クリープハイプの尾崎世界観(Vo/Gt)が、新作EP『仮のまま定着したような愛情で』の制作を通じて見えた変化と成長を語った。
尾崎が登場したのは、5月31日(日)放送のJ-WAVE『UR LIFESTYLE COLLEGE』(ナビゲーター:吉岡里帆)。心地よい音楽とともに、よりよいライフスタイルを考えるプログラムだ。
本番組はゲストのライフスタイルに迫る。今回は『UR LIFESTYLE COLLEGE』に9年ぶりの出演となった尾崎が、この9年間で変化したライフスタイルや、最近できた“推し”について語る場面などがあった。全編はSpotifyなどのポッドキャストで配信中。
この記事では、オンエア内容の一部として5月27日にリリースされた新作EP『仮のまま定着したような愛情で』に注目したパートをテキストで紹介する。
・ポッドキャストページ
尾崎:9年ってすごいですね。
吉岡:当時はゲストの方をニックネームで呼ぶことにすごくハマってた時期で、「なんて呼ばれてますか?」って聞いて、そのニックネームで呼ぶということをやっていたんです。
尾崎:今はやっていないんですね。
吉岡:そうなんです(笑)。今日も「尾崎さん」と呼ぶか、前回の「オザリン」と呼ぶかですごく迷ってるんですよね。
尾崎:「オザリン」と言っていた人はひとりだけなんですけどね。バイト先のギャルの先輩がそう呼んでいました。
吉岡:せっかくなのでその先輩との思い出も込みで、「オザリン」とお呼びしてもいいですか?
尾崎:お願いします!
吉岡:現在ツアー中ということで、お忙しいなか来てくださっています。本日はラジオに来てくださって、本当にありがとうございます。
吉岡:タイトルも毎回、すごく好きなんですよ。
尾崎:ありがとうございます。
吉岡:言葉の選び方が本当に素晴らしいですよね。オザリンにとって、今回のEPはどんなものになりましたか?
尾崎:短い期間で集中して作りました。2025年の12月ごろから、2026年1~2月ごろまでの間に一気に作ってレコーディングしたんです。初期のころを思い出しながら作りましたね。キャリアを重ねると、自分が作りたいときに曲を作ることが減ってきて、だいたい「こういう曲を作ってください」と言われて作るようになるんです。でも最近、「本当に作りたいと思って作ってないな」と感じたときに、お客さんに届けるうえではそういう感覚こそが大事だなと思って。
吉岡:今作について、『ROCKIN'ON JAPAN』の山崎洋一郎さんのインタビューが本当に神がかってるなと思いました。EPは全5曲で、そのなかでも『生きてみます』のお話がすごく興味深かったです。こういう曲を作ると、だいたい10年くらい立ち上がれなくなるような、分岐点の曲になるような歌詞を使っているんだけど、「生きてみます」という言葉にしたことで「生きていきます」とは違う重みになり、すぐに立ち上がれるような筋力がある、と話されていました。そして、「隠し扉のような言葉を見つけた」ともおっしゃっていましたね。
尾崎:ずっと聴いてくれている方が、そうやってインタビューであらためて言葉にして、自分の言葉を引き出してくれるのは本当にありがたいです。このラジオもそうなんですけど、取材を通して自分でも「どういう曲だったのか」がわかってくるんですよね。そのインタビューは、もしかしたら今作についての最初の取材だったかもしれません。だから、自分でも確かめながらしゃべっていたような感じだったと思います。他者の言葉をまず自分に当ててみて、そこから出てくる自分の言葉を、自分自身でも聞いている感覚があるんです。
吉岡:なるほど。インタビューで聞かれて、「今はこういう気持ちで作っていたのかもしれないな」と再確認するような感覚なんですか?
尾崎:そうですね。毎回、自分で答えを決めて行かずに、その場で思ったことを話しています。だから、自分がいちばん興味深く聞いている感じですね。
吉岡:「いい意味で自分たちに期待しなくなった」というお話をされていて、ネガティブではないタイミングでのEPなんだなと感じました。
尾崎:もちろん新記録は出したいし、それを期待してくれている人たちにも見せたいんです。でも、公式記録としてはなかなか出せない。そういうバンドじゃないから。いつも「ここだ」というタイミングで、うまくいかないんですよね。気合いを入れたライブや節目のタイミングで、ちょっと外してしまう。でも、「それも自分たちなんだな」ということがだんだんわかってきたんです。非公式であれば、そのタイム自体は出せると思うんですよ。だから、もっと肩の力を抜いて、自分たちらしい走り方でその記録を出したい。やっとそういう作り方ができました。
吉岡:かなり大人になられたのかな、という印象を受けます。精神的にもそうですし、技術的にも。
尾崎:「諦め」というのがすごく大きいかもしれないですね。9年前はまだ自分たちにいちおう期待していたというか。でも、そこから自分たちのサイズ感がわかってきて、ネガティブな意味じゃなく、ちゃんと客観視できるようになったんです。頑張ること自体は変わらないんですけど、当時はどこで頑張ればいいのかがわからなかった。どういう種目が自分に合っているのかが。今も本気は出しているし、やっていること自体は変わらないんです。でも、どこでやっているのかが以前より明確になりました。だから楽しいし、楽になりましたね。
吉岡:そういう感情になるんだ。
尾崎:9年経って、どうですか?
吉岡:私も今回のEPを聴いて、すごく感じたことがあったんです。繊細な部分とか、何かを聞いたり見たりして感じる部分、人との関わりのなかで心が動く軸自体は変わっていないんだけれど、傷つかないように触れたり、ある一定の壁や距離を知らないあいだに取れるようになっているんだなって。それを今回のEPで、私は勝手にすごく共感しちゃいました。クリープハイプの昔の曲を聴いても、今でも共鳴できるんですよ。ぶつかりに行くことや、むき出しの自分でいることへの肯定感とか、「それでいいのである」みたいな感覚にもなれる。でも今回のEPのほうが、めちゃくちゃ等身大なんですよね。「リアルってこっちかも」と思える感じがあります。
吉岡:サビの歌詞がすごく好きなんですけど、これはどう読み解けばいいですか?
尾崎:そのまんまですね。やっぱり、あまり好ましくない言葉ってあるじゃないですか。今はそういう言葉が過剰に抑えられる時代で、この時間帯にこういった番組でそんな言葉が聞こえると、ドキッとする人もいると思うんです。でも、それはもう世の中に存在している言葉だから、無理に閉じ込めるより、あえて使って打ち消していくというか。ポジティブな意味に変えていくための踏み台にしたくて。普段から言葉を使う仕事をしているので、言葉に対する恐怖心は周りの人より少ないはずだから、そういうものをどんどん提示していきたいですね。
さらに、尾崎はクリープハイプを好きでいてくれる人たちに対し、「この言葉は大丈夫だと思ってもらいたい」と語る。
尾崎:クリープハイプが歌っているんだったら、いつか現実で同じような言葉が自分に飛んできても、「どうにかできそう」と思ってほしいんです。生きていれば、思いもよらぬ言葉をぶつけられて、それに縛り付けられることもある。言われた言葉って一生消えないし、自分が言ってしまった言葉も取り返しがつかない。でも、どうにかしてそれをほどいていく方法はあると思っています。自分にもそういう経験があるし、だからこそひとつでも多く、悪い言葉を殺していく。そんな方法を提示できたらなと思っています。
吉岡:めっちゃ素敵ですね。クリープハイプの曲って、毒をもって毒を制すところがありますよね。
尾崎:そのほうが早いと思ってしまうんですよ。自分は本当に不器用なので、そういうやり方しかできなくて。だから、よく誤解されるんですけどね。
吉岡:言葉の呪いを、言葉でほどいていくんですね。
【関連記事】「こんな気持ちになるのはひさしぶり」クリープハイプ・尾崎世界観が新作EP制作エピソードを語る
クリープハイプの最新情報は公式サイトまで。
『UR LIFESTYLE COLLEGE』では、心地よい音楽とともに、よりよいライフスタイルを考える。オンエアは毎週日曜18時から。
尾崎が登場したのは、5月31日(日)放送のJ-WAVE『UR LIFESTYLE COLLEGE』(ナビゲーター:吉岡里帆)。心地よい音楽とともに、よりよいライフスタイルを考えるプログラムだ。
新作EP『仮のまま定着したような愛情で』をリリース
尾崎世界観は1984年生まれ、東京都出身。4人組ロックバンド・クリープハイプのボーカル/ギターとして活動。2012年、アルバム『死ぬまで一生愛されると思ってたよ』でメジャーデビュー以降、鋭い着眼点で描いた楽曲を次々発表。また音楽活動にとどまらず、小説家としてもマルチな才能を見せている。本番組はゲストのライフスタイルに迫る。今回は『UR LIFESTYLE COLLEGE』に9年ぶりの出演となった尾崎が、この9年間で変化したライフスタイルや、最近できた“推し”について語る場面などがあった。全編はSpotifyなどのポッドキャストで配信中。
この記事では、オンエア内容の一部として5月27日にリリースされた新作EP『仮のまま定着したような愛情で』に注目したパートをテキストで紹介する。
・ポッドキャストページ
あだ名の「オザリン」呼びが復活!?
尾崎が『UR LIFESTYLE COLLEGE』にゲストとして出演するのは2017年6月以来、9年ぶり。今回の対談では、まず前回出演時の放送を振り返った。そのなかで、吉岡が尾崎にある提案を持ちかける場面からトークがスタートした。尾崎:9年ってすごいですね。
吉岡:当時はゲストの方をニックネームで呼ぶことにすごくハマってた時期で、「なんて呼ばれてますか?」って聞いて、そのニックネームで呼ぶということをやっていたんです。
尾崎:今はやっていないんですね。
吉岡:そうなんです(笑)。今日も「尾崎さん」と呼ぶか、前回の「オザリン」と呼ぶかですごく迷ってるんですよね。
尾崎:「オザリン」と言っていた人はひとりだけなんですけどね。バイト先のギャルの先輩がそう呼んでいました。
吉岡:せっかくなのでその先輩との思い出も込みで、「オザリン」とお呼びしてもいいですか?
尾崎:お願いします!
吉岡:現在ツアー中ということで、お忙しいなか来てくださっています。本日はラジオに来てくださって、本当にありがとうございます。
「本当に作りたい曲」を追い求めた制作の日々
5月27日リリースのクリープハイプの新作EP『仮のまま定着したような愛情で』は、前作のEP『だからそれは真実』から3年2カ月ぶりのリリースとなる。クリープハイプ - 『仮のまま定着したような愛情で』全曲トレーラー / 通常盤 DVD (OFFICIAL TEASER)
尾崎:ありがとうございます。
吉岡:言葉の選び方が本当に素晴らしいですよね。オザリンにとって、今回のEPはどんなものになりましたか?
尾崎:短い期間で集中して作りました。2025年の12月ごろから、2026年1~2月ごろまでの間に一気に作ってレコーディングしたんです。初期のころを思い出しながら作りましたね。キャリアを重ねると、自分が作りたいときに曲を作ることが減ってきて、だいたい「こういう曲を作ってください」と言われて作るようになるんです。でも最近、「本当に作りたいと思って作ってないな」と感じたときに、お客さんに届けるうえではそういう感覚こそが大事だなと思って。
吉岡:今作について、『ROCKIN'ON JAPAN』の山崎洋一郎さんのインタビューが本当に神がかってるなと思いました。EPは全5曲で、そのなかでも『生きてみます』のお話がすごく興味深かったです。こういう曲を作ると、だいたい10年くらい立ち上がれなくなるような、分岐点の曲になるような歌詞を使っているんだけど、「生きてみます」という言葉にしたことで「生きていきます」とは違う重みになり、すぐに立ち上がれるような筋力がある、と話されていました。そして、「隠し扉のような言葉を見つけた」ともおっしゃっていましたね。
生きてみます
吉岡:なるほど。インタビューで聞かれて、「今はこういう気持ちで作っていたのかもしれないな」と再確認するような感覚なんですか?
尾崎:そうですね。毎回、自分で答えを決めて行かずに、その場で思ったことを話しています。だから、自分がいちばん興味深く聞いている感じですね。
歳月を経てたどり着いた「自分たちらしい走り方」
吉岡はさらに、インタビュー内での「今から記録しますよって言われて走るのではなく、本気で走ってるけど別に公式記録じゃない、みたいな感じで全力疾走できたと思います」という尾崎の発言が印象的だったと話す。吉岡:「いい意味で自分たちに期待しなくなった」というお話をされていて、ネガティブではないタイミングでのEPなんだなと感じました。
尾崎:もちろん新記録は出したいし、それを期待してくれている人たちにも見せたいんです。でも、公式記録としてはなかなか出せない。そういうバンドじゃないから。いつも「ここだ」というタイミングで、うまくいかないんですよね。気合いを入れたライブや節目のタイミングで、ちょっと外してしまう。でも、「それも自分たちなんだな」ということがだんだんわかってきたんです。非公式であれば、そのタイム自体は出せると思うんですよ。だから、もっと肩の力を抜いて、自分たちらしい走り方でその記録を出したい。やっとそういう作り方ができました。
吉岡:かなり大人になられたのかな、という印象を受けます。精神的にもそうですし、技術的にも。
尾崎:「諦め」というのがすごく大きいかもしれないですね。9年前はまだ自分たちにいちおう期待していたというか。でも、そこから自分たちのサイズ感がわかってきて、ネガティブな意味じゃなく、ちゃんと客観視できるようになったんです。頑張ること自体は変わらないんですけど、当時はどこで頑張ればいいのかがわからなかった。どういう種目が自分に合っているのかが。今も本気は出しているし、やっていること自体は変わらないんです。でも、どこでやっているのかが以前より明確になりました。だから楽しいし、楽になりましたね。
吉岡:そういう感情になるんだ。
尾崎:9年経って、どうですか?
吉岡:私も今回のEPを聴いて、すごく感じたことがあったんです。繊細な部分とか、何かを聞いたり見たりして感じる部分、人との関わりのなかで心が動く軸自体は変わっていないんだけれど、傷つかないように触れたり、ある一定の壁や距離を知らないあいだに取れるようになっているんだなって。それを今回のEPで、私は勝手にすごく共感しちゃいました。クリープハイプの昔の曲を聴いても、今でも共鳴できるんですよ。ぶつかりに行くことや、むき出しの自分でいることへの肯定感とか、「それでいいのである」みたいな感覚にもなれる。でも今回のEPのほうが、めちゃくちゃ等身大なんですよね。「リアルってこっちかも」と思える感じがあります。
「言葉の呪い」を解くための歌を届けていきたい
番組では、『仮のまま定着したような愛情で』収録曲の『私の歌』をオンエア。楽曲について尾崎は「ファンの方に向けた歌はたまに作るんですけど、今回はひさしぶりにそういう曲を作ってみましたね」と明かす。私の歌
尾崎:そのまんまですね。やっぱり、あまり好ましくない言葉ってあるじゃないですか。今はそういう言葉が過剰に抑えられる時代で、この時間帯にこういった番組でそんな言葉が聞こえると、ドキッとする人もいると思うんです。でも、それはもう世の中に存在している言葉だから、無理に閉じ込めるより、あえて使って打ち消していくというか。ポジティブな意味に変えていくための踏み台にしたくて。普段から言葉を使う仕事をしているので、言葉に対する恐怖心は周りの人より少ないはずだから、そういうものをどんどん提示していきたいですね。
さらに、尾崎はクリープハイプを好きでいてくれる人たちに対し、「この言葉は大丈夫だと思ってもらいたい」と語る。
尾崎:クリープハイプが歌っているんだったら、いつか現実で同じような言葉が自分に飛んできても、「どうにかできそう」と思ってほしいんです。生きていれば、思いもよらぬ言葉をぶつけられて、それに縛り付けられることもある。言われた言葉って一生消えないし、自分が言ってしまった言葉も取り返しがつかない。でも、どうにかしてそれをほどいていく方法はあると思っています。自分にもそういう経験があるし、だからこそひとつでも多く、悪い言葉を殺していく。そんな方法を提示できたらなと思っています。
吉岡:めっちゃ素敵ですね。クリープハイプの曲って、毒をもって毒を制すところがありますよね。
尾崎:そのほうが早いと思ってしまうんですよ。自分は本当に不器用なので、そういうやり方しかできなくて。だから、よく誤解されるんですけどね。
吉岡:言葉の呪いを、言葉でほどいていくんですね。
【関連記事】「こんな気持ちになるのはひさしぶり」クリープハイプ・尾崎世界観が新作EP制作エピソードを語る
クリープハイプの最新情報は公式サイトまで。
『UR LIFESTYLE COLLEGE』では、心地よい音楽とともに、よりよいライフスタイルを考える。オンエアは毎週日曜18時から。
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