J-WAVEで放送中の番組『JAM THE WORLD』(ナビゲーター:グローバー)のワンコーナー「UP CLOSE」。4月9日(月)のオンエアでは、月曜日のニュース・スーパーバイザー、津田大介が登場。ねりま健育会病院院長・酒向正春さんをお迎えし、回復期リハビリテーション医療の重要性と、患者や家族の心構えについてお話を伺いました。
■酒向さんの著書を読んだ津田は…
酒向さんの著書『患者の心がけ 早く治る人は何が違う?』(光文社)が話題になっています。内容は、超高齢社会で重要度が高まる「回復期リハビリテーション医療」と、それを受ける私たち患者の心構えを説いたものです。
同書はいろんな読み方ができると津田は言います。
津田:高齢化社会を迎える今、医療は大変です。その医療界全体の医療論でもあるし、患者の心がけということで“プロ患者論”でもある。また、患者と医師がどういうコミュニケーションをすればよい効果があげられるのかという、コミュニケーション論でもある。途中、人生論にもなります。また、酒向さんの仕事論でもあり、組織論でもある。いろんな形で読める多層的な本だなと思いました。
■患者は何もしなくていいのか?
酒向さんに、本を執筆したきっかけを伺いました。
酒向:医療というのは、患者さんが医療に全てを任すところがあるのですが、全てを任せて全てうまくいくかっていうと……。やはり、患者さんやご家族もそれに協力しないと、いいチーム医療にならないんですね。救急病院のようなICUで治療する医療であれば、全て医療に任せていいわけですが、リハビリになると期間も長くなりますし、患者さんやご家族がいかによくなろうと努力していくかが、非常に大事になります。そのへんのところを含めて本にまとめました。
■重症な患者を治すのは、手術じゃなくリハビリ
NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』でも紹介された経験を持つ、医者としてキャリアのある酒向さん。脳神経外科を経て、現在はリハビリ医に転向されました。
津田:これにはどんな経緯があったのでしょうか?
酒向:脳に重症を負った患者さんを、脳神経外科医の手術で治療できればいいんですが、完全には“治らない”わけですね。治らない場合、患者さんには、そのあとの長い人生があります。それを私たち神経外科医が診ています。重症になった患者さんを蘇らせるのは、手術じゃなくリハビリなんです。脳神経外科として働く中で「治せないんだ」という無力感と、できれば自分の手で何かしたいという考えが出てきて、転向しました。海外で仕事をしているとき、ハンディキャップのある方を外出させることで元気にするという文化も見たことも理由のひとつです。
■「人間を治療したい」と思った
花形ともいわれる脳神経外科医からリハビリ医に転向したときの思いを伺いました。
酒向:“カッコいいドクター像”というのがあって脳神経外科医を選び、一生懸命やってきました。脳神経外科医は“病気”を診るわけですが、医者をやっていてだんだんと感じてきたのは、病気を診るのも大事だけれど「人間を治療したい」と思ったんですね。「人間力を回復させたい」と思うと、脳神経外科医ではできないので、それがリハビリだと。比較的ためらいなく、脳神経外科医からリハビリテーション医に移ることができました。
津田:病気を診て治療して元気になるっていうのは、お医者さんにとっての喜びだと思うんですけど。リハビリ医になって、回復していく喜びは、またタイプが違いますか。
酒向:そうですね。人間力を回復する、そういう医療が大事だと、特に超高齢社会では考えているわけです。
■患者は「諦めないことが苦しくなったらだめ」
手術をして後遺症がなかなか治らない人、ずっと体調が悪い人……病を抱える患者の心がけとして重要なポイントはなんでしょうか?
酒向:治らない病気であっても、どのくらいまではよくなるっていうレベルがあるわけですね。そういった病気を治したい、よくしたいという気持ちを、まず患者さんがしっかり持つことですね。そのためには、信頼できる病院を患者さんおよびご家族が選ぶという努力が必要です。命を任せるわけですから、それが必要になると思います。
最後に、病気で悩んでいる人や、その病気をサポートする家族に向けて、酒向さんからメッセージをいただきました。
酒向:病気とか障害に立ち向かったときに、諦めないことが大事、諦めない力っていう話を常々してきたんですが、そのときに、諦めないことが苦しくなったらだめなんですね。肩の力を抜いて、つらいけれど楽しく、諦めずに継続していく。継続していったら、必ずその次に結果が出てくるというのが、私たちの考え方です。
超高齢社会でますます重要度が高まる「回復期リハビリテーション医療」。気になる方は、ぜひ『患者の心がけ 早く治る人は何が違う?』を読んでみてください。
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【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/
■酒向さんの著書を読んだ津田は…
酒向さんの著書『患者の心がけ 早く治る人は何が違う?』(光文社)が話題になっています。内容は、超高齢社会で重要度が高まる「回復期リハビリテーション医療」と、それを受ける私たち患者の心構えを説いたものです。
同書はいろんな読み方ができると津田は言います。
津田:高齢化社会を迎える今、医療は大変です。その医療界全体の医療論でもあるし、患者の心がけということで“プロ患者論”でもある。また、患者と医師がどういうコミュニケーションをすればよい効果があげられるのかという、コミュニケーション論でもある。途中、人生論にもなります。また、酒向さんの仕事論でもあり、組織論でもある。いろんな形で読める多層的な本だなと思いました。
■患者は何もしなくていいのか?
酒向さんに、本を執筆したきっかけを伺いました。
酒向:医療というのは、患者さんが医療に全てを任すところがあるのですが、全てを任せて全てうまくいくかっていうと……。やはり、患者さんやご家族もそれに協力しないと、いいチーム医療にならないんですね。救急病院のようなICUで治療する医療であれば、全て医療に任せていいわけですが、リハビリになると期間も長くなりますし、患者さんやご家族がいかによくなろうと努力していくかが、非常に大事になります。そのへんのところを含めて本にまとめました。
■重症な患者を治すのは、手術じゃなくリハビリ
NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』でも紹介された経験を持つ、医者としてキャリアのある酒向さん。脳神経外科を経て、現在はリハビリ医に転向されました。
津田:これにはどんな経緯があったのでしょうか?
酒向:脳に重症を負った患者さんを、脳神経外科医の手術で治療できればいいんですが、完全には“治らない”わけですね。治らない場合、患者さんには、そのあとの長い人生があります。それを私たち神経外科医が診ています。重症になった患者さんを蘇らせるのは、手術じゃなくリハビリなんです。脳神経外科として働く中で「治せないんだ」という無力感と、できれば自分の手で何かしたいという考えが出てきて、転向しました。海外で仕事をしているとき、ハンディキャップのある方を外出させることで元気にするという文化も見たことも理由のひとつです。
■「人間を治療したい」と思った
花形ともいわれる脳神経外科医からリハビリ医に転向したときの思いを伺いました。
酒向:“カッコいいドクター像”というのがあって脳神経外科医を選び、一生懸命やってきました。脳神経外科医は“病気”を診るわけですが、医者をやっていてだんだんと感じてきたのは、病気を診るのも大事だけれど「人間を治療したい」と思ったんですね。「人間力を回復させたい」と思うと、脳神経外科医ではできないので、それがリハビリだと。比較的ためらいなく、脳神経外科医からリハビリテーション医に移ることができました。
津田:病気を診て治療して元気になるっていうのは、お医者さんにとっての喜びだと思うんですけど。リハビリ医になって、回復していく喜びは、またタイプが違いますか。
酒向:そうですね。人間力を回復する、そういう医療が大事だと、特に超高齢社会では考えているわけです。
■患者は「諦めないことが苦しくなったらだめ」
手術をして後遺症がなかなか治らない人、ずっと体調が悪い人……病を抱える患者の心がけとして重要なポイントはなんでしょうか?
酒向:治らない病気であっても、どのくらいまではよくなるっていうレベルがあるわけですね。そういった病気を治したい、よくしたいという気持ちを、まず患者さんがしっかり持つことですね。そのためには、信頼できる病院を患者さんおよびご家族が選ぶという努力が必要です。命を任せるわけですから、それが必要になると思います。
最後に、病気で悩んでいる人や、その病気をサポートする家族に向けて、酒向さんからメッセージをいただきました。
酒向:病気とか障害に立ち向かったときに、諦めないことが大事、諦めない力っていう話を常々してきたんですが、そのときに、諦めないことが苦しくなったらだめなんですね。肩の力を抜いて、つらいけれど楽しく、諦めずに継続していく。継続していったら、必ずその次に結果が出てくるというのが、私たちの考え方です。
超高齢社会でますます重要度が高まる「回復期リハビリテーション医療」。気になる方は、ぜひ『患者の心がけ 早く治る人は何が違う?』を読んでみてください。
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番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/
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