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テイラー・スウィフトの「絶大な経済効果」とは? アルバムは史上最速で300万枚を突破

テイラー・スウィフトの「絶大な経済効果」とは? アルバムは史上最速で300万枚を突破

テイラー・スウィフトが生む経済波及効果「スウィフトノミクス」の実態を特集した。

この内容をお届けしたのは、10月6日(月)放送のJ-WAVE『JAM THE PLANET』(ナビゲーター:野嶋紗己子)の「TODAY’S POINT OF VIEW」。旬のニュース&トピックに独自の視点でフォーカスするコーナーだ。

この日が初回放送の月曜ナビゲーター・野嶋紗己子は、元毎日放送(MBS)アナウンサー。2023年12月にMBSを退職し、2024年1月からビジネスメディア「PIVOT」に参画している。

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テイラーが動けば経済が動く

今回は米ポップ界のスーパースター、テイラー・スウィフトがもたらす経済波及効果「スウィフトノミクス」にフォーカス。2006年のデビューから築かれてきた、空前のファンダム現象と言っても過言ではない、スウィフトノミクスの物語を掘り下げる。

野嶋:いまや世界的なポップスターとして、みなさん曲は知らなくても名前は知っていますよね。私もデビュー当時から大ファンで、小学生のときからCDプレイヤーを持ち歩きながら、彼女の歌詞考察をし、英語の勉強をしていました。初恋のときには彼女の曲でなぐさめられて、何度も人生を彼女の歌と歌詞に救われてきました。彼女の音楽はエンターテインメントを超えていまして、私たちみたいなファンからすると、いわゆる人生の伴走者みたいにも言われます。もちろん、こういったファンは世界中にたくさんいまして、コンサートの開催地はホテルの予約でいっぱいになったり、グッズや飲食が飛ぶように売れ、さらには企業がそこに乗っかりテイラーにかけたマーケティングも続発、ということがスウィフトノミクス現象として起こっています。

スウィフトノミクスでは「ある数字」も重要なポイントになるという。

野嶋:たとえば、テイラーの誕生日の12月13日。テイラーファンのなかでも、テイラーにとっても「13」というのが非常に重要な数字なんです。13という数字にあやかって、たとえば13パーセントオフのバーゲンをしたりします。Xで自分の会社のアイコンをテイラーのニューアルバムのカラーで塗り、彼女への愛を表現すると、ファンがその会社に対してとてもいい印象を受けるため、そこで経済効果が起こる。本当にいろいろな手法をマーケティングとして各社、各地が実施しています。テイラーは2023年に「THE ERAS TOUR」という大きなツアーを行いました。その最終興行収入は推計で、およそ20〜22億ドル。コンサート史上初の20億ドル超えという、すごい数値を叩きだしてツアー興行の世界記録を塗り替えました。日本でも2024年に東京ドーム4公演があり、私も行きましたが、経済効果はおよそ341億円と言われています。

史上最速で300万枚を突破

10月3日(金)にリリースされたテイラーの12作目の最新アルバム『The Life of a Showgirl』でもスウィフトノミクスは健在だ。

Taylor Swift - The Life of a Showgirl (Feat. Sabrina Carpenter) (Lyric Video)

野嶋:アルバムの総売上が、史上最速で300万枚を突破したそうです。各種ストリーミングサービスでは初日から記録的な再生数を叩きだし、リードシングルの『The Fate of Ophelia』はSpotifyで24時間以内に3,000万回以上再生されたそうです。2024年のワールドツアー中に書いた曲らしいのですが、彼女の華やかなショーの裏には、この業界で生き抜くのがどれほど大変かということや、そのショーがどれほどの苦しみと努力のたまものであるか、など非常に考えさせられる歌詞でした。それこそ、サブリナ・カーペンターと一緒に歌っている『The Life of a Showgirl』は考えさせられるものではありました。

同アルバムにはテイラーの婚約者にまつわる裏テーマもあるという。

野嶋:彼女の婚約者にトラビス・ケルシーという方がいまして、どれほど彼女の人生観が変わったか(描かれている)。この苦しいショーガールのなかでも結婚をしたいし、田舎でゆっくりもしたいし、子どももほしい。そんな気持ちも素直に描いた今回のアルバム、私もひとりのファンとしてとても好きです。

ニューアルバムに合わせて映画を公開

テイラーは最新アルバムの発売に合わせて、10月3日〜5日にかけてアメリカやカナダなどで映画『The Official Release Party of a Showgirl』の限定上映を実施した。

野嶋:この映画はコンサート映画ではなく、1曲ずつの裏話や制作秘話を紹介しています。この経済効果もすごくて、興行収入は3,000万〜3,500万ドルぐらいで日本円だと51億円ぐらいでしょうか。経済も文化も巻き込んでいる現象です。

ここで、同作をハワイで鑑賞したバイリンガルMC/通訳の内田佐知子さんがコメントゲストとして登場。映画がどんな内容で、上映にはどのような人が観に来ていたのか語ってもらった。

内田:テイラーのアルバムがハワイでも10月3日にリリースになりましたので、そのスペシャルフィルムイベントに私も参加しました。アメリカではメジャーなコンソリデーテッド・シアターズという系列の映画館で公開されました。チケットは12ドルで、私は初日にカハラモールの映画館で観てきました。朝9時ぐらいから2時間おきに上映がありましたが、私が行ったのは11時の回です。学校がもう始まっているので、若い子たちがたくさんいるというより、30代、40代くらいの大人が多い印象でした。映画というよりは、正直、宣伝用の特典映像のような感じで。テイラー本人がアルバムの曲を1曲ずつ、裏話を説明したりビデオのメイキングを見せていくという内容でした。これをあえて映画館で3日限定で見せるというのが、斬新だなと思いました。ファンだけではなくて、いろいろな人たちが映画館に足を運んで、音楽を楽しむ機会を作ってくれたという感じで、ハワイも盛り上がっています。

テイラーの影響はスポーツの世界にも波及

スウィフトノミクスは町の経済や日常にも波及することで有名だ。内田さんが暮らすハワイでは、テイラーの影響で意外な経済効果も生まれているという。

内田:ハワイでのスウィフトノミクスについてですが、テイラーの婚約者のトラビスが所属しているNFLフットボールチーム「カンザスシティ・チーフス」の彼の背番号のジャージが、テイラーのコンサート会場でも売られているそうです。ハワイでもトラビスのジャージを着ている若い女の子をけっこう見かけますが、その子たちはカンザスシティ・チーフスがどんなチームなのか、たぶん知らずに着ています(笑)。テイラーの影響で着ている人たちがかなり多いです。

さらに、現在はフットボールシーズン中ということもあり、ハワイではさらなる影響があるそう。

内田:ハワイではアメリカ本土との時差の関係で、フットボールの試合が朝7時ぐらいから始まります。そのためサンデーフットボール、日曜などは朝の7時ぐらいから開いているバーがすごく多いです。特にトラビスの出ているチームが試合に出るときは、テイラーのファンたちが彼のジャージを着てカンザスシティを応援するという状況が、いままでは絶対になかったところです。女性も男性と一緒にフットボールをいままで以上に観始めている。これは間違いなくテイラーのスウィフトノミクスだなと思いました。

内田さんの話を受けて、ナビゲーターの野嶋はテイラーにまつわる豆知識とともにスウィフトノミクスを総括する。

野嶋:音楽からスポーツ商品まで、異なる分野への経済回路もつないでしまうというのがテイラーの規模感です。ここで豆知識、実はいま出てきたテイラーの婚約者・トラビスの背番号は87です。テイラーが大切にしている13を足すと100になります。テイラーファンにとっては「テイラーの13を100にしてくれた存在」ということで、トラビスへの愛もファンのなかでは非常に共有されています。テイラーが経済に与える影響が本当に大きいというのはみなさんもわかっていただいたと思いますが、すごいのは彼女のマーケティング手法です。ライブだけでは完結させずに販売、上映、配信、ポップアップ、Instagramでの我々へのアプローチの仕方。YouTubeのMVで、我々は「卵を探す」と言うのですが、彼女の曲のいろいろな過去をMVのなかで探す楽しみも与えてくれます。感情が動けば行動が動く、行動が動けば経済が動くというところが、スウィフトノミクスと言えるのではないでしょうか。

番組では、テイラー本人の声による曲紹介とともに『The Fate of Ophelia』をオンエアした。

Taylor Swift - The Fate of Ophelia (Official Music Video)

『JAM THE PLANET』のコーナー「TODAY’S POINT OF VIEW」では、旬のニュース&トピックに独自の視点でフォーカスする。放送は月曜~木曜の19時37分ごろから。

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番組情報
JAM THE PLANET
月・火・水・木曜
19:00-20:45