音楽、映画、エンタメ「ここだけの話」
日本が誇る「漆」の美しさを伝えたい! 24歳、若き才能の挑戦

日本が誇る「漆」の美しさを伝えたい! 24歳、若き才能の挑戦

J-WAVEで放送中の番組『STEP ONE』(ナビゲーター:サッシャ・寺岡歩美)のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」。7月2日(火)のオンエアでは、漆工芸の若き才能、佐野圭亮さんを紹介しました。

【関連記事】“人肌”に近い食器!? 輪島塗の老舗「輪島キリモト」から新ブランド誕生!


■若いクリエイターをサポートとする「クマ財団」

都市生活をデザインするJ-WAVEのキャンペーン「WOW! TOKYO」。7月と8月のテーマは「TOKYO WONDER」。まだまだ知られていない東京の魅力や、海外にも自慢したい宝を掘り起こしていきます。『STEP ONE』では、東京の“才能”をご紹介します。

中央が佐野圭亮さん

佐野さんは、東京藝術大学美術学部工芸科を卒業後、大学院に進み、現在は漆芸研究室に在籍。卒業制作の『生命の夜明け』は東京都荒川区立図書館に恒久設置されています。そんな佐野さんの活動を紹介する上で欠かせないのが「クマ財団」です。

佐野:正式には「公益財団法人クマ財団」といって、若いクリエイターをサポートすることを目的に、株式会社コロプラの馬場功淳代表が2016年に設立し、主に奨学金を中心にプロによる講評会や交流会、勉強会などを行なっています。アウトプットの機会としては、今年「KUMA EXHIBITION 2018」という展覧会を開催して、2日間で3000名を超える来場者がありました。来年の3月にも開催を予定しています。

佐野さんはそのクマ財団の1期生で、さらに2期生としても引き続きサポートを受けています。


■日本の漆芸は、世界のあこがれ

そもそも佐野さんが漆工芸をはじめようと思ったきっかけや、漆の特徴、魅力を伺いました。

佐野:幼い頃から美術品、特に美術館や博物館でみる日本の工芸品に惹かれていまして、それらを見ているうちに「自分でも作りたい」という気持ちと同時に、日本でもっと未来に残せる存在にしたいと思ったのがきっかけです。
サッシャ:どこからか使命感が生まれたということですか?
佐野:そうですね、美術館のショーケースに佇んでいるんですけど、もともと日本人の日常にあふれていたものであって、それらの価値はもっと僕たちと近いところにあったのかなと思っていたんですけど。
寺岡:実際に制作しているなかで、漆工芸の楽しさや難しさはありますか?
佐野:漆の木をひっかくこと、自分を守るために液体が分泌されます。それが漆です。やはり天然のものなので、とれる産地であったり作業する環境などに強く左右されてしまい、それをコントロールするには技術が必要なんです。ただ一方で、それを仕上げられたときの達成感は僕の中で特別なものかなと思います。
サッシャ:漆は、いつも望んでいるクオリティのものがあるとは限らないのですか?
佐野:自分でコントロールしようとすればするほど、素材が暴れてくるというのが工芸ですね。素材自体の個性が強いので。
サッシャ:そういう素材を使って作って、一体感が出たときに、楽しさを感じる?
佐野:そうですね、自分が思っていたことが形にきれいになったときに、自分がひとつになったようなものづくり、工芸ならではの面白さがあると思います。
サッシャ:漆工芸は日本だけなのですか?
佐野:漆の木が分布しているのがアジア中心なので、東南アジアや中国、韓国にも漆を使ったものづくりの文化はあります。ただ、複雑巧緻に技法が発達したのは日本です。日本の漆芸は、特にヨーロッパでは「憧れ」のような時代がありました。

佐野さんの作品

■純粋な漆の美しさを伝えたい

ご自身の作風や、漆という表現の価値について訊きました。

佐野:漆を使った箸など、現代は“工業”にとって変わられしまい、そのもののよさが直に伝わることがなくなってしまいました。僕はもう一度、美術表現という立場から漆の価値を再認識していただきたいと思っています。まず漆が工芸品に見えないように心がけています。純粋に素材の美しさを感じる、「これが漆なんだ!」と、見てくれる方の期待をいい意味で裏切れるような作品を作りたいです。
サッシャ:色のグラデーションなど出し方も難しいんですか?
佐野:漆は乾くと黒くなります。色を混ぜても最終的には鈍くなる。人間の戦いとして、それをどう美術に、美しさに活かすか考えると、やはり「受け入れる」ことが大切だと思います。漆の独特な中間な色あいで新しいものを作ろうと思ったときに、漆が素材である意味が見えてくると考えています。

佐野さんの作品
寺岡:漆を学ぼうと思ったら、最初は工房に弟子入りしたらいいのでしょうか。
佐野:僕は高校の頃、美術を教わった恩師が東京藝術大学出身で、その先生から大学でも学べる場所があることを教わりました。なので技術を学んだのは大学に入ってからです。漆を学んでいる人は大学全体で30名から40名ほどだと思います。

漆という表現の未来について「日本の漆は海外のものづくりにはないもの、西欧では絵画や彫刻が美術の主流で、日本にもそれに肩を並べる表現があって、それが工芸であると思ってもらいたい」と語った佐野さん。ご自身が先人たちの文脈を引き継ぎつつ、「これから勉強してもっと経験を摘んで、作品をよいと言ってもらいたい」と、24歳にして明確なビジョンについて明かしていました。

この記事の放送回をradikoで聴く
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

【話題の記事】
三代目JSB・今市隆二、“ファン時代”に観たEXILEのライブに感動「かっこよすぎるでしょう!」
Suchmos・YONCEが「音楽ってすごい」と感じた、人生最高のライブは?
サザン桑田、名曲『涙のキッス』などを手がけた小林武史の才能を評価するあまり…!?

【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/stepone/

この記事の続きを読むには、
以下から登録/ログインをしてください。

  • 新規登録簡単30
  • J-meアカウントでログイン
  • メールアドレスでログイン