
「ラジオ番組を持つのが長年の夢だった」と語る、SUPER EIGHTの安田章大。その願いが、この秋、J-WAVE『SOUND STORIES』で実現する。金曜深夜25時30分に彼が届けたいのは、音楽と声が生み出す、あたたかなつながりだ。
10月3日(金)に初回放送を迎える本番組。安田に、「ラジオだからこそできること」「言葉に対する考え方」など思いを聞いた。
安田:番組を持つのは念願でした。僕は20年以上、ずっと「ラジオ番組がやりたい」と言っていたんです。今回、初めて叶いました。小学生の頃から、家の中ではずっとラジオが流れていて、とても身近なものだったんです。
──発信の形が多様化する中で、「声だけの場」を作っていくことへの思いは。
安田:ラジオって、人の心臓を手で触れる感覚があるような気がしています。心の内側って、開くのも難しい。自分で自分の心を開いて触るのも、人に心を伝えるのも大変なことだと思うんです。それを静かにチャックを下ろしたり、やけどをしないように、生の手で心臓を包んであげられるものがラジオだと思っています。
安田:まず、テンションが上がって帰っている方にとっては、音楽が「気持ちいいもの」であってほしいですね。
平穏に過ごしている人にとっては、新しい知識が入ったことで「この曲、また聴いてみたいな」と思ってもらえたらうれしいです。楽曲制作側の当時の感情や感覚、なぜそのときに伝える必要があったのかという理由を知れるのは、なかなか得難い知見になると思います。
寂しさを感じている方や、センシティブな気持ちになっている方にとっては、この番組が「集いの場」のような存在になれればいいな、と思います。
──リスナーさんも、XなどSNSで番組の感想をリアルタイムに投稿することによって、同じ時間帯にみんなでつながれますね。
安田:本当は、リスナーさんと直接しゃべれたらいいんですけどね。生放送ではないんですが、時間を超えてSNSでつながるのも、今の時代らしさなのかなとも感じます。
──安田さんご自身も、音楽活動の中で、レコーディングの話や楽曲が誕生した背景などをご自身の言葉で伝える機会もたくさんありました。この番組ではさまざまなアーティストの楽曲を安田さんの解釈や知識を通して届けることになりますが、どんなことを伝えたいですか。
安田:音楽の受け取り方には正解がないということを、いちばん伝えたい気がしますね。その人の都合のいいものとして存在すべきなのが、音楽なんじゃないかなと思っていて。
歌詞というものは、歌い手から届くメッセージというか、お手紙……「文(ふみ)」のようなものだと思うんです。今の時代は言葉を伝えるツールがたくさんありますけど、その「文」が音として届く。それがまたいいんじゃないかなと、僕は思います。
安田:おしゃべりがしたいです。今、その曲を聴いて「なぜこう感じたのか」のやりとりを交わしたいんですよね。それが次週につながっていけば、音楽の楽しみがどんどん広がっていくのかなと思って。
──ファンやリスナー同士がSNSで感想や気付きを語り合う、といったコミュニケーションも“おしゃべり”のひとつですね。
安田:そうですね。やっぱり、深夜に一人でいると怖くなったり、しんどくなったり、つらくなったり、きつくなったりして、やめたくなってしまう。でも「誰かと、何かでつながっている」ということを番組で表現できたらいいなと思っています。
──音楽の背景を知り、もっと深く楽しめるようになるという番組内容です。安田さん自身が、音楽の背景を知ってより好きになった経験はありますか。
安田:音楽の楽しみ方って本当にいろいろあります。メロディを聴くのと、メロディにのせて歌詞を聴くのと、カラオケのようにインストを流して自分で歌詞を読むのと、さらに伴奏を流さずに歌詞を自分の口で音読するのとでは、歌詞の重みや意味が大きく変化する。
音楽が心を和らげてくれることもあれば、逆に重くのしかかってくることもある。でも、言葉そのものを“丸裸”にすることが大事なんじゃないかと思っています。
──リスナーにとって、どんな存在になる番組にしたいと思っていますか?
安田:お互い、心の会話ができる状態になりたいですね。僕は言葉が嫌いだけど、言葉があるから伝えることができるし、あってよかったと思うんです。言葉が歌詞として音楽に乗ることで受け取れるメッセージもあるし、リスナーさんにも届けて、キャッチボールをしたいですね。
安田:ラジオって、最初に言った「心臓を触ってもらっているような感じ」があって、疎外感がないんですよね。「自分だけが置いていかれることがない」という感覚があるんです。
──これまで、ラジオをどう楽しまれてきましたか。
安田:小学生の頃は、ラジオでランキングを毎日チェックして、机に全部書き込んでいた時期がありました。1週間聴き続けても、ランキングってほとんど変わらないんですけどね(笑)。それでも、ずっと同じ順位をノートに書き続けて、その楽曲をテープレコーダーに録音して聴いていました。
──今はサブスクのアルゴリズムが優れていますし、好みに合わせた同じ傾向の曲ばかり届きがち、という方も多いと思います。安田さんはどうやって音楽との出会いを広げてきましたか。
安田:知らない曲が流れてきても一瞬で「この曲、なんかいいな」と感じられる。そうやって自分のセンサーが広がるのが、ラジオの魅力だと思いますね。僕自身も、ラジオから流れてきた曲を「なんだろう、いい曲だな」と思って、慌ててアプリで調べて、曲名をメモすることがあります。
昔は一人で頑張って、CDショップでジャケット買いをしていたんですけど、自分の嗅覚で選ぶだけだと、どうしても狭まってきてしまう。ラジオを通した音楽との出会いは、すごくありがたいです。
安田:さっきも少し触れましたが、実は僕、言葉があまり好きじゃないんです。だからこそ、余計に自分の中で「言葉」の意味を考えるようになりました。言葉って、人間にとっていちばんウソをつけるツールだと思うんです。でも僕は、その言葉を使って「本音を伝える場所」としてラジオを選んでいる。その矛盾こそが、この番組の魅力になってほしい部分だと思います。
──インタビューの冒頭で「心臓を包んであげられるものがラジオ」というお話がありました。感覚的なものでしょうか? それとも、実体験から出た言葉なのですか。
安田:大好きだったダイビングの経験から生まれた感覚です。ダイビングをしている瞬間は、世界が無音になるんです。でも、実際には海の中にも音がある。何キロも先のクジラやイルカの声が聞こえてきたり、伊勢エビが岩に触れる音が響いてきたり。無音の中にも確かに、様々な“音”が存在することに気づかされたのは、大きな発見でした。
また、僕たちは普段、自分の心臓の音を聞いていないけれど、確かに鳴っている。その事実を実感することが、音楽とのコミュニケーションにもつながっている気がしているんです。
そんな体験が、冒頭でお話した“心臓”という言葉にもつながっています。香川県にある「豊島」には、世界中から何万人もの心臓音をアーカイブして爆音で流す施設「心臓音のアーカイブ」があるんですよ。そこにいると、生きることと音楽を実感できる。そういったスポットも、いずれ番組でご紹介できればと思っています。
安田:僕の人生、ずっと真ん中に音楽が存在しています。J-WAVEさんとはこの春に「ギタージャンボリー」でもご一緒させてもらいました。そこで「こんなにいろんな音楽を届けられる場所なんだ」と感じて。改めて、自分がこういう場所で感性や感覚を安心して話すことができるのは、J-WAVEさんだからだな、と思います。ありがたい限りですね。
──最後に、J-WAVEナビゲーターとしてリスナーさんにメッセージをお願いします。
安田:生きるうえで、言葉はときに人を傷つけることもある。でも相手との関係性次第では、とてつもない安心感や安堵感を届けられる力も持っている。そこが言葉の強さですし、言葉と音楽を届けられるのが、ラジオの魅力だと思います。楽しみにしていてほしいです。
J-WAVE『SOUND STORIES』の初回放送は10月3日(金)25時30分から。オンエアは放送開始から1週間、radikoのタイムフリー機能で楽しめる。
番組公式サイトはコチラ。
〈取材:小沢あや(ピース株式会社)、撮影:夛留見彩〉
10月3日(金)に初回放送を迎える本番組。安田に、「ラジオだからこそできること」「言葉に対する考え方」など思いを聞いた。
ラジオが持つ「心臓を包むような感覚」とは
──安田さんは音楽、演劇、タレント業などあらゆる形の表現をしてこられました。そんな中で今、ラジオ番組を持つことをどう捉えていますか?安田:番組を持つのは念願でした。僕は20年以上、ずっと「ラジオ番組がやりたい」と言っていたんです。今回、初めて叶いました。小学生の頃から、家の中ではずっとラジオが流れていて、とても身近なものだったんです。
──発信の形が多様化する中で、「声だけの場」を作っていくことへの思いは。
安田:ラジオって、人の心臓を手で触れる感覚があるような気がしています。心の内側って、開くのも難しい。自分で自分の心を開いて触るのも、人に心を伝えるのも大変なことだと思うんです。それを静かにチャックを下ろしたり、やけどをしないように、生の手で心臓を包んであげられるものがラジオだと思っています。
「集いの場」のような存在に…番組で目指すことは?
──新番組は、金曜深夜25時枠です。週末の夜、飲み会の帰りに聴く方もいるでしょうし、逆に予定がなくて、SNSを眺めながら少し孤独を感じている人にも届く番組なのかなと思います。安田さんは「寄り添う」という部分を、とても大切にされている印象です。安田:まず、テンションが上がって帰っている方にとっては、音楽が「気持ちいいもの」であってほしいですね。
平穏に過ごしている人にとっては、新しい知識が入ったことで「この曲、また聴いてみたいな」と思ってもらえたらうれしいです。楽曲制作側の当時の感情や感覚、なぜそのときに伝える必要があったのかという理由を知れるのは、なかなか得難い知見になると思います。
寂しさを感じている方や、センシティブな気持ちになっている方にとっては、この番組が「集いの場」のような存在になれればいいな、と思います。
──リスナーさんも、XなどSNSで番組の感想をリアルタイムに投稿することによって、同じ時間帯にみんなでつながれますね。
安田:本当は、リスナーさんと直接しゃべれたらいいんですけどね。生放送ではないんですが、時間を超えてSNSでつながるのも、今の時代らしさなのかなとも感じます。
──安田さんご自身も、音楽活動の中で、レコーディングの話や楽曲が誕生した背景などをご自身の言葉で伝える機会もたくさんありました。この番組ではさまざまなアーティストの楽曲を安田さんの解釈や知識を通して届けることになりますが、どんなことを伝えたいですか。
安田:音楽の受け取り方には正解がないということを、いちばん伝えたい気がしますね。その人の都合のいいものとして存在すべきなのが、音楽なんじゃないかなと思っていて。
歌詞というものは、歌い手から届くメッセージというか、お手紙……「文(ふみ)」のようなものだと思うんです。今の時代は言葉を伝えるツールがたくさんありますけど、その「文」が音として届く。それがまたいいんじゃないかなと、僕は思います。
リスナーと“心の会話”をしたい
──SNSや動画ではなく、ラジオだからこそできる表現はどんなことだと思いますか? 番組でやってみたいことがあれば教えてください。安田:おしゃべりがしたいです。今、その曲を聴いて「なぜこう感じたのか」のやりとりを交わしたいんですよね。それが次週につながっていけば、音楽の楽しみがどんどん広がっていくのかなと思って。
──ファンやリスナー同士がSNSで感想や気付きを語り合う、といったコミュニケーションも“おしゃべり”のひとつですね。
安田:そうですね。やっぱり、深夜に一人でいると怖くなったり、しんどくなったり、つらくなったり、きつくなったりして、やめたくなってしまう。でも「誰かと、何かでつながっている」ということを番組で表現できたらいいなと思っています。
──音楽の背景を知り、もっと深く楽しめるようになるという番組内容です。安田さん自身が、音楽の背景を知ってより好きになった経験はありますか。
安田:音楽の楽しみ方って本当にいろいろあります。メロディを聴くのと、メロディにのせて歌詞を聴くのと、カラオケのようにインストを流して自分で歌詞を読むのと、さらに伴奏を流さずに歌詞を自分の口で音読するのとでは、歌詞の重みや意味が大きく変化する。
音楽が心を和らげてくれることもあれば、逆に重くのしかかってくることもある。でも、言葉そのものを“丸裸”にすることが大事なんじゃないかと思っています。
──リスナーにとって、どんな存在になる番組にしたいと思っていますか?
安田:お互い、心の会話ができる状態になりたいですね。僕は言葉が嫌いだけど、言葉があるから伝えることができるし、あってよかったと思うんです。言葉が歌詞として音楽に乗ることで受け取れるメッセージもあるし、リスナーさんにも届けて、キャッチボールをしたいですね。
ラジオを通じた音楽との出会い─実体験は?
──ラジオリスナーとしての体験で、印象に残っていることは。安田:ラジオって、最初に言った「心臓を触ってもらっているような感じ」があって、疎外感がないんですよね。「自分だけが置いていかれることがない」という感覚があるんです。
──これまで、ラジオをどう楽しまれてきましたか。
安田:小学生の頃は、ラジオでランキングを毎日チェックして、机に全部書き込んでいた時期がありました。1週間聴き続けても、ランキングってほとんど変わらないんですけどね(笑)。それでも、ずっと同じ順位をノートに書き続けて、その楽曲をテープレコーダーに録音して聴いていました。
──今はサブスクのアルゴリズムが優れていますし、好みに合わせた同じ傾向の曲ばかり届きがち、という方も多いと思います。安田さんはどうやって音楽との出会いを広げてきましたか。
安田:知らない曲が流れてきても一瞬で「この曲、なんかいいな」と感じられる。そうやって自分のセンサーが広がるのが、ラジオの魅力だと思いますね。僕自身も、ラジオから流れてきた曲を「なんだろう、いい曲だな」と思って、慌ててアプリで調べて、曲名をメモすることがあります。
昔は一人で頑張って、CDショップでジャケット買いをしていたんですけど、自分の嗅覚で選ぶだけだと、どうしても狭まってきてしまう。ラジオを通した音楽との出会いは、すごくありがたいです。
「心臓の鼓動」と音楽がつながる瞬間
──8年前、脳腫瘍と診断されました。闘病経験を経て、発信の仕方や届け方への意識は変わりましたか?安田:さっきも少し触れましたが、実は僕、言葉があまり好きじゃないんです。だからこそ、余計に自分の中で「言葉」の意味を考えるようになりました。言葉って、人間にとっていちばんウソをつけるツールだと思うんです。でも僕は、その言葉を使って「本音を伝える場所」としてラジオを選んでいる。その矛盾こそが、この番組の魅力になってほしい部分だと思います。
──インタビューの冒頭で「心臓を包んであげられるものがラジオ」というお話がありました。感覚的なものでしょうか? それとも、実体験から出た言葉なのですか。
安田:大好きだったダイビングの経験から生まれた感覚です。ダイビングをしている瞬間は、世界が無音になるんです。でも、実際には海の中にも音がある。何キロも先のクジラやイルカの声が聞こえてきたり、伊勢エビが岩に触れる音が響いてきたり。無音の中にも確かに、様々な“音”が存在することに気づかされたのは、大きな発見でした。
また、僕たちは普段、自分の心臓の音を聞いていないけれど、確かに鳴っている。その事実を実感することが、音楽とのコミュニケーションにもつながっている気がしているんです。
そんな体験が、冒頭でお話した“心臓”という言葉にもつながっています。香川県にある「豊島」には、世界中から何万人もの心臓音をアーカイブして爆音で流す施設「心臓音のアーカイブ」があるんですよ。そこにいると、生きることと音楽を実感できる。そういったスポットも、いずれ番組でご紹介できればと思っています。
言葉と音楽で、安心を届けたい
──ラジオ局が多数ある中で、J-WAVEでご自身の番組を持つことへの想いは。安田:僕の人生、ずっと真ん中に音楽が存在しています。J-WAVEさんとはこの春に「ギタージャンボリー」でもご一緒させてもらいました。そこで「こんなにいろんな音楽を届けられる場所なんだ」と感じて。改めて、自分がこういう場所で感性や感覚を安心して話すことができるのは、J-WAVEさんだからだな、と思います。ありがたい限りですね。
──最後に、J-WAVEナビゲーターとしてリスナーさんにメッセージをお願いします。
安田:生きるうえで、言葉はときに人を傷つけることもある。でも相手との関係性次第では、とてつもない安心感や安堵感を届けられる力も持っている。そこが言葉の強さですし、言葉と音楽を届けられるのが、ラジオの魅力だと思います。楽しみにしていてほしいです。
J-WAVE『SOUND STORIES』の初回放送は10月3日(金)25時30分から。オンエアは放送開始から1週間、radikoのタイムフリー機能で楽しめる。
〈取材:小沢あや(ピース株式会社)、撮影:夛留見彩〉
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金曜25:30-26:00
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安田章大