J-WAVEで放送中の番組『JAM THE WORLD』(ナビゲーター:グローバー)のワンコーナー「UP CLOSE」。9月25日(火)のオンエアでは、火曜日のニュース・スーパーバイザーを務める青木 理が登場。NPO団体「マザーハウス」理事長の五十嵐弘志さんをお迎えし、出所者の実態や社会復帰の難しさについてお話を伺いました。
■再犯率・再犯者率が高い原因は刑務所にある?
最近の『犯罪白書』のデータによると、出所から5年以内に刑務所に戻る確率は、覚せい剤で49.4パーセント、窃盗は45.7パーセント、傷害・暴力は36.1%と、日本は再犯率、再犯者率ともに高く、国も対策に乗り出しているもののなかなか減らない状況にあります。
五十嵐さんは、前科3犯で20年近く服役した経験があり、現在は「マザーハウス」で出所者の更生、社会復帰を支援しています。
再犯率・再犯者率が高い原因は、刑務所内の環境にあると五十嵐さんは指摘します。
五十嵐:確かに犯罪者かもしれないけど、刑務所のなかで人権が保障されることは大事な部分です。1人の人間として認められることが当然のはずなのに、刑務所では社会の人との交流ができないことが問題だと思います。
さらにこんな話も。
青木:刑務所ではいろいろな作業や日常生活のなかで、会話をしていたら懲罰の対象になる場合があるんですよね?
五十嵐:そうですね。会話はそれぞれの部屋の中だけと制限されています。でも、社会はそういうわけではない。だから人との交流が大事だと思うんです。
青木:そのような環境を続けていくと、刑務所から出所したとしても社会と相当なギャップを感じてしまうのですか?
五十嵐:やはり社会復帰には非常に時間がかかると思います。私はよく「社会の常識は刑務所では非常識」と言っています。当たり前のことが当たり前にできないのが刑務所なんですよね。その観点からすると、人との関係やちょっとした気付きが大切だと思います。
■刑務所の出所前に必要なこと
以前、青木が出所者を取材した際に、このような話があったと言います。
青木:出所後に住むところもない、仕事もなかなか見つけられない、偏見もある。それによって社会復帰できないから、再犯してしまうケースが多いと聞いたことがあります。
五十嵐:その通りだと思います。家を借りたくても信用保証会社に通らない。また、逮捕されると携帯電話を解約できず、そのまま服役中も契約は続き、出所後にその期間の請求をされるが払えず、携帯電話が使えない状況になる。派遣の仕事をするにもメールとか携帯電話が必要になりますが、その第一歩となる携帯電話が使えないんです。
青木:そうなると仕事も見つからないから、再犯に走ってしまうんですね。
五十嵐:そのため、その前段階である程度の訓練をする必要があると思います。刑務所から出所して本当の意味での社会に出るまでの期間に、中間施設のような場所で金銭管理や行動管理、ジョブトレーニングや人とのコミュニケーションなどをしっかり身につけたうえで、一般社会に入り込むことが必要だと考えます。
■「文通」を受刑者の心の支えに
現在、五十嵐さんが携わるNPO団体「マザーハウス」の活動内容を伺いました。
五十嵐:一番のポイントとなる活動は、受刑者と社会の人との文通です。その交流を通じていろいろな触れ合いが生まれます。ただ、それにも最初は難しい問題があり、お互いが信用を得るにはお互いが工夫をしなければならない。でも、それができたときに心と心が触れ合えて、自分のことを正直に言える人も出てくるし、同時に自分のことを受け入れ、自分と出会える。社会の人が手紙を通していろいろな応援をしてくれる、手助けしてくれる、話を聞いてくれる、そういうことが受刑者にとって大きなポイントになります。
青木:文通は「自分のことを考えてくれる人がいるんだ」という心の支えになると同時に、社会とのコミュニケーションを取ったり、世間はどうなっているかを知ったり、また、出所後は文通をしている人に相談してみようなど人間関係もできますよね。
五十嵐:そうですね。また、文通によって「あなたは1人じゃないんだよ」と伝えていくことも大切だと考えています。
「マザーハウス」の詳しい取り組みなどは、ぜひホームページでご覧ください。
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【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld
■再犯率・再犯者率が高い原因は刑務所にある?
最近の『犯罪白書』のデータによると、出所から5年以内に刑務所に戻る確率は、覚せい剤で49.4パーセント、窃盗は45.7パーセント、傷害・暴力は36.1%と、日本は再犯率、再犯者率ともに高く、国も対策に乗り出しているもののなかなか減らない状況にあります。
五十嵐さんは、前科3犯で20年近く服役した経験があり、現在は「マザーハウス」で出所者の更生、社会復帰を支援しています。
再犯率・再犯者率が高い原因は、刑務所内の環境にあると五十嵐さんは指摘します。
五十嵐:確かに犯罪者かもしれないけど、刑務所のなかで人権が保障されることは大事な部分です。1人の人間として認められることが当然のはずなのに、刑務所では社会の人との交流ができないことが問題だと思います。
さらにこんな話も。
青木:刑務所ではいろいろな作業や日常生活のなかで、会話をしていたら懲罰の対象になる場合があるんですよね?
五十嵐:そうですね。会話はそれぞれの部屋の中だけと制限されています。でも、社会はそういうわけではない。だから人との交流が大事だと思うんです。
青木:そのような環境を続けていくと、刑務所から出所したとしても社会と相当なギャップを感じてしまうのですか?
五十嵐:やはり社会復帰には非常に時間がかかると思います。私はよく「社会の常識は刑務所では非常識」と言っています。当たり前のことが当たり前にできないのが刑務所なんですよね。その観点からすると、人との関係やちょっとした気付きが大切だと思います。
■刑務所の出所前に必要なこと
以前、青木が出所者を取材した際に、このような話があったと言います。
青木:出所後に住むところもない、仕事もなかなか見つけられない、偏見もある。それによって社会復帰できないから、再犯してしまうケースが多いと聞いたことがあります。
五十嵐:その通りだと思います。家を借りたくても信用保証会社に通らない。また、逮捕されると携帯電話を解約できず、そのまま服役中も契約は続き、出所後にその期間の請求をされるが払えず、携帯電話が使えない状況になる。派遣の仕事をするにもメールとか携帯電話が必要になりますが、その第一歩となる携帯電話が使えないんです。
青木:そうなると仕事も見つからないから、再犯に走ってしまうんですね。
五十嵐:そのため、その前段階である程度の訓練をする必要があると思います。刑務所から出所して本当の意味での社会に出るまでの期間に、中間施設のような場所で金銭管理や行動管理、ジョブトレーニングや人とのコミュニケーションなどをしっかり身につけたうえで、一般社会に入り込むことが必要だと考えます。
■「文通」を受刑者の心の支えに
現在、五十嵐さんが携わるNPO団体「マザーハウス」の活動内容を伺いました。
五十嵐:一番のポイントとなる活動は、受刑者と社会の人との文通です。その交流を通じていろいろな触れ合いが生まれます。ただ、それにも最初は難しい問題があり、お互いが信用を得るにはお互いが工夫をしなければならない。でも、それができたときに心と心が触れ合えて、自分のことを正直に言える人も出てくるし、同時に自分のことを受け入れ、自分と出会える。社会の人が手紙を通していろいろな応援をしてくれる、手助けしてくれる、話を聞いてくれる、そういうことが受刑者にとって大きなポイントになります。
青木:文通は「自分のことを考えてくれる人がいるんだ」という心の支えになると同時に、社会とのコミュニケーションを取ったり、世間はどうなっているかを知ったり、また、出所後は文通をしている人に相談してみようなど人間関係もできますよね。
五十嵐:そうですね。また、文通によって「あなたは1人じゃないんだよ」と伝えていくことも大切だと考えています。
「マザーハウス」の詳しい取り組みなどは、ぜひホームページでご覧ください。
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【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld
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