
この秋、J-WAVE平日夜のニュース情報番組『JAM THE PLANET』(月曜~木曜)が大きく変わる。放送時間が19:00-21:45から19:00-20:45に変更となり、これまで全曜日の20時台-21時台でナビゲーターを務めていたグローバーが卒業。それに伴い、吉田まゆと石田健に新しく2名を加えた計4名のナビゲーター陣が各曜日の顔として、独自の視点から国内外の最新ニュースを届ける。
新たなナビゲーターの一人が月曜日を担当する、元毎日放送(MBS)アナウンサーの野嶋紗己子だ。年齢は『JAM THE PLANET』ナビゲーター陣の中で最年少となる29歳。2023年12月にMBSを退職し、2024年1月からビジネスメディア「PIVOT」に参画している。『JAM THE PLANET』で挑戦してみたいことなどを聞いた。
野嶋:東京に出てきて一年半ほどが経ち、現在ビジネスメディア「PIVOT」で専属MCをさせていただいているのですが、お仕事の幅を広げる意味で「ラジオをやりたい」と周りにずっと言い続けてきました。そんな中で7月に、吉田まゆさんの代演として『JAM THE PLANET』に出演する機会をいただき、この度、正式にナビゲーターに選んでいただいたことにご縁と感謝を感じています。
――代演時には番組にどのような印象を持たれましたか?
野嶋:ご一緒させていただいたスタッフの皆さんが、本当にプロフェッショナルだなという印象を受けました。MBS時代にもラジオ番組を担当していたのですが、そのときに感じた専門職の方々とともに番組を作っていく楽しさや熱さを思い出しました。
――ちなみに、なぜラジオをやりたいと思っていたのでしょうか?
野嶋:MBSに入社する前までは、テレビとラジオで伝えられることに大差はないと思っていたんです。ですが、MBSでラジオ番組のパーソナリティーをさせていただく中で、情報の伝わり方やリスナーさんと一つの空間を共有している感覚が、テレビとは別物であると感じたんです。例えるならば、家族や友人に今日起こった出来事を「ちょっと聞いてよ」と気軽に話すのと近い感覚といいますか。しかも、リスナーさんからの反響がしっかりと返ってきて、言葉のキャッチボールができる。その距離の近さに魅力を感じていました。
野嶋:火曜日が吉田まゆさん、水曜日が石田健さん、木曜日が、私と同じくこの秋からナビゲーターに就任された武田真一さん。横並びが錚々たる面々なので恐縮してしまいますが、一方で、親近感を感じていただけるのでは? とも考えています。私はすごい人ではなく、リスナーの方々とかけ離れた存在でもありません。そこが私の売りだと思うので、皆さんと同じ目線で素朴な疑問や身近なトピックを取り扱っていきたいです。
――特に情報を届けたいのはどのような層・カテゴリーの方でしょうか。
野嶋:ラジオで好きなのは「世代を超えたつながり」ですが、強いていうなら私と同世代や頑張っている現役世代の方々ですかね。とりわけ、ニュースを知らなければいけないと思いつつも「難しい」「時間がない」などの理由で敬遠している人たちに向けて、通勤時間や自宅でご飯を食べている時間などに聴いていただけるような放送を心掛けていきたいです。
野嶋: そうなんですよ。駆け出しのアナウンサーだった頃、私は毎朝5~6時に出社して新聞の切り抜きをしていました。関西や日本のローカルニュースだけでなく、気になった国際ニュースも分けてまとめていたんです。
きっと「“まずは”地域に根差す視点を大切に」というご指摘もあると思いますが、ローカルにも大きな視点は必要で、逆もまた然りだと感じていました。「ミクロとマクロの目線を行き来しながらニュースを知り、考え、伝える」──その奥深さに惹かれて、“情報の最前線”に飛び込みました。
特にお金や経済の話は、ミクロとマクロ両方でみるからこそ面白い。だからこそ、ビジネスや経済に特化して同世代に真っ直ぐ発信できる場としてPIVOTを選びました。収録を重ねる中で「なんだ、めちゃくちゃ生活に関係してるやん!」と驚かされることばかり。私はまだまだ勉強中ですが、この視点の面白さを共有し、皆さんと一緒に考えていきたい。そんな思いで番組を届けています。
――そうなのですね。
野嶋:自分で言うのも変ですが、私の知的好奇心は“人5倍”だと思っています。その好奇心を活かし『JAM THE PLANET』では、なかなか言語化しにくいトピックでもわかりやすく皆さんに伝え・一緒に考えるパートナーのような存在でいたいと考えています。
――『JAM THE PLANET』では各分野のエキスパートと話す機会がありますが、「もしも願いが叶うならこの人と対談したい!」というプロフェッショナル・著名人の方はいますか?
野嶋: 著名人、FMラジオという文脈で考えると、やっぱりテイラー・スウィフトですね。小学生のころから大ファンで、人生のどんな場面でも彼女の言葉と音楽に支えられてきました。初恋のときも、親子関係に悩んだときも、友人とぶつかったときも──本当に「一緒に生きてきた」と言える存在なんです。だから、もし対談できたら夢のようだなと、ひそかに期待しています。(笑)
でも「ただファンだから」というだけではなくて、近年は「Swiftnomics」という言葉に象徴されるように、彼女の経済的影響力は米国、さらには世界規模にまで広がっています。音楽やカルチャーと経済がどう交わり、社会を動かしているのか。その現象をニュースとして掘り下げてみたい──そんな思いもあります。
野嶋:大前提として、私、アナウンサーは本当にすごい仕事だと思ってるんです。場面ごとに役割を変えながら「表の黒子」として回す。報道番組においてはアンカーとしてニュースを自分の言葉で咀嚼し、視聴者の皆さんにわかりやすく正確に伝えきる。そのすごさを、テレビ局時代に学びました。
その上で、日本の“女子アナ”あるいはアナウンサーという職業は、「見た目などのイメージ先行で語られてしまう側面」「ニュースを読む“だけ”の役割」など、様々な固定概念がこの数十年で作り出されてしまっていることも学んだ。本当は違うのです。そのパブリックイメージを変えるためにアナウンサーをしながらアクションを起こす方もいれば、私のように職を辞して自分なりのアプローチをしている人もいるわけで。
――具体的にどのようにアナウンサーのイメージを変えるのが理想的ですか?
野嶋:いろんな形があっていいと思うんですよ。アナウンサーという言葉をそれぞれが再定義した働き方をする。たとえば記者のように取材に出てもいいし、経済分野の知見を深めてアナリスト的な役割を担ってもいい。「アナウンサー×〇〇」という形で、その人らしいキャリアを描けるはずです。
私自身は、番組のホストを目指したい。今はテレビ・ラジオ・ネット配信を問わず、「誰がどこで何を発信しているか」において“誰が”がすごく重要な時代だと捉えています。だからこそ、「野嶋紗己子だから話を聞いてみよう」「野嶋紗己子インタビューされたい」と思ってもらえるような存在になりたい。それが私のメインゴールです。
――野嶋紗己子個人で勝負したいというのが独立を決断した理由でしょうか?
野嶋:Yes&Noです。退職した理由は主に二つあります。一つは、「PIVOT」からご縁をいただき、非常にワクワクしたという衝動的なものです。もう一つはおっしゃる通り、アナウンサー・アンカーとして走るのではなく、最初から最後まで、私が何を考えて、私が何を届けたいかを突き詰められる環境に身を置きたいという思いもありました。
――最後にリスナーの方に向けてメッセージをお願いします。
野嶋:今の時代を象徴するのは、やはり「漠然とした不安」だと思います。ニュースを見ても、経済のブロック化や各国の政治不安、国内の課題……不安や閉塞感があまりに漂っていますよね。だからこそ、『JAM THE PLANET』では、知っておくと少し前向きになれたり、「知れてよかった」と思っていただけるようなポジティブな視点に光を当てていきたいんです。ニュースを重苦しいものとしてではなく、日常を考えるヒントとして届けたい。そしてリスナーの皆さんと一緒に、そのヒントを見つけていけたらと思います。
オンエアは放送開始から1週間、radikoのタイムフリー機能で楽しめる。
(取材・文=小島浩平、撮影=竹内洋平)
新たなナビゲーターの一人が月曜日を担当する、元毎日放送(MBS)アナウンサーの野嶋紗己子だ。年齢は『JAM THE PLANET』ナビゲーター陣の中で最年少となる29歳。2023年12月にMBSを退職し、2024年1月からビジネスメディア「PIVOT」に参画している。『JAM THE PLANET』で挑戦してみたいことなどを聞いた。
「ラジオをやりたい」と思っていた理由とは?
――まずは『JAM THE PLANET』のナビゲーターに抜擢された心境から聞かせてください。野嶋:東京に出てきて一年半ほどが経ち、現在ビジネスメディア「PIVOT」で専属MCをさせていただいているのですが、お仕事の幅を広げる意味で「ラジオをやりたい」と周りにずっと言い続けてきました。そんな中で7月に、吉田まゆさんの代演として『JAM THE PLANET』に出演する機会をいただき、この度、正式にナビゲーターに選んでいただいたことにご縁と感謝を感じています。

野嶋:ご一緒させていただいたスタッフの皆さんが、本当にプロフェッショナルだなという印象を受けました。MBS時代にもラジオ番組を担当していたのですが、そのときに感じた専門職の方々とともに番組を作っていく楽しさや熱さを思い出しました。
――ちなみに、なぜラジオをやりたいと思っていたのでしょうか?
野嶋:MBSに入社する前までは、テレビとラジオで伝えられることに大差はないと思っていたんです。ですが、MBSでラジオ番組のパーソナリティーをさせていただく中で、情報の伝わり方やリスナーさんと一つの空間を共有している感覚が、テレビとは別物であると感じたんです。例えるならば、家族や友人に今日起こった出来事を「ちょっと聞いてよ」と気軽に話すのと近い感覚といいますか。しかも、リスナーさんからの反響がしっかりと返ってきて、言葉のキャッチボールができる。その距離の近さに魅力を感じていました。
「ニュース」を敬遠する人にも親しみやすい放送を
――『JAM THE PLANET』レギュラー陣の中において、野嶋さんは最年少で、唯一の20代となります。野嶋:火曜日が吉田まゆさん、水曜日が石田健さん、木曜日が、私と同じくこの秋からナビゲーターに就任された武田真一さん。横並びが錚々たる面々なので恐縮してしまいますが、一方で、親近感を感じていただけるのでは? とも考えています。私はすごい人ではなく、リスナーの方々とかけ離れた存在でもありません。そこが私の売りだと思うので、皆さんと同じ目線で素朴な疑問や身近なトピックを取り扱っていきたいです。

野嶋:ラジオで好きなのは「世代を超えたつながり」ですが、強いていうなら私と同世代や頑張っている現役世代の方々ですかね。とりわけ、ニュースを知らなければいけないと思いつつも「難しい」「時間がない」などの理由で敬遠している人たちに向けて、通勤時間や自宅でご飯を食べている時間などに聴いていただけるような放送を心掛けていきたいです。
「知的好奇心の塊」だからできること
――日本国外のニュースだと、縁遠く感じてしまう人も多いですしね。野嶋: そうなんですよ。駆け出しのアナウンサーだった頃、私は毎朝5~6時に出社して新聞の切り抜きをしていました。関西や日本のローカルニュースだけでなく、気になった国際ニュースも分けてまとめていたんです。
きっと「“まずは”地域に根差す視点を大切に」というご指摘もあると思いますが、ローカルにも大きな視点は必要で、逆もまた然りだと感じていました。「ミクロとマクロの目線を行き来しながらニュースを知り、考え、伝える」──その奥深さに惹かれて、“情報の最前線”に飛び込みました。
特にお金や経済の話は、ミクロとマクロ両方でみるからこそ面白い。だからこそ、ビジネスや経済に特化して同世代に真っ直ぐ発信できる場としてPIVOTを選びました。収録を重ねる中で「なんだ、めちゃくちゃ生活に関係してるやん!」と驚かされることばかり。私はまだまだ勉強中ですが、この視点の面白さを共有し、皆さんと一緒に考えていきたい。そんな思いで番組を届けています。
――そうなのですね。
野嶋:自分で言うのも変ですが、私の知的好奇心は“人5倍”だと思っています。その好奇心を活かし『JAM THE PLANET』では、なかなか言語化しにくいトピックでもわかりやすく皆さんに伝え・一緒に考えるパートナーのような存在でいたいと考えています。

野嶋: 著名人、FMラジオという文脈で考えると、やっぱりテイラー・スウィフトですね。小学生のころから大ファンで、人生のどんな場面でも彼女の言葉と音楽に支えられてきました。初恋のときも、親子関係に悩んだときも、友人とぶつかったときも──本当に「一緒に生きてきた」と言える存在なんです。だから、もし対談できたら夢のようだなと、ひそかに期待しています。(笑)
でも「ただファンだから」というだけではなくて、近年は「Swiftnomics」という言葉に象徴されるように、彼女の経済的影響力は米国、さらには世界規模にまで広がっています。音楽やカルチャーと経済がどう交わり、社会を動かしているのか。その現象をニュースとして掘り下げてみたい──そんな思いもあります。
「脱アナウンサー」の真意
――話は変わりますが、他のインタビューでは「『脱アナウンサー』を目指している」とおっしゃっていました。この言葉の真意を聞かせて欲しいです。野嶋:大前提として、私、アナウンサーは本当にすごい仕事だと思ってるんです。場面ごとに役割を変えながら「表の黒子」として回す。報道番組においてはアンカーとしてニュースを自分の言葉で咀嚼し、視聴者の皆さんにわかりやすく正確に伝えきる。そのすごさを、テレビ局時代に学びました。
その上で、日本の“女子アナ”あるいはアナウンサーという職業は、「見た目などのイメージ先行で語られてしまう側面」「ニュースを読む“だけ”の役割」など、様々な固定概念がこの数十年で作り出されてしまっていることも学んだ。本当は違うのです。そのパブリックイメージを変えるためにアナウンサーをしながらアクションを起こす方もいれば、私のように職を辞して自分なりのアプローチをしている人もいるわけで。

野嶋:いろんな形があっていいと思うんですよ。アナウンサーという言葉をそれぞれが再定義した働き方をする。たとえば記者のように取材に出てもいいし、経済分野の知見を深めてアナリスト的な役割を担ってもいい。「アナウンサー×〇〇」という形で、その人らしいキャリアを描けるはずです。
私自身は、番組のホストを目指したい。今はテレビ・ラジオ・ネット配信を問わず、「誰がどこで何を発信しているか」において“誰が”がすごく重要な時代だと捉えています。だからこそ、「野嶋紗己子だから話を聞いてみよう」「野嶋紗己子インタビューされたい」と思ってもらえるような存在になりたい。それが私のメインゴールです。
――野嶋紗己子個人で勝負したいというのが独立を決断した理由でしょうか?
野嶋:Yes&Noです。退職した理由は主に二つあります。一つは、「PIVOT」からご縁をいただき、非常にワクワクしたという衝動的なものです。もう一つはおっしゃる通り、アナウンサー・アンカーとして走るのではなく、最初から最後まで、私が何を考えて、私が何を届けたいかを突き詰められる環境に身を置きたいという思いもありました。
――最後にリスナーの方に向けてメッセージをお願いします。
野嶋:今の時代を象徴するのは、やはり「漠然とした不安」だと思います。ニュースを見ても、経済のブロック化や各国の政治不安、国内の課題……不安や閉塞感があまりに漂っていますよね。だからこそ、『JAM THE PLANET』では、知っておくと少し前向きになれたり、「知れてよかった」と思っていただけるようなポジティブな視点に光を当てていきたいんです。ニュースを重苦しいものとしてではなく、日常を考えるヒントとして届けたい。そしてリスナーの皆さんと一緒に、そのヒントを見つけていけたらと思います。

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