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サマータイム、鬱をまねく可能性も…? 専門家が語る「東日本だけ1時間早くするのはアリ」な理由

サマータイム、鬱をまねく可能性も…? 専門家が語る「東日本だけ1時間早くするのはアリ」な理由

J-WAVEで放送中の『GOLD RUSH』(ナビゲーター:渡部 建)のワンコーナー「CURIOUSCOPE」。8月17日(金)のオンエアでは、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会で、暑さ対策として政府が導入を検討しているサマータイムに注目しました。

実は、1948年に電力不足が深刻化したため、GHQの指示で1度だけサマータイムが導入されましたが定着せず、廃止された過去があります。今回はどうなるのか、実現の可能性やメリット・デメリットについて、政策コンサルタントの原 英史さんに訊きました。


■サマータイム導入は70年代から議論されてきた

検討されている計画は、6月~8月までの3カ月間、時間を2時間繰り上げるというものです。メリットはどこにあるのでしょうか?

:計画というほど具体化していないのですが、この話は何十年も議論していました。元々、僕は経済産業省にいたのですが、1990年代にこの検討をやったときに担当者でした。そのときに省エネ効果がどれくらいあるかなどの計算をしたのですが、その前のオイルショックの頃、70年代〜80年代からあった話なんです。
渡部:なぜ実現されないんですか?
:「面倒くさいから」ということで、ずっとやっていないんです。「何のメリットがあるか?」というと、ふたつ言われていて、ひとつは「省エネ」。エネルギーを削減する効果があります。それから「余暇の有効活用」で、レジャーにもっと時間が使えるんじゃないかということです。
渡部:「仕事が早く終わるから遊ぼうよ」ということですか?
:2時間早くすると、17時退社が15時になるので、明るい時間に仕事が終わります。このメリットは少し昭和っぽい話です。明るい時間に仕事が終わると「家族で遊びに行ったり、もっと楽しいことをやるんじゃないの」という。今は暗くても、もっとやることがありますし、省エネの話も「明るい時間に終わると電気を付けなくていいでしょう」と、あまりエアコンなどが普及していない頃の話なので、ちょっと古いです。今だと暑い時間に家に帰ったら、むしろ家庭でエアコンをたくさん使うかもしれないですよね。
渡部:そのなかで生活は具体的にどう変わっていくんですか?
:1時間か2時間、どこかで時間が変わってもあまり変わらないです。ただ、変わる日は面倒くさいです。「明日から時計の時間を1時間早めてくださいね」と言われて、時間を早め損なうと、電車に乗り遅れてしまうなどの問題が起きたりします。あと、時間が変われば、時差が生じた状態で暮らすというだけです。
渡部:僕の仕事もそうですけど、職種によって、時間が関係ない人にとっては、世間が2時間早く行動するということですよね。これはどうなるのですか?
:時計をみんながずらしちゃうので、あまり関係ないと思います。サラリーマンであれば18時過ぎに仕事が終わって帰って遊びに行く人が出るという話ですが、関係ない人には関係ないです。
渡部:健康的な影響はあるんですか?
:最近ヨーロッパでいわれているのが、寝不足になってしまうとか、健康上の問題があって鬱になる可能性があると言われています。元々EUでは、歴史的に1910年くらいから(サマータイムを)やっていたのですが、健康上の問題があるためもう一度見直してほうがいいのでは、と言われています。
渡部:海外、特にアメリカでは当たり前なんですよね?
:生まれたときから慣れているので、春と秋に時間を変えるものだと思って暮らしていますよね。
渡部:我々は経験がないのでびびっている感じですよね。やっちゃえば慣れるんですかね。
:やればやったで、大したことはないと思います。


■EUではサマータイム廃止の議論

さきほど原さんの話に出たように、日本でサマータイムが議論されるなか、EUでは長年続けてきたサマータイムの廃止が検討されています。

:これはもっともなことで、省エネ効果は昔はあったかもしれませんが、今はあまり関係がなくなっています。健康への影響というと、EUでもこれから議論するので調べたらよいと思いますが、EUは北欧のように北のほうにあり、サマータイムをやると22時くらいまで明るかったりするので、それだと寝る時間が明るかったり、影響があるかもしれませんね。

2020年まであと2年しかありません。実現を目指すうえで問題点はあるのでしょうか?

:いろいろなものの時間を直さないといけない。昔は腕時計や壁掛け時計のネジを回して時間を変えればよかったんですけど、今は機械やシステムなど全て時間を入れて管理しているので、たとえば交通機関なども全て時間を変えてコンピュータの設定を変えなければならない。それは大変だと思います。
渡部:やるとしたら、その費用は誰がどうするか、ということですよね?
:2000年問題ってありましたけど、あれと同じことをもう一度やることになりますね。2年間での実現はけっこう大変だと思います。
渡部:交通関係のほか、影響を受けそうな業界というと?
:IT関連の業界は全て影響を受けると思います。深刻な問題が起こるのは交通機関ですね。事故などが起きたら大変ですから。
渡部:変更にともなう経済的な負担は当然ありますよね?
:それもあると思います。
渡部:現在はどこまで検討しているんですか?
:具体的に導入するところまで検討はやってないと思います。
渡部:2年後なのに? では、実現への可能性、オリンピックに関してはいかがですか?
:今の状況は、「自民党で検討してください」と安倍総理が検討をお願いしている状態ですが、たぶんやらないと思います。なぜかというと、オリンピックの問題であれば、競技時間を早めればいいんです。朝の4時や5時にやればいいことで、みなさんの時間を全部変える必要はないわけです。たぶん、地ならしのためにこの議論をやっているんだと僕は思います。


■日本の標準時間がずれている?

渡部:改めて、原さんはサマータイム導入に賛成ですか? 反対ですか?
:オリンピックに向けて導入する必要は全然ないと思います。ただ、時間の設定についてはちゃんと議論したほうがよいと思います。なぜかというと、日本の時間はおかしいんですよ。東京でいうと、夏の今の時間だと朝の4時半から5時前くらいに日が昇り、19時前くらいに日が暮れます。こんな変な時間設定になっている国はほかにはなく、だいたい日が昇るのは朝の6時や7時です。日が長いときに20時くらいまで明るいというのが普通の時間設定です。日本と韓国の時間が同じなんです。しかし、経度にしたら15度ぐらいなので、本当は1時間分ずれているんです。もっと西にある中国は1時間しかずれていないんです。
渡部:これは設定がすごく雑ですね。
:標準時が何で決まっているかというと、明治時代なんですけど、1886年に標準時を定める勅令というのを作り、そのときに今の時間を決めてしまったのですが、そのときに間違えてしまったんです。
渡部:今、東京の日の出が4時47分で、この朝がもったいないですよね。4時47分に起きている人はいないですよね。1時間損してる感じがある。それこそずらしたほうがいいですよね。
:日本は東から西まで長く、東日本と西日本で時間がずれているので、東日本だけ1時間早くするのはありだと思います。

ただ時間を早めるだけでなく、経済活動や交通機関にも影響を与えるかもしれないサマータイム導入は、今後どのような結論に至るのでしょうか。

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【番組情報】
番組名:『GOLD RUSH』
放送日時:毎週金曜 16時30分-20時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/goldrush/

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