではなく、巨大IT企業の研究だと実感している人も多いと思います。
津田:また、マサチューセッツ工科大学やスタンフォード大学などの研究者が、GAFAにどんどん引き抜かれることもありますよね。
田中:そうですね。日本の大学においても、超トップ層はそういうところに引き抜かれています。コンピューター系のエリート層の就職活動は昔と大きく変わってきていて、日本企業よりは自身でスタートアップするとか、スタートアップに入る方が多いのではないでしょうか。
■クイックな対応を
津田:GAFAをめぐる問題を解決しようとする動きはありますが、それらの問題がおさまる感じがしないんですが……。
田中:中身の議論だけではなく、スピード感が重要になります。以前あった事件で、ヨーロッパでGoogleが損害賠償を受けたときに、(判決が決まるまで)2年くらいかかったにも関わらず、損害賠償の金額はGoogleにとって2日程度の売上額にしかなりませんでした。そのため、もっとクイックにルールを作っていく必要があると思います。
津田:でも日本はクイックにルールを作ることが最も苦手ですよね。
田中:日本はガラパゴスのようなプラットフォームになりがちな部分や、クイックに動けない部分について、そろそろ本気で向き合わないと、今後先進国としては戦えないのではと思います。
最後に田中さんは「日本にも多様な考えを持つ人たちが多くいる」として、「そういう多様な人たちと、この問題についてとしっかり議論をしていくことが重要」とコメントしました。
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番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
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