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BONNIE PINKにとっての「いい音楽」とは? いきものがかり・水野も感心

BONNIE PINKにとっての「いい音楽」とは? いきものがかり・水野も感心

J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:藤田琢己)。木曜日は、いきものがかり・水野良樹とお届けしています。4月26日(木)の「DAILY SESSIONS」のコーナーでは、水野とBONNIE PINKさんの対談の模様をオンエア。楽曲を制作するときの様子や、20年の音楽活動における音楽との距離の取り方などについてお訊きしました。


■曲作りとライブ、好きなのは…

水野:ライブなどで人前で演奏したり、パフォーマンスをすることと、ソングライティングとでは、どちらがお好きですか?
BONNIE PINK:ぜんぜん別物ですけど、ライブが好きかな。どちらも重要だけど、デビューした頃は、まだライブの醍醐味が自分でつかみきれてなくて、もう少しソングライティングのほうに重きを置いていた。ライブでしか味わえない“非日常感”はやっぱり快感でもあるし、またそこに戻りたい気持ちがあるので、ライブは好きですね。曲を書くのは、どちらかと言うと苦痛なんですよね。
水野:そうなんですか!? どちらかというと、こもって曲を書かれるイメージがあったんですけど。
BONNIE PINK:こもって書くし、できたときは非常に嬉しいですけど、そこまでがすごく長いんです(笑)。一曲を作るのに、すごく時間がかかるタイプなので、どちらかと言うと“難産”というか、 できた喜びだけを繋ぎ合わせたらソングライティングも大好きなんですけど、どちらが楽しい比重が大きいかと言うと、ステージかなと思いますね。
水野:曲を作るときに、最初にイメージすることは何ですか? 人によっては映像が浮かんでくるとか、ご自分が歌ってるときのライブシーンが浮かんでくるとか、いろいろあると思うんですけど。
BONNIE PINK:どこから書き出すかにもよるんですけど、ライブをイメージしてグルーヴ先行で書くときもあるので、そのときはリズムを最初に組んで、ベースラインを考えて、みたいなときもあるんです。私は入り口がいろいろなんです。
水野:そうなんですね。
BONNIE PINK:「この言葉を使いたい」と思って書き出すこともあるし、そこにいい感じのメロディーが乗っかれば一気にいくし。入り口がいろいろありすぎて……。
水野:パターンが決まってるわけじゃないんですか?
BONNIE PINK:決まってないんですよね。ピアノを使って書くときもあるし、ギターで書くときもあるし、楽器を持たずに頭の中で一曲作ってからコードを起こすこともあるし。


■大事にしたいのは「空気感」

水野:僕はずっとファンなので見てるんですけど、20年間のキャリアの中で、サウンドも変化していくじゃないですか。お話を聞いていると、アルバムを作って、その次のアルバムまでにインプットするというか、違う音楽に触れたりする中で、「このリズムを入れてみよう」とか、「このサウンドを取り入れてみよう」とか、どんどん変化していく感じなんですか?
BONNIE PINK:私にとっては、空気感みたいなものが一番重要なのかなと。映像ともいえるんですけど、こんなイメージ、こんな空気感を曲にしたいっていうのが定まると、わりと早いんですけど、それが見えないで闇雲に書いてると、ずっと完成しないんです。
水野:“空気感”なんですね。 
BONNIE PINK:情景っていうのかな、あとは時間帯とかもあります。夕方っぽい感じとか、夜更けとか、明け方とか。そこから空気感を連想すると、BPM(テンポを表す単位・一分間の拍数)が、なんとなく自分の中で決まってきたり、グルーヴの感じも決まってきたりとか。
水野:想像から出てきたイメージや空気感から、逆算して音にしていく。
BONNIE PINK:そうですね。それに近いのかな。
水野:僕は中学のときに『Heaven's Kitchen』に出会ってるんですけど、そのときがすごく衝撃的で。一番多感な時期だったこともあって、たぶんBONNIE PINKさんがイメージした空気感を、35歳の自分よりも14歳とか15歳とかの自分は、めちゃくちゃ受け入れてると思います。
BONNIE PINK:ありがとうございます。
水野:14歳のときの経験があるので、空気感というお話をされたときに、「なるほど」と思いました。
BONNIE PINK:匂いに近いというか、匂いの記憶って忘れないですよね。私も影響を受けた音楽があって、今でも聴き返すとそれを聴いてた時代に好きだった服装とかが、セットになって蘇ってきます。曲もその瞬間をギュッと集めたものにしたいというのがあるから、書くときの自分の気分とか、イメージしている絵とかが曲になって、それを人が聴いたときに、同じ絵を思い浮かべてほしいと思うし、「こういう景色のもとで曲を聴くと、きっとハマりますよ」というプレゼンテーションができるかもしれないですね。どこで何時に聴こうが自由なんですけど、フィットする時間帯は曲によってあるかな、と思います。


■音楽との距離感はどう変わった?

水野:20周年を迎えて、さらにそれを超えていって、長いキャリアがあって、プライベートも含めて変わっていくことがあって。音楽に対しての距離感は変わってきましたか?
BONNIE PINK:私も自分がミュージシャンになる前は、いち音楽ファンで、いいリスナーでありたいとずっと思っていて。まさか自分がそのステージに立つほうになるとは思っていなくて、イメージもしてなくて。今も自分以外の人の音楽を聴くときは、仕事モードを極力盛り込まないで、ピュアな気持ちで聴きたいし、ライブも見に行くし。そのときは、「照明いいな」とか、そういう見方をしないようにして。
水野:ついついしちゃいますよね(笑)。
BONNIE PINK:ライブは純粋に楽しませてもらいに行きたいと思う。今でも音楽は心地よくしてくれるものであってほしいし、自分の音楽も人にとってそういうものにしたいっていう思いもあるし、そこはあまり変わらないです。ただ、家で音楽を聴く時間が圧倒的に少なくなっちゃいました。
水野:そうなんですか!?
BONNIE PINK:ミュージシャンになる前のほうが貪るように聴いていて、最近は仕事で音楽に触れる時間もあるがゆえに、家に帰ると「静寂の中で過ごしたい」って思っちゃうんです。
水野:それは何かわかる気がします(笑)。
BONNIE PINK:テレビですらうるさくて。そこが音楽をやり始める前と今とで違うかもしれないですけど、この20年という意味ではそんなに変わらないかなと思いますけど。


■ファンに歌詞を褒められると嬉しい

水野:急にジャンルの違う質問をさせていただくんですけど、神様に「ひとつだけ天才的な演奏能力をあげる」と言われたら、どの楽器を選びます?
BONNIE PINK:ギターです。“ギターヒーロー”的な存在がいっぱいいて、いつも「歌うように弾けたらどんなに気持ちいいんだろう」と思いながら見るんで。
水野:作るときは、全部(の楽器)が鳴ってるんですか?
BONNIE PINK:そんなことはないです。でも、さっきの空気感の話ではないけど、“こういうの”というのが頭の中にあって、デビュー当初はそれを具現化するときにミュージシャンに説明しないといけないけど、「何の楽器をどのように弾けばその音像になるのか」が分からなくて、説明しきれなくてレコーディングが終わっちゃうことも結構あったんです。でも、それを伝えるのがだんだん上手になってきてるから、書き出しのときに全部は鳴ってないまでも「これが好き」「これが嫌い」「この音はいらない」というのはあるんですよね。逆に、最初のイメージにはなかったけど、プレイヤーから「ポン!」と出てきたフレーズがすごく小粋だったりすると、「ありがたくいただきます」っていう感じ。
水野:外からの刺激に対して、わりとオープンなんですか?
BONNIE PINK:オープンなほうだと思います。もちろん、違うものには「違う」ってハッキリと言っちゃうんですけど、自分では思いつかない発想とか、フレーズとか、格好いいものとか、絶対にあるから。ミュージシャンに提案してもらうもので面白いものがあったら、どんどん取り入れるし、 最近は「どんどんください」って言ってます。
水野:ファンから、どんな言葉をもらうと一番嬉しいですか? 
BONNIE PINK:歌詞を褒めてもらえると、嬉しいかもしれないですね。歌詞も、人によって捉え方が違ったりするから、ファンレターとかで 「この曲ってこういう意味ですよね」って自由に掘り下げて書いてくれる人がいると、それも嬉しいです。
水野:自分のイメージと違っても?
BONNIE PINK:違っても、「逆にそういう風に捉えるんだ。じゃあそういうことにしとこうかな」って(笑)。
水野:いずれにしても広く捉えるんですね。軸があって、ご自分で出されたものに対しては、他の方がどんな風に受け止めても、どんな風なアイデアを出してきても、広く受け取ってらっしゃるんですね。
BONNIE PINK:そうですね。


■いい音楽は“ざわざわ”と“ヒリヒリ”

最後は、このコーナー恒例の質問をぶつけました。

水野:BONNIE PINKさんにとって“GOOD MUSIC”とは?
BONNIE PINK:聴いたときに、心が“ざわざわ”するようなものがないと残らないし、 “ヒリヒリ”にも近いけど、それがいい音楽なのかなって思います。ちょっと漠然としてますけど。
水野:僕にとって、14歳のときに聴いた『Heaven’s Kitchen』は、それそのものでしたからね。そのときに感じた“ざわざわ”というか、“ヒリつき”というか、何か突き動かされるというか。そのとき心の中で感じた動きみたいなものが、当時のBONNIE PINKさんが聴いていた音楽とは違う音楽を作っているような気がするんですけど、作るときの感情の基準は、“あのとき”なんです。『Heaven's Kitchen』を聴いたときの感動が、僕の基準なんです。
BONNIE PINK:嬉しい! でも、みんなそうですよね。好きで聴いていた音楽のときめきを、自分が作るもので人に与えられたらっていう気持ちは絶対にありますよね。私も、それは忘れないようにしたいって、いつも思ってます。
水野:あのときに(『Heaven’s Kitchen』に)出会えてないと、今の僕はないので。
BONNIE PINK:そんなことはないでしょう(笑)。
水野:お会いする度に、そういうことをちょこちょことお伝えして恐縮です。

水野は、対談の模様を放送で改めて聞いて、次のように振り返りました。

水野:『Heaven’s Kitchen』でできあがった基準は、僕のスタートラインなので、本当に救われました。迷うと絶対に聴きますからね。曲が作れないときも、それ以外のときも含めて、何か迷ったときに必ずあの曲に戻ります。今、自分が作ってるものって、よりJ-POPっぽいというか、“邦楽”といわれるものだから、BONNIE PINKさんがやられてきたこととは、ちょっと違ったり、距離があるように見えるかもしれないけれど、僕のスタートラインはそこなので、そのお話を聞けただけで、僕はすごく嬉しかったです。

BONNIE PINKさんは、5月5日(土・休)、6日(日)に、六本木ヒルズアリーナで開催される「J-WAVE & Roppongi Hills present TOKYO M.A.P.S」の2日目に出演します。BONNIE PINKさんにとっては3年ぶりのライブです。観覧無料。プログラムオーガナイザーは水野が務めます。ぜひチェックしてみてください。

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【番組情報】
番組名:『SONAR MUSIC』
放送日時:月・火・水・木曜 21時-24時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/

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