
俳優・ミュージシャンの松下奈緒が、J-WAVEで17年ぶりに番組をスタートさせる。タイトルは『KENEDIX CROSSROADS』(毎週金曜 24:30~25:00)。成功の裏にある決断や迷い、運命的な出会いなど、人生の“分岐点”をテーマに、毎月ひとりのゲストとじっくり語り合う対話プログラムだ。初回オンエアは2025年10月3日(金)。
松下自身の分岐点はいつだったのだろうか? キャリアで訪れた大きな転機や、壁の乗り越え方を聞くとともに、先輩俳優からの学びも語ってもらった。(J-WAVE NEWS編集部)
松下:当時は、レギュラー番組を担当するのはほとんど初めてでした。東京に出てきてからずっと聴いていたJ-WAVEに、自分がナビゲーターとして出演できることが本当にうれしかったです。音楽好きの私にとって、自由にさまざまなことに挑戦させてもらえる場で、とても貴重で楽しい経験になりました。
──とくに思い出深いのは?
松下:映画のロケでスペインに行った際、番組のスタッフのみなさんも一緒に来てくださったんです。「じゃあ、行っちゃう?」みたいな感じで、「それ、OKなんだ!」と驚きました(笑)。現地ではボイスレコーダーを持って「いま、私はバルセロナにいます」みたいなレポートをしたり、みんなでおいしいものを食べたり……そんな特別な空気に触れられた時間も含め、今思い出しても楽しくなるエピソードがたくさんありますね。
――普段はラジオをお聴きになりますか?
松下:よく聴きます。ラジオは耳なじみがよくて、スッと心に残るというか、自然に入ってくる感じがあるんです。特定の番組を決めて聴いているわけではないですが、コンサートや美術館の情報など、いろんなことを教えてくれるので「こんな展示がやっているんだ」とか「この人のライブに行ってみようかな」と、思わずメモすることもあります。
松下:いろんな方の分岐点を、面白く、楽しくお話ししながら引き出していけたらいいなとワクワクしています。きっとどんな方にも「ここが分岐点だったな」という瞬間があるはず。そういうお話が、私も含めてリスナーのみなさんにとって「ハッ」とするきっかけになったら素敵ですよね。これから始まる番組なので、私自身もどんな出会いやお話が待っているのか、とても楽しみです。
――ご自身の人生で「ここが分岐点だった」と思うエピソードは?
松下:それはもう、一択で、2010年放送のNHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』でヒロイン・飯田布美枝を演じたことです。デビューして5、6年が経ったころで、大きな役をいただけた喜びと、「朝ドラ」という大きな番組の一員になれたことが本当にうれしかったんです。ほぼ1年間、同じ人物を演じ続けるプレッシャーもありましたが、がんばればがんばるほど多くのものを得られると思って現場に臨みました。スタッフさんや先輩の俳優さんたちから多くを学び、今までになかった気持ちでお芝居と向き合えた経験でした。あの撮影を乗り越えたからこそ、多少のことではへこたれない強い自分になれたと感じています。
――とくに印象的だったことはありますか。
松下:「作品はひとりでやっているんじゃないんだな」と感じたことですね。もちろん、カメラの前に立つまでにどう演じるかを準備して悩んで考えて……というのは私ひとりの作業かもしれないけど、現場に行くとやっぱり周りの人たちとのコミュニケーションなんだなって。お芝居は、みんなの力が合わさってこそ生まれるもの。ひとりでがんばらなきゃっていう気持ちも必要なんですけど、みんなに頼っていいんだ、みんなと一緒にやることが大切なんだってことを学びましたね。
――その後のお仕事にも活きていきそうな学びですね。
松下:本当に活きています。朝ドラのあとからは、周りの人のことを考える大切さを強く意識するようになりました。自分ばかりではなく、相手の役者さんや周りの人たちがどう思っているのか、「疲れていないかな」「何か言いたそうだな」と感じたら声をかける。そういう小さなことを大事にしています。大杉 漣さんが、まさに現場でそうされていたんです。『ゲゲゲの女房』では私のお父さん役だったので、いちばん近くでご一緒できたんですけど、言葉で教えるのではなく背中で示してくださる方でした。現場を盛り上げたり、居心地よくしてくださったり、そういうことが自然にできる人になりたいと強く思いました。
松下:決断は早いですね。早いぶん、失敗もたくさんしますけど、自分で選んだ以上は最後までやりきろうとします。たとえ「間違っていたな」と思っても、元に戻るのは悔しいと思ってしまう(笑)。人からアドバイスをいただくこともありますが、基本的には自分で選びたいタイプです。少し頑固とも言えるかもしれません。でも、自分で決めたことだからこそがんばれますし、きちんと着地させようと決意できます。
――壁にぶつかったときはどう乗り越えますか?
松下:自信がつくまで練習することですね。勉強もそうですし、「これだけやったから大丈夫」と思える何かを自分の中に持ちたいんです。それがないと、ただの言い訳になってしまう気がして。そう思いながら、目の前に現れる選択は二択ではないこともありますから、そのたびに自問自答しています。後悔することもありますが、それもひとつの経験で、乗り越えることにつながるのだと思っています。
――何年後かに「あっちを選んでおけばよかった」と振り返ることはありますか?
松下:あまりしないですね。もう忘れてしまいます(笑)。きっと私は“迷うこと”が苦手なんでしょうね。でも、迷いも必要で、その折り合いをどうつけるかは永遠のテーマです。選び続けることでたくさんの発見があって、それが自分の糧になる。答えが出ないことも含めて向き合いながら、前向きに楽しもうと思っています。何が起こるかわからないからこそ、人生って面白いですよね。
松下:最近で言えば、神田正輝さんとご一緒できたことはとても大きかったですね。『朝だ!生です旅サラダ』(朝日放送テレビ・テレビ朝日系列)のMCとして2、3年隣で勉強させていただいて、あんなにかっこよくてチャーミングで、言葉に説得力のある方がいるんだと感動しました。神田さんは、みんなを笑顔にして場を明るくしてくれる人。そこにいてくださるだけで安心できるし、周りも自然と楽しそうになるんです。たくさんのことを見て、感じて、知識も豊富で、いつも本を読んでいらっしゃる。その姿を間近で見て、私ももっといろんなところへ行って、自分の目で見て、感じて、吸収していきたいと思うようになりました。
――神田さんとの会話で印象的な言葉は?
松下:「楽しまなきゃ」という言葉です。でも、それっていちばん難しいんですよね。『旅サラダ』の本番では緊張もするし、ときには悩むし、迷うこともあります。そのなかでどう楽しむかをずっと考えていました。でも、一度思い切って何もかも忘れて、その場を楽しむ。とてもシンプルなことですけど、少しずつ自然に楽しめるようになってきました。自分から楽しもうとすると、本当に楽しくなってくるんです。
――作品で印象的だった出会いはありますか?
松下:最近だと、映画『国宝』ですね。身も心も削って挑んでいることが伝わってきて圧倒されました。美しい舞台姿に感動し、映画館ですぐには立ち上がれなかったほどです。「悔しい」と感じるほど心を動かされました。
松下:俳優さんはもちろんですが、脚本家の方のお話に興味がありますね。どうやってあの世界観を生み出しているのか知りたいです。小説とも違いますし、セリフになるまでの苦労も気になります。あとは、絵や器など、ものづくりをされている方のお話もおもしろそうです。
――これから初収録だとうかがいました。10月のマンスリーゲストは、いきものがかりの水野良樹さんがゲストですね。
松下:長年お世話になっている方ですが、分岐点についてお話を伺うのは今回が初めて。どんな人生を歩んでこられたのか、とても興味があります。水野さんは言葉の魔術師だと思っているので、どんな言葉が聞けるのか今からワクワクしています。
――最後に、リスナーへのメッセージをお願いします。
松下:ゲストのみなさんのお話に共感していただけることも多いでしょうし、「なるほど、そうだったんだ」という発見もあるかもしれません。夜のひととき、そろそろ眠ろうかなという時間帯の番組です。ふと耳に入ってきて、気がついたら最後まで聞いていた……そんな番組になればいいなと思っております。末永くよろしくお願いします。
松下奈緒がナビゲーターを務めるJ-WAVE『KENEDIX CROSSROADS』は、毎週金曜24時30分からオンエア。
番組公式サイトはコチラ。
オンエアは放送開始から1週間、radikoのタイムフリー機能で楽しめる。
(取材・文=船寄洋之、撮影=LUCKMAN)
松下自身の分岐点はいつだったのだろうか? キャリアで訪れた大きな転機や、壁の乗り越え方を聞くとともに、先輩俳優からの学びも語ってもらった。(J-WAVE NEWS編集部)
17年ぶりのJ-WAVEレギュラー。当時の思い出は?
――J-WAVEのナビゲーターを務めるのは、2007〜2008年放送の『1・DAY ACUVUE MOIST ALLEGRO ANDANTE』以来となりますね。松下:当時は、レギュラー番組を担当するのはほとんど初めてでした。東京に出てきてからずっと聴いていたJ-WAVEに、自分がナビゲーターとして出演できることが本当にうれしかったです。音楽好きの私にとって、自由にさまざまなことに挑戦させてもらえる場で、とても貴重で楽しい経験になりました。
──とくに思い出深いのは?
松下:映画のロケでスペインに行った際、番組のスタッフのみなさんも一緒に来てくださったんです。「じゃあ、行っちゃう?」みたいな感じで、「それ、OKなんだ!」と驚きました(笑)。現地ではボイスレコーダーを持って「いま、私はバルセロナにいます」みたいなレポートをしたり、みんなでおいしいものを食べたり……そんな特別な空気に触れられた時間も含め、今思い出しても楽しくなるエピソードがたくさんありますね。
――普段はラジオをお聴きになりますか?
松下:よく聴きます。ラジオは耳なじみがよくて、スッと心に残るというか、自然に入ってくる感じがあるんです。特定の番組を決めて聴いているわけではないですが、コンサートや美術館の情報など、いろんなことを教えてくれるので「こんな展示がやっているんだ」とか「この人のライブに行ってみようかな」と、思わずメモすることもあります。
分岐点は『ゲゲゲの女房』。気遣いの大切さを実感
――新番組『KENEDIX CROSSROADS』は「人生の分岐点」がテーマです。松下:いろんな方の分岐点を、面白く、楽しくお話ししながら引き出していけたらいいなとワクワクしています。きっとどんな方にも「ここが分岐点だったな」という瞬間があるはず。そういうお話が、私も含めてリスナーのみなさんにとって「ハッ」とするきっかけになったら素敵ですよね。これから始まる番組なので、私自身もどんな出会いやお話が待っているのか、とても楽しみです。
――ご自身の人生で「ここが分岐点だった」と思うエピソードは?
松下:それはもう、一択で、2010年放送のNHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』でヒロイン・飯田布美枝を演じたことです。デビューして5、6年が経ったころで、大きな役をいただけた喜びと、「朝ドラ」という大きな番組の一員になれたことが本当にうれしかったんです。ほぼ1年間、同じ人物を演じ続けるプレッシャーもありましたが、がんばればがんばるほど多くのものを得られると思って現場に臨みました。スタッフさんや先輩の俳優さんたちから多くを学び、今までになかった気持ちでお芝居と向き合えた経験でした。あの撮影を乗り越えたからこそ、多少のことではへこたれない強い自分になれたと感じています。
――とくに印象的だったことはありますか。
松下:「作品はひとりでやっているんじゃないんだな」と感じたことですね。もちろん、カメラの前に立つまでにどう演じるかを準備して悩んで考えて……というのは私ひとりの作業かもしれないけど、現場に行くとやっぱり周りの人たちとのコミュニケーションなんだなって。お芝居は、みんなの力が合わさってこそ生まれるもの。ひとりでがんばらなきゃっていう気持ちも必要なんですけど、みんなに頼っていいんだ、みんなと一緒にやることが大切なんだってことを学びましたね。
――その後のお仕事にも活きていきそうな学びですね。
松下:本当に活きています。朝ドラのあとからは、周りの人のことを考える大切さを強く意識するようになりました。自分ばかりではなく、相手の役者さんや周りの人たちがどう思っているのか、「疲れていないかな」「何か言いたそうだな」と感じたら声をかける。そういう小さなことを大事にしています。大杉 漣さんが、まさに現場でそうされていたんです。『ゲゲゲの女房』では私のお父さん役だったので、いちばん近くでご一緒できたんですけど、言葉で教えるのではなく背中で示してくださる方でした。現場を盛り上げたり、居心地よくしてくださったり、そういうことが自然にできる人になりたいと強く思いました。
壁の乗り越え方は「自信がつくまで練習すること」
――人生は選択と分岐点の連続ですが、そういう場面ではどんなふうに決断することが多いですか?松下:決断は早いですね。早いぶん、失敗もたくさんしますけど、自分で選んだ以上は最後までやりきろうとします。たとえ「間違っていたな」と思っても、元に戻るのは悔しいと思ってしまう(笑)。人からアドバイスをいただくこともありますが、基本的には自分で選びたいタイプです。少し頑固とも言えるかもしれません。でも、自分で決めたことだからこそがんばれますし、きちんと着地させようと決意できます。
――壁にぶつかったときはどう乗り越えますか?
松下:自信がつくまで練習することですね。勉強もそうですし、「これだけやったから大丈夫」と思える何かを自分の中に持ちたいんです。それがないと、ただの言い訳になってしまう気がして。そう思いながら、目の前に現れる選択は二択ではないこともありますから、そのたびに自問自答しています。後悔することもありますが、それもひとつの経験で、乗り越えることにつながるのだと思っています。
――何年後かに「あっちを選んでおけばよかった」と振り返ることはありますか?
松下:あまりしないですね。もう忘れてしまいます(笑)。きっと私は“迷うこと”が苦手なんでしょうね。でも、迷いも必要で、その折り合いをどうつけるかは永遠のテーマです。選び続けることでたくさんの発見があって、それが自分の糧になる。答えが出ないことも含めて向き合いながら、前向きに楽しもうと思っています。何が起こるかわからないからこそ、人生って面白いですよね。
「楽しまなきゃ」神田正輝から学んだこと
――曲や本、映画、アート、人との出会いなどで人生が変わることもあると思います。松下さんにとって「人生を変えた出会い」を教えてください。松下:最近で言えば、神田正輝さんとご一緒できたことはとても大きかったですね。『朝だ!生です旅サラダ』(朝日放送テレビ・テレビ朝日系列)のMCとして2、3年隣で勉強させていただいて、あんなにかっこよくてチャーミングで、言葉に説得力のある方がいるんだと感動しました。神田さんは、みんなを笑顔にして場を明るくしてくれる人。そこにいてくださるだけで安心できるし、周りも自然と楽しそうになるんです。たくさんのことを見て、感じて、知識も豊富で、いつも本を読んでいらっしゃる。その姿を間近で見て、私ももっといろんなところへ行って、自分の目で見て、感じて、吸収していきたいと思うようになりました。
――神田さんとの会話で印象的な言葉は?
松下:「楽しまなきゃ」という言葉です。でも、それっていちばん難しいんですよね。『旅サラダ』の本番では緊張もするし、ときには悩むし、迷うこともあります。そのなかでどう楽しむかをずっと考えていました。でも、一度思い切って何もかも忘れて、その場を楽しむ。とてもシンプルなことですけど、少しずつ自然に楽しめるようになってきました。自分から楽しもうとすると、本当に楽しくなってくるんです。
――作品で印象的だった出会いはありますか?
松下:最近だと、映画『国宝』ですね。身も心も削って挑んでいることが伝わってきて圧倒されました。美しい舞台姿に感動し、映画館ですぐには立ち上がれなかったほどです。「悔しい」と感じるほど心を動かされました。
共感と発見のある番組を目指して
――新番組『KENEDIX CROSSROADS』ではさまざまなゲストをお迎えしていきます。どんな方の分岐点を訊いてみたいですか?松下:俳優さんはもちろんですが、脚本家の方のお話に興味がありますね。どうやってあの世界観を生み出しているのか知りたいです。小説とも違いますし、セリフになるまでの苦労も気になります。あとは、絵や器など、ものづくりをされている方のお話もおもしろそうです。
――これから初収録だとうかがいました。10月のマンスリーゲストは、いきものがかりの水野良樹さんがゲストですね。
松下:長年お世話になっている方ですが、分岐点についてお話を伺うのは今回が初めて。どんな人生を歩んでこられたのか、とても興味があります。水野さんは言葉の魔術師だと思っているので、どんな言葉が聞けるのか今からワクワクしています。
――最後に、リスナーへのメッセージをお願いします。
松下:ゲストのみなさんのお話に共感していただけることも多いでしょうし、「なるほど、そうだったんだ」という発見もあるかもしれません。夜のひととき、そろそろ眠ろうかなという時間帯の番組です。ふと耳に入ってきて、気がついたら最後まで聞いていた……そんな番組になればいいなと思っております。末永くよろしくお願いします。
松下奈緒がナビゲーターを務めるJ-WAVE『KENEDIX CROSSROADS』は、毎週金曜24時30分からオンエア。
番組公式サイトはコチラ。
オンエアは放送開始から1週間、radikoのタイムフリー機能で楽しめる。
(取材・文=船寄洋之、撮影=LUCKMAN)
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番組情報
- KENEDIX CROSSROADS
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毎週金曜24:30-25:00
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松下奈緒