『戦略的暇―人生を変える「新しい休み方」―』(飛鳥新社)の著者、森下彰大さんがデジタルデトックスのメリットや実践方法について語った。
森下さんが登場したのは、12月18日(木)放送のJ-WAVE『GRAND MARQUEE』(ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann〈セレイナ・アン〉)のゲストコーナー。東京をGROOVEさせる音楽とカルチャー、そして日夜それを創り出す刺激的で面白い人々が集い、語らうプログラムだ。
森下: ひとつ目が、大学生のときに1年間アメリカに留学をしまして。バケーション中にオハイオ州のクリスチャンの家族のところでホームステイをしていたんです。冬の季節で暖炉があって、その周りにみんなが集まって料理を作っている。誰もスマホを見ていない時間がすごく心地いいなと思って。そこから留学を終えて日本に帰ってきたら、みんな就活シーズンでずっとスマホをチェックしている。というので、人と人が話をするあいだにスマホが割って入ってしまっていることに違和感を感じたのが最初です。そこから社会人になって自分もスマホ、パソコン漬けの生活になりまして。
セレイナ:お仕事でね。
森下:ただ、休みのときにハワイに行って、ハワイの公共バスで「The Bus」(ザ・バス)というのがありまして。めちゃくちゃ時間が遅れることで有名なんです。
セレイナ:時刻表が機能していないみたいな。
森下:定刻どおりに絶対に来ないという。ノースショアの海辺の窓辺で30分、1時間待っても来ない。最初は日本人の感覚的にイライラしちゃうんですけど、現地の人たちはのんびりしゃべったり海を眺めたりしていて。別に時間を気にしなくていいんだな、ボーッと過ごしているだけで気持ちいいんだなと。そこの開放感がすごく大きくて、「デジタルデトックスっていいな」と思ったのがきっかけです。
森下:よく「デジタルデトックスは新しい休み方ですよ」とお伝えしていて。「スマホを持たずに生きていく」「圏外の場所に1、2週間籠る」といった、ストイックなイメージを持たれる方が多いですが、僕は「お休み」だと思っています。ずっと情報を処理するのに疲れている脳を休めるためにやる行為。だから、「依存ではなくて共存をしていこう」というふうによく伝えています。ちょっとしたあいだだけでも、スマホから離れる。これも立派なデジタルデトックスだとお伝えしています。
セレイナ:根本的な話になりますが、我々にデジタルデトックスは必要なのでしょうか。
森下:海外版流行語大賞みたいなのをオックスフォード大学の出版局が毎年発表していまして、2024年が「ブレインロット」、日本語で「脳腐れ」でした。SNSのいろいろな情報をずっとチェックしていくうちに、脳が疲れてしまう。それで集中力や記憶力が落ちる。なにかイライラ、モヤモヤするというので脳がちゃんと動いていない状態というのが「脳腐れ」です。現代人はそうなってしまっているということですよね。脳を休めるとなると、ソファに座って体は休んでいるつもりでも、そこでスマホを見ていたら脳はずっと動き続けています。そこのお休みは必要なんじゃないかと思います。
タカノ:学生時代よりも集中力が落ちた気がしていて。本とか読んでいてもちょっとスマホが気になったり、ちらついてしまいます。
セレイナ:私も家で映画を観ていると、1本観終える前に携帯を触っちゃってるんですよね。恐ろしいと思って。だから最近、映画館とかにちゃんと行かないとなって。強制的にデジタルデトックスというか、携帯を触れない環境で映画を観るほうがちゃんと楽しめるなと思っています。
森下:時計のセイコーさんが『時間白書』というのを毎年出されています。現代人の時間に対する感覚というのが、3年連続同じ言葉で形容というか表現されていて、それが「ばたばた」なんです。いまの現代人の心情はずっとばたばたしている。多忙感みたいなのがすごくあって「なにかしなきゃいけない」とか、通知がくるたびにそこに注意を奪われるとかで、ずっとせかせかしちゃっている。やはり、その状態でなにかに集中して取り組んだり、友だちと楽しい時間を過ごすのもそうですが、脳がせわしなく働いている状態では楽しめない、集中できないと思います。そういう意味では立ち止まる時間、余白というのは必要なのではないかと思います。
セレイナ:データとかがたくさん詰まっていて、すごくニッチなところまで掘り進めています。読んでいる側も「なるほど」と納得させられます。だから、暇をもっと持たないといけないんだなと感じました。読者からはどのような反応が届いていますか?
森下:「SNSをあまり見なくなりました」という、うれしい声もいただいています。「暇というものにネガティブなイメージがあったけど、実はこれは必要なものなんだ、自分にとって大事なものなんだ」といった感想もたくさんいただけたのがうれしかったです。
続いて、森下さんにデジタルデトックスの具体的な実践方法を訊いた。
セレイナ:今日からできることはありますか?
森下:本でも紹介していますが、「三上」(さんじょう)と呼ばれる場所にスマホを持ち込まない。まずはこれから始めてほしいと思います。三上というのは昔の中国の作家の人が「この三つの場所は文章が浮かぶ」という、クリエイティブになれる場所だとして挙げています。当時で言うと枕の上、便座の上、馬の上です。
セレイナ:本にはお手洗いと寝室と移動中と書いてありました。
森下:昔は馬の上で、いまだと地下鉄や車での移動中ですね。ここはボーッとしやすい空間でもあります。人の脳はボーッとしているとき、外から情報が入ってこないときに実は情報を整理してくれています。なので、脳の休憩時間にもなるし、情報整理をしているうちに新しいアイデアが思いつくという、ダブルでお得な時間があります。
脳科学で言うところの「デフォルト・モード・ネットワーク」が発動しやすいのが、三上の場所なのだそう。
森下:ですが、現代人はここに、みんなスマホを持ち込んでしまっています。せっかく脳がお休みする時間、クリエイティブになる時間を逃しているかもしれない。まずは、この三上のうちのひとつでもいいんです。お手洗いに持ち込んでいますという人は、行く前にスマホを置いて行く。寝室には持って行かないとか、お風呂に持って行く人はお風呂でのスマホをやめてみるのもいいと思います。生活空間のなかでスマホを持ち込まないデジタルフリーゾーンを作るというのが、いちばんおすすめです。
タカノ:耳が痛いです。
セレイナ:私はこの本を読んでから、目覚まし時計を買おうと思って。というのも、スマホを目覚まし代わりに使ってるんです。そういう理由で寝る前に携帯をいじりまくっていまして。目覚まし時計を買ったら寝室に(スマホを)入れなくても済むなという発想に至りました。
森下:デジタルデトックスの体験プログラムをやるときも、スマホをお預かりするんです。アタッシュケースに入れて、ガチャンと鍵を閉めてしまいます。そうすると参加者の方から「目覚まし時計はどうすればいいんですか?」と訊かれるので、こちらで準備した目覚まし時計をちゃんと渡します。
セレイナ:さすが。
森下:文句はもう言わせないみたいな感じで(笑)。でも、すごくおすすめです。自分の意思に反して使いすぎてしまう、自分で主導権を握れていない感じというのが、すごくストレスだと思います。自分にとって最適な時間を見つけるのも、すごく大事です。
タカノ:(スマホにも)ちゃんといい面もあるんだよ、というところを押さえたうえで適切な距離感でいきましょう、という話ですよね。
森下彰大さんの最新情報はInstagram公式アカウント(@shodai_sb)まで。
J-WAVE『GRAND MARQUEE』は月~木曜の16時30分~18時50分にオンエア。
森下さんが登場したのは、12月18日(木)放送のJ-WAVE『GRAND MARQUEE』(ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann〈セレイナ・アン〉)のゲストコーナー。東京をGROOVEさせる音楽とカルチャー、そして日夜それを創り出す刺激的で面白い人々が集い、語らうプログラムだ。
「時間」を捉え直すきっかけになった、ハワイのバス
まず、森下さんはデジタルデトックスに興味を持つことになったきっかけについて語った。森下: ひとつ目が、大学生のときに1年間アメリカに留学をしまして。バケーション中にオハイオ州のクリスチャンの家族のところでホームステイをしていたんです。冬の季節で暖炉があって、その周りにみんなが集まって料理を作っている。誰もスマホを見ていない時間がすごく心地いいなと思って。そこから留学を終えて日本に帰ってきたら、みんな就活シーズンでずっとスマホをチェックしている。というので、人と人が話をするあいだにスマホが割って入ってしまっていることに違和感を感じたのが最初です。そこから社会人になって自分もスマホ、パソコン漬けの生活になりまして。
セレイナ:お仕事でね。
森下:ただ、休みのときにハワイに行って、ハワイの公共バスで「The Bus」(ザ・バス)というのがありまして。めちゃくちゃ時間が遅れることで有名なんです。
セレイナ:時刻表が機能していないみたいな。
森下:定刻どおりに絶対に来ないという。ノースショアの海辺の窓辺で30分、1時間待っても来ない。最初は日本人の感覚的にイライラしちゃうんですけど、現地の人たちはのんびりしゃべったり海を眺めたりしていて。別に時間を気にしなくていいんだな、ボーッと過ごしているだけで気持ちいいんだなと。そこの開放感がすごく大きくて、「デジタルデトックスっていいな」と思ったのがきっかけです。
デジタルデトックスは「新しい休み方」
森下さんによると、デジタルデトックスは脳のための「新しい休み方」なのだそう。森下:よく「デジタルデトックスは新しい休み方ですよ」とお伝えしていて。「スマホを持たずに生きていく」「圏外の場所に1、2週間籠る」といった、ストイックなイメージを持たれる方が多いですが、僕は「お休み」だと思っています。ずっと情報を処理するのに疲れている脳を休めるためにやる行為。だから、「依存ではなくて共存をしていこう」というふうによく伝えています。ちょっとしたあいだだけでも、スマホから離れる。これも立派なデジタルデトックスだとお伝えしています。
セレイナ:根本的な話になりますが、我々にデジタルデトックスは必要なのでしょうか。
森下:海外版流行語大賞みたいなのをオックスフォード大学の出版局が毎年発表していまして、2024年が「ブレインロット」、日本語で「脳腐れ」でした。SNSのいろいろな情報をずっとチェックしていくうちに、脳が疲れてしまう。それで集中力や記憶力が落ちる。なにかイライラ、モヤモヤするというので脳がちゃんと動いていない状態というのが「脳腐れ」です。現代人はそうなってしまっているということですよね。脳を休めるとなると、ソファに座って体は休んでいるつもりでも、そこでスマホを見ていたら脳はずっと動き続けています。そこのお休みは必要なんじゃないかと思います。
タカノ:学生時代よりも集中力が落ちた気がしていて。本とか読んでいてもちょっとスマホが気になったり、ちらついてしまいます。
セレイナ:私も家で映画を観ていると、1本観終える前に携帯を触っちゃってるんですよね。恐ろしいと思って。だから最近、映画館とかにちゃんと行かないとなって。強制的にデジタルデトックスというか、携帯を触れない環境で映画を観るほうがちゃんと楽しめるなと思っています。
森下:時計のセイコーさんが『時間白書』というのを毎年出されています。現代人の時間に対する感覚というのが、3年連続同じ言葉で形容というか表現されていて、それが「ばたばた」なんです。いまの現代人の心情はずっとばたばたしている。多忙感みたいなのがすごくあって「なにかしなきゃいけない」とか、通知がくるたびにそこに注意を奪われるとかで、ずっとせかせかしちゃっている。やはり、その状態でなにかに集中して取り組んだり、友だちと楽しい時間を過ごすのもそうですが、脳がせわしなく働いている状態では楽しめない、集中できないと思います。そういう意味では立ち止まる時間、余白というのは必要なのではないかと思います。
暇は脳のためにも必要なもの
森下さんは2025年5月に『戦略的暇―人生を変える「新しい休み方」―』を出版。読者の反響も多かったという。セレイナ:データとかがたくさん詰まっていて、すごくニッチなところまで掘り進めています。読んでいる側も「なるほど」と納得させられます。だから、暇をもっと持たないといけないんだなと感じました。読者からはどのような反応が届いていますか?
森下:「SNSをあまり見なくなりました」という、うれしい声もいただいています。「暇というものにネガティブなイメージがあったけど、実はこれは必要なものなんだ、自分にとって大事なものなんだ」といった感想もたくさんいただけたのがうれしかったです。
続いて、森下さんにデジタルデトックスの具体的な実践方法を訊いた。
セレイナ:今日からできることはありますか?
森下:本でも紹介していますが、「三上」(さんじょう)と呼ばれる場所にスマホを持ち込まない。まずはこれから始めてほしいと思います。三上というのは昔の中国の作家の人が「この三つの場所は文章が浮かぶ」という、クリエイティブになれる場所だとして挙げています。当時で言うと枕の上、便座の上、馬の上です。
セレイナ:本にはお手洗いと寝室と移動中と書いてありました。
森下:昔は馬の上で、いまだと地下鉄や車での移動中ですね。ここはボーッとしやすい空間でもあります。人の脳はボーッとしているとき、外から情報が入ってこないときに実は情報を整理してくれています。なので、脳の休憩時間にもなるし、情報整理をしているうちに新しいアイデアが思いつくという、ダブルでお得な時間があります。
脳科学で言うところの「デフォルト・モード・ネットワーク」が発動しやすいのが、三上の場所なのだそう。
森下:ですが、現代人はここに、みんなスマホを持ち込んでしまっています。せっかく脳がお休みする時間、クリエイティブになる時間を逃しているかもしれない。まずは、この三上のうちのひとつでもいいんです。お手洗いに持ち込んでいますという人は、行く前にスマホを置いて行く。寝室には持って行かないとか、お風呂に持って行く人はお風呂でのスマホをやめてみるのもいいと思います。生活空間のなかでスマホを持ち込まないデジタルフリーゾーンを作るというのが、いちばんおすすめです。
タカノ:耳が痛いです。
セレイナ:私はこの本を読んでから、目覚まし時計を買おうと思って。というのも、スマホを目覚まし代わりに使ってるんです。そういう理由で寝る前に携帯をいじりまくっていまして。目覚まし時計を買ったら寝室に(スマホを)入れなくても済むなという発想に至りました。
森下:デジタルデトックスの体験プログラムをやるときも、スマホをお預かりするんです。アタッシュケースに入れて、ガチャンと鍵を閉めてしまいます。そうすると参加者の方から「目覚まし時計はどうすればいいんですか?」と訊かれるので、こちらで準備した目覚まし時計をちゃんと渡します。
セレイナ:さすが。
森下:文句はもう言わせないみたいな感じで(笑)。でも、すごくおすすめです。自分の意思に反して使いすぎてしまう、自分で主導権を握れていない感じというのが、すごくストレスだと思います。自分にとって最適な時間を見つけるのも、すごく大事です。
タカノ:(スマホにも)ちゃんといい面もあるんだよ、というところを押さえたうえで適切な距離感でいきましょう、という話ですよね。
森下彰大さんの最新情報はInstagram公式アカウント(@shodai_sb)まで。
J-WAVE『GRAND MARQUEE』は月~木曜の16時30分~18時50分にオンエア。
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